2014年12月29日月曜日

心臓病学会期間中、教育病院では高リスク患者の30日間死亡率低下という現象

医学会に数千名レベルの医師達が毎年参加。 病院医師スタッフ状況や構成に大きな影響をあたえていることは確か。これが、患者のアウトカムや治療に影響をあたえているかどうか、懸念を含め調査した報告



Mortality and Treatment Patterns Among Patients Hospitalized With Acute Cardiovascular Conditions During Dates of National Cardiology Meetings
Anupam B. Jena, et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 22, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.6781


主要アウトカム:30日死亡率、医療行為施行率、変化、入院期間

結果:患者特性は、学会期間中と学会期間外で同等。
教育病院にて、学会期間中の対非期間中比較、補正30日死亡率は、心不全や心停止といった高リスク群で低い  (心不全, 17.5% [95% CI, 13.7%-21.2%] vs 24.8% [95% CI, 22.9%-26.6%]; P <  0.001; 心停止, 59.1% [95% CI, 51.4%-66.8%] vs 69.4% [95% CI, 66.2%-72.6%]; P =  0.01)


教育病院での高リスク心筋梗塞補正死亡率は、学会期間中と期間外で同等  (39.2% [95% CI, 31.8%-46.6%] vs 38.5% [95% CI, 35.0%-42.0%]; P = .86)

しかし、補正PCI施行率は学会期間中少ない (20.8% vs 28.2%; P = 0 .02)

教育病院での低リスク患者では、死亡率、医療施行に関して、差認めず。非教育病院では、高リスク、低リスク患者とも差認めず

感度分析にて、心臓死亡率は、腫瘍型、消化器系、整形外科系学会会合期間中での影響認めず、胃腸出血・股部骨折死亡率の影響も心臓学会期間中の入院に影響認めず



結論・知見 心不全・心停止による入院といった高リスク患者では、教育病院において、米国国内心臓学会期間中の入院時、30日間死亡率低下する。
教育病院急性心筋梗塞高リスク患者は学会期間中、PCI施行確率少なく、そのことで死亡率へ影響もない。



こういった報告をみると、医者って何やってるんだと思う。


待機的処置だけでなく、非待機的救急状態においても、医者が居ない方が予後がよいというアイロニー



2014年12月27日土曜日

医療コミュケーション上のGoogle翻訳の実力

生命に関わる医学上のコミュニケーションにおいて、Google翻訳を全部信用したらだめですよってことらしい。

ただ、医師・患者関係のコミュニケーション材料としては無料だし有益という結論だと思う。


Use of Google Translate in medical communication: evaluation of accuracy
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7392
 (Published 15 December 2014) Cite this as: BMJ 2014;349:g7392


序文: google翻訳
コミュニケーションは、我々は一般的な医療協議会のグッド医療行為があることを述べている私たちのpatients.1と対話することができないことなく、医学の礎であり、「医師が、患者に耳を傾ける自分の意見を考慮すると、彼らの質問正直に答える必要があります。」2しかし、我々はまだ多くの場合、現地の言葉を話せない患者と対話する。

英国ではほとんどの病院は、翻訳サービスへのアクセスを持っているが、それらは高価で、しばしば扱いにくい。その現地語の知識が不十分である患者と、複雑で医療微妙な倫理的、および治療の議論は依然として厳しい。確かに、でも母国語でレイアウトする医学用語からの翻訳の要素があります。

我々は最近、私たちの小児集中治療室で非常に病気の子供を治療した。両親は英語を話していなかった、と何人の翻訳者が利用できるはありませんでした。しぶしぶ私たちは、Webベースの翻訳ツールに頼っ。私たちは、Googleが正確に幸いにも私たちの患者が回復たちの複雑な医療phrases.34を翻訳した翻訳かどうかは不明だった、と人間の翻訳者は、後に私たちは、正確な情報を伝えていたことを私たちに安心。

我々は、Googleの精度と有用性は一般的な英語医学文を翻訳で翻訳を評価することを目的とした。

10の医学フレーズを26ヶ国語(西欧 8、 東欧 5、アジア 11、 アフリカ 2)、260の翻訳フレーズを評価。
翻訳全部のうち、150(57.7%)は正確、アフリカ系言語がもっとも正解率悪く、45%。次にアジア系 46%、東欧 62%、 西欧 74%。

全言語横断的に翻訳良好な医学フレーズは   “Your husband has the opportunity to donate his organs” (88.5%)で、 正答率わずか7.7%は、“Your child has been fitting”


スワヒリがもっとも正答率悪く10%で、ポルトガル語が最も正答率高く90%




List of medical phrases translated via Google Translate
Phrase translatedSample or most common errorPercentage correct
Your wife is stableYour wife cannot fall over53.8
Your husband had a cardiac arrestYour husband’s heart was imprisoned53.8
Your husband had a heart attackYour husband’s heart was attacked73.1
Your wife needs to be ventilatedYour wife needs to be aired26.9
Your child’s condition is life threateningYour child’s state is not life stopping69.2
Your child has been fittingYour child has been constructing7.7
Your child will be born prematureYour child is sleeping early76.9
Your husband has the opportunity to donate his organsYour husband is now ready to donate88.5
We will need your consent for operationWe need your consent for operating (such as machinery)61.5
Did he have high fever at home?Your home temperature was high65.4




2014年12月24日水曜日

アメリカ糖尿病協会(ADA)推奨: アジア系アメリカ人はBMI23以上で糖尿病検査推奨

人種・民族的に糖尿病罹病しやすい アジア系

http://care.diabetesjournals.org/content/38/1/150.full.pdf
ADA RECOMMENDATION


ADA RECOMMENDATION
Testing for diabetes should be considered for all Asian American adults who present with a BMI of ≧ 23 kg/m 



2014年12月20日土曜日

米国内の長期ベンゾジアゼピン使用実態調査

普段の臨床で思うこと・・・、ベンゾジアゼピン使用リスクの深刻さが一般の病院・診療所医師に対してつたわってないのではないかと・・・、 それも、専門家であるはずの精神科医にも。長年の診療週間で、ベンゾジアゼピン系薬剤に対する警戒感が希薄となっており、それが多重的ベンゾジアゼピン処方につながってるのではないかと・・・。

