2012年3月2日金曜日

中国:医療施策・経済的対策についてのレビュー

中国は、ユニバーサル・アクセスを達成する医療制度を2020年までに行うとの政府見解

2003年と、2001年の医療アクセスと経済的対策についてレビュー


Trends in access to health services and financial protection in China between 2003 and 2011: a cross-sectional study
The Lancet, Volume 379, Issue 9818, Pages 805 - 814, 3 March 2012


世帯数で、2003年57023、2008年45456、2011年18822インタビューし、回答率は98.3%、95.0%、95.5%、個人数は193689、177501、59835名



2003年から2011年まで保険カバー率は29.7% (57 526 / 193 689) から95.7%(57 262 / 59 835)へ増加    p<0.0001

入院経費の保険からの平均払い戻しは、14.4(13.7-15.1)から46.9(44.7-49.1)へ増加

病院入院分娩率は2011年98.8%(1219/1272)

入院数は2.5倍(2011年 8.8% (5288 / 59 835, p<0.0001)  ←2003年 3.6% (6981 / 193 689)

2011年医療費の世帯での壊滅的増加が報告

帝王切開率は 19.2%→36.3%

医療保険と入院費用支払いはその使用量・カバー率の増大により著明に増加。もともと、

中国内地域内に於ける保険カバー、アクセスのばらつきが大きいが、近年に成り、特に田舎と病院でのサービスの増加による影響が大きい。基本となる医療サービス、主に入院費用、外来・入院の増大がある。
世帯毎の爆発的医療費増大への対策として、リスク防止への対策に多大なる関心を向ける必要がある。医療保険スキームの深度・範囲を如何に広げるか、そして、医療や医療従事者に代替する手段があるか検討段階に入っている。QOL、efficiency、客観的医療アウトカム、特に孤独な状況に陥った場合での支払いに関してより検討が必要。


 中国の高齢化率は、一人っ子施策のため、日本を凌駕するほど急速・・・
http://www.nationmaster.com/country/ch/Age_distribution

柔整師問題:厚労省官僚発言 「柔整師は肩こり、腰痛などに施術が出来ない」

“平成24年2月16日に行われた第14回柔整小委員会”とは、平成24年2月16日(木)開催された、“民主党統合医療を普及・促進する議員連盟「第14回柔道整復師小委員会」”のことだろうか?




“知らないと怖~い整骨院の話”からの無断引用です。

「柔整師は肩こり、腰痛などに施術が出来ない」厚労省官僚が明言! [整骨院問題] http://sirakowaseikotsu.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01-1

平成24年2月16日に行われた第14回柔整小委員会の内容が判りました。

まず、改めて確認されたのが柔整師の施術範囲です。


質問「骨折、捻挫、打撲などに至らない状態のもについて、柔整師がその手技を用いて施術しても良いのか?」との問いに対して、「人体の健康に害の無い範囲 で、柔整師の技能を生かした施術は問題が無い」と、平成4年9月18日付け健康政策局医事課の回答があるのだが、「肩こりや腰痛などに対しても実費で施術を行う事は問題ないのか?」


との問いに対して、厚労省保険医療企画調査室長の屋敷氏が


柔整師の業務範囲は、一般的には外傷性の骨折、捻挫、打撲、脱臼等の施術であり、単なる肩こりや腰痛などは施術範囲には無い」と回答し、改めて柔整師の施術範囲が明確に示された。


これ以外にも「白紙委任問題」など様々な論点で議論されているが、結果的には柔整師側の思惑通りの回答は得られていない。


また、整骨院内で無資格者が施術を行う事や、民間療法での無資格者施術についても「整骨院内で、柔整師の監督下であっても助手や無資格者の施術は許されない。当然の事ながら無資格者の施術行為についても各都道府県担当者に取り締まりの徹底をお願いしている」と回答している。


”保険医療企画調査室長 屋敷次郎”氏が言明したことは大きい影響を持つと思う。
国会内委員会や質問主意書という形での確認を願いたい。


民主党における、統合医療促進は、主に特定業界団体からの要望に基づくものであり、決して、科学的学会主導で生じたものではない。その会合の中で、厚労省官僚が筋の通った明言を行ったことになる。まあ問題がここまで拡大したのは、いままであいまいにしてた厚労省の態度に問題があるのだが・・・

