2013年7月10日水曜日

大気汚染と心不全の関連性 → 大気汚染予防で心不全入院・死亡減少、米国内だけで数十億ドル節約

大気汚染を減らすことで、米国内だけで、約8千名の心不全入院を減少させ、医療費を何億ドルも節約できる。

大気汚染行政の重要性が明らかに

Global association of air pollution and heart failure: a systematic review and meta-analysis
Anoop SV Shah, et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 10 July 2013

 大気汚染急性暴露は心筋梗塞と関連するが、心不全への影響は不明。
大気汚染と入院・心不全死亡率を含む急性非代償性心不全に関するシステマティック・レビューとメタアナリシス




5つのデータベースから(CO、二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾン)、粒子(PM2.5、 PM10)大気汚染物質と、心不全入院と、心不全死亡率の関連性を検討

random-effects modelで大気汚染あたりの包括リスク推定




記事1146中、35の十分な検討クライテリア合致195をin-depth review


心不全入院・死亡は、CO増加  (3.52% / 1 ppm毎 ; 95% CI 2.52—4.54)、二酸化硫黄 (2.36% / 10 ppb; 1.35—3.38)、 二酸化窒素  (1.70% / 10 ppb; 1.25—2.16)と相関
だが、オゾン濃度と相関せず   (0·46% /10 ppb; −0·10 〜 1·02)


粒子状物質に関しては、心不全入院・死亡と相関   (PM2.5 2·12% / 10 μg/m3, 95% CI 1.42—2.82; PM10 1.63% / 10 μg/m3, 95% CI 1.20—2.07)


PM2.5持続的影響のある、暴露日において強力な相関が見られる


米国において、 PM2.5 平均的 3.9 μg/m3減少は、7978名の心不全入院回避可能で、年間3億ドル程度の節約になる

大気汚染と肺がん(肺腺癌)の関連性




 Air pollution and lung cancer incidence in 17 European cohorts: prospective analyses from the European Study of Cohorts for Air Pollution Effects (ESCAPE)
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 10 July 2013doi:10.1016/S1470-2045(13)70279-1


  European Study of Cohorts for Air Pollution Effects データを用いた解析で、大気汚染は肺がんの原因として疑われている問題の検討


312,944コホートメンバー(4,013,131 人年)
フォローアップ期間中(平均 12.8年間)、肺がん発症例 2095


メタアナリシスにより、肺がんとPM10のリスクに関する統計学的有意相関認めた   (hazard ratio [HR] 1.22 [95% CI 1.03—1.45] per 10 μg/m3)


PM2.5に関しては、HR 1.18 (0.96-1.46)/ 5μg/m3


PM10、PM2.5の同じ増加量で肺腺癌HRTは、 1.51(1.10-2.08)、1.55(1.05-2.29)

100m内4千台/日の交通量増加毎肺がんHRは 1.09(0.99-1.21)


肺がんとNO濃度 (HR 1.01 [0.95—1.07] / 20 μg/m3)の相関認めず、近隣交通密度 (HR 1.00 [0.97—1.04] / 5000 vehicles per day)との相関も認めず

スタチン:耐用性・有害性がすくないのはシンバスタチン・プラバスタチン ・・・だが有用性は・・・

ほぼ25万名の解析で、スタチンはやはり耐用性良好であると結論づけ

糖尿病や、館酵素増加のオッズ増加と関連するとされるが、筋痛、がん発症、CK増加、副作用中止に関しては差を認めない

個別スタチン比較で、シンバスタチン(リポバスなど)、プラバスタチン(メバロチンなど)は最良の安全特性を有し、臨床上優先されるべきという・・・
でも、シンバスタチンは、用量依存的副事象尤度増加薬剤として指摘されてる。


それに、後段再掲したが、スタチンポテンシャルとともに、副事象が多いのではという報告があり、耐用性・有害性指標のみで薬剤選択するのも非対称的な気がする。

Comparative Tolerability and Harms of Individual Statins
A Study-Level Network Meta-Analysis of 246 955 Participants From 135 Randomized Controlled Trials
Huseyin Naci, et. al.
CIRCOUTCOMES.111.000071Published online before print July 9, 2013,doi: 10.1161/​CIRCOUTCOMES.111.000071


ランダムトライアル 135 - プラシーボ対照 55、active comparator 80
心血管疾患有無不問 246,955名

対象は、アトルバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン(クレストール)、
ピタバスタチン(リバロ)は、post hoc解析(承認時点でプロトコール締め切ってたため)

スタチンvsプラシーボのメタアナリシスでは、副作用イベントのための薬剤中止率 (OR 0.95, 95% CI 0.83-1.08)、 筋痛 (OR 1.07, 95% CI 0.89-1.29)、  creatine kinase 増加 (OR 1.13, 95% CI 0.85-1.51)、がん (OR 0.96, 95% CI 0.91-1.02)で差を認めず。