不眠症・不安症に対するベンゾジアゼピン薬処方時には認知行動的介入を義務づけるなどドラスティックな改革をすべきだと私は思う。




論文の序文一部薬


ベンゾジアゼピン系薬剤は不安・睡眠障害治療として広く用いられている。有効性はプラシーボを凌駕、不安症状を広く抑制し、睡眠遅延を減少させる。不安障害への第一選択として、ガイドライン(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16272179)ではベンゾジアゼピン代わりに新規抗不安薬を推奨しているが、不安障害に対して抗うつ薬の短期的有効性を担保するエビデンスは無い。さらに、臨床ガイドラインでは、行動学的介入を含むべきというガイドラインだが、行動学的介入とベンゾジアゼピン使用は同等の効果しか無いという矛盾もある。

一方では、ベンゾジアゼピンは、長期使用されると、様々な離脱症状や中断関連症状・障害を来す。2008年の検討では27万名あまりの救急受診において、ベンゾジアゼピンの非医学的投与がなされ、40%ほどでアルコール関連、2011年にはさらに増加し、アルコール関連が24.2%。高齢者において、認知機能障害、運動活動性低下、運転スキルの低下著明で、特に転倒のリスク増加させる。生命予後悪化の報告もある。




米国内のベンゾジアゼピン系長期使用の実態調査


120日以上ベンゾジアゼピン使用、性別・年齢群(18-35歳、36-50歳、51-64歳、65-80歳)別、処方における後ろ向き記述解析



Benzodiazepine Use in the United States
Mark Olfson,et. al.
JAMA Psychiatry. Published online December 17, 2014. 
doi:10.1001/jamapsychiatry.2014.1763

2008年米国成人において、18-80歳では、5.2%の使用率
その比率は、年齢群増加するほど高率(18-35歳 2.6%、 36-50歳 5.4%、 51-64歳 7.4%、 65-80歳 8.7%)

一方、精神疾患理由のベンゾジアゼピン使用率は年齢とともに減少する(18-35歳 15.0%、 65-80歳 5.7%)

ベンゾジアゼピン使用は、女性で男性の2倍近く


年齢横断的に、大まかに言えば、4分の1が長期間ベンゾジアゼピン使用してることになる。



2014年12月19日金曜日

任天堂ゲーム機関連外傷

クリスマスの娯楽記事という側面でとらえるべきなのだが、「任天堂」には迷惑な話


Research Christmas 2014:
Going to extremes Nintendo related injuries and other problems review
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7267 
(Published 16 December 2014) Cite this as:
BMJ 2014;349:g7267


  • 任天堂関連外傷や問題点は、(任天堂に限らず)すべてのビデオゲーム装置で報告されている。
  • 外傷はゲームコントロールに依存
  • 伝統的な優先コントローラーは、親指の腱の炎症と関連
  • 動作感知Wiiリモートコントローラーは、(上肢)筋骨格への障害、様々な外傷の原因となる
  • 任天堂は休憩を多くとり、安全な場所でゲームすれば比較的安全


医療トーク番組の推奨内容の半数はエビデンスがないか、エビデンス上やってはいけない内容

ちょい前までは、「あるある・・・」「ものもんた・・・」、今は「NHKのためしてガッテン」かな?

NHKはその道のお偉いさんが出てくるが、利益相反への疑念はなはだしい 。番組で、出てくる専門家に、その関連企業とのCOI提示義務化してほしい。





Research Christmas 2014: Media Studies
Televised medical talk shows—what they recommend and the evidence to support their recommendations: a prospective observational study
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7346 (Published 17 December 2014) Cite this as: BMJ 2014;349:g7346


[目的] 人気のメディカルトークショーにおける、健康推奨やクレームの質評価

[デザイン] 前向き観察研究

[セッティング] Mainstream television media.

[ソース] Internationally syndicated medical television talk shows that air daily (The Dr Oz Show and The Doctors).

[介入] テレビ番組「The Dr Oz Show and The Doctors」ランダム選別40エピソード(2013年初頭から)、番組内であげられた推奨を確認、評価。熟練エビデンス・レビュー施行者のグループは独立にチームとして研究、評価を行い、80のランダム選択推奨を支持するエビデンスを検索した


[測定主要アウトカム]
・ 熟練エビデンスレビュー施行者により決定されたエビデンスに基づく推奨の比率
・ セカンダリアウトカムは、話題としたトピックス、テレビショーでなされた推奨数、テレビショーでなされた推奨の種類と詳細


[結果]少なくとも一つの症例研究以上のエビデンスで支持されたテレビショー内での推奨の160(それぞれのテレビ番組内あら80)のうち、54%(95% 信頼区間 47%~62%)
テレビ番組「The Dr Oz Show」に限っての推奨においては、エビデンスにより内容が確認されるのは 46%, 否定的エビデンス 15%、 エビデンス認めないのは 39%
テレビ番組「The Doctors」に限っては、それぞれ、63%、14%、24%


信頼可能な、あるいは、幾分信頼可能なエビデンスは、「The Dr Oz Show」で33%、「The Doctors」 53%


「The Dr Oz Show」はエピソードあたり12の推奨、「The Doctors」は11の推奨。

「The Dr Oz Show」の最頻回推奨カテゴリーは、食事での助言 (39%) 「The Doctors」は、医療機関への受診 (18%)


テレビショー内でなされた推奨で、特異的ベネフィットに触れたのは、それぞれ43%、 41%。ベネフィットの程度に触れたのは、それぞれ、17%、11%

利益相反可能性暴露は、推奨中 0.4%に過ぎない

[結論] 医療トーク番組でなされる健康推奨事項は、そのベネフィットが特異的であることに触れられてないことが多く、そのベネフィットの効果程度についても触れられてないことがしばしば。
健康推奨のほぼ半数は、エビデンスがないか、むしろ、エビデンス上してはならない内容。
利益相反に触れられることはまずない。一般大衆視聴者は、これら医療トークショーの推奨内容に疑念を抱くべき。

施設長期入所脆弱老人へのインフルエンザワクチン高用量投与の効果と安全性

高リスク群でのワクチン戦略として高用量ワクチンは選択肢としてあり得るのでは・・・


Randomized, Controlled Trial of High-Dose Influenza Vaccine Among Frail Residents of Long-Term Care Facilities
David A. Nace , et. al.
J Infect Dis. (2014) doi: 10.1093/infdis/jiu622 First published online:
http://jid.oxfordjournals.org/content/early/2014/12/12/infdis.jiu622.full


