2012年5月2日水曜日

9時間以上寝れば肥満遺伝性影響少なくなる、7時間未満だと影響大

多くのメディアで取り上げられている・・・日本でも紹介されるだろう。



 "sleep diet" が、体重増加傾向の遺伝を有する人たちにとって,スリム化をもたらす方法となるかもしれない。9時間超の睡眠は、体重増加遺伝要素を抑制することを示す報告で、睡眠不足は逆の効果を示すとのこと。

同じ遺伝子を有する双生児で環境要素をみたもので、BMIの遺伝性が長期睡眠者に比べ短期睡眠者では2倍ほど影響があるという報告。

7時間未満の睡眠の双生児はの片割れはBMIの影響70%、9時間を越える睡眠の場合は32%の影響。


 Sleep Duration and Body Mass Index in Twins: A Gene-Environment Interaction Sleep VOLUME 35, ISSUE 05 http://www.journalsleep.org/ViewAbstract.aspx?pid=28504



関連:
シフト労働:“睡眠時間短縮”+“概日リズムの乱れ” → 安静代謝低下 年4.5kg体重増加に相当 2012年4月12日木曜日


睡眠薬と死亡率の関連 ;年18回分処方ですら死亡率増加 2012年2月29日

急性肺障害:マクロライド抗生剤使用によりアウトカム改善

急性肺障害 Acute lung injury (ALI)は米国内で年間20万人発症し、死亡率30%-40%の疾患である。低一回換気量人工呼吸の普及で死亡率低下、多数の薬物的介入が試みられているが、死亡率減少に関してはそれ以上の明確な進展が観られない。

マクロライドは、抗菌効果に加え、抗炎症効果もあり、慢性肺疾患、たとえばびまん性汎細気管支炎や嚢胞性肺線維症などにベネフィットがある。ALIでのマクロライドの役割が期待されている。


Acute Respiratory Distress Syndrome Network (ARDSNet) Lisofylline and Respiratory Management of Acute Lung Injury (LARMA) trialのデータを用いての検討

結論としては、共役要素補正後、マクロライド使用はALI患者のアウトカム改善と相関する というもの

Macrolide Antibiotics and Survival in Patients With Acute Lung Injury
Allan J. Walkey and Renda S. Wiener
Chest 2012;141 1153-1159
http://chestjournal.chestpubs.org/cgi/content/abstract/141/5/1153?etoc


トライアル登録24時間以内、235名中47名(20%)で、マクロライド抗生剤投与

マクロライドであるエリスロマイシン投与が最も多く57%、次が アジスロマイシン 40%

登録後マクロライド使用使用期間中央値は 4日間(中間4分位 2-8日間)

死亡比較
マクロライド使用 11/47(23%)
マクロライド無使用 67/188(36%) (P=0.11)

マクロライド投与登録者は、ALIリスク要素としての肺炎合併例が多く、非肺敗血症は少なく、そして、低一回換気量喚起ランダム割り付け群少なく、治験登録前の滞在期間は短かった。


寄与要素補正後、マクロライド使用は180日死亡率低下と相関  (hazard ratio [HR], 0.46; 95% CI, 0.23-0.92; P = .028) 、 機械式人工呼吸離脱成功までの期間短縮と相関 (HR, 1.93; 95% CI, 1.18-3.17; P = .009)

逆に、フルオロキノロン(n=90)とセファロスポリン抗生剤(n=93)はアウトカム改善と関連せず



喘息:LABAによる血管拡張、吸入ステロイドで減弱せず・・・ 気管支拡張作用促進的メカニズムに関与?

気道内には、平滑筋として、気道だけで無く、血管にも存在する。 喘息において、気道平滑筋にばかり目が行きそうだが、血管平滑筋のことも忘れないでください。
ということで、気道内血流(Qaw)をsoluble inert gas uptake methodで測定し、検討した報告。
  



Acute Effects of Salmeterol and Fluticasone Propionate Alone and in Combination on Airway Blood Flow in Patients With Asthma
Eliana S. Mendes, et. al.
Chest May 2012 141:5 1184-1189; published ahead of print October 6, 2011, doi:10.1378/chest.11-0685

14名の中等症喘息、サルメテロール(50μg)、フルチカゾンプロピオン酸(250μg)、サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸(50/250)、プラシーボ比較


airway blood flow (Qaw) を薬剤投与前と投与後240分で測定

サルメテロールとサルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸投与後平均Qawは増加、ピークは60分後で、34%、40%それぞれ増加。240分後ベースラインに戻る。

フルチカゾンプロピオン酸単独では平均Qawの一過性減少がある。

Qaw最大変化は、サルメテロールで60%、サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸で67%、フルチカゾンプロピオン酸単独では19%(P<.05)


LABA単独では、安定喘息患者で急性の血管拡張作用を示す。
フルチカゾンプロピオン酸を追加することで、血管収縮を生じるが、サルメテロールによる血管拡張を減衰できない。フルチカゾンプロピオン酸はサルメテロールの血管拡張作用をを促進することを示す。
血管拡張は、血管クリアランス促進作用、気道からのれん縮作用物質を含むメディエータの血管クリアランス促進による臨床的ベネフィットを示すのではないかという考察。

