2012年5月9日水曜日

医師へのストーカー行為

情報ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/APA/32568
米国精神医学会年次総会での報告

Kathleen C. Dougherty, MD( Penn State University Medical Center in Hershey, Pa.)は、スタッフ医師やレジデントに1100名( Penn State Medical Center)+1650名(Thomas Jefferson University Hospital)で調査。回答率21%と少ない。回答者の60%は男性。
主に55歳未満で、80%が既婚。30%がレジデントあるいはフェロー。

10のストーキング行為を調査
・スパイ行為
・監視
・後追い
・徘徊
・仕事場あるいは自宅での迷惑的な個人的アプローチ
・迷惑記述物送りつけ
・傷害器物送りつけ
・商品やサービスのオーダー・キャンセル
・噂ばらまき行為やうそでっち上げ
・干渉


591の調査回答のうち、38.7%が少なくとも1回は経験。その半分は3回以上を経験しているという回答。

一般的なストーカー行為としては、迷惑電話・手紙・ファックス・電子メールで、少なくとも3回以上が半数で、10回以上と答えたのは36回答。1人の患者は弾を込めた銃を持っていた。

男女医師とも同等比率でストーカー行為を受けていたが、女性医師は主に男性からで、男性医師は男女同数。

ストーカの動機への医師たちの認識としては明らかなパターンはなく、30%が好き嫌い、21%が復讐や加罰と認識し、40%はストーカーを精神疾患と考えていると回答。


Dougherty と 同僚の、Kenneth Certa, MD(Thomas Jefferson University)は、ストーキング回答に対して、
怒り(36%)、身の安全(34%)、職業的関心(19%)、無力(18%)、犯罪(9%)、孤立感(2.4%)

11%ではストーキングのため医療継続の中断を考慮、7%が専門変更を考慮
自宅での安全性を26%が懸念、24%が仕事場での安全性を懸念。

ストーキングは個人の生活を壊す。11%が自宅の電話番号を変更し、9%が外出を控え、2%が転居。
一方、警察への連絡は16%に過ぎず、同僚・スーパーバイザーへの相談が67%で、家族・友人は49%、弁護士相談は14%。
80%超の場合患者からのharassmentやintrusivenessへの対応の訓練を受けておらず、精神科医師でさえ、訓練不充分。

Dougherty K, et al "Prevalence of stalking in general medical practice" APA 2012; Abstract SCR19-2.
http://issuu.com/mcdpsych/docs/apa_2012-annual-meeting-guide

感染症関連がん:年間200万人 子宮頚癌(HPV)、肝がん(HCV/HBV)、胃癌(ピロリ菌)・・・

Global burden of cancers attributable to infections in 2008: a review and synthetic analysis
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 9 May 2012
doi:10.1016/S1470-2045(12)70137-7Cite or Link Using DOI



2008年の新規発症がんは1270万で、感染性病原体原因の人口寄与割合(population attributable fraction, PAF) は16.1%で、200万人が感染症によるがんが新規発症している。

先進国でない国が多く22.9%で、先進国では7.4%で、オーストラリア・ニュージーランドの3.3%から、南アフリカの32.7%とばらつきがある。

ヘリコバクター・ピロリ、B型肝炎・C型肝炎ウィルス、HPVで、190万症例で、主に、胃癌、肝臓癌、子宮頚部がんである。

女性では、感染症関連がんの約半数は子宮頚がんで、男性では、肝臓・胃癌が80%を越える。

感染寄与症例の約30Tは50歳未満の比較的若年者。



参照:
7つの全原因・心血管死亡率寄与程度 PAF :喫煙・運動・血圧・血糖・脂質・BMI・食事 2012年3月28日水曜日

CKD推定:CKD-EPI、MDRD比較

慢性腎臓病(CKD) 検診・治療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ 2012年4月19日木曜日


ACPの批判に対してどう答えるつもりなのだろう?