長期ケアをうけてるような脆弱老人に対して、高用量の不活化ワクチンが有用。
米国では、2009年65歳以上で、高用量ワクチン承認されたが、検証は健常者であり、73歳平均の地域住居老人であった。

205名の長期滞在施設住民で、86-87歳という後期高齢者
背景は、認知機能障害比率高く、平均歩行速度も0.7m/秒と著しく低下した脆弱な老人

プライマリアウトカムは、ワクチン後30日目の抗体レベル

187名完遂

1回目のシーズンで、高用量接種で抗体レベル高く
2回目のシーズンで、H1N1で非劣性、有意差までは至らなかった

2回目の優越性証明できなかった理由は不明。すでに、抗体獲得済みだった可能性がある。
重篤副作用なく、耐用性良好。





2014年12月18日木曜日

MR CLEAN研究:急性虚血性卒中への血管内治療 ・・・ not so clean

MR not so CLEAN ・・・と、論評されている。
http://www.medpagetoday.com/Neurology/Strokes/48560

画像診断(CTA、MRA、DSA)で、頭蓋内内頸動脈や中大脳動脈、前大脳動脈遠位閉塞を選抜され、治療までの期間が短いなど、他のトライアルに比べ恵まれている状況

にも、関わらず、ソフトなアウトカムでしか有意差みとめないなどを問題視されている。



A Randomized Trial of Intraarterial Treatment for Acute Ischemic Stroke
for the MR CLEAN Investigators 
N. Engl. J. Med. December 17, 2014

オランダの16医療センター500名登録


・ 動脈内治療 233
・ 通常ケア 267

65歳(range 23 -96歳)、 ランダム化前静注アルテプラーゼ投与 455名


動脈内治療群:Retrievable stentを 190/ 233 患者 (81.5%) に使用

補正common オッズ比は、 1.67 (95% 信頼区間 [CI], 1.21 to 2.30)

機能的独立(modified Rankin score)率は、絶対比で、13.5%   (95% CI, 5.9 to 21.2) ;介入群が良好 (32.6% vs. 19.1%)

死亡率と有症状頭蓋内出血発生頻度 で有意差無し




禁煙治療: シチシンはニコチン置換療法に非劣性、一部優越性あり

シチシン、  cytisineは、ニコチン・アセチルコリン受容体アゴニストに結合する部分的アゴニスト


ニコチン置換との比較、プラグマティック・オープンラベル・非劣性トライアル

オープンラベルなのがきになる・・・


Cytisine versus Nicotine for Smoking Cessation
Natalie Walker,et. al.
N Engl J Med 2014; 371:2353-2362December 18, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1407764.
Comments open through December 24, 2014 .






1影愚と、喫煙持続中止は、シチシン群 40%(265/655) vs ニコチン置換療法 203/655、9.3%の差(95%信頼区間 4.2 ー 14.5%)


シチシンは、ニコチン置換療法より2ヶ月から6ヶ月の時点では優越性あり


プライマリアウトカム事前設定サブグループ解析により女性では優越性、男性では非劣性が示された。


6ヶ月間に於ける自己報告副作用率は、シチシン群 288イベント/204例、 ニコチン置換療法 174イベント/134例で、主に吐き気・嘔吐、睡眠障害


 
安い薬剤となるはず・・・ メーカーのモチベーションは低いはず

2014年12月17日水曜日

低グリセミック指数食・・・インスリン感受性・脂質・血圧へ好影響もたらさず

5週間の対照治験
低GI食は、抗GI食に比べ、インスリン感受性、脂質レベル、収縮期血圧の改善をもたらさなかった。
DASH型食事の内容において、選択的特異的書字の指数は、インスリン抵抗性心血管系リスク要素 に改善をもたらさなかった。

Effects of High vs Low Glycemic Index of Dietary Carbohydrate on Cardiovascular Disease Risk Factors and Insulin Sensitivity
The OmniCarb Randomized Clinical Trial
Frank M. Sacks,  et. al.
JAMA. 2014;312(23):2531-2541. doi:10.1001/jama.2014.16658.


Effect of the Study Diets on Blood Glucose and Insulin Levels Over 12 Hours








どっかの関西の国立大学の先生たちが、いろいろ「食べる順番」ダイエットなど 賜ってるけど・・・

単一の食事、たとえば、煮魚などの一種類の食事なら影響を与えるのかもしれないが、様々な食品を摂取するリアルワールドの食事では、影響は打ち消されるのかもしれない。

2014年12月16日火曜日

FDA:Lp-PLA2活性測定 病歴無しの冠動脈性心疾患予後評価認可

FDAは、心疾患病歴なしの成人に対して、Lp-PLA2活性測定を認可


http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm426799.htm



Lp-PLA2活性評価のためのPLAC試験
血管炎症のバイオマーカーであり、プラークの形成と関連する


225 nmol/min./mL以上をその異常値とする


NIHサブ研究(4598名;45-92歳)において
5.3年間での観察

異常値の場合は、冠動脈性心疾患イベントは 7% 未満の場合は 3.3%


黒人女性を含む場合はその確率はジャンプアップする










若年有病頻度:運動誘発性気管支収縮 20%、 運動誘発性喉頭閉塞 6%、両者 5%

こどもの運動後の呼吸器症状は、運動誘発性気管支収縮(EIB)だけでない。運動誘発性喉頭閉塞( exercise-induced laryngeal obstruction : EILO)も存在する







スウェーデンの横断研究で、ランダムサブサンプルからの疾患頻度推定


EIB運動試験は、ドライエア吸入中で、ベースラインからのFEV1 10%以上減少
EILOは、運動中連続喉頭鏡観察による


Prevalence of exercise-induced bronchoconstriction and exercise-induced laryngeal obstruction in a general adolescent population
Thorax 2015;70:57-63 doi:10.1136/thoraxjnl-2014-205738 

すべての住民での推定頻度は、EIB 19.2%、 EILO 5.7%

性別差なし

運動誘発性呼吸困難のうち、 EIB 39.8%、 EILO 6%、 両合併 4.8%
 この群では 、女児より男児が有意に両者持たない場合が多い 64.7% vs 38.8%; p = 0.026)

運動誘発性呼吸困難例のEIB・EILOの有無にかかわらず、BMI、 肺機能、 喘息診断・治療に関する有意差認めず



おどろくほど、その有病率高い。そして、子供においても、「運動誘発性呼吸困難≠運動誘発性喘息」ということをあらためて確認したい。

非がん性疼痛へのトラマドール使用と低血糖入院リスク

リリカとトラマドールの併用を見たりすると・・・プレガバリンと  トラマドール の乱用が怖い
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/07/blog-post_7306.html




”トラマドール 150mg/日はモルヒネ30mg/日に相当”するわけで、安易な処方はそれ相応のオピオイドによる副作用の覚悟を!


