2012年8月29日水曜日

抗けいれん薬ガバペンチンが慢性治療不応性咳嗽に有効

ガバペンチンは、疼痛・てんかんに広く使用されるが、この薬剤が慢性咳嗽に関連する咳嗽頻度・重症度、症状軽減の可能性がある。不応性咳嗽治療への期待が高まり、通常治療のない咳嗽からの心理・身体的な障害に対する治療として期待される・・・とのこと。


Gabapentin for refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet, Early Online Publication, 28 August 2012
ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアル(オーストラリアの外来クリニック)
8週を越える不応性慢性咳嗽成人
・gabapentin (maximum tolerable daily dose of 1800 mg)
・matching placebo
10週間

プライマリエンドポイントは咳嗽特異的QOL (Leicester cough questionnaire [LCQ] score):ベースラインから8週間治療変化をITT解析


babapenti(n=32)、プラシーボ(n=30)
10名が研究終了前中断


Gabapentin は有意に咳嗽特異的QOL改善 (between-group difference in LCQ score during treatment period 1.80, 95% CI 0.56—3.04; p=0.004; number needed to treat of 3.58)

副作用はgabapentin 10名(31%)(吐気、疲労)、プラシーボの副作用 3名(10%)



咳嗽反射の感度は慢性咳嗽で亢進。カプサイシンのような咳嗽刺激過敏性は末梢性、中枢性メカニズムともに関与。非咳嗽刺激も咳嗽を引き起こし、中枢神経メカニズムや、中枢反射感作にて影響を受ける。末梢性感覚(末梢神経咳嗽刺激過敏性)はカプサイシンにより促進され、一過性の受容体ニューロン受容体発現を促進する。このメカニズムがneuropathic painのような中枢神経感作と関連するのではないかという考察。

抗痙攣薬であるガバペンチン(Gabapentin)は,GABA誘導体であるが、GABA受容体とは結合せず、ベンゾジアゼピン受容体やグルタミン酸受容体など他の多くの受容体とも結合しない。作用機序としては、1)電位依存性Ca2+チャンネル抑制作用、2)脳内GABA量増加作用。
http://www.maruishi-pharm.co.jp/med/libraries_ane/anesthesia/pdf/29/29topics.pdf



日本では抗てんかん薬としてしか認可されてないので使用経験無い。類似したγ-アミノ酪酸(GABA)の構造類縁体であるプレガバリン(リリカ)は?また、ガバペンチンのプロドラッグである、「レグナイト」はレストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)で適応症あるが、これなどは?  ・・・ しばらく、続報を楽しみたい。

宮城県内の東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)による心血管疾患への影響

宮城県内の東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)による心血管疾患への影響

まとめとしては・・・
1)心血管疾患、肺炎が震災により震災前3年間(2008-2010)と比較し有意に増加

2)震災後、心不全・肺炎は緩徐減少、ACSや卒中、心肺停止は(心不全、肺炎に比べ)急激減少。
3)心血管疾患発症は年齢、性別、居住地域(海沿い、内陸)に関わらず増加
4) 海沿い(津波影響地域)で、内陸部より、肺炎発症が多い

疾患発症と震災とのタイミングの問題、津波と気道感染の関連、様々な考察が出来そうだ


The Great East Japan Earthquake Disaster and cardiovascular diseases
Eur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehs288 First published online: August 28, 2012
東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日(2011年3月11日)における宮城県の心血管疾患、肺炎発生率影響後顧的調査
期間:2008–11
n = 124 152

心不全(HF)、急性冠症候群(ACS)、卒中、心血管疾患(CVDs)、心肺停止(CPA)、肺炎発生数、事前3年間と比べ増加

ACSとCPAの発生は急激増加後急激に減少するが、心不全・肺炎は、6週間を越えて遷延的に増加し、卒中・CPAの発生率は、余震【4月7日)後第二次ピークを示す。

CPA発生は震災発生後24時間で増加し、その後他の疾患が増加する。

この増加は年齢、性別、居住地域(海沿い vs 内陸)に無関係


A:心不全、B:ACS、C:卒中、D:CPA(全原因)、E:CPA(心肺原因)、F:肺炎、G:余震


震災前後の疾患発生頻度
A:心不全、B:ACS、C:卒中、D:CPA(全原因)、E:CPA(心肺原因)、F:肺炎

認知症やパーキンソン病鑑別に脳脊髄液内の成分測定が役立つ

 認知症やパーキンソン病鑑別に脳脊髄液内の成分測定が役立つ
・α-synculein脳脊髄液濃度(+総タウ):アルツハイマー病と、パーキンソン病に伴う認知症・レビー小体病などの鑑別
・neurofilament light chain 脳脊髄液濃度:パーキンソン病と、他の非定型的パーキンソン病鑑別


Accuracy of a Panel of 5 Cerebrospinal Fluid Biomarkers in the Differential Diagnosis of Patients With Dementia and/or Parkinsonian Disorders
Arch Neurol. Published online August 27, 2012. doi:10.1001/archneurol.2012.1654

パーキンソン病(PD)、 PD+認知症(PDD)、レビー小体病認知症(DLB)、アルツハイマー病  (AD)、進行性核上性麻痺(PSP)、 multiple system atrophy (MSA)、corticobasal degeneration (CBD)の脳脊髄液試料(N = 453)

α-synuclein脳脊髄液濃度
減少:PD、PDD、DLB、MSA
増加:AD

βアミロイド1-42 脳脊髄液濃度
減少:DLB、AD


多変量解析にて、AUC 90未満で、α-synculein+総タウを用いて、ADと、他のDLB、PDDの鑑別可能


neurofilament light chain 脳脊髄液濃度は、非定型的パーキンソン疾患であるPSP、MSA、CBDで増加し、多変量解析(AUC < 0.93)で、この濃度増加のみが、PDと他の非定型的パーキンソン疾患を鑑別する方法ということが分かった。


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