2012年4月5日木曜日

レビュー:運動と肝脂質代謝

肝臓での脂質代謝は複雑で、VLDL、ケトン体、脂肪酸化促進・合成・エステル化に関与している。運動トレーニングは、肝臓レベルで脂質代謝に変化をもたらし、VLDL分泌、脂肪酸酸化に関連する。これらの変化は肥満、癌るいそうなどで明らかで、運動トレーニングによる肝臓の代謝的順応メカニズム理解に重要と考えられる。

肝臓は、脂質代謝の中心的管理を行っており、運動中のエネルギー消費を肝臓の能力にて調整する。しかし、今後の研究で、運動中、特に、強度の運動で、肝臓脂質分泌や酸化などのパラメータを明らかにする必要がある。多くの人にこの答えが寄与し、健康問題に合致した正しい介入努力開発に寄与するだろう。


Review Article
    Exercise Intensity Modulation of Hepatic Lipid Metabolism
Journal of Nutrition and Metabolism Volume 2012 (2012), Article ID 809576, 8 pagesdoi:10.1155/2012/809576


1.運動強度と血中脂質特性
Effects of Exercise Intensity on Hepatic Lipid Metabolism in Animal Models and Human.
http://www.hindawi.com/journals/jnume/2012/809576/tab1/

2.食事介入と運動による脂質への影響
運動強度により食事へ影響を与えるのでは?
脂質値への効果に関して“エネルギー消費閾値”があるのでは?

3. レジスタンス運動と脂質代謝
中等度1RM 73%程度と、1RM 92%程度の強度に比べ、HDL2、HDL3増加をもたらした。総エネルギー消費が関連。肝臓リパーゼによりVLD、TG低下、TGからHDLなどへのてんかんなど画生じることが示され。運動回復早期のVLDL、TGのカタボリック速度増加、筋内のTGプールの減少など、運動後2-3時間代謝回転亢進が続く。中等度・高度嫌気運動の抗動脈硬化効果、脂質特性への変容が示され、1RM 75%以下を指標としている。

4.運動強度と肝臓内酸化
急性、慢性運動ともに、特に、VLDLに関するadaptationが重要で、LPLによる骨格筋内の酸化、脂肪酸輸送や、carnitine palmitoyltransferase (CPT) system adaptationなどは判明しているが、肝臓内での働きは十分解析されてない。
トレッドミルトレーニング8週間で、 肝臓内SCD-1 (stearoyl-Coa desaturase-1)の遺伝子発現はdown-regulateし、これは、VLDL-TGの主な成分である飽和単価脂肪の生合成に関する律速酵素である。肝臓内CPT (carnitine palmitoyltransferase) complex maximal activityも増加し、腫瘍存在マウスでも脂肪肝を予防する。
 Malonyl-CoAは、CPT-1抑制的に働き、cytosolic long-chain fatty acyl CoA (LCFA CoA) のミトコンドリアへのtransferを制御する。肝臓内  Malonyl-CoAの増加は運動中・後ケトン体血中増加する。Acetyl-CoA(ACC) は、melanyl-CoA合成に反応し、アロステリックにクエン酸で調整、palmitoyl-CoAやAMPKリン酸化で抑制・・・


5.運動強度とホルモン特性
主に、インスリン/グルカゴン比によるadaptation 、肝臓のグリコーゲン、ぶどう糖調整は中枢神経と関連し、ホルモンのmodulation、運動による代謝の反応、血糖コントロール、脂質代謝に関連する


トリアージナースによるステロイド開始で、小児喘息の救急部門での有効性改善

トリアージナースによるステロイド開始で、小児喘息の救急部門での有効性改善


Triage Nurse Initiation of Corticosteroids in Pediatric Asthma Is Associated With Improved Emergency Department Efficiency
Pediatrics Vol. 129 No. 4 April 1, 2012 pp. X9 (doi: 10.1542/peds.2011-2347d) 

 Pediatric Respiratory Assessment Measure score ≥4 の子供へ医師評価前にステロイド治療を看護師が開始する方法をtime-seriesトライアルとして検討

看護師開始phaseの小児は、医師開始phaseに比べ改善早期   (median difference: 24 minutes; 95% confidence interval [CI]: 1–50; P= .04)

入院は、トリアージステロイド投与なら少ない(odds ratio = 0.56; 95% CI: 0.36–0.87)

有効性増加はステロイド投与時間  (median difference: 44 minutes; 95% CI: 39–50; P<.001)、 軽症状況への時間 (median difference: 51 minutes; 95% CI: 17–84; .P=,04)、体質までの時間(median difference: 44 minutes; 95% CI: 17–68; P=.02)