トラマールの添付文書には
眠気、眩暈、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意し、なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。
 ・・・と書かれてる。


中には、低血糖もあるのでは?



Tramadol Use and the Risk of Hospitalization for Hypoglycemia in Patients With Noncancer Pain
Jean-Pascal Fournier, et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 08, 2014. 


意義  トラマドール は、弱いオピオイド鎮痛剤で、急激にその使用量が増加し、そして、低血糖副作用イベントと関連がある。

目的 トラマドールが、コデイン使用と比べ、低血糖による入院リスク増加と関連するかどうか?


デザイン・セッティング・被験者  United Kingdom Clinical Practice Research Datalink内 Hospital Episodes Statistics databaseと関連付調査
非がん性疼痛のためのトラマドールとコデインの新規使用(1998年から2012年)
コホートと症例交叉分析結果一致性評価について共に行う。

主要アウトカムと測定 低血糖のための入院症例を10の対照まで年齢、性別、フォローアップ期間についてマッチ化。


結果 コホート33万4034症例、うち、低血糖入院 1105症例(1000人年あたり0.7 VS マッチ化 1万1019症例)


コデインと比較し、トラマドールは低血糖入院リスク増加 (OR, 1.52 [95% CI, 1.09 - 2.10])、 特に使用30日目までのリスク高い (OR, 2.61 [95% CI, 1.61 - 4.23])


この30日内リスク増加はコホートでも確認 (HR, 3.60 [95% CI, 1.56 - 8.34]) 、症例交叉分析でも確認 (OR, 3.80 [95% CI, 2.64 - 5.47]).



結論・新知見 トラマドール治療開始は、入院必要な低血糖リスクを増加させる。 付加研究にて確認必要で、致死的イベントにつながらないか検討必要。

1年以上増悪無し中等度COPDの半年程度の評価では、アドエア→オンブレスへの変更十分可能

多剤からよりすくない種類の薬剤数に 変更可能かどうかというと
WISDOM研究を彷彿とさせる・・・・
WISDOM研究:COPD 3種吸入からステロイドを離脱すると・・・
http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/09/wisdomcopd3.html?q=ICS/LABA


安定中等度COPDの半年程度の評価では、アドエア→オンブレスへの変更十分可能とのこと


Switching Non-exacerbating Patients with Moderate COPD From Salmeterol/Fluticasone to Indacaterol (INSTEAD) study

SFC(吸入ステロイド・レジメン:サルメテロール50μg/フルチカゾン500μg)→インダカテロール 150μg
すなわち、アドエア500→オンブレスへのSwitch可能かどうか?

答えはYesらしい・・・・

INSTEAD: a randomised switch trial of indacaterol versus salmeterol/fluticasone in moderate COPD
Eur Respir J 2014 44:6, 1548-1556; published ahead of print 2014, doi:10.1183/09031936.00126814
http://erj.ersjournals.com/content/44/6/1548.abstract
中等症COPD患者581名
・インダカテロール 150μg ×1 /日
・SFC 50/500 ×2 /日

ランダム割り付け(二重盲検・ダブルダミー・平行群・第4相)

1年以上急性増悪なしの安定症例

プライマリアウトカムは、FEV1 12週後の非劣性検討

プライマリ目標と合致し、9ml(95% CI -45~26ml)の差

12週後、26週後、TDIによる息切れ、Saint George Respiratory Questionnaireによる健康度指標で有意差無し

Rescue薬物、COPD急性増悪26週間で有意差無し

安全性特性は両群とも同等


ERSステートメント:COPD身体活動性

ERS statement
An official European Respiratory Society statement on physical activity in COPD
Eur Respir J 2014 44:6, 1521-1537
erj.ersjournals.com/content/44/6/1521.full.pdf


European Respiratory Society (ERS) statementは、COPD患者の身体活動性包括的俯瞰的レビューを提供。
多職種Task Forceで、 ERS Scientific Group 01.02 を代表。

“Rehabilitation and Chronic Care” は、包括的視点でコンセンサスによるステートメント決定。着眼した文献レビューは、鍵となる領域で行われ、最終的内容はメンバー全員の一致したものをこのStatementとした。



全部読もうと思うけど、拾い読みすると、

身体活動性が以下のいずれかに合致しない場合を一般には身体活動性低下と定義
1)中等度身体活動性30分間以上×週5日以上
2)強度運動20分×週3日間以上
3)いずれかの組み合わせ(中等度運動10分間以上の組み合わせ×3回)か(強度運動10分以上×2回)

アンケート法、歩数計、Accelerometerなど



FEV1%予測値比 52%程度の177名の患者のうち、日内30分連続運動×週5日以上という推奨レベルの運動をしているのは、わずか26%。もし30分をそれぞれ10分ごとに分ければ50%に増加する。


ERSステートメント:COPDにおける栄養評価と治療

COPD特異的栄養成分は存在しない・・・ということ!