個別の体型データを無視した、血中Cr、性別、年齢(、人種)による推定糸球体濾過率によるCKD

推定式として、CKD-EPI と MDRD とのの比較

4 variable MDRD CKD EPI Equation (with SI Units)
using standardized serum creatinine, age, race, gender
http://mdrd.com/




Comparison of Risk Prediction Using the CKD-EPI Equation and the MDRD Study Equation for Estimated Glomerular Filtration Rate
Kunihiro Matsushita, et. al.
 Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium
JAMA. 2012;307(18):1941-1951.doi:10.1001/jama.2012.3954


同じ変数を使いながら、Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration (CKD-EPI) equation の方が、Modification of Diet in Renal Disease (MDRD) Study equationより正確で、特にGFR高値の場合に正確性が高い。しかし、様々な状況下でのリスク関与のエビデンス明確でない。


CKD-EPI推定とMDRD study equation推定によるリスク推定評価。

25の一般住民コホートからの110万人の18歳以上のデータのメタアナリシス

940万人年フォローアップ中、全原因死亡  (40コホート;84 482 死亡)、心血管死亡 (28コホート 22 176イベント)、end-stage renal disease (ESRD) (21コホート 7644 イベント)
コホート横断的な平均フォローアップ期間中央値は7.4年(中間四分位 4.2-10.5年)

推定GFRを、2つの推定式とも、6つに分ける (≥90, 60-89, 45-59, 30-44, 15-29, and <15 mL/min/1.73 m2) b


MDRD study推定式に比べ、CKD-EPI推定式により、一般住民コホートの24.4%でより高く、0.6%がより低く、eGFRカテゴリーに分類された。そして、CKD stage 3-5 (estimated GFR <60 mL/min/1.73 m2)は8.7%から6.3%へ減少


MDRD study 推定式45-59 mL/min/1.73 m2の被験者において、CKD-EPI推定式で347.7%が60-89へ再分類され、対象アウトカムの頻度低下 (1000人年あたり比較 全死亡率 9.9 vs 34.5、 心血管死亡率 2.7 vs 13.0、 ESRD 0.5 vs 0.8)

補正ハザード比はそれぞれ 全死亡率 0.80 (95% CI, 0.74-0.86)、心血管死亡率 0.73 (95% CI, 0.65-0.82)、ESRD 0.49 (95% CI, 0.27-0.88)

他の推定GFRカテゴリーでも同様。


推定GFRカテゴリーに基づくネット再分類は有意にすべてのアウトカムに対しpositive  (range, 0.06-0.13; all P < .001)
再分類による改善は、年齢(65歳未満、65歳以上)、性、人種/民族(白人、アジア人、黒人)、糖尿病・高血圧の有無のサブグループでpositive

高リスク・CKDコホートの結果は一般住民コホートと概ね一致。

プロバイオティクスに抗生剤による下痢症減少効果

antibiotic-associated diarrhea (AAD):抗生剤による下痢症 
probioticsはAAD減少と関連するとプール化エビデンスで示された。
ただ、どのprobioticsが最大効果を上げるか、特定の抗生剤と関連するかは不明。

Probiotics for the Prevention and Treatment of Antibiotic-Associated Diarrhea
A Systematic Review and Meta-analysis
Susanne Hempel et. al.
JAMA. 2012;307(18):1959-1969. doi: 10.1001/jama.2012.3507
2名の独立したレビューアがRCTを同定

AAD予防もしくは治療のための probiotics (Lactobacillus, Bifidobacterium, Saccharomyces, Streptococcus, Enterococcus, and/or Bacillus)

82のRCTがクライテリア一致

Lactobacillusベースの介入、単独或いは他の菌種組み合わせがほとんど。ただし、菌種記載乏しい。

被験者11811名を含む、63のRCTのDerSimonian-Laird random-effects meta-analysisのプール化相対リスクでは、統計学的に有意なAAD減少が示された。
(相対リスク, 0.58; 95% CI, 0.50 ~ 0.68; P < .001; I2, 54%; [risk difference, −0.07; 95% CI, −0.10 ~ −0.05], トライアル報告AAD患者数から[number needed to treat, 13; 95% CI, 10.3 ~ 19.1])

この結果は多数のサブグループ解析で相対的にinsensitive



しかし、プール化結果で有意なheterogeneityが存在し、エビデンスではこの相関がシステマティックにpopulation毎にばらつきがあるか、また、抗生剤特性、probiotic preparationによりばらつきがあるかは結論づけ不充分。



probioticsに関して、明治のヨーグルト“R1”随分世間をさわがせたが、新聞報道で知る限りは、あの検証法では何も言える訳がない。この分野でまともなジャーナルに記載されるにはRCTが必然。

参照:ステマ:明治乳業「R-1ヨーグルト」騒ぎ 2012年2月2日木曜日

プロビオティクス(プロバイオティクス)と院内肺炎 2007年 07月 14日

noteへ実験的移行

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