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2021年10月14日木曜日

関節リウマチなど慢性炎症性疾患(CID):SARS-CoV-2ワクチン効果

ワクチンの抗体価効果報告は、算術平均ではなく幾何平均で評価

 

 

Effect of Immunosuppression on the Immunogenicity of mRNA Vaccines to SARS-CoV-2
A Prospective Cohort Study

https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M21-1757 

【背景】免疫抑制剤を投与されている慢性炎症性疾患(CID)患者は,重症化するCOVID-19のリスクが高い.mRNAを用いたSARS-CoV-2ワクチンは,免疫力のある人では予防効果があるが,免疫抑制剤を投与されたCID患者における免疫原性は不明である.
【目的】CID 患者における mRNA ベースの SARS-CoV-2 ワクチンの免疫原性を明らかにすること。
【デザイン】前向き観察コホート研究
【設定】米国内の2つのCID紹介センター。
【被験者】早期COVID-19ワクチン接種の対象となるCID確定成人のボランティアサンプル(年齢を問わず病院職員と65歳以上の患者を含む)。免疫力のある参加者は病院職員とは別に募集した。参加者全員が、2020年12月10日から2021年3月20日の間に、SARS-CoV-2に対するmRNAワクチンを2回接種した。被験者はワクチン接種前2週間以内と最終接種後20日以内に評価を受けた。
【測定結果】全被験者:Anti–SARS-CoV-2 spike (S) IgG+ binding 、ワクチン後の液性免疫反応評価サブセットへは neutralizing antibody titers とcirculating S-specific plasmablast
【結果】CID患者133名のほとんど(88.7%)と免疫力の高い53名の参加者全員が,mRNAベースのSARS-CoV-2ワクチン接種に反応して抗体を発現したが,CID患者の一部は抗S IgG抗体価が数値的に低かった。

ワクチン接種後の抗S IgG抗体価は,グルココルチコイドを投与されているCID患者(n=17)の方が,投与されていない患者よりも低かった.抗S IgG抗体の幾何平均値は,プレドニゾンを投与されている患者では357(95%CI,96~1324)であったのに対し,プレドニゾンを投与されていない患者では2190(CI,1598~3002)であった.抗S IgG抗体価は、B細胞枯渇療法(BCDT)を受けた群でも低かった(n=10)。免疫原性の測定値は、代謝拮抗薬(n=48)、腫瘍壊死因子阻害剤(n=39)、ヤヌスキナーゼ阻害剤(n=11)の投与を受けている人と受けていない人との間で数値的な差があったが、95%CIは広く、重なり合っていた。中和価は抗S IgG抗体の結果と概ね一致していた。

 

ABA = abatacept; BCDT = B-cell depletion therapy; BLyS = B-lymphocyte stimulator; CID = chronic inflammatory disease; HCQ = hydroxychloroquine; IL23 = interleukin-23; IVIg = intravenous immunoglobulin; JAKi = Janus kinase inhibitor; LoD = limit of detection; NSAID = nonsteroidal anti-inflammatory drug; S = spike; SSZ = sulfasalazine; TCZ = tocilizumab; TNFi = tumor necrosis factor inhibitor.  A. Quantification of circulating anti-S IgG for immunocompetent participants and those with CID before and after immunization. B. Neutralization of pseudotyped vesicular stomatitis virus with SARS-CoV-2 S protein by serum of immunocompetent participants and those with CID after vaccination。パネルAおよびBでは、箱は25〜75%の範囲を、線は中央値を、ひげは5〜95%の範囲を示す。赤紫色の円は幾何学的平均値を示し,エラーバーは95%CIを示す。丸は外れ値を示す。C. CID参加者の免疫調節療法の組み合わせのアップセットプロット。接続線付きのドットは薬の組み合わせを示す。参加者がいない組み合わせは省略した。


結果は、他の免疫抑制剤治療を含むベースラインの臨床因子の違いを調整していない。
【限界】少量のサンプルであり、人口統計学的多様性に欠け、交絡が残っていた。
【結論】非使用者と比較して,グルココルチコイドとBCDTで治療を受けたCID患者は,SARS-CoV-2ワクチンによる抗体反応が低いようである。これらの予備的知見は,より大規模な研究で確認する必要がある.
 