ERS statement
Nutritional assessment and therapy in COPD: a European Respiratory Society statement
Eur Respir J 2014 44:6, 1504-1520

栄養とメタボリズムは、COPDにおいて広く行われている科学的研究トピックスであり続けているが、COPD発症・進行・アウトカムへ影響を与える食習慣・栄養状態・栄養介入の関するインパクトある臨床的知見は少ない。 ERSによる形成された多職種Task Forceは、栄養評価・治療に関する現行の状況のエビデンス・記載の要約を公表することを目的としている。


Task Forceメンバーは、主なトピックスについて文献レビューを手法専門家の助言を得ながら行った。栄養状態、体組成異常については特に、COPDアウトカムについての重大な要素ということは明らかとなった。


Task Force は、臨床トライアル、患者カウンセリング上有益な栄養リスク特性評価に基づくCOPDのメタボリックphenotypeを明らかにした。

栄養介入は、栄養状態不十分な患者や、運動プログラムと組み合わせる多くの患者で、おそらく有益。

栄養介入のコスト効果エビデンス提供には、その弁済を補償する事が必要で、栄養学的介入評価アクセス増加が必要


概略的には、バランスのとれた食事は、全てのCOPD患者ベネフィットがある ということで、 肺へのベネフィットのみを有するというようなものではない。また、このような食事は、メタボリック・リスクや心血管リスク上のベネフィットも判明している。

ISHLT/ATS/ERS診断治療ガイドライン:BOS(閉塞性細気管支炎)


An international ISHLT/ATS/ERS clinical practice guideline: diagnosis and management of bronchiolitis obliterans syndrome
http://erj.ersjournals.com/content/44/6/1479.full.pdf



ISHLT/ATS/ERS clinical practice guideline
An international ISHLT/ATS/ERS clinical practice guideline: diagnosis and management of bronchiolitis obliterans syndrome
Eur Respir J 2014 44:6, 1479-1503

【概略】
 BOS という言葉は、FEV1減少継続性の遅延型アログラフト機能障害であり、他の原因によるものでなく、肺機能の移植後障害として可逆性の可能性がある
片側・両側肺移植後、ベースラインFEV1からの90%以下 and/or ベースラインFEV25-75%からの75%以下




委員会は、BOS疑い・断定例における、全身性ステロイド、サイクロスポリン、タクロリムス、アジスロマイシン、再移植について特異的推奨を作り上げた。


BOS診断は、遅延型アログラフト機能障害に起因する 他の移植後合併症の注意深い除外診断が必要。
BOS発症と関連する、いくつかのリスク要素同定されてる。
a) Primary graft dysfunction (PGD)
b) AR including Minimal Grade A1 and higher AR grades
c) Lymphocytic bronchiolitis (LB) or Grade B rejection
d) Antibody-mediated rejection (AMR)
e) Gastro-oesophageal reflux (GOR) (acid and non-acid)
f) Cytomegalovirus (CMV) pneumonitis
g) Symptomatic community-acquired respiratory virus (CARV) infection
h) Colonisation and infection of the lung by
Pseudomonas aeruginosa
i)
Aspergillus
colonisation or fungal pneumonitis
j) Autoimmune sensitisation to collagen V
k) Increased BAL neutrophils on BAL differential cell count
 
現行では、BOSの予防・治療上有意ベネフィットが示されている 利用可能性のある治療はない。
全患者の重要アウトカムの適切測定・報告を含む適切なデザイン・遂行のRCTが、確立したBOS至適治療及び予防戦略を打ち立てる上で必要。



2014年12月15日月曜日

COPD自己管理プログラム:RCTにて、運動パフォーマンス・疾患認識、不安改善

A self-management programme for COPD: a randomised controlled trial
ERJ December 1, 2014 vol. 44 no. 6 1538-1547 



COPDの自己管理サポートのためのプログラムには結論的な研究は存在しない。

Self-Management Programme of Activity, Coping and Education (SPACE) FOR COPD は、6週間の自己管理介入で、プライマリケアレベルでの介入の効果評価目的研究。

プライマリケアCOPD患者被検、通常ケアとSPACE FOR COPDの比較 単盲験RCT。アウトカム項目はベースラインと6週後、6ヶ月後比較。プライマリアウトカムはsymptome burdenで、自己報告 Chronic Respiratory Questionnaire (CRQ-SR) 呼吸困難ドメイン評価。セカンダリアウトカムは、同CRQ-SRの他のドメイン、Shuttle Walking test、 疾患の認識、不安、うつ、自己評価、喫煙状態、医療利用

COPD患者184名を登録、ランダム化

6週間後、群間有意差存在項目は、 CRQ-SR 呼吸困難、 疲労度と情緒スコア、 運動パフォーマンス、不安、 疾患認識

6ヶ月後、介入群意義有る状況仮説での群間差無し項目は、 RQ-SR 呼吸困難、 運動パフォーマンス、 不安 と smoking status

この簡易自己管理介入は、6ヶ月後呼吸困難改善を示さず、通常ケア比較でその意義無かったが、不安や運動パフォーマンス、疾患認識の項目ではgainがあった。

ERS/ATS公式レビュー  : 慢性呼吸器疾患歩行試験の検査特性と標準化

6分間歩行距離試験は保険点数化されたが、いろいろ問題がある。酸素療法適応や酸素流量適応に限定された部分が最大の弊害。
他、医師施行でのみ許可とか、 30m幅がとれないため漸増式シャトルウォーキングを代替としたいがみとめられないとか・・・


ERS・ATS の 慢性呼吸器疾患歩行試験レビュー


An official systematic review of the European Respiratory Society/American Thoracic Society: measurement properties of field walking tests in chronic respiratory disease
ERJ December 1, 2014 vol. 44 no. 6 1447-1478
http://erj.ersjournals.com/content/44/6/1447.abstract


6分間歩行距離(6MWD)は、信頼性ある検査法(class内相関係数 0.82-0.99;7研究)
学習効果存在し、2度目の検査で距離が伸びる(差 26m、13研究)

信頼性はISWTとESWTで同程度、学習効果はISWTでも同様(差 20m、 6研究)


66MWDは、肺機能 (r=0.10–0.59)より、ピーク運動能 (r=0.59–0.93) 、身体活動性 (r=0.40–0.85)と相関する


6WMDに影響を与える要素は、track長、激励、酸素負荷、歩行補助


酸素投与は、ISWT、ESWT共にパフォーマンスへ影響を与える。

運動トレーニングを含む介入による応答性としては、全患者で中等度から高度であった。




技術標準化


An official European Respiratory Society
American Thoracic Society technical standard: field walking tests in chronic respiratory disease
http://erj.ersjournals.com/content/44/6/1428.full.pdf

2014年12月12日金曜日

高齢者睡眠中低酸素・徐波睡眠の不足は認知症・認知機能低下と関連?




Associations of brain lesions at autopsy with polysomnography features before death
Rebecca P. Gelber, et. al.