科学的エビデンスないまま、自民党までもが、“”を官界・財界・官僚で推進しているこの時代・・・暗澹たる気持ちになっている。

統合医療促進と議員たちが浮かれてる間に、医療のゆがみがさらに拡大するのである。


スピリチュアルを配慮した医療に関して現代医療に持ち込むことは当然だと思う。

だが、一般に“ 統合医療 Integrative Medicine”とは、Dr Weilが個人的な見解で行っている方法論であり、それを国全体が一般化できるような議論やエビデンスの構築があるような代物ではない。氏のウェブサイトなんて、ビタミン剤の宣伝だらけで・・・

かれらにパテントをとられたままで“統合医療”という名ばかりが暴走するのはいかが?

底の浅い議員や、権謀術数にたけた財界・官界・マスコミが・・・夢見がちの庶民を変な方向に誘導しているとしか思えない。

”統合医療”を肯定的に議論をするのは結構だが、公の金である税金をつかうのなら、地に足のついた臨床的証拠を示すべきだろう。

2型糖尿病インスリン非投与:自己血糖モニタリング ・・・ 改善効果はあるものの臨床的意義認めず


Meta-analysis of individual patient data in randomised trials of self monitoring of blood glucose in people with non-insulin treated type 2 diabetes
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e486 (Published 27 February 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e486


メタアナリシスによる検討、2型糖尿病インスリン治療無しの患者に、血糖自己モニタリングを行うことの臨床的な意味ある有効性を示せなかった。
しかし、HbA1cの差は有意であり、この差はやはり確実に個別・臨床特性ごとに一致して存在する。



.ベースライン、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のHbA1c変化














確かに、HbA1c 0.5%いかない程度の差しかない。臨床的イベントに関する言及がないのがちょっと残念。


Real Time CGMで、食後の糖増加をきめ細かく抑え、大血管合併症まで考慮するような介入を加えた場合の臨床的イベントへの影響はどうなのだろう?

超持続型インスリンだけの場合も、SMBGは必要なのだろうか?

モニタリングを密にするのがいいのか、疎にしてもよいのか?どの指標で判断するか、医療保険などを考慮する場合は、厳格に事前定義したトライアルに基づく判断を提示してもらいたい。

迅速インフルエンザ検査:感度低く、特異度は高い ・・・ 陰性だからといって否定できない

159研究集積による、”迅速インフルエンザ検査”の正確性検討
感度 62.3%
特異度 98.2%
症状発症日、すなわち、day1(<24時間)の感度とくに悪い


“市井でひろまってる6時間以上たてばなんとか偽陰性が少ない”というのに比較しても、まだまだ時間経過が必要ということになる。


成人(対 子ども)、インフルエンザB(対 インフルエンザA)では、感度が低く、見逃しが多い。


Review: Accuracy of Rapid Influenza Diagnostic Tests
A Meta-analysis
Caroline Chartrand, et. al.
Ann Int Med. February 21, 2012, 156 (4)
159研究(26のrapid influenza diagnostic tests (RIDTs):迅速インフルエンザ検査評価、35%はH1N1パンデミック中施行)
pooled 感度・特異度は、それぞれ、  62.3% (95% CI, 57.9% ~ 66.6%)、98.2% (CI, 97.5% ~ 98.7%)。

陽性、陰性尤度は、 34.5 (CI, 23.8 ~ 45.2) と、0.38 (CI, 0.34 ~ 0.43)

感 度推定にばらつき大きく、成人での低感度 (53.9% [CI, 47.9% ~ 59.8%])、小児のやや高感度 (66.6% [CI, 61.6% to 71.7%])と、インフルエンザAに対する高感度 (64.6% [CI, 59.0% ~ 70.1%)とインフルエンザBの低感度 (52.2% [CI, 45.0% ~ 59.3%)といったものから影響を受けている。










検査正確性における症状期間の影響


閉経後女性:トランス型脂肪酸摂取増加と卒中リスク増加 ・・・ 一部アスピリンが軽減?



