以前から知られていたとおり、COPDにおいて、吸入ステロイドにより、相対的に、重度肺炎発生率を増加させる。
そして、肺炎リスクを重視するには、フルチカゾンより、ブデソニドの方が安全なようだ。
<
hr>
1990−2005年、COPD治療患者での吸入ステロイド新規ユーザーコホートにて、肺炎リスク増加するかどうか検討
Inhaled corticosteroids in COPD and the risk of serious pneumonia
Thorax 2013;68:1029-1036 doi:10.1136/thoraxjnl-2012-202872
コホートには 16万3514名含み、フォローアップ5.3年間に、重症肺炎 20,344件(発生率 年間100名あたり2.4)
吸入ステロイド現行使用は、重度肺炎発生リスク 69%増加 (RR 1.69; 95% CI
1.63 to 1.75)
リスクは長期使用にて持続し、吸入ステロイド中止後次第に減少し、6ヶ月で影響が消える (RR 1.08; 95% CI 0.99 to
1.17)
重度肺炎発生率は、フルチカゾンで高率 (RR
2.01; 95% CI 1.93 to
2.10
)、用量依存的に増加するが、ブデソニドでは低い (RR 1.17; 95% CI 1.09 to 1.26)
<
hr>
COPD患者において、吸入ステロイド(ICS)が肺炎リスクを増加することが知られている。 このことと、GOLDのstage
ABCDに基づき 、特に急性増悪low risk、more
symptomsにおいて、吸入ステロイドを使うのはリスキーだという主張は、LABA/LAMA合剤の営業ポイントとなる。だが、これには、はたして、
確定的エビデンスがあるのだろうか? 専門家の偏った意見と妄想である可能性がある。
実際、COPD患者と喘息は、
そんなに簡単に峻別できるのだろうか?即効型β刺激剤による拡張剤効果をみても、即効性に反応せず、後になって、1秒量 200ml以上
増加することって多い。そういうphenotypeを無視して、コマーシャリズム優先宣伝企業が。相対リスクでその危険性を過大表現し、特定薬剤処方へ誘
導する・・・そういう手法の可能性もある。
EBMの基本である、絶対的リスクすなわち、絶対的比率で評価を心がけなければならないと思う。
以下のコホートを参考にすると、吸入ステロイドによる重症肺炎年間絶対的リスク増加数は、100名あたり0.65件である。