2012年12月19日水曜日

ニューモバックス(ポリサッカライド型ワクチン)の問題点:感染伝播抑制力のなさ、反復投与免疫抑制作用、再投与副作用増強・・・

ポリサッカライド型ワクチンである「ニューモバックス」を肺炎のワクチンとして宣伝する外資系製薬会社、そして、それを鵜呑みにする医者達。

肺炎球菌性肺炎予防のエビデンス無き肺炎球菌ワクチン:PCV7の方がより免疫反応が優秀 2009年 09月 09日
・・・肺炎球菌ワクチンの肺炎球菌性肺炎への有効性のエビデンスはあやしい

Efficacy of pneumococcal vaccination in adults: a meta-analysis
CMAJ • January 6, 2009; 180 (1). doi:10.1503/cmaj.080734.
Pneumococcal vaccination does not appear to be effective in preventing pneumonia, even in populations for whom the vaccine is currently recommended.

その医者達は、ポリサッカライドワクチンの特徴を全く知らず、“地域住民のためワクチンをしろ!”と脅迫的行動をとる輩もいる。なかには、ポリサッカライドワクチンの特徴である再接種による過敏反応を無視し、”再接種によるブースター効果がない”ことも知らず、ひたすら、再接種を勧めるといういい加減さ。現実にこういう医師たちが存在する。


これって、日本の医療の問題点のひとつの断面・・・製薬会社からの情報をもとに、勝手な解釈を行い、地域に問題を振りまく。政治家・行政官がことの本質を知らず、ワクチンの特性勉強せず、十把一絡げの対応。

当方の地域はひどい状態なのだが・・・製薬会社の方は、”ニューモバックスの嘘”を放置どころか、DTCを利用して、促進的活動しているように見える。


ポリサッカライドワクチンの問題点と、なぜ、結合型ワクチン開発が必要なのかが書かれている。
 ↓
From Medscape Education
Immunization for Pneumococcal Disease in Older Adults: Available Vaccines and a Call to Action
http://theheart.medscape.org/viewarticle/771540


肺炎球菌による主要病型
・侵襲性(IPD)
菌血症
髄膜炎
・非侵襲性
肺炎
急性中耳炎(AOM)
副鼻腔炎
肺炎球菌感染症は侵襲性と、非侵襲性(=粘膜感染)に分類
肺炎は、通常、非侵襲型だが、菌血症あれば侵襲性



敗血症性肺炎球菌性肺炎におけるセロタイプと死亡率
・ 9つのメタアナリシスで、14のセロタイプ検討
・ 死亡高リスク関連セロタイプは 3、6A、6B、9N、19F
・ 死亡低リスク関連セロタイプは 1、7F、8
高リスクセロタイプ群では、伝播性が高く、侵襲度が少なく、莢膜があつい


莢膜ポリサッカライドはワクチン抗原として適切でない
・ポリサッカライドは免疫反応収束的に働く(B細胞反応のみ)
・潜在力、持続性、メモリー(ブースター)いづれも乏しい
故に、

•乳児に効果無し
–小児ワクチンスケジュールに使えない
免疫記憶効果無し
数年しか防御効果無し(平均3年間)
ワクチン繰り返しでブースター効果期待できず、住民予防効果もない
過敏性を誘発した上に、効果減弱の可能性
感染伝播減少させず
–ワクチン接種者のみ防御、ワクチン非接種同居人に効果無く、さらに、地域住民に当然効果無し

結合型ワクチンの有用性

特性ポリサッカライド型ワクチン結合型ワクチン
乳児での有効性NoYes
免疫メモリーNoYes
免疫防御有効期間延長NoYes
ブースター効果NoYes
感染減少NoYes
Herd effectNoYes
繰り返し投与による低反応YesNo



成人におけるPCV13の応用はPCV7の遺産と小児のデータのうえに、期待されている。ワクチンによる予防は、高齢者・特定リスク群と考えられ、リスクベース戦略より年齢ベースの戦略にアドバンテージあるとする


案の定、日本呼吸器学会の新しいガイドライン候補に「肺炎球菌ワクチン」推奨・再投与まで推奨という項目があった。

以下の意見書を送った
ワクチンの項目の「肺炎球菌ワクチン」に関し、侵襲性肺炎球菌(IPD)へのエビデンスはあるものの、肺炎予防へのエビデンスはないと思います。


さらに、再接種も推奨されているようですが、はたして、十分な議論がされたのでしょうか?
Efficacy of pneumococcal vaccination in adults: a meta-analysis
CMAJ • January 6, 2009; 180 (1). doi:10.1503/cmaj.080734. (http://www.cmaj.ca/cgi/content/abstract/180/1/48?ijkey=c1f237964cda5103ddeb1040cd05923b2453f42f&keytype2=tf_ipsecsha)
Pneumococcal vaccination does not appear to be effective in preventing pneumonia, even in populations for whom the vaccine is currently recommended.


