2012年11月30日金曜日

超高齢者・85歳以上の高血圧・脈圧増加は、障がいADL・認知機能減弱を予防する ・・・ 高血圧・脈圧拡大の防御的作用

85歳以上の高齢者の高血圧・脈圧増加は、神経可塑性などにベネフィットがあるのでは?


血圧、脈圧があるほど、ADL障がい指数、認知機能スコア減少率鈍化するという報告。


High Blood Pressure and Resilience to Physical and Cognitive Decline in the Oldest Old: The Leiden 85-Plus Study
Behnam Sabayan et. al.
Am Geriatr Soc 60:2014–2019, 2012.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-5415.2012.04203.x/abstract


超高齢者である85歳以上では、収縮期血圧と脈圧増加は、ADL障がいスコア低値と相関(both P = .01)。
    

同様に、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧高値ほど、MMSEスコア高値と関連 (all P < .05)

85歳から先は、85歳時点の収縮期血圧高値(p< .001)、平均血圧高値(p=.01)、脈圧高値(p=.003)ほど、ADL障がいスコア年次増加は、減弱する。

同様に、85歳時の収縮期高値(p=.03)、脈圧高値(p=.008)ほど、MMSEの年間減少の減弱と関連

追加解析すると、血圧高値と年次MMSEスコア減少減弱の関連性は、ADL障がい高度な例で特に影響がある。


高齢者の降圧治療はやはり別立てが必要なのだろう。

高齢者:降圧剤治療後45日間は股関節骨折リスク4割増加 2012/11/21

検診健康チェックにベネフィット認めず、健康アウトカムに関係しない病名数増やすだけ?

検討されたのは、検診というより自己申告健康チェックのようだ。

ほぼ意味なしという結論、むしろ、受診数を増やし、ネット・ベネフィットのない診断名を増やすだけという話

Cochrane RCTのシステマティック・レビュー&メタアナリシス

16トライアル検討のうち、14のアウトカムデータ、182880登録者を最終検討


General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease: Cochrane systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 345 (Published 20 November 2012)
 http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7191
Cite this as: BMJ 2012;345:e7191
健康チェックは、一般住民検診による健康チェックで、1つ以上の疾患・1臓器異常のリスク要素のチェック
9トライアルでは、総死亡率(死亡数 11940)データあり、リスク比 0.99(95%信頼区間 0.95 0.95-1.03)
8トライアルでは、心血管死亡率データあり(死亡数 4567 )、 リスク比 1.03 (0.91 to 1.17)、
8トライアルでは、がん死亡率 (死亡数 3663 )、リスク比 1.01 (0.92 to 1.12)




サブグループと感度解析ではこれらの所見不変。


健康チェックは、合併症、入院、障がい、不安、受診数増加、欠勤に関してベネフィット効果認めず、しかし、すべてのトライアルで同じ結果というわ けでは無かった。一つのトライアルでは、20%も診断が増加し、自己申告慢性疾患数増加し、高血圧・高コレステロール血症頻度増加の報告があった。4つの うち2つが降圧剤使用であった。
健康状態自己報告に関し、ベネフィット少なく、それはバイアスも存在する可能性があった。



    地域や職域のリスクハザードを考えた検診を除き、一般健康ちぇっkは死亡率や合併症を減少させない。心血管疾患やがん原因減少と関連しない。
    それどころか、診断数を増やし、有害無益な診療(検査・投薬)をもたらす可能性がある。

    社会の高齢化に伴う社会保障費の増大と良いながら、科学的エビデンスのない「公的検診」が義務化され、膨大な医療費の無駄遣いにつながる「人間ドッグ」を放置している日本社会。
    ほんとに、社会保障費の無駄を削減するのなら、科学的エビデンス確立したもの以外の検診は排除すべき。「検診が医療費を削減するという確固たるエビデンス」なんて存在しない。

    リスク層別化されない検診は、有害であり、血税や社会保障費を無駄にするものである。検診で飯食ってる人間だけが利益になる馬鹿な日本の仕組みを変えるべき。

    子供肥満度予測:両親BMI、母職業、妊娠中喫煙、生下時体重

    “父母のBMI、家族数、母親の職業的カテゴリー、妊娠期喫煙、生下時体重 ”で16歳までの体重増加を予測。


    Imperial College London研究者開発の肥満予測式
    http://files-good.ibl.fr/childhood-obesity/



    Morandi A, Meyre D, Lobbens S, Kleinman K, Kaakinen M, et al. (2012) Estimation of Newborn Risk for Child or Adolescent Obesity: Lessons from Longitudinal Birth Cohorts. PLoS ONE 7(11): e49919. doi:10.1371/journal.pone.0049919
     http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0049919



    たった2分程度で、子供の肥満予測


    修正できるところは、妊娠中喫煙、父母が極力やせる ・・・ 

    頚髄損傷:TMSにより手指機能改善


    この論文要約だけでは何のことやら・・・


    経頭蓋磁気刺激法(TMS: Transcranial magnetic stimulation)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/経頭蓋磁気刺激法

    これによりニューロン信号タイミングテーラー化し改善をめざす

    19名の頚部脊髄損傷患者と14名の年齢補正対照比較で、TMSにより、運動ニューロンdischarge前のタイミングに、内在手指筋肉内の皮質脊髄路・運動ニューロンシナプスの下行・末梢(小さな陰性電位線維斉射:volley)が到達するようテーラー化すると、85分までに手指機能が改善するというもの
    http://www.medpagetoday.com/Neurology/GeneralNeurology/36174

    "Motor recovery after spinal cord injury enhanced by strengthening corticospinal synaptic transmission"
    Bunday KL, Perez MA
    Curr Biol 2012; DOI: 10.1016/j.cub.2012.10.046.

