2012年6月6日水曜日

重大出血の関連:糖尿病の有無がむしろ独立した要素 アスピリンの有無に関連せず・・・

アスピリンの乱用と言えるのかもしれない現状の一方、上部消化管出血だけで無く、頭蓋内出血リスク増加に関わるのではないかと危惧がある。

出血イベントにおける、アスピリン使用と糖尿病の関係を検討。
 

検討結果は、アスピリン使用は重大胃腸・脳出血エピソード増加と有意に関連。だが、糖尿病の重大出血リスク増加はアスピリンと関連せず、糖尿病という要素が、単独に、重大出血イベントと関連するという報告。

相加作用は認められてないようで、アスピリン投与に影響をあたえるものではないかもしれないが、 糖尿病患者に於けるリスク配慮上影響をあたえるかもしれない知見が加わった。


心血管イベント中等度・高度リスクの場合推奨されている。ADAでは糖尿病・心血管疾患既往ない場合で、10年心血管イベントリスク10%を越え、出血リスクの無い場合に推奨している。出血性イベントは1000人年あたり1名とう観察研究があり、70歳を越えると増加する。さらに、ATC共同研究では、糖尿病事例での頭蓋内出血増加が示唆されていた。



Association of Aspirin Use With Major Bleeding in Patients With and Without Diabetes
Giorgia De Berardis, et. al.
JAMA. 2012;307(21):2286-2294.


低用量アスピリン 186425、非使用 186425

5.7年フォローアップ中央値
出血イベント年間総頻度は、1000名人年対 アスピリン使用者 5.58 (95% CI, 5.39-5.77) 、 非使用者 3.60 (95% CI, 3.48-3.72)(incidence rate ratio [IRR], 1.55; 95% CI, 1.48-1.63).

アスピリン使用は多くのサブグループ群で重大出血リスクと相関するが、糖尿病では相関しない (IRR, 1.09; 95% CI, 0.97-1.22)


アスピリン使用と関連せず、糖尿病という要素が重大出血リスク増加と独立して相関 (IRR, 1.36; 95% CI, 1.28-1.44)




Figure 2. Cumulative Proportion of Patients Developing Major Bleeding Events During Follow-up According to Diabetes Status and Aspirin Use






電話による認知行動療法(T-CBT)は、対面CBTに基本的には非劣性、だが、アドヒアランスのため効果が劣る ・・・ 代替的使用としての価値

 日本では、心理療法のデリバリーの質・量とも乏しいので比べられないが、序文に、多くのうつ病患者は抗うつ薬より心理療法を好むが、アクセス障害が治療予 約や遂行を妨げることとなるとされる。電話が治療デリバリー媒体として存在するが、対面(face-to-face)治療にくらべその有効性不明と書かれ ている。


Effect of Telephone-Administered vs Face-to-face Cognitive Behavioral Therapy on Adherence ~ Therapy and Depression Outcomes Among Primary Care PatientsA Randomized Trial
David C. Mohr, et. al.
JAMA. 2012;307(21):2278-2285. doi:10.1001/jama.2012.5588
telephone-administered cognitive behavioral therapy (T-CBT) と、対面CBT 18回セッションの比較

プライマリアウトカムは、治療終了(18週)での脱落 (completion vs noncompletion)
セカンダリアウトカムは、Ham-DとPHQ-9によるmasked interviewer-rated depressionのスコア


中断率は、T-CBT少ない T-CBT (n = 34; 20.9%) vs 対面CBT (n = 53; 32.7%; P = .02)
両治療群とも有意にうつスコア改善 (P < .001)

Ham-D、PHQ-9において、治療後の有意差なし (P = .22、 P = .89)

ITT治療後effect sizeは、  Ham-D  d = 0.14 (90% CI, −0.05 ~ 0.33)、 PHQ-9 d = −0.02 (90% CI, −0.20 ~ 0.17)

両結果とも劣性下限 d=0.41で、T-CBTの対面CBTに対する非劣性が示された。

6ヶ月後フォローアップではうつ有意減少継続する(P<.001)が、対面CBTの方は有意にT-CBTよりうつ少ない(Ham-D) (difference, 2.91; 95% CI, 1.20-4.63; P < .001、PHQ-9 (difference, 2.12; 95% CI, 0.68-3.56; P = .004)。

結論としては、T-CBTは、当初、対面CBTに非劣性であるが、アドヒアランスが悪く、結果的にはうつ症状軽減効果減弱する。故に、代替的な使用は正当化されるだろう。


CBT無視の医療流布している日本では、当面、日本各地・津々浦々でface-to-face CBTなんて
不可能だろうから、電話ベースのCBTを出来る制度を積極的に導入してはどうか?

ドイツSepNet研究 重度敗血症:予後、2種類が1種類に勝るとは言えない



緑膿菌敗血症で併用に効果有りと言うことで、特定のガイドライン上併用が勧められていたが、その根拠は今一つであった。

これは、 メロペネム+キノロン系併用 vs メロペネム単独比較


ONLINE FIRST
Effect of Empirical Treatment With Moxifloxacin and Meropenem vs Meropenem on Sepsis-Related Organ Dysfunction in Patients With Severe SepsisA Randomized Trial ONLINE FIRST
Frank M. Brunkhorst,  et. al.
for the German Study Group Competence Network Sepsis (SepNet)
JAMA. 2012;():1-10. doi:10.1001/jama.2012.5833

早期適切な抗菌治療は重症敗血症に関連する死亡率を低下する。
作用機序の異なる少なくとも2剤以上のempirical治療の役割に関する報告

メロペネム(1g、8時間おき)+モキシフロキサシン(400mg、24時間毎;日本では内服剤型しか販売されてない) vs メロペン単独(1g、8時間おき)

主要アウトカムは、臓器障害程度(平均日々総Sequential Organ Failure Assessment [SOFA] score(0-24点、スコア高値ほど重症) 14日間
セカンダリアウトカムは、28日、90日総死亡率、生存者90日間フォロー


551名の評価患者において、平均SOFAスコアに差認めず(併用 8.3点 95%信頼区間 7.8-8.8点 vs 単独 7.9点;95%CI  7.8-8.4点)(P=0.36)

28-、90-日死亡率も統計学的差認めず

28日まで、併用 66名s (23.9%; 95% CI, 19.0%-29.4%) 、単独 59名死亡 (21.9%; 95% CI, 17.1%-27.4%) (P = .58)

90日まで、併用 96 (35.3%; 95% CI, 29.6%-41.3%) 死亡、 単独 84 死亡 (32.1%; 95% CI, 26.5%-38.1%)(P = .43)


他種類の抗生剤組み合わせはどうか? 気になるところだが・・・

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