Yaemsiri S, et al "Trans fat, aspirin, and ischemic stroke in postmenopausal women"
Ann Neurol  2012; DOI: 10.1002/ana.23555.

二次情報ソース: MedPage Today Published: March 01, 2012
Trans Fats Linked to Stroke in Older Women By Crystal Phend, Senior Staff Writer, 



 トランス型脂肪酸で、閉経後女性の卒中リスクを貯蔵させるが、アスピリンがそれを緩和しているかもという観察研究

 トランス型脂肪酸が39%にもなる女性では虚血生卒中生じやすく、アスピリン服用ではトランス型脂肪酸の悪影響は消失し(P=0.43)、アスピリン服用してなければ虚血性卒中66%増加する(P<0.01) 

トランス型脂肪酸に対し、年齢・民族補正卒中ハザード比 (最高vs最低(2.2g/日)5分位比較)  (P=0.0002 for trend):
  • 第2・5分位 (2.3 g/日) 1.22 (95% CI 0.99 to 1.51)
  • 第3・5分位 (2.6 g/日) 1.37 (95% CI 1.11 to 1.68)
  • 第4・5分位 (3.4 g/日) 1.33 (95% CI 1.09 to 1.64)
  • 第5・5分位 (6.1 g/日) 1.49 (95% CI 1.22 to 1.82)
 果物・野菜・食物線維、社会経済的因子、ホルモン補充療法、喫煙、薬物治療(アスピリンを含む)などの要素補正でも相関は減弱するものの有意差残る

アスピリンによるインパクトは3群横断的に認められる





極東の国でトランス型脂肪酸を規制しない国があるそうな・・・



健康に悪いトランス型脂肪酸を”健康への影響小”とする政府・メディア H24.2.22
http://kaigyoi.blogspot.com/2012/02/blog-post_1147.html



上記トランス型脂肪酸は1g/日のオーダーで、有意なリスク増加をもたらしている。
マーガリンなどは10%以上トランス型脂肪酸を含有、ビスケット類・スナック菓子類は7-12%越え、サラダ油などの1~8%程度含む製品がある(http://www.fsc.go.jp/sonota/54kai-factsheets-trans.pdf)。これらを考えれば、日本政府・関係専門委員会の対応というのは国民の健康をはなはだ軽視していることは確実。

活動性関節リウマチ:PLD 30mg/日、60mg/日では糖代謝に影響を与えない。個体差はある。

活動性関節リウマチの患者では、プレドニゾロン60mg/日、30mg/日短期投与では疾患活動性改善し、とブドウ糖耐性を阻害しない。ただ、個体差があり、モニタリングは必要。


"Metabolic effects of high-dose prednisolone treatment in early rheumatoid arthritis: balance between diabetogenic effects and inflammation reduction"
den Uyl D, et al
Arthritis Rheum 2012; 64: 639-646.

早期活動性リウマチに対する、41名の小規模ランダム化単盲検トライアル
プレドニゾロン60mg/日、30mg/日にランダム化割り付け

1週間治療後のOGTT検査にて、AUCGを計算、加え、β細胞機能、インスリン感受性パラメーター検討

患者背景は、60mg/日群 平均±SD 55.5±14.8歳、 30mg/日群 54.2±12.6歳、BMIは24.5±41、 25.4±4.2 kg/m2、 活動性指標 44関節 4.1±0.7、 4.0±0.8、 CRP中央値 14mg/L、 19mg/L、 ベースライン IGT比率56%、7%と非認識糖尿病7%。

 AUCG とESRの相関(β = 2.430 [95% 信頼区間 0.179–4.681], P = 0.04) 、CRP値との相関 (β = 2.358 [95% 信頼関係 0.210–4.506], P = 0.03)あり

プレドニゾロン投与量両群で、CRP値は有意に減少

2型糖尿病の発症は24%に増加   (P < 0.001)

平均 AUCG は両治療群で、変化認めず

β細胞機能は改善(60 mg/day P= 0.02 、 30 mg/day P = 0.04)

疾患期間は   AUCG 変化(β = 3.626 [95% confidence interval 1.077–6.174], P = 0.007)、糖状況の進行状況(odds ratio 1.068 [95% confidence interval 1.017–1.122], P = 0.009)と相関。


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