Neurology Published online before print December 10, 2014,
doi: 10.1212/WNL.0000000000001163 Neurology 10.1212/WNL.0000000000001163
http://www.neurology.org/content/early/2014/12/10/WNL.0000000000001163.short



目的: 高齢者において、睡眠呼吸障害、夜間低酸素、睡眠構造変容が認知症関連神経病理の発症にいかに関わるか?


研究方法:   Honolulu-Asia Aging Study:日系アメリカ人(ホノルル在住日系アメリカ人前向きコホート)
1999-2000年に行われたポリソムノグラフィー施行・2010年までに死亡(死亡までの平均年数 6.4年間)の167名被験者(平均年齢84歳)における剖検脳病変調査  (Braak stage、 neurofibrillary tangle と neuritic plaque 数、 microinfarct、 generalized brain atrophy、 lacunar infarcts、 Lewy 小体 [LBs]、青斑核のニューロン減少・グリオーシス )
ポリソムノグラフィー指標には、AHI,無呼吸・低呼吸時間数、低酸素時間、最小酸素飽和度、徐波睡眠(SWS)時間、覚醒数 


結果: 

酸素飽和度95%未満睡眠時間の4分位比較最大vs最小で、微小梗塞高レベル(補正オッズ比 [OR]  3.88 , 95%信頼区間 1.10-13.76) 


SWS時間数多いほど、全般的脳萎縮少ない  (SWS睡眠中%比率時間最大VS最小4分位比較 補正 OR 0.32, 95% CI 0.10–1.03 )


LBは、SpO295%未満%sleep多いほど少ない (4分位比較 補正OR 0.17, 95% CI 0.04–0.78 ). 


REM中の最小酸素飽和度が高いほど、青班核gliosis少なく、ニューロン減少も少ない。

Cognitiv e scoreは、SWS時間数多い男性では少ない。



結論: 夜間低酸素少ないほど、徐波睡眠時間数少ないほど、微小梗塞、脳の萎縮発症少ないという知見。しかし、アルツハイマー病巣やLBに関しては関連性明らかでない。

2014年12月10日水曜日

日本での心血管イベントアスピリン投与予防効果RCT:一次効果認めず

心血管イベント一次予防のためのアスピリン投与

日本でのRCTという面でも重要な報告


11月の報告で、too lateになってしまった・・・



Low-Dose Aspirin for Primary Prevention of Cardiovascular Events in Japanese Patients 60 Years or Older With Atherosclerotic Risk FactorsA Randomized Clinical Trial
Yasuo Ikeda, et. al.
JAMA. Published online November 17, 2014


Japanese Primary Prevention Project (JPPP) :多センター、オープンラベル、ランダム化、平行群トライアル
患者 (N = 14 464) 、年齢60-85歳、高血圧・脂質異常・糖尿病あり
1007のクリニック(2005年3月から2007年6月まで)登録
フォローアップ6.5年間まで
multidisciplinary expert panel (blinded to treatment assignments) adjudicated study outcomes





5年累積プライマリアウトカムイベント率について、両群差を認めず (アスピリン: 2.77% [95% CI, 2.40%-3.20%] vs  非アスピリン 2.96% [95% CI, 2.58%-3.40%] ; ハザード比 [HR], 0.94 [95% CI, 0.77-1.15] ; P = 0.54). アスピリンが非アスピリン軍に比べ有意にリスク減少した項目は・・・ ・非致死性心筋梗塞 (0.30 [95% CI, 0.19-0.47] for aspirin vs 0.58 [95% CI, 0.42-0.81] for no aspirin; HR, 0.53 [95% CI, 0.31-0.91]; P = .02) ・一過性虚血発作 (0.26 [95% CI, 0.16-0.42] for aspirin vs 0.49 [95% CI, 0.35-0.69] for no aspirin; HR, 0.57 [95% CI, 0.32-0.99]; P = .04) 有意にリスク増加したのは ・輸血要する頭蓋外出血・入院 (0.86 [95% CI, 0.67-1.11] for aspirin vs 0.51 [95% CI, 0.37-0.72] for no aspirin; HR, 1.85 [95% CI, 1.22-2.81]; P = .004)


2014年12月8日月曜日

喫煙は、Y染色体を消失させる

Smoking erases Y chromosomes
http://news.sciencemag.org/biology/2014/12/smoking-erases-y-chromosomes


喫煙者は、非喫煙者に比べ、Y染色体消失加速し、4倍ほど

その意味合いは、がんを含めよく分かってないが、寿命、多くのがんとの関連性も示唆するかもしれない。
一方で、がんに関しては、さほど影響与えないのではないかという専門家もいるようだ。


喫煙による遺伝子障害のマーカーとはなり得ることは一致した見解か?

http://www.philly.com/philly/health/menshealth/HealthDay694338_20141204_Smoking_Might_Cost_Men_Their__Y__Chromosome__Study_Finds.html

とかげの・・・  ノバルティス社外調査委

指示もしくは管理してたはずの会社上層部、当事者であるべき医師・医療機関の責任問題に関して言及されない不可思議な報告


とかげの・・・ 




2014年12月5日金曜日

カロナール錠500mg

日本の医療のまか不思議はたくさんあるが、薬剤上めだつのが、メトホルミンとアセトアミノフェン



某糖尿病学会の妨害はあるが、「メトホルミン」は若干つかいやすくなった。


もう一つの、アセトアミノフェン・・・・ アセトアミノフェン末を仕方なくつかってた私。
錠剤剤型「300mg」・「200mg」という処方させたくないのではと、勘ぐりたくなるような剤型種類



やっと、「カロナール錠500」発売・予定らしい





肥満者は、COPDとして誤診されやすく、吸入薬剤減量されないまま・・・ の可能性あり

肥満者のCOPD誤診、あるいは過剰診断可能性がひとつのトピックスのようだ

肥満のスパイロメトリーは
・スパイロメトリーとしてFEV1、FVC、FERは正常
フローボリウムカーブで:RV近傍でtidal volume、
・FRC・拡散能は正常かやや増加

某呼吸器学会のおえらいさんは、スパイロメトリーを用いずに、COPD診断することに許容的だが・・・果たして良いのだろうか? 製薬会社を利するばかりで、社会的にも多大のコストとなると思うのだが・・・ 


Perseverant, non-indicated treatment of obese patients for obstructive lung disease
BMC Pulm Med. 2013; 13: 68.