PPSV23へのワクチンの効果に関し、誤解を振りまく可能性を危惧します。

この項目の再考を希望いたします。

Look AHEAD: ライフスタイル強化介入追加により、糖尿病寛解増加

2型糖尿病患者へ、通常の糖尿病指導である、“糖尿病サポート・教育コントロール(diabetes support and education control condition (DSE))だけじゃなく、より積極的に、ライフスタイル強化介入を行ったところ、やはり、糖尿病寛解は増加した。

ライフスタイル介入に関して解説してるところがあるので、ご参考に →  http://rockymuku.sakura.ne.jp/naibunnpitunaika/Look%20AHEAD%20trial.pdf
 

でも、寛解にいたる絶対数少なく、7%から10%・・・ この病気の難しさを実感する。
大多数は、ライフスタイル介入だけでは、寛解導入はやはり困難。

要約を逐語訳してみた・・・

Association of an Intensive Lifestyle Intervention With Remission of Type 2 Diabetes  
Edward W. Gregg, et. al. for the Look AHEAD Research Group
JAMA. 2012;308(23):2489 doi:10.1001/jama.2012.67929
【序文】  ライフスタイル介入による2型糖尿病寛解導入の程度は明らかでない。

【目的】  2型糖尿病から長期減量介入と、2型糖尿病からのprediabetes or normoglycemia状態への寛解頻度の関連性研究

【デザイン、セッティング、登録者】 4つのRCT(ベースライン受診、2001年8月から2004年4月)の 副次的観察研究(Ancillary observational)解析で、、“diabetes support and education control condition (DSE)”と、“intensive lifestyle intervention (ILI)”( 4503 名のUS 成人、BMI 25以上、2型糖尿病)比較

【介入】IL1ランダム割り付け登録者は、最初の6ヶ月は、週毎のグループ、個別カウンセリングを行う、続く6ヶ月は月3回のセッション、そして2-4年間月2回の接触と定期的リフレッシュ化群シリーズ・キャンペーン施行(n=2241)

DSE( education control condition)、年毎の3つのグループセッションで、食事、運動、社会的サポート (n=2262)

【主要アウトカム測定】  部分、完全寛解
prediabetesあるいはnondiabetic levelの血糖に合致する状態への移行と定義 (血糖降下剤無使用 空腹時血糖< 126mg/dL 及び HbA1c< 6.5%)

【結果】 ライフスタイル強化介入群では、DSE登録者に比べ、有意に、以下変化
1年後体重減少 (net difference, −7.9%; 95% CI, −8.3% to −7.6%)
4年後体重減少 (−3.9%; 95% CI, −4.4% to −3.5%)

1年後フィットネス増加 (net difference, 15.4%; 95% CI, 13.7%-17.0%)
4年後フィットネス増加(6.4%; 95% CI, 4.7%-8.1%) (P < .001 for each)

 ILI (ライフスタイル強化介入)群では、寛解(部分・完全)経験が多い
1年目頻度 11.5% (95% CI, 10.1%-12.8%)
4年目頻度 7.3% (95% CI, 6.2%-8.4%)
vs DSE群では両ポイントとも2.0%
(1年目 95% CIs, 1.4%-2.6% 、4年目 1.5%-2.7% at year 4) (P < .001 for each)

ライフスタイル強化介入群のうち、寛解持続は、2年目  9.2% (95% CI, 7.9%-10.4%)、 3年目 6.4% (95% CI, 5.3%-7.4%)、 4年目 3.5% (95% CI, 2.7%-4.3%)
vs DSE群では2%未満 (2年目 1.7% [95% CI, 1.2%-2.3%]; 3年目 1.3% [95% CI, 0.8%-1.7%]; 4年目 0.5% [95% CI, 0.2%-0.8%] )

【結論】  体重増加成人への上記研究解析にて、ライフスタイル強化介入は、糖尿病サポート・教育システムに比べ、2型糖尿病寛解尤度増加に有意に相関。
しかしながら、絶対的寛解はそれでも軽度である。



Look AHEAD 研究:2型糖尿病肥満患者でのライフスタイル変容とmobility 2012/03/29 

貿易センタービルテロ:発がん超過リスク

 2001年9月11日世界貿易機関(WTC)へのテロ攻撃により、ダスト、デブリ、建築資材微粉、一部毒性物の暴露が膨大に広がり、短期・中期的に健康への悪影響が懸念される。
 ダスト、煙、エロゾールは、揮発性化学物質やPM2.5、アスベスト・シリカ、ベンゼン、ポリ塩化ビフェニール、多環芳香族炭化水素(PAH)、揮発性誘起物質、無数の金属などを含む。
発がん物質の存在があり、将来のがんリスク増加が懸念されている。
Fire Department of the City of New York (FDNY)の9853名の男性消防士の研究で、19%ほどの超過リスクが報告されていた。



今回の報告では、世界貿易センタービル登録者は、ニューヨーク州居住者比較で、2007-200年において、結局は有意な関連は認められないのだが、超過リスクとしてあげられているのは、前立腺癌、甲状腺癌、骨髄腫。


Association Between World Trade Center Exposure and Excess Cancer Risk  
Jiehui Li, et. al.
JAMA. 2012;308(23):2479 doi:10.1001/jama.2012.110980



Table 3. Standardized Incidence Ratio (SIR) Adjusted for Age, Race/Ethnicity, and Sex and 2007-2008 Rate Difference of First Primary Cancer Site Among Rescue/Recovery Workers With Known Race/Ethnicity Using the New York State Population Rate as Reference (n = 21218)

アスピリン10年間以上定期服用で、加齢黄斑変性リスク 軽度減少

発症前5年前のアスピリン使用と加齢黄斑変性(AMD)発症の関連はないが、10年以上アスピリン定期服用者は統計学的に有意なAMD発症、血管新生型AMDのリスク増加と影響程度は少ないものの有意。

Long-term Use of Aspirin and Age-Related Macular Degeneration  
Barbara E. K. Klein, et. al.
JAMA. 2012;308(23):2469-2478. doi:10.1001/jama.2012.65406


10年以上 アスピリンを飲み続けられる人の他の社会生活上の寄与要素ってべつにあるのじゃ?

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