ClinicalTrial.gov 登録 トライアルもまた、小規模研究多く、方法論的にばらつきが大きく、エビデンス構築にふさわしくないトライアルが多い

それ以下の治験で確定的であるかごとく報道する日本のマスコミや研究者達。

それに比べればと、ClinicalTrials.govに登録されているだけでも、ある程度信用してしまうのだが・・・


”Large-Scale Analysis Finds Majority of Clinical Trials Don't Provide Meaningful Evidence ScienceDaily (May 1, 2012) ”と解説がなされ、高品質のエビデンスを構築するには品質に問題がある臨床トライアルが多数であるとのこと。

ClinicalTrials.govに登録された臨床トライアルは少数トライアルが多く、heterogeneityがあり、特に、手法、ランダム化、盲目化、DMCs(データモニタリング委員会)の使用などに、ばらつきがある


Characteristics of Clinical Trials Registered in ClinicalTrials.gov, 2007-2010
Robert M. Califf, et. al.
JAMA. 2012;307(17):1838-1847. doi: 10.1001/jama.2012.3424

ClinicalTrials.gov 登録の介入臨床トライアル データベースの検討

2010年9月27日ダウンロード分

介入臨床トライアル登録数は28881(2004年10月-1007年9月)から40970(2007年10月-2010年9月)と増加、喪失データ要素数減少。

2007-2010間の多くの介入トライアルは少数、被験者100以下が62%

多くの臨床トライアルは単施設  (66%; 24 788/37 520) 、企業やNIHといったものより機構組織基金が多い  (NIH) (47%; 17 592/37 520)

臨床的特異性に基づく報告方法、スポンサー種類、DMC(データモニタリング委員会)報告活用、報告方法、ランダム化、盲目化のheterogeneityは明らか


たとえばDMC活用報告は、企業スポンサー vs NIHスポンサートライアル間(補正オッズ比 [OR], 0.11; 95% CI, 0.09-0.14)、早期相トライアル vs 第Ⅲ相 (補正 OR, 0.83; 95% CI, 0.76-0.91)、精神科疾患トライアル vs 他の2分野間に差がある

同様比較で、ランダム化・盲目化は、早期相トライアル、がん、デバイストライアルでの比率が少ない。

FISH研究:魚脂 血液透析用グラフト開存性に効果?

魚脂の血液透析用動静脈グラフトの開存性への効果

プライマリエンドポイントで有効性示せず、セカンダリエンドポイントで効果を示したという、悩ましい結果に終わった。


グラフト失敗率だけをプライマリエンドポイントにしとけば・・・と、悲嘆が聞こえそうだ・・・


Effect of Fish Oil Supplementation on Graft Patency and Cardiovascular Events Among Patients With New Synthetic Arteriovenous Hemodialysis Grafts
A Randomized Controlled Trial
 Charmaine E. Lok, et.al
 for the Fish Oil Inhibition of Stenosis in Hemodialysis Grafts (FISH) Study Group
JAMA. 2012;307(17):1809-1816. doi: 10.1001/jama.2012.3473


ランダム化二重盲検対照化臨床トライアル: Fish Oil Inhibition of Stenosis in Hemodialysis Grafts (FISH) study

介入:グラフト形成後7日目に、魚脂カプセル(4回 1gカプセル/日) vs マッチングプラシーボ割り付け

主要アウトカム測定:12ヶ月フォローアップ後のグラフト血栓・レントゲン・手術的介入いずれかの比率

プライマリアウトカムは、魚脂群とプラシーボ群で差を認めず (48/99 [48%] vs 60/97 [62%]; relative risk, 0.78 [95% CI, 0.60 to 1.03; P = .06])

しかし、グラフト失敗率は、魚脂群で低い (3.43 vs 5.95 per 1000 access-days; incidence rate ratio [IRR], 0.58 [95% CI, 0.44 to 0.75; P < .001])

魚脂群では、血栓数半減 (1.71 vs 3.41 per 1000 access-days; IRR, 0.50 [95% CI, 0.35 to 0.72; P < .001]); 修正介入数減少 (2.89 vs 4.92 per 1000 access-days; IRR, 0.59 [95% CI, 0.44 to 0.78; P< .001]); 無心血管イベント生存率改善 (hazard ratio, 0.43 [95% CI, 0.19 to 0.96; P = .04]); 平均収縮期血圧低下 (−3.61 vs 4.49 mm Hg; difference, −8.10 [95% CI, −15.4 to −0.85]; P = .01)



Figure 3. Kaplan-Meier Estimates of Time to First Loss of Native Graft Patency, Thrombosis, Intervention, and Cardiovascular Event

Median time to primary unassisted patency was 354 days in the fish oil group and 176 days in the placebo group. Intervention indicates radiological or surgical intervention to maintain graft patency.



魚脂関係の知見、曖昧な結果になることが多い。

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