2019年2月25日月曜日

大規模女性コホート:喫煙と関節リウマチ発症リスク 量依存的で一度喫煙するとそのリスク影響は継続する

禁煙・非喫煙維持長期となってる場合、seropositive 関節リウマチ発症リスク減少するという2つの大規模前向き解析結果


女性 117,182名、Nurses' Health Study (1976-2014)、女性 113,550名 Nurses' Health Study II (1989-2015)のデータ検証
関節リウマチ発症イベント 1,528、63.4%がseropositive、600万人年フォローアップ(最大フォローアップ 38年間)

何れも喫煙率減少しているが、初期コホートの方が後期コホートより喫煙率高い(35.8% → 18.8% vs 21.3% → 13.4%)、喫煙習慣は、両群ともアルコール摂取とsedentary behaviorと関連。年齢・コホート・BMI・身体活動・母乳(一部)・収入の多要素補正後全体的な関節リウマチハザード比は 喫煙既往 1.36 (95% CI 1.22-1.53) 、現行喫煙 1.46 (95% CI 1.26-1.70)

喫煙強度はリスクに影響を与える。Never smokerに比べ、現行喫煙 25 cigarettes/dayはseropositive 関節リウマチのリスク92%増加 (HR 1.92, 95% CI, 1.39 - 2.66)
喫煙者のうち, 10 pack-years未満に比べ、10-20 pack-yearsでは関節リウマチのリスク増加( HR 1.38 , 95% CI 1.17-1.65)、seropositive 関節リウマチ (HR 1.54, 95% CI, 1.25- 1.89)で、非喫煙者ではseronegative 関節リウマチの増加認めず。40 pack-yerasを超えた場合は、関節リウマチ全体 HR 1.83、95%CI 1.52〜2.20)、血清陽性RAのリスクは2倍(HR 2.25、95%CI 1.80〜2.82)高い。


5年未満禁煙歴と比較して、30年以上禁煙継続女性では、関節リウマチ発症リスク37%減少(HR, 0.63, 95%CI, 0.44 - 0.90)とハーバード大学
ただ、喫煙による軽度上昇リスクはその後も30年以上継続した上でのリスク減少であり、リスクは 全ての関節リウマチで 1.25 (95% CI, 1.02-1.53)、seropositive関節リウマチでは 1.30 (95% CI, 1.01 - 1.68)一度免疫系異常生じると自己免疫系は永続的異常継続が生じ、幾年も継続するのだろう。喫煙は、一般的に関節リウマチの重大なリスク要素で、特に血清陽性(seropositive)や抗環状シトルリン化ペプチド抗体の存在を意味する。
喫煙は肺の局所炎症、シトルリン化促進、T細胞機能障害、炎症誘発性サイトカイン誘導など機序考慮される。




Impact and timing of smoking cessation on reducing risk for rheumatoid arthritis among women in the Nurses’ Health Studies
Xinyi Liu  Sara K. et al.
Liu X, et al
Arthritis Care Res 2019; DOI: 10.1002/acr.23837.



ベースになるのは、 EfferocytosisやらDAMPsやら・・・喫煙など有害物質吸入の害は計り知れない

damage-associated molecular pattern
DAMPs
非感染性炎症を惹起するダメージ関連分子パターン(DAMP)

pathogen-associated molecular pattern
RAMPs

pathogen-associated molecular pattern
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/48/6/48_247/_pdf


Efferocytosis and autoimmune disease
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6234909/

2017年4月10日月曜日

関節リウマチ:歩行計・記録にて身体活動改善・・・目標設定有無関係なく

関節リウマチにおける「疲労」は、QOL・機能に影響を与え、cognitive behavioral therapyなどのプログラムの効果 明確化。だが、関節リウマチ患者の身体活動性は低い。

自己モニタリング日記や歩行計などの使用に関して有益性報告ある


運動教育の上に、歩行計を用いたステップ数計測記録の有無で比較、さらに、ステップ数目標設定で上乗せ効果があるか?

"Physical activity to reduce fatigue in rheumatoid arthritis: A randomized, controlled trial"
Arthritis Care Res (Hoboken). 2017 Apr 5. doi: 10.1002/acr.23230.
Katz P, et al
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28378441

身体活動モニタリング週1回

ランダム化、以下3群

  • 対照 (education; EDUC)
  • 歩行計+ステップ数モニタリング日誌 (PED)
  • 歩行計+ステップ数モニタリング日誌ステップ数目標 (PED+) 

21週間フォローアップ
week 10 にて、 電話アンケート全例実施、最終週 再度調査

プライマリアウトカム:ベースラインとweek 21の比較:平均ステップ数と疲労 (PROMIS 7-item questionnaire)
セカンダリアウトカム:

  • 自己報告疾患活動性
  • 身体機能
  • pain interference
  • うつ症状

ステップ数を線形混合モデルで解析

疲労はベースライン、week-10、week-21、week-21スコアを含む反復測定検証


被検:96名、8名21週完遂せず
2つの介入群ではステップ数有意増加

  • PED: +1441, p=0.004
  • PED+: +1656, p=0.001)


EDUC ではステップ数減少(-747, p=0.14)
 (Group-by-time interaction p=0.0025)

疲労の群間差有意な違いない (interaction p=.21)

ベースラインからweek 21までの疲労度変化

  • EDUC -1.6 (with-group p=.26)
  • PED -3.2 (p=.02)
  • PED+  -4.8 (p=.0002) 


PED、PED+ともに機能・自己報告疾患活動性改善




2015年7月17日金曜日

関節リウマチ生物製剤の重度感染リスク:DMARD先行使用がリスク増加に寄与?

