2012年3月5日月曜日

甲状腺がん発症 潜伏期間


今行うべきは、被爆者への配慮としてのきめ細かな健康管理と、システマティックな被曝量の客観的データ収集であろう。恐怖感だけを与え、情にだけ訴えるセンセーショナリズムに基づく報道は何の役にも立たないどころか、すべての施策の足かせにしかならない。


「週間文春」の記事は愚劣すぎて・・・ 健康への影響を極度に心配している人たちをもてあそぶことになり、健康への影響を軽視しがちな人たちへは反論の絶好の材料を与えることとなった。


Current status and epidemiological research needs for achieving a better understanding of the consequences of the Chernobyl accident.
Health Phys. 2007 Nov;93(5):542-6.
チェルノブイリ原発事故以降、小児・成長期の甲状腺癌の劇的増加を例外とすると、明らかながん増加は示されてない。ベラルーシ、ロシア連邦、ウクライナに於けるがん・他の疾患増加は、他の要素が大きい様である。一方、かなりの量の暴露地域では、チェルノブイリの白血病リスクの倍加、月経前乳がんの軽度増加が報告されている。心血管疾患・白内障の増加も報告されている。これらの所見は、デザインのよく出来た疫学的研究で注意深く用量依存的に評価されるべきである。



Radiation-induced thyroid cancer: what we have learned from chernobyl.
Endocr Pathol. 2006 Winter;17(4):307-17.

チェルノブイリ原発事故で判明したのは、131I 環境暴露にて小児に於ける甲状腺癌リスク増加し、用量依存的現象が見られたこと
若年ほど放射線による発がん性の感受性高く、最小潜伏期間は4年間
これらのがんのうち、最も多いのは、乳頭がんで、 solid、solid-cysticな顕微鏡所見。
分子レベルでは、染色体配列異常をみとめ、たとえば、RET/PTCであり、BRAFのpoint mutationや他の遺伝子変化が見られる。


参考:チェルノブイリ原発事故と甲状腺癌
http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/coe/jp/activities/elearning/lecture/02-02.html






週刊文春「郡山2児に甲状腺がん疑い」で検査した医師困惑
http://www.news-postseven.com/archives/20120305_92408.html

指摘された【インチキ報道】

・テレビ朝日『報道ステーション』(2月23日)
緊急時避難準備区域だった福島県南相馬市内の歩道の所々に黒い藻のようなものが発生し、そこだけが高い放射線量を記録していると報じた。

・『週刊文春』(3月1日号)
「衝撃スクープ」と銘打ち、「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」と報じた。
390名(成人 139名、 18歳未満 170名)を対象に甲状腺エコー検査
18歳未満対象者170名中、“5mm以下の結節、もしくは、20mm以下の嚢胞” 30名、 “51mmの結節 もしくは 20.1mm異常の嚢胞”(B判定)は4名、悪性該当のC判定は無し


担当医師は、『診断の結果は全く問題なかった』という判定。

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