2013年3月7日木曜日

食塩は、自己免疫疾患発症的に働く;塩感受kinase SGK1は病原性TH17細胞を誘導

食塩は、多発性硬化症・1型糖尿病と言った自己免疫疾患と関連する。
高血圧、腎疾患、心疾患など以外にも、身体へ悪さの原因となるらしい・・・

Nanowires show sodium chloride may cause harmful T-cell growth.
Katherine Harmon
Nature News 06 March 2013
http://www.nature.com/news/salt-linked-to-autoimmune-diseases-1.12555


Induction of pathogenic TH17 cells by inducible salt-sensing kinase SGK1
Chuan Wu,    et. al.
Nature (2013) doi:10.1038/nature11984
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature11984.html


TH17 細胞 (interleukin-17 (IL-17)-産生 helper T 細胞)は、高度炎症惹起細胞で、細胞外病原体をクリアにし、多くの自己免疫疾患誘導的に働く。
IL-23 は、IL-23受容体発現増加により、そして、TH17細胞へ病因的effector functionとしての働きにより、TH17 細胞 phenotypeの安定・reinforcingにクリティカルな役割を果たす。しかし、IL-23がTH17反応を維持し、病原性effector機能を含む、正確な分子メカニズムは明確化されてなかった。

TH17細胞の発達分化のtranscriptional profilingを用い、これらのシグナルかネットワークのモデル構成を明らかにし、TH17発達調整する主要nodeをノミネートする。

血中 glucocorticoid kinase 1 (SGK1)、serine/threonine kinase4を、IL-23 signallingの、必須のnode downstreamとして同定。
SGK1は、マウスの Foxo1、IL-23R発現の直接のrepressorの非活性化により、IL-23R発現、TH17細胞phenotype安定化にクリティカル

SGK1は、他の細胞内のNa+輸送、塩(NaCl)ホメオスターシスを支配

塩濃度軽度増加にてSGK1発現誘導、IL-23R発現促進、TH17細胞分化促進、in vitro、in vivoとも示し、自己免疫性発症促進的に働く。

SGK1欠損は、IL-23-依存的なNa+介入TH17分化を無効化する

SGK1は病原性TH17細胞の誘導にクリティカルな役割を果たし、塩摂取高度のような環境的要素がTH17発達トリガーとなり、組織炎症を促進するメカニズムに関して分子的な考え方となった。

患者安全性戦略としての施設内褥瘡予防:システマティック・レビュー

病院獲得褥瘡は米国内でも年間6万名の死亡と、重篤な合併症に関連する状態となっている。
・ 予防処置はかなり行われているが、褥瘡率は米国内で増加
・ 中等度エビデンスとして、急性・慢性ケア状況での褥瘡予防のための多要素イニシャチブ はケアプロセス改善し、褥瘡率を減少
・ 26の研究知見(中等度強度エビデンス)にて、いくつかのコアな要素を集積することで、ケアのプロセス改善し、褥瘡率減少した。
・ キーコンポーネントは、褥瘡特異的介入と記載の単純化・標準化、他職種関与チームとリーダーシップ、skin champion指定、職員教育継続、聞き取り・フィードバックの持続



Preventing In-Facility Pressure Ulcers as a Patient Safety Strategy: A Systematic Review
Nancy Sullivan, et. al.
Ann Intern Med. 5 March 2013;158(5_Part_2):410-416


逆流性食道疾患患者:慢性咳嗽への制酸剤治療効果 ・・・ ゼロじゃないが反応する方が少数

制酸剤が効果あれば、GERDあるいは胃酸逆流による咳嗽・・・ってのが、普通なされる臨床的診断だろうが、そこまで明瞭な言い方はできないようだ。

なんせ、臨床的に酸暴露考えられる患者でも、咳嗽抑制効果あるのは2−3割程度。

慢性咳嗽の原因として、胃酸の逆流、あるいは、GERDとの関連性が、疫学上・生理学的研究上示唆されているが、抗逆流薬剤の慢性咳嗽への役割は不明ということで検討された研究。

結論から言えば、慢性咳嗽への制酸剤治療の治療的ベネフィットが明らかになったわけではない。治療反応しそうな患者を見極め、逆流発生時間帯咳嗽イベントを利用し、代替治療を最小し、適切な治療効果をあげる適切な見地力を向上するためにも、患者選択を厳重にすることが必要。


Response of Chronic Cough to Acid-Suppressive Therapy in Patients With Gastroesophageal Reflux Disease
Peter J. Kahrilas, et. al.
CHEST. 2013;143(3):605-612. doi:10.1378/chest.12-1788
9つのランダム化対照トライアルで、制酸治療(PPI 8つ、ラニチジン 1つ)

2つの交差研究で、PPIで、プラシーボによる咳嗽改善効果有意で、”プラシーボ→PPI治療 ”という群でのみ有効

食道への酸病的暴露患者では、病的所見無い患者に比べ(0.0%-8.6%)、 治療効果有り(range, 12.5%-35.8%)