生物製剤によりリウマチ治療劇的に変わったわけだが・・・ やはり感染症リスクが問題。


ガイドライン上、DMARD使用→生物製剤という流れになっているが、これ自体が重症感染症の呼び水になっている可能性が示唆される



Risk of serious infection in biological treatment of patients with rheumatoid arthritis: a systematic review and meta-analysis
Prof Jasvinder A Singh, et. al.
The Lancet ,Volume 386, No. 9990, p258–265, 18 July 2015


 従来のDMARDに比べ、標準用量生物製剤 (OR 1.31, 95% 信頼区間 [CrI] 1.09–1.58) 、高用量生物製剤 (1.90, 1.50–2.39) は重度感染リスクと関連

しかし、低用量生物製剤は相関せず   (0.93, 0.65–1.33)

 .

リスクは、従来のDMARD-経験患者、抗TNF製剤経験患者に比べ、MTX naive患者ではリスク低下



DMARDと比べた重度感染数絶対的増加は、年毎1000名あたりの数として標準で6、組み合わせで55まで増加。





関節リウマチ(RA)に対するTNF阻害薬使用ガイドライン (2015年3月12日改訂版)
http://www.ryumachi-jp.com/info/guideline_TNF.html 

対象患者
1. 既存の抗リウマチ薬(DMARD)通常量を3ヶ月以上継続して使用してもコントロール不良のRA患者。コントロール不良の目安として以下の3項目を満たす者。
  • 圧痛関節数6関節以上
  • 腫脹関節数6関節以上
  • CRP 2.0mg/dl以上あるいはESR 28mm/hr以上
これらの基準を満たさない患者においても、
  • 画像検査における進行性の骨びらんを認める
  • DAS28-ESRが3.2(moderate disease activity)以上
のいずれかを認める場合も使用を考慮する。
既存の治療とはMTX、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、レフルノミド、タクロリムスを指す。

2014年10月4日土曜日

関節リウマチ: 生物製剤にて癌発生リスク減少?




1997-2011年、Taiwan National Health Insurance Research Databaseを用いた国内コホート研究結果


TNF-αアンタゴニスト4426名、nbDMARDs 17704名を対照に検討。

生物製剤、nbDMARDsコホートで癌発生率は、 5.35 (95% 信頼区間 [CI] : 4.23 - 6.46)、 7.41 (95% CI; 6.75 - 8.07)/ 千人年

Cox比例ハザードモデルに基づくと、生物製剤にて癌発生ハザード比減少 0.63 (95% CI; 0.49 - 0.80, p < 0.001)





The risk of cancer in patients with rheumatoid arthritis taking tumor necrosis factor antagonists: a nationwide cohort study
Chun-Ying Wu, et. al.
Arthritis Research & Therapy 2014, 16:449 doi:10.1186/s13075-014-0449-5
Published: 30 September 2014
http://arthritis-research.com/content/pdf/s13075-014-0449-5.pdf










2014年7月12日土曜日

関節リウマチ:間質性肺病変のスペクトラム:重症ILA、ILA、無ILA

関節リウマチ(RA)の患者の約1割に間質性肺病変(ILD)あり、CT上では、1/3にサブクリニカルなILDが存在し、このRA関連ILDスペクトラムの機能的障害に関する特性付けの報告



Functional Impact of a Spectrum of Interstitial Lung Abnormalities in Rheumatoid Arthritis
Tracy J. Doyle, et. al.
Chest. 2014;146(1):41-50. doi:10.1378/chest.13-1394
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=1788065


Brigham and Women’s Hospital Rheumatoid Arthritis Sequential Study (BRASS)登録患者の報告。
1145名中、91名(8%)、胸部CT上間質性肺病変(ILAs)の存在を検討

12名がレントゲン上重度ILAs、34名がILAs、38名ではILA認めず
レントゲン上重症ILAsの場合、ILAsの無い場合に比べ、高齢  (P = .0037)、呼吸器症状増加 (cough, P = .027; dyspnea, P = .010)、より RA 疾患重症 (rheumatoid factor, P = .018; total swollen joints, P = .046)
この重症ILAsの場合、喫煙歴増加の傾向 (P = .16) 、FVC % predicted低下の傾向 (77% vs 94%, P = .097)、DLco % predicted 低下の傾向(52% vs 77%, P = .068)。

全体的にILAsありのリウマチ患者では、ILAsなしの患者に比べ、呼吸器症状、肺機能減少、RA疾患重症度の増加が、重症ILAsほどではないが存在する

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...