2019年7月16日火曜日

Mycobacterium abscessus pulmonary disease (MAB-PD)治療

非結核性抗酸菌の2番手ながら、日本国内で公的治療が置き去りにされている感染症治療のお話

論文の主旨とは違うかもしれないが、報告を見ると治療成功率は低いとは言え、1/3〜半数の治療効果

だが、日本で、M. abscessus治療、特にイミペネム、アミカシン長期使用に対し医療保険査定されたと聞いている
https://www.kekkaku.gr.jp/pub/Vol.85(2010)/Vol85_No1/Vol85No1P1-6.pdf


行政もなぁ 過去の反省だけするじゃなく、現実に生じている治療困難者の対応ちゃんとして欲しいもんだ



Mycobacterium abscessus pulmonary disease: individual patient data meta-analysis
Nakwon Kwak, et al.
European Respiratory Journal 2019 54: 1801991;
DOI: 10.1183/13993003.01991-2018
https://erj.ersjournals.com/content/54/1/1801991

序文
非結核性抗酸菌(NTM)による肺疾患の発生率と罹患率は世界的に増加しています M.abcescus亜種(subsp.)abscesus、M.abscesus subsp. massiliense、およびM. abscessus subsp. bolletiiは、東アジアとアメリカ合衆国でM. avium複合体に続いて、肺疾患を引き起こす2番目に一般的なNTMです.
MAB肺疾患(MAB-PD)の治療は、一般的に使用されている抗生物質に対する高頻度の突然変異耐性および後天的耐性のために困難です.マクロライドは化学療法の基礎として推奨されますが、23S rRNAをコードするMABのrrl遺伝子の変異はクラリスロマイシン耐性の獲得につながります.さらに、リボソームメチラーゼをコードするerm(41)遺伝子は、マクロライド系抗生物質に対する誘導耐性を付与します. M. abscessus subsp. abscessus and M. abscessus subsp. bolletii は典型的に機能的erm(41)geneを発現し、そしてそれ故マクロライド系抗生物質に対する誘導性耐性を示す.ほとんどのM. abscessus subsp. massilienseは非機能的erm(41)遺伝子に突然変異を持っており、massiliense分離株は本質的にクラリスロマイシンに対して感受性が高い. 
MAB-PDの治療には、アメリカ胸部学会(ATS)/アメリカ感染症学会(IDSA)が、マクロライドと1種類以上の非経口薬(アミカシンとセフォキシチンまたはイミペネム)を含む多剤療法を推奨しています.英国胸部学会(BTS)のガイドラインでは、最初の治療段階にはアミカシン、チゲサイクリン、イミペネムを静脈内投与し、その後にアミカシンとマクロライドを追加の経口抗生物質と組み合わせた抗生物質療法が推奨されています. しかしながら、これらの治療アプローチの有効性はまだ正確に決定されていません、なぜなら異なる研究は異なる治療成功の定義を採用しているからです.一部の研究者は、痰培養変換および変換の維持を治療の成功として定義し、他の研究者は痰培養変換に加えて臨床的改善に基づく治療結果を報告した.さらに、個々の薬の効果は解明されていません.
最近、MAB-PDの治療転帰を報告する2つのメタアナリシスが発表された.これらの分析によると、M. abscessus subsp. abscessus and M. abscessus subsp. massiliense の治療成功率は、それぞれ34.0% - 41.2%、54.0% -  69.8%であった.しかしながら、MAB-PD治療における各薬物の転帰および役割の正確な測定は、公表された論文に提供されている集計データに基づいているため、決定できませんでした.
本研究では、個々の患者のデータに基づいてメタアナリシスを実施し、MAB-PDの治療結果と、これらの結果に対する各薬物の影響を明らかする

M. abscessus subsp. abscessus, M. abscessus subsp. massiliense or M. abscessus subsp. bolletii, に生じるMycobacterium abscessus pulmonary disease (MAB-PD)の治療は、チャレンジングな状態

MAB-PD治療アウトカム報告研究に基づく個別患者データメタアナリシスを行い、MAB-PD治療アウトカムと治療アウトカムへの各々の薬剤のインパクトを明確化のための検討

ここでは治療成功を、治療12ヶ月以上治療中の培養陰転、治療終了までの再発なしの持続的培養conversionとした

利用可能14研究中、8つのデータセットを採用、総数303名MAB-PD患者を解析対象とした
MAB-PD全症例治療成功率は5.6%
M. abscessus subsp. abscessusは 33.0%
M. abscessus subsp. massilense は 56.7%

MAB-PD全患者通しての治療成功率は 45.6%

MAB-PD全体では、イミペネム使用が治療成功関連として相関(補正オッズ比 (aOR) 2.65, 95% CI 1.36–5.10)

M. abscessus subsp. abscessus患者においては、 azithromycin (aOR 3.29, 95% CI 1.26–8.62)、parenteral amikacin (aOR 1.44, 95% CI 1.05–1.99) 、 imipenem (aOR 7.96, 95% CI 1.52–41.6) これらが治療成功と完全

M. abscessus subsp. massiliense患者に関しては、3つの薬剤選択は治療アウトカムと関連せず

結論:MAB-PD治療アウトカムは十分な状況ではない。アジスロマイシン、イミペネムはM. abscessus subsp. abscessus患者のアウトカム改善をもたらす




ブログ結論:M. abscessus subsp. abscessus患者治療を阻害している保険査定とそれを容認している関係者は悪人である

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