2013年1月24日木曜日

米国2つの調査:以前も現代も喫煙の死亡リスクは巨大で、深刻な公衆衛生問題

アメリカ国内研究だが、下段のごとく日本でも、死亡への関与は同等と考えられる。
一つは、1980年代、1990年代から2004年までのコホートで、原因を問わない死亡リスクは、非喫煙者に比べ、喫煙者では3倍程度で、男女とも同様ということ。
もう一つの研究は世代別同時性比較分析で、死亡相対リスクやはり3倍弱という結論。

Jha P, et al "21st-century hazards of smoking and benefits of cessation in the United States" N Engl J Med 2013; 368: 341-350.
1980年代の研究から、米国民では、35−69歳の男女の死亡原因の25%が喫煙のためと想定された。
1997−2004年の11万4千名弱の男性、8万9千名弱の女性の統計での推定
25−79歳で、非喫煙者の約3倍の死亡率(全原因)(女性 ハザード比 , 3.0; 99% 信頼区間 [CI], 2.7 to 3.3; 男性 ハザード比, 2.8; 99% CI, 2.4 to 3.1)

超過死亡の多くが悪性腫瘍、血管系、呼吸系、喫煙が原因となり得るその他疾患であった
25−79歳の生存確率は、非喫煙者で、現行喫煙者の約2倍  (70% vs. 38% among women and 61% vs. 26% among men)

余命は現行喫煙者は、非喫煙者に比べ、10年を超して短縮する

25−34歳、35−44歳、45−54歳で禁煙した成人は、喫煙継続者に比べ、それぞれ、約10年間、9年間、6年間余命がのびる。





Thun M, et al "50-year trends in smoking-related mortality in the United States" N Engl J Med 2013; 368: 351-364.
米国では、20世紀において、喫煙による疾患リスクは、まず男性で、次に女性で膨大化した。どの程度のリスクだったのか?

現行喫煙者の非喫煙者比較相対リスクとして、肺がん死は、男性において、1960年代 2.73、1980年代 12.65、現在のコホート 25.66

同時コホートで、男女現行喫煙者はともにCOPD (男性 25.61 、 女性 22.35)、虚血性心疾患(男性 2.50 、女性 2.86 )、卒中(病型問わず) (男性 1.92 、女性  2.10)、全原因組み合わせ (男性 2.80 、女性 2.76)

ほぼ全年齢層で男性喫煙者によるCOPDによる死亡率が増加し続け、喫煙の期間・暴露強度の層別ごとに応じた増加である。

55−74歳の男性、60−74歳女性において、全原因死亡率は現行喫煙者では非喫煙者の少なくとも3倍。
禁煙はどの年代でも劇的に死亡率を減少させる


Additional source: New England Journal of Medicine
Source reference:
Schroeder S "New evidence that cigarette smoking remains the most important health hazard" N Engl J Med 2013;368: 389-390.

上記2つのエディトリアル:米国の喫煙と健康の状況を死亡率の時間経過トレンドで示した報告を解説し、喫煙がやはり巨大な公衆衛生上の問題ということを示している。とくに、女性の肺がん死が乳がん死を上回ることと治療困難さを考え憂慮と対策を助言している。

日本でも同様

前向きコホート:日本でも喫煙者は10年ほど生命予後短くさせる・・・ 以前の報告は若年喫煙少なかった時代のデータが主 2012/10/25


こういう疫学的調査を無視したい人は結局は無視する。問題は、行政や政治家がまともにこの公衆衛生上の問題をいかに正面から取り組むかである・・・日本じゃ期待できないけど・・・

 
追記
Google newsをみると取り上げてる、在京新聞社 産経のみ・・・ これで公共性があるといえるのだろうか? 朝日・毎日・読売って、JTの方しかみてないんだろうなぁ

禁煙、まだ間に合う? 40歳までなら余命正常化
MSN産経ニュース      
米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」電子版は24日、40歳前後までに禁煙に成功した人は、喫煙により縮んだ平均余命を、非喫煙者並みに取り戻せるとする米国やカナダの専門家による研究結果を掲載した。 喫煙者の平均余命は、喫煙したことがない人に ...


禁煙、まだ間に合う? 40歳までなら余命正常化
千葉日報     
喫煙者の寿命は10年以上短く
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版    


2009パンデミックインフルエンザ:妊娠中ワクチンの胎児への安全性確認

2009年インフルエンザA1N1パンデミックのとき、妊娠女性が重症インフルエンザリスク状態となった。妊娠中のワクチン投与の安全性に逸話的に関心が高まったための調査とのこと。

インフルエンザによる胎児死亡リスク増加確認とともに、ワクチンの安全性確認

Risk of Fetal Death after Pandemic Influenza Virus Infection or Vaccination
Siri E. Håberg, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:333-340January 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1207210

ノルウェーの国内登録データを利用し、Cox比例ハザードモデルで胎児死亡ハザード比を算出
登録妊娠117347(2009−2010)
胎児死亡は1000出産あたり4.9
パンデミック期間中、妊娠女性の54%が第2、第3トリメスターでワクチン接種と記載
妊娠中ワクチン接種は実質的にインフルエンザ診断リスク減少(補正ハザード、 0.30; 95% 信頼区間 [CI], 0.25 to 0.34)

インフルエンザ臨床診断女性のうち、胎児死亡リスクは増加 (補正ハザード比, 1.91; 95% CI, 1.07 to 3.41)

胎児死亡リスクは妊娠中ワクチンで減少、しかしこの減少は有意差認めず (補正ハザード比, 0.88; 95% CI, 0.66 to 1.17).



だが、反ワクチングループは、有効性が確認されなかったと喧伝するに違いない

noteへ実験的移行

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