    皮質脊髄路は、動物・ヒトの頚髄損傷後(spinal cord injury (SCI)) 運動機能回復の重要な標的。自発運動出力は皮質脊髄軸索と脊髄運動ニューロン間のシナプスの機能効率に依存し、ニューロン・スパイクの至適タイミングにより調整される。
    非侵襲的な方法で、内在手指筋肉内の皮質脊髄路・運動ニューロンシナプスの下行・末梢(小さな陰性電位線維斉射:volley)の最適な到達タイミングにするteilor化プロトコール開発。
    運動ニューロン放電前に、前シナプスvolley到達させることで、皮質脊髄路の伝達や手の自発運動アウトプットを促進することができた。
    逆順とsham刺激では、自発運動アウトプット・電気生理学的アウトカムに影響を与えないか、減少さえした。
    これらの結果、残存皮質脊髄・運動ニューロンシナプスのスパイク・タイミング依存的可塑性により脊髄損傷後の運動機能回復のメカニズムとなることが示された。
    残存皮質脊髄・運動ニューロンシナプスへのmodulationは、皮質脊髄路を障害する運動疾患で、自発運動アウトプット促進的な新しい治療目標となる。

    初回妊娠時「妊娠高血圧腎症」(×子癇前症)であっても次回妊娠時そのリスクは増加しない

    pre-eclampsiaを「妊娠高血圧腎症」と表現し、「子癇前症」と表現しなければ、以下の内科医のような発言がテレビで発せられることはなかったのかもしれない。重篤な事態が生じた後だけを問題にするのでは無く、妊娠時の管理学習の問題が注目されたはず。

    おおたわ史恵「奈良 大淀病院妊婦死亡は産科医のミス」
    http://www.youtube.com/watch?v=23UtzBF-rzw

    参考:http://ameblo.jp/med/entry-10019702050.html

    「妊娠高血圧腎症」となれば、妊娠時の管理が重要であったことは、無能な内科医でも自明となるから・・・

    テレビ出演多く行っているようだが、反省するところはないと思ってるのだろうか?



    以下のノルウェーの統計はほぼ全数統計なので信頼性が高い。

    初回「妊娠高血圧腎症」女性の心血管死は2回目以降の出産時にそのリスクが有意に増加することはなさそうだ。


    初回「妊娠高血圧腎症」を経験した女性に、希望が持てる報告である。


    Cardiovascular mortality after pre-eclampsia in one child mothers: prospective, population based cohort study
    BMJ 2012; 345 doi: (Published 27 November 2012)
    http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7677
    Cite this as: BMJ 2012;345:e7677
    前向き住民ベースコホート(ノルウェーの Medical Birth Registry )

    の836,147名の1967-2001年初回単胎児出産ノルウェー人女性をフォロー
    2009年までに約23,000名死亡、うち、3891名は心血管死亡


    pre-eclampsia(○「妊娠高血圧腎症」、×子癇前症)と心血管死亡との相関を、Cox比例ハザードモデルに基づくハザードモデル推定
    ハザード比は、妊娠教育(3カテゴリー)、初回出産母体年齢、初回出産年で補正


    早産・妊娠高血圧腎症に伴う、女性に於ける心血管死亡率は、単一児出産後9.2%、2児以上出産時は1.1%と減少。
    満期産妊娠高血圧腎症では、その死亡率は、2.8%、1.1%となる。

    初回妊娠時妊娠高血圧腎症を有する女性では、それを有さない場合に比べ、心血管死亡高率 (満期産・妊娠時高血圧腎症後では補正ハザード比 1.6 (95% 信頼区間 1.4 to 2.0) 、早産・妊娠時高血圧腎症後は3.7 (2.7 to 4.8)

    生涯一度のみの妊娠女性において、心血管リスク増加は、多児子供をもつ女性より、心血管疾患死亡リスクは増加(満期産・妊娠時高血圧腎症後 3.4 (2.6 to 4.6) ; 早産・妊娠時高血圧腎症後 9.4 (6.5 to 13.7))

    心血管死リスクは、次の子供をもうけようとする、初回妊娠時高血圧腎症女性においては、心血管死亡リスクは軽度増加のみ (満期産・妊娠時高血圧腎症 1.5 (1.2 to 2.0) ; 早期産・妊娠時高血圧腎症 2.4 (1.5 to 3.9)

    再発・妊娠時高血圧腎症に関するエビデンスは少ない。

    初回妊娠時高血圧腎症を経験した、2回以上の出産女性の全原因死亡率は増加せず、早期産・妊娠時高血圧腎症例でも同様  (1.1 (0.87 to 1.14))


    診療の基本 A Standard for Medical Care and Clinical Practice
    妊娠高血圧症候群 Pregnancy Induced Hypertension
    http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5805-061.pdf

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