入院患者の蜂窩織炎誤診率6-9割

偽性蜂窩織炎

"Pseudocellulitis"
例えば、tinea facei 、類丹毒、遊走性紅斑、帯状疱疹早期、アレルギー性接触性皮膚炎、Sweet病(発熱、末梢好中球増加、好中球浸潤性紅斑を三徴とする疾患) など
誤診比率の多い疾患は、stasis dermatitis(鬱滞性皮膚炎)と、接触性皮膚炎


Pseudocellulitis among hospitalized patients
Strazzulo L, et al
AAD 2013.
http://www.aad.org/meetings-and-events/2013-annual-meeting 

蜂窩織炎診断が、蜂窩織炎類似の他の疾患であったという、誤診率は、62.5%から87.5%にも及び、過去報告の2倍で、経済学的にも大きな影響を与えている。蜂窩織炎入院は、1997年の90%増加し、2004年は40億ドル。

蜂窩織炎は白血球増加多く、偽性では少ない (55% vs 24% P = 0.001)など









老人たちよ、より良き老化のため、テレビゲームをしよう!

高齢者においては、ビデオゲームで、気分改善効果があり、幸福感を増加させる

Successful aging through digital games: Socioemotional differences between older adult gamers and non-gamers
Jason C. Allaire , et. al.
Computers in Human Behavior Volume 29, Issue 4, July 2013, Pages 1302–1306


デジタルゲームを行う老人と行わない老人での、well-being、気分、うつ、社会機能などの心理機能の差

140名の老人(平均年齢77.47歳 (SD 7.31歳))サンプル

定期的使用、たまに使用、無使用の3群に分け、サンプルの60%が定期的・たまに使用

非ゲーマーと、ゲーマー老人に、群差が見られた。
項目は、well-being、負の気分、社会機能、うつ

successful agingと関連する ポジティブな活動性にゲームは役割を果たす



新聞記事
http://www.latinospost.com/articles/13773/20130306/video-games-keep-elderly-people-emotionally-healthy-new-study.htm

スポーツ:反復軽度頭部打撃→血液脳関門破壊→自己抗体出現→認知機能低下の可能性



脳震盪に至らない、軽度の頭部打撲を繰り返すスポーツでも、認知機能への影響があるという報告はかなり前からなされている。
フットボールにもボクシングのような反復頭部外傷による認知機能、軸性障害など・・・遅発性明らかに 2010年 09月 24日
頭をつかうスポーツは頭が悪くなる? 2004年 05月 12日
AAN: スポーツ脳しんとう疑い・既往時はスポーツ参加禁止、復帰時は事前訓練された医師の許可必要 2010年 11月 02日

疫学的データだけでは共役要素関与の懸念捨てきれない。できるだけ、そのメカニズムを説明できるものがほしい。

血液脳関門破壊と、自己抗体関与の可能性、画像診断の関係など 、さすが、Cleaveland Clinicの研究といえるきれいな報告。

"Consequences of repeated blood-brain barrier disruption in football players"
Nicola Marchi, et al
PLoS ONE 2013; DOI: 10.1371/journal.pone.0056805.

アメリカのフットボールプレイヤー頭部外傷リスク認識により、sideline concussion診断、神経学的障害のための評価に関する研究を促進している。脳震盪が神経学的後遺症スペクトラムの疫学的要素と認識されてきたが、脳震盪下のレベルでも後遺症があるかは不明であった。
血液脳関門破壊(BBBD)仮説を検討し、アストロサイト蛋白S100Bの血中急激増加により、自己抗体産生と関連する免疫応答が生じる可能性を検討。
これらのイベントがdiffusion tensor imaging(DT) scanにおける白質の 破壊所見を生じるかを決定する目的。
3つの大学フットボールチームからのプレイヤー登録(総計 67のボランティア)
いずれのプレイヤーも脳震盪経験せず、血液サンプルをゲーム前後採取(n=57)
全プレイヤーのhead hit数を動画視聴でモニター、試合後インタビューと合わせ評価
S100B血中値とS100B自己抗体を測定し、direct及びreverse immunoassayで補正(n=15プレイヤー; 5ゲーム数)
DTIスキャン施行プレイヤーサブセットをセッション前後、6ヶ月間隔にて行う(n=10)

認知・機能評価も施行。脳震盪下レベルの頭部打撲数の最も多いプレイヤーでのみ、ゲーム後、血中S100B測定BBBダメージ一過性に増加。
抗S100B自己抗体増加は、BBBDによる特徴的な繰り返しの脳震盪未満頭部打撲後でのみ増加。
S100B自己抗体の血中濃度は、また、認知機能変化と相関性のあるMRI-DTI異常持続を予測する変化である。
脳震盪の存在無い場合でも、フットボールプレイヤーは、繰り返し脳血液関門ダメージを受け、有害性と関連する自己抗体S100Bの急激な出現機会に遭遇するだろう。
血中S100B、自己抗体、DTI変化の相関は、繰り返す血液脳関門障害との関連性を示唆性、将来の認知機能への影響リスクを表す 

解説:Non-concussion football head hits can cause brain changes, Cleveland Clinic-led study finds
http://www.cleveland.com/science/index.ssf/2013/03/non-concussion_football_head_h.html

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