再受診数、その後の入院数に差は認めない




救急部門などは特に、プロトコール、後評価、タイトレーション、教育が十分で、かつグループ内の補正が効くなら、看護師主導で問題jは無いと思う。
医師でなくても任せられる部分は任せて、医師は別の質の仕事を行うべきだと思うが・・・日本では、“医師法第20条 医師は、自ら診察しないで治療を・・・”が足かせになる。
看護師に処方権を広げると、開業権獲得した柔道整復師のごとく、様々な弊害を生じる懸念もある。特に、今の政権だと・・・

RCT:亜鉛サプリメントは小児重症肺炎でアジュバント効果をもたらすか?

下痢と肺炎が5歳未満の子供の疾病および死亡原因をリードする状況。亜鉛サプリメントは急性下痢症治療に有効で、肺炎予防への役割の可能性もある。重症肺炎への入院・抗生剤治療で、アジュバント治療として投与したときのRCT



A Randomized Controlled Trial of Zinc as Adjuvant Therapy for Severe Pneumonia in Young Children.
Pediatrics. 2012 Mar 5. (pubmed)

2ヶ月から35ヶ月齢610名の子供

亜鉛(2-11ヶ月齢 10mg、それ以上20mg)投与14日間まで

亜鉛群の回復速度に有意差境界域で有効だが、統計学的に有意差認めず(ハザード比 1.10, 95%CI 0.94~1.30)
同様に治療失敗リスクは亜鉛群で、軽度低いかもしれないが有意差無し(リスク比 0.88、95%CI 0.88-1.10)

両方、有意差無しなのだが、結論は、亜鉛サプリメント肯定的結論づけ



“結論と結果”不一致論文

比例ハザードによる“ハザード比”と、相対リスクで検討した都とも割れる“リスク比”が混ざる報告・・・データ表現に恣意性を感じる。

小児虫垂炎疑診例観察者間信頼性


Interrater Reliability of Clinical Findings in Children With Possible Appendicitis.
Pediatrics. 2012 Mar 5. (pubmed)

811名の3-18歳の子供の虫垂炎疑い例に対する、画像検査前の小児救急医 2名の60分内観察者評価比較

75%を完遂。

病歴に関し、直データ一致率は64.9~92.3%
4/6は中等度観察者間信頼性あり  (κ> .4).
高κ値は疼痛期間  (κ = .56 [95% confidence intervals .51-.61]) 、嘔吐病歴(.84 [.80-.89])

医師身体所見観察評価変数に関し、直データ一致率は60.9~89.7%
4/8で 観察者間信頼性中等度
身体所見変数のうち、高κ値は、歩行時・ジャンプ時・咳嗽時腹痛 (.54 [.45-.63])、身体所見上の腹部圧痛の存在(.49 [.19-.80])


虫垂炎疑い例での患者病歴、医師身体所見変数はfair~中等度程度。
観察者間一致率の高い所見がやはり臨床的rule in判断にとってより適切だろうという結論。



American College of Emergency Physicians (ACEP) 2010 clinical policy
pdf 

小児虫垂炎の特異性として、吐気、右下腹部現局的疼痛、歩行困難、反跳性圧痛、絶対的好中球数増加>6750/μL。スコア化システムの陰性尤度 0.058(95% CI 0.008-0.41)とかなり優秀な気がする。


乳幼児突然死症候群 うつぶせ寝阻止キャンペーン一成功 ・・・ 多要素・同時要素の解明・啓発必要

 “うつぶせ寝阻止”キャンペーン(Back-to-Sleep (BTS) campaign)後、SIDS特性に変化がもたらされたか?

おおむね成功であったという結論だが、同時に他の多くのリスク要素の調査・啓発が必要ということらしい。

Risk Factor Changes for Sudden Infant Death Syndrome After Initiation of Back-to-Sleep Campaign Pediatrics Published online March 26, 2012(doi: 10.1542/peds.2011-1419) 

1991-2008年の568名のSIDS死亡を含む San Diego SIDS/Sudden Unexplained Death in Childhood Research Project解析

1991-1993 → 1996-2008
・SIDSパーセンテージ 84.0%から48.5%へ減少(P<0.001)
・添い寝 19.2%から37.9%へ増加(P<0.001)、特に、2ヶ月未満で29.0%→63.8%と増加

上気道感染症状は、46.6%から24.8%へ減少(P<0.001)