先行研究と比較すると、スタチン使用者は、プラシーボ比較で、糖尿病率多く (OR 1.09, 95% CI 1.02-1.16) 、transaminase増加 (OR 1.51, 95% CI 1.24-1.84)多い

個別スタチン毎の比較では、一般的に、シンバスタチンとプラバスタチンの安全性が認められた。
具体的には、シンバスタチンは、アトルバスタチン (OR 0.61, 95% CI 0.42-0.89) やロスバスタチン (OR 0.49, 95% CI 0.27-0.88)とのがちんこ対決で、副作用中止尤度低く、薬剤レベル内ネットワークメタアナリシスでは対アトルバスタチン・中止オッズが低いのは、プラバスタチン  (OR 0.68, 95% CI 0.52-0.91) と、シンバスタチン (OR 0.75, 95% CI 0.59-0.95) 

スタチン投与量の影響も調査し、アトルバスタチンは高用量ほど副作用による中止尤度高い。
transaminase増加の尤度は、高用量ほど高いのは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン

CK増加において、高用量ほど多いのは、ロバスタチンとシンバスタチン

ミオパチーや横紋筋融解症に関しては情報少なすぎて、スタチン間検討困難



スタチンの種類と、糖尿病新規発症リスク ・・・ポテンシャルの高いスタチンほど糖尿病発症リスク高い 2013/05/24

ビタミンD:血中25[OH]ビタミンD濃度と冠動脈性心疾患イベントの関連性 人種民族差あり

白人と中国人では、血中25(OH)ビタミンD濃度と 冠動脈性心疾患イベント発生に相関性あり。 だが、ヒスパニックと黒人は関連性認めず。

人種・民族的影響がある

人種的差を考えた上でのビタミンD投与有効性検討が必要という解説になってるようだ
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-07/tjnj-aol070513.php


Racial Differences in the Association of Serum 25-Hydroxyvitamin D Concentration With Coronary Heart Disease Events
Cassianne Robinson-Cohen,  et. al.
JAMA. 2013;310(2):179-188. doi:10.1001/jama.2013.7228.


血中25水酸化ビタミンD、25[OH]D濃度(いつまでも日本では保険適応とならない、活性代謝濃度)の低下が冠動脈性心疾患と関連性が一致してみられる。この関連性は、他の人種・民族で十分調査されているとは言えない。

25(OH)D濃度と冠動脈性心疾患に関する多民族的検討

Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA) 6436名
2000年7月から2002年9月まで、ベースライン既知心血管疾患無し

フォローアップ平均 8.5年間
冠動脈性心疾患イベント 1000人年あたり 7.38イベント、361の被験者

CHDの人種/民族ばらつき認める (傾向有意差 p < 0.05)

 補正後、25(OH)D濃度は、特にリスクとして

白人の場合、最も大きい (n = 167  25(OH) D濃度10ng/mL減少毎 イベント; ハザード比 [HR], 1.26 [95% CI, 1.06-1.49] )

中国人では、HR 1.67 (95% CI, 1.07-2.61; n=27) (・・・ 検討数少なすぎ)

一方、関連性認めないのは、黒人 (HR, 0.93 [95% CI, 0.73-1.20]; n = 94) とヒスパニック(HR, 1.01 [95% CI, 0.77-1.33]; n = 73)。

筋骨格系肩痛 ・・・ 理学療法とアウトカム:システマティック・レビューできる状況じゃない 稚拙な現状

筋骨格系肩痛では、理学療法がなされる。そしてその理学療法には、運動、manual therapy、疼痛軽減テクニックが含まれる。

ベースラインの予後要素と、疼痛・機能の変化を含む研究のシステマティック・レビュー

type II エラー、heterogeneityが問題で、一致した研究結果となってない現状


この分野も、基礎的な評価指標確立してないのだろう、システマティック・レビューに合致するのはわずか1000分の1程度でしかも、ばらつきが大きく、検討不可能という状況。

まずは、共通クライテリア・指標などを統一すべきだろう

腰痛もそうだが、筋肉疾患に関して、評価法などばらつきがめだちすぎて、いくら時間経過してもまともな前向き研究などでそうはずもない

Predicting response to physiotherapy in the treatment of musculoskeletal shoulder pain: a systematic review
BMC Musculoskeletal Disorders 2013, 14:203 doi:10.1186/1471-2474-14-203Published: 8 July 2013

総数タイトル 5023回収し、154のフルテキスト記事を評価、16の記事(コホート 11、RCT 3、対照トライアル 2)を適合クライテリアとして検討
 品質クライテリア24のうち13以上に合致する9つの研究結果
 臨床的・統計学的heterogeneityが、メタアナリシスより、むしろ、定量的総合化で生じる。


3つの研究で、ベースラインにおける高度の機能障害は、機能アウトカム不良と相関(p = 0.05)

4つの研究で、肩痛期間の長さと、アウトカム不良は有意相関 (p = 0.05)


3つの研究で、年齢増加と機能悪化に、有意な相関 (p <= 0.05) ; 3つの研究では相関性みとめず (p > 0.05)



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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note