正常な肺機能は喘息コントロール期あるいは非発作時も考えられるのかもしれないが・・・
FEV1/FVC<0.7という診断基準を満たさない症例での気道閉塞への薬物治療がかなり多いことが推定される。



肥満・体重過多患者は、COPDの誤診されやすいし、吸入薬剤のデ・エスカレーションもされがたい。
すなわち、処方継続のままになりやすい。

The Association of Weight With the Detection of Airflow Obstruction and Inhaled Treatment Among Patients With a Clinical Diagnosis of COPD
Bridget F. Collins, et. al.
Chest. 2014;146(6):1513-1520. doi:10.1378/chest.13-2759


COPD米国在郷軍人のコホートで、スパイロメトリー測定を行った事例。
スパイロメトリー上のAFO、 吸入治療のエスカレーション、デ・エスカレーション療法をスパイロメトリー施行前3ヶ月から、スパイロメトリー後9-12ヶ月間行われたものをアウトカムとした。

5493名の在郷軍人のうち52%でCOPDの臨床診断

airflow obstruction (AFO)、気流制限ありの患者の補正比率は、BMI増加毎、減少
AFOなしの患者では、薬物療法維持やるデ・エスカレーション療法の必要性は少ない
(正常体重  0.69 [95% CI, 0.64-0.73]、 過剰体重 0.62 [95% CI, 0.58-0.65; P = .014]、 肥満 0.60 [95% CI, 0.57-0.63; P = .001]))


COPD: クラブ細胞分泌蛋白補充治療の可能性

CCSPは、気道の透過性マーカーとしても注目され、
また、クララ細胞からClub cellへの呼称変更中とのこと。


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Club cellは、気管支外分泌細胞で、クララ細胞として知られていた、ドーム状外観細胞で、短いmicrovilliをもち、細気管支から肺内に存在する。Club cell secretary protein (CCSP)は、肺機能経年劣化への防御的バイオマーカーであり、COPDの多面的特性進展は喫煙引き金の損傷・治癒のインバランスによるものとも考えられている。

初回の気管内生検採取サンプル形態計測測定にて、COPDの多面的特性患者のCCSP+細胞ないの免疫染色減少(p=0.03 vs 対照)
恒常状態では、COPDにおいてCCSP減少、CXCL8レベル増加が見られる
COPD患者に外分泌 rhCCSP投与するとCSE-誘導CXCL8遊離を阻害し、正常者と喫煙者でも同等の状況になる。
CXCL-8遊離
ex vivoのair liquid interfacce(ALI: 気相・液相インターフェース)でのCXCL-遊離とCCSP+細胞濃度とは負の相関を示す。

すなわち、in vivoにおける、rhCCSP内部補填は、CSE(喫煙物質抽出液)によるCXCL8遊離を修復し、in vivoにおいてこのメカニズムを治療適応できないか、期待される。

Supplementing defect in Club Cell Secretory Protein attenuates airway inflammation in COPD
Anne Sophie Gamez, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-1174
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2020271




2014年12月4日木曜日

家族制カイロミクロン血症:APOC3ターゲット療法




Targeting APOC3 in the Familial Chylomicronemia Syndrome
Daniel Gaudet, et. al.
N Engl J Med 2014; 371:2200-2206December 4, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1400284

実質上は、極端な食事性脂質制限しか治療法のない、lipoprotein lipase (LPL)欠損にともなうカイロミクロン血症



 APOC3 messenger RNA (mRNA)の阻害剤、 ISIS 304801 にてAPOC3増加効果


TG 1406 mg/dL~2083 mg/dLの患者3名に投与


13週間後、血中APOC3濃度を71~90%減少し、TG値は56~86%減少
全患者では治療により 500mg/dL減少


これらの結果は、LPL-非依存経路でのAPOC3の鍵調整因子としての役割を示唆する。


関連:
APOC3遺伝子異常にて食後TG抑制、心血管疾患リスク減少
http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/06/apoc3tg.html

2014年12月3日水曜日

FACTOR-64ランダム化トライアル:糖尿病の冠動脈造影CTスクリーニングは正当化できない

タイトルのごとく、糖尿病であれば、即、冠動脈造影CTってのは、正当化できない。
無症候性が対象ということは明確にする必要はあるが・・・


Effect of Screening for Coronary Artery Disease Using CT Angiography on Mortality and Cardiac Events in High-Risk Patients With Diabetes
The FACTOR-64 Randomized Clinical Trial
Joseph B. Muhlestein, et. al.
JAMA. 2014;312(21):2234-2243. doi:10.1001/jama.2014.15825.

【意義】 Coronary artery disease (CAD) :冠動脈疾患は、糖尿病患者にとって併発症・死亡率の重大要素であるが、CADは心筋梗塞(MI)や冠動脈死前は無症候性であることが多い

【目的】 1型・2型糖尿病患者のCT冠動脈造影によるCADのルーチン・スクリーニングは、高度新リスク状況と見なせるか、そして、CCTA指向治療により死亡・非致死性冠動脈アウトカムを改善できるか評価

【デザイン・セッティング・被験者】 FACTOR-64 study は、ランダム化臨床トライアル(1型・2型糖尿病900名、3-5年の病歴、CAD症候なし、45クリニック・単一医療システム (Intermountain Healthcare, Utah))。単一コーディネーティングセンターにて登録し、ランダム割り付け:CCTAによるCADスクリーニング (n = 452) と標準国内ガイドラインに基づく適正糖尿病ケア(n = 448) (targets: 糖化HbA1c <7 .0="" br="" dl="" hg="" ldl="" mg="" mm="">すべてのCCTA画像は、コーディネーティングセンターで施行。
標準治療もしくは積極治療 (targets: 糖化HbA1c <6 .0="" dl="" hdl="" ldl="" mg="">50 mg/dL [women] or >40 mg/dL [men], TG <150 br="" dl="" hg="" mg="" mm="">侵襲的冠動脈造影を含む積極治療をCCTA所見に基づき行う
登録は2007年6月から2013年5月まで、フォロアップは2014年8月まで


【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカムは、組み合わせ(全原因死亡率、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症・入院必要状況
セカンダリアウトカムは、虚血性重大心血管副事象(CAD死、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症)


