エリートバレーボール選手に於ける手指の虚血性病変、後上腕回旋動脈の動脈瘤性拡張と末梢閉塞・血栓塞栓の問題、それに伴う徴候・症状に関する報告。
High Prevalence of Self-Reported Symptoms of Digital Ischemia in Elite Male Volleyball Players in the Netherlands
A Cross-Sectional National Survey
Am J Sports Med August 27, 2012 0363546512456973
背景: 筆者自病院にて、最近3年で、虚血性6名のバレーボール選手が利き手の虚血性手指及び指動脈の微小血栓を主訴とした患者がいた。症状としては、同側上肢の末梢動脈の閉塞・指動脈塞栓を伴う後上腕回旋動脈( posterior circumflex humeral artery (PCHA) )の動脈瘤性拡張が原因であった。末梢性塞栓を伴うPCHA病変( PCHA pathological lesions with digital emboli (PCHAP with DE))の正確な徴候・エリートバレーボール選手での頻度の詳細は不明。血管病変が早期に同定できたら、手指血栓塞栓合併症、不可逆性変化予防可能となるかもしれない。
目的: オランダのエリート男性バレーボール選手において、PCHA with DE原因と考えられる指動脈虚血に合致した症状の頻度評価
研究デザイン: Cross-sectional study; Level of evidence, 3.
方法: アンケート調査をオランダ国内のトップリーグ・オランダビーチバレーチームのエリートバレーボール選手で行った。アンケートは文献ベースのデータと一致したPCHAP with DEの症状で、医療ファイルからのデータも利用。
結果: 登録107名中99名、93%の応答率
頻回報告症状は、練習・試合中あるいはその直後の利き手の冷感、青ざめた感じ、蒼白の指の訴えが多い。
これらの症状の頻度は11%-27%
練習中・試合中の手指冷感頻度は27%
試合中・直後の手指冷感、青ざめた感じ、蒼白頻度は12%
結論: エリートバレーボール選手の利き手PCHAP with DEの頻度は予想外に高い。
決定的な手指虚血発症リスクが潜在的にあることを考慮する必要があるので、手指虚血やPCHA損傷に関してさらなる解析が必要。
エリートアスリートは大変だ、その身体リスクに対応できるメディカルスタッフの質も必要