SIDS乳児の99%は少なくとも1つのリスク要素を有し、57%は2つの外部、1つの内部リスク要素を持つ。他5%のみが外部リスク要素無し。

SIDSあたりの平均リスク数はBTSキャンペーン開始後変化認めず



乳幼児突然死症候群とうつぶせ寝に関しては多くのリスク要素のばらつきが見られ、内因性、外因性のリスク要素がうつぶせ寝キャンペーン前・期間中も見られた。
リスク減少キャンペーンは、多くのリスク・同時リスクについても避けることを強調したもので、可能性の高い子供の予防に不可欠である。

がん診断後自殺・心血管イベント 直後リスク増加

がん診断を受けた場合、患者の苦悩や精神的症状が高度であることは高度エビデンスで明らか。自殺リスク増加の報告が蟻、それと共に心血管イベントリスク増加も報告されている。診断にともなう心理的苦悩自体が重篤な合併症を生じることに関して、特に、診断直後の状況の報告は少なかったということで意義ある論文と自称している。


Suicide and Cardiovascular Death after a Cancer Diagnosis
Fang Fang, et. al.
N Engl J Med 2012; 366:1310-1318April 5, 2012
癌診断受けることは、疾患や治療の影響外に、即時的に、負の健康的影響を与える。
“Poisson and negative binomial regression model”を用いて、6073240のスウェーデン人のコホート研究 

癌無し群に比べ、がん診断患者における自殺相対リスク
診断後1週間において 12.6 (95% 信頼区間 [CI], 8.6~17.8)・(29 人; 発生率, 2.50 / 1000 人年)
診断後1年間において、3.1 (95% CI, 2.7~3.5) ・ (260 人; 発生率, 0.60 / 1000 人年)
診断後心血管死亡相対リスクは
診断後1週間において 5.6 (95% CI, 5.2~5.9)・(1318 人; 発生率, 116.80 / 1000 人年)
診断後4週間において、3.3 (95% CI, 3.1~3.4)・(2641 人; 発生率, 65.81 / 1000 人年)
リスク増加は診断後時間経過と共に急激に減少 リスク増加は予後不良の癌において特に著明。
症例交叉解析により主な解析結果が確認された。

OTC風邪薬長期使用 → 腎結石・尿細管アシドーシス

Society of Hospital Medicine 年次集会
Shah N, et al "Not Quite the Rolling Stones" SHM 2012; Abstract 380.


尿中アニオン・ギャップを伴う非アニオン・ギャップ性代謝性アシドーシス 42才女性
1年間左大腿部痛を訴え、3日前から悪化

type 1 RTA:腎潅流障害、高カルシウム血症、水腎症、自己免疫性疾患、中毒性が原因
CTにて両側多発性石灰化、水腎症と左の近位尿管拡大

シュウ酸カルシウムなどではなく、特定の物質では非定型的結石を生じる。


guaifenesin-pseudoephedrine (Mucinex D)を3-4g2年間服用していた。この代謝産物である、ヒドロキシ酪酸による結石はCTでのみ検出可能。カルシウムを含む結石とは異なり、レントゲン単純写真透過性である。


Abuse of OTC Drug Mimics Kidney Stones By Nancy Walsh, Staff Writer, MedPage Today
Published: April 04, 2012
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/SHM/32026



OTC配合に用いられる成分が問題のようだ。

・グアイフェネシン配合は多い。グアイフェネシン(グアヤコールグリセリンエーテル)、グアヤコールスルフォン酸カリウムとしてOTCに、“気道分泌促進・鎮咳剤・去痰作用”薬剤として用いられているだけでなく、医家要としても、フストジル注射などは未だに現存する注射剤である。
e.g.) エスエスブロン液L、新ブロン液エース、パブロンゴールA錠、新コルゲンコーワ咳止め、トニン咳止め錠など咳止めと名乗るOTC製剤で含まないものはすくない。


・プソイドエピネフリンよりプソイドエフェドリンが日本では多い。 近年有害性懸念から市場から去ったフェニルプロパノールアミンの代替剤として用いられている。覚醒剤材料となりやすいことや、それ自身の毒性懸念のため、米国の方が日本より規制が厳しい。
麻黄を含む漢方を過剰擁護する日本では国民の健康より特定業者利益温存の政治的配慮が働いている。




OTC風邪薬には、心理的依存だけでなく、麻薬系・覚醒剤系依存を来す素地がある。スーパーや薬剤小売団体の代表とおぼしき連中が多い現政権に対策を御願いするのは無駄なことなのかもしれない。彼らは消費者のことを考えてないのだから・・・(民主=“くすり小売ファッショ”という側面がある)

noteへ実験的移行

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