【結果】 フォローアップ期間平均   4.0 (SD, 1.7) 年間。

プライマリアウトカムイベント発生率はCCTA群と対照群で有意差なし (6.2% [28 events] vs 7.6% [34 events]; ハザード比, 0.80 [95% CI, 0.49-1.32]; P = .38)

虚血性重大イベントの複合セカンダリエンドポイントイベント発生率においても群間差認めず (4.4% [20 events] vs 3.8% [17 events]; ハザード比, 1.15 [95% CI, 0.60-2.19]; P = .68)


【結論・知見】
1型・2型糖尿病/無症候患者において、CCTAを用いた冠動脈疾患スクリーニングは全原因死亡率・非致死性心筋梗塞・入院必要不安定狭心症の組み合わせイベント発生をすくなくともフォローアップ4年程度では減少させない。
以上から、これらの患者を対象にしたCCTAスクリーニングは推奨しない

2014年12月2日火曜日

心停止後のアドレナリンはアウトカム悪化させるかもしれない・・・

successful return of spontaneous circulation (ROSC)にとってエピネフリン(アドレナリン)は必須だが、心停止後回復中の薬剤の影響について議論が必要。死亡全体を増やすか、脳損傷を生じる可能性など存在する。


成功ROSC(return of spontaneous circulation)達成の院外心停止患者(OHCA: out-of-hospital cardiac arrest)の収容前アドレナリン使用と機能的生存を検討



Is Epinephrine During Cardiac Arrest Associated With Worse Outcomes in Resuscitated Patients?
Florence Dumas, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2014;64(22):2360-2367. 
1556名を検討
アドレナリン使用 1134(73%)、良好アウトカム:194(17%)
アドレナリン未使用 244/422(63%)
 (p < 0.001)

アドレナリンの副作用相関は、蘇生時間、院内施行介入に関わらず、観察される。

未使用患者に比較して、intact survivalの補正オッズ比 
アドレナリン 1mg 0.48 (95% 信頼区間 [CI]: 0.27 to 0.84)
2-5mg 0.30 (95% CI: 0.20 to 0.47)
> 5 mg   0.23 (95% CI: 0.14 to 0.37)



アドレナリン投与遅延はアウトカム不良と相関

結論:ROSC達成患者大規模コホートにて、収容前アドレナリン使用と、生存率低下の関連性は一致している。蘇生後介入の有無にかかわらず、量効果的・持続的作用。





現行の国際的ガイドラインは、エピネフリン(アドレナリン)1mgを3-5分毎に投与となっている。アドレナリンは最初の数分はかなり良好なインパクトを示す。しかし、使用後有害性増大する。 特定条件下の特定患者にとっては有益だろうから、アドレナリン全部を悪者にするわけにはいかない

・・・との評( Study Shows Epinephrine May Do More Harm Than Good in Cardiac Arrest December 1, 2014 )


スタチンの骨折抑制効果示されず・・・

スタチンのpleiotropic effect効果候補の一つ



Statin Therapy and Risk of Fracture
Results From the JUPITER Randomized Clinical Trial
Jessica M. Peña,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 01, 2014.


意義:  骨粗鬆症と心臓血管疾患は、発症上役割を果たす共通の生物学的経路を共有する。観察研究でスタチンは骨折リスク減少との示唆もあるが、この問題に着眼したランダム化トライアルは乏しい。

目的: スタチン治療は骨折リスク減少させるか、そして、二次解析では、炎症性バイオマーカーとして、ベースラインのhs-CRP濃度が骨折リスクと関連するか?


デザイン・セッティング・被験者: JUPITER (Justification for the Use of Statins in Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin) トライアル、国際的ランダム化二重盲験、プラシーボ対照化研究
17,802名の50歳以上の男性、60歳以上の女性、hr-CRP 2mg/以上
2003年から2006年まで篩い分け、5年間前向きにフォローアップ(フォローアップ中央値 1.9年間)


介入: Rosuvastatin calcium, 20 mg daily, or placebo.
主要アウトカム・測定項目: 骨折発症をJUPITERの事前設定二次エンドポイントとしている。 骨折はレントゲン・CT・骨Scan、他検査法で確認、 
Cox proportional hazards modelにて、ランダム化治療割り付けによる骨折リスクに関わるハザード比(HRs)、95%信頼区間を求め、hsCRP3分位増加毎評価、寄与共訳要素補正を行う。


結果:研究期間中、骨折発生の記録・確認事例 431例
ロスバスタチン割り付け群 221 100人年あたり1.20
プラシーボ割り付け群 210 100人年あたり1.14
補正ハザード比 1.06 [95% CI, 0.88 - 1.28]
P = .53
ベースライン hs-CRPは骨折リスク増加と相関せず 3分位比較 1.06 [95% CI, 0.94-1.20]; P for trend, .34)



結論:hs-CRPレベル髙値という心臓血管臨床治験参加者では、スタチン治療は骨折リスク減少しない。hs-CRP高値は骨折頻度リスク増加とは関連しない。

2014年12月1日月曜日

慢性咳嗽治療: P2X3受容体アンタゴニスト:AF-213 ・・・ 効果はあるようだが、味覚障害ほぼ全員?


P2X3受容体はATP-gated channelで、疼痛感覚経路に多く限定的に発現し、その拮抗剤であるAF-213はまず変形性関節症疼痛への効果から示され、その後、治療不応性慢性咳嗽、 interstitial cystitis/bladder pain syndrome (IC/BPS)に応用されつつある。




P2X3 receptor antagonist (AF-219) in refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 2 study

Rayid Abdulqawi et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 25 November 2014
doi:10.1016/S0140-6736(14)61255-1


24 h 携帯咳嗽記録計計測
34名を1年2ヶ月ほど評価し、24名を割り付け


咳回数75%ほど減少(p=0.0003)


昼間咳嗽回数は37回/時間から11(8)へ減少。

 Daytime cough frequency fell
昼間咳嗽平均数 
P2X3 receptor antagonist (AF-219) :37(SD 32) 回/時間 → 11 (8)  回/時間
プラシーボ: 65 (163)  回/時間 → 44 (51)  回/時間


6名味覚障害にて中断。AF-219服用者全員訴え








J Physiol October 1, 2007 vol. 584 no. 1 191-203

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