2016年3月10日木曜日

喘息の新しい治療ターゲット?nociceptin/orphanin FQ (N/OFQ; NOP) 受容体及び内因性リガンド A/OFQ

オピオイド受容体は現在までにμ,δ,κ受容体のcDNA構造が報告されています。
これら受容体と構造類似性があるものの、内因性リガンドが不明なOrphan ReceptorとしてORL1受容体が報告されていました。[FEBS Lett., 341, 33 (1994)]。この受容体はオピオイドリガンドとは結合しないという特徴があります。最近、フランスとスイスの2つのグループがラット・ブタの脳から、この予測されていた内因性リガンドNociceptin[ノシセプチン;Nature, 377, 532 (1995)]/Orphanin FQ[オルファニンFQ;Science, 270, 792 (1995)]を単離、構造決定しました。
https://www.peptide.co.jp/new-product/114.html






nociceptin/orphanin FQ (N/OFQ; NOP) 受容体及びその内因性リガンド A/OFQの神経的炎症へのmodulationへの役割、そして、NOC受容体活性化が喘息免疫病理そして気道過敏性へ、ベネフィット効果仮説検証。そして、N/OFQとNOP受容体の発現機能を喘息、健常者気道組織で検証、さらにアレルギー性鼻炎動物モデルで検討


Nociceptin/orphanin FQ (N/OFQ) modulates immunopathology and airway hyperresponsiveness representing a novel target for the treatment of asthma
Shailendra R Singh , et. al.
BJP Article first published online: 6 MAR 2016 DOI: 10.1111/bph.13416
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bph.13416/full



NOP受容体はヒトやマウス免疫や気道細胞に広く発現
好酸球は、N/OFQ-precursor mRNA を発現し、その数は、 N/OFQ 濃度と相関

N/OFQ はヒト喀痰で見られ、喘息症例で増加

加えて、喘息ヒト肺N/OFQ immunoreactivityは亢進

NOP receptor activation は、免疫細胞のmigrationを阻止し、気道構造細胞の創傷治癒促進をもたらす。
さらに、N/OFQは、spasmogen-stimulated gel contractionを弛緩する。


特筆すべきは、これら所見は以下の点でOVA-マウスでミラー化される。感作前・感作中N/OFQ処理により気道収縮や免疫細胞、特に好酸球のtraffickingを減少させる。

N/OFQ もまた、炎症性メディエーターやムチン産生減少させる

AAAAI:慢性副鼻腔炎・喘息に抗真菌薬ベネフィット?

結論からは、慢性副鼻腔炎および喘息症例で、感作の有無関係なく、抗真菌薬ベネフィットありということだが・・・効果乏しい気がする




  "A retrospective study of the effect of antifungal therapy on a cohort with asthma and chronic rhinosinusitis"
   Li E, et al
  AAAAI 2016; Abstract 697.
 
 

134名の喀痰採取し、喘息もしくは慢性副鼻腔炎診断を受けた症例
これらの内83.5%、112名で、真菌培養陽性(培養2週内6CFU以上を定義)


112名中、75名をボリコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール あるいはその組み合わせで治療

フォローアップデータ活用可能62%、喘息のみ23例、慢性副鼻腔炎のみ17例、両疾患併存 22例


フォローアップ治療者中

  • 主観的症状ベネフィット 54/62(87.1%)
  • 咳嗽改善  20/62(32/2%)
  • レスキュー吸入使用減少 9/62 (14.5%)




症例中、スクラッチ検査あるいはRASTによる真菌感作例は16%(9/55)のみで感作確認例は少ない

喘息アクションプラン QI project







"Utilization and outcomes associated with mobile-based asthma action plans compared to paper asthma action plans among adolescents"
Perry T, et al
AAAAI 2016; Abstract 327



青年期では喘息日誌のようなのより携帯端末、mobileベースの喘息action planでのkeeping track可能かもしれない
ACT 19以下の 不十分コントロール症例で、喘息改善が認められた


小規模研究で、34名、年齢中央値 15.4才、アフリカ系アメリカ人 62%、公的保険 71%
喘息アクションプラン(AAP)使用率中央値 mobile端末では 4.36日/週、紙使用群では 7.00日/週


mobile群でのAAPアクセスは 12.17回/週 (中央値)


群間差はACT、自己評価スコアで差を認めず


しかし、uncontrolled asthma症例15名(ACT 19以下)に対し、 mobile群ではACT臨床的有意改善 (pre 11, post 20)、しかし、paper群では差を認めず (pre 17, post 17) [p=0.06]


mobile群では有意に息切れ改善 [p=0.003]し、夜間症状改善 [p=0.03]







the QI Project






AAAAI:免疫アレルギー治療:SCIT, SLIT,rush immunotherapy・・・

スギ花粉だけでなく、ハウスダストへのSLIT治療も承認され、日本でもimmunotherapyに関心高まってるはず・・・


AAAAIでの関連の話題



12を超えるアレルゲンに関係する多種アレルゲン皮下免疫治療: Multiple-allergen subcutaneous immunotherapy (SCIT)

"Three and a half years of multi-allergen subcutaneous immunotherapy is associated with a 50% reduction in asthma symptom scores"
Rael EL, et al
AAAAI 2016; Abstract 836.

ACQスコア(初期 1.02(0.95))から3.5年で平均50%減少

治療期間中fluctuation多く、ある期間は改善するも他の期間は改善認めないため、患者の評判はあまり良くないこともおおく、コンプライアンスに疑問が残るとのこと






co-seasonal immunotherapyは副事象アウトカムと関連し、SCIT-関連死亡、near-deathイベント、アレルギー反応など花粉症の時期では増加が見られか関心が向けられていた。
8つのSCIT(n=947)と11のSLIT(n=2,668)のco-seasonal immunotherapy開始
Criticらの結論は、追加検討は必要だが、アレルギーシーズン中のSCITあるいはSLIT開始は副事象イベント増加を示唆するデータは無いというもの

"Co-seasonal initiation of allergen immunotherapy: a systematic review"
Creticos PS, et al
AAAAI 2016; Abstract 864.



※現時点ではout-of-season regimenが必須なのでお間違いなく・・・




modified environmental rush immunotherapy (MERIT)。


アルルギー性鼻・結膜炎への通常のアレルギー性免疫療法はアドヒアランス低いのが問題で、rush immunotherapyが用いられ、迅速有効性・アドヒアランスの改善に希望がもたれるが、重度副作用を引き起こす特性同定が求められている。 全身性副作用症例の後顧的検討で、ネコ(21/22)と dust mite(20/22)が最も多いアレルゲン。

WHO副作用 grade I or IIで、1回以上全身性副作用は 8/22、副作用出現の大部分はbuild up phaseで 15/22


 "Characteristics of systemic reactions in the setting of modified environmental rush immunotherapy protocol (MERIT)"
 Rosenberg SL, et al
 AAAAI 2016; Abstract 863.

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