2012年2月22日水曜日

健康に悪いトランス型脂肪酸を”健康への影響小”とする政府・メディア


トランス脂肪酸「健康への影響小」…食品安全委
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120222-OYT1T00334.htm



”「通常の食生活では健康への影響は小さい」として、国内での規制は不要とする内容の評価書をまとめた”


国民の健康を無視してますな。


トランス型脂肪酸豊富な“健康エコナ”をかつて“特定保健食品”に認定しただけのことはあるわ・・・この国。


米国FDAはどう規制しているか?
http://www.fda.gov/Food/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/GuidanceDocuments/FoodLabelingNutrition/ucm053479.htm

Why is FDA requiring that trans fatty acids be listed in nutrition labeling? 

FDA is requiring that trans fatty acids be listed in nutrition labeling in response to a petition from the Center for Science in the Public Interest and to published human studies that show that intake of trans fatty acids, similar to the intake of saturated fatty acids, increases low density lipoprotein-cholesterol (LDL-C) ("bad cholesterol") in the blood. An elevated LDL-C increases the risk of developing coronary heart disease. Reports published by the Institute of Medicine of the National Academy of Sciences (IOM/NAS) and the Federal government have recommended that Americans limit their intake of trans fat and other cholesterol-raising fats while consuming a nutritionally adequate diet. For Americans to follow these recommendations, they must know the amount of trans fatty acids in the individual foods that they eat. Therefore, FDA is requiring that this information be provided in nutrition labeling to assist consumers in maintaining healthy dietary practices.
  トランス型脂肪酸摂取は、飽和脂肪酸摂取、LDLコレステロール摂取を増加すること
ゆえに、アメリカ連邦政府を含め、表示義務を明確化している。




日本人は既に米国人のコレステロール摂取量を超えている

上段:H22厚労省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb-att/2r98520000021c0o.pdf
下段: CDC(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb-att/2r98520000021c0o.pdf)


今や、米国人より、日本人の方がコレステロール摂取量は多い!
トランス型脂肪酸に関する規制は飽和脂肪酸、LDLコレステロール摂取量を配慮してのこと!

日本の食品委員会は、日本人の健康への影響を無視している!

ホモシステインと冠動脈疾患:メンデルランダム化

ホモシステイン介入の無効性は取り上げられていて、いまさら感があるが・・・
高ホモシステインは必ずしも冠動脈疾患と関連しない・・・出版バイアスの可能性 2005年 11月 04日

 Robert Clarke らは、血中ホモシステイン値と、冠動脈リスクのcausal relationshipを検討し、ホモシステイン増加が冠動脈性心疾患のリスク増加と関連しないことを示した。



Homocysteine and Coronary Heart Disease: Meta-analysis of MTHFR Case-Control Studies, Avoiding Publication Bias.
Clarke R, Bennett DA, Parish S, Verhoef P, Dötsch-Klerk M, et al. (2012)
PLoS Med 9(2): e1001177. doi:10.1371/journal.pmed.1001177


 血中ホモシステイン値中等度増加は冠動脈疾患リスクと軽度関連するが、そのcausalityは不明のまま、葉酸値が低い場合 methylene tetrahydrofolate reductase gene (MTHFR)のcommon C677T polymorphism (rs1801133)  TT genotypeがホモシステイン値増加とかなり関連する。故に、"mendelian randomization"研究として用いることができ、そのcausalityの検討の手助けになるだろうという

上記MTHF C677T polymorphismを含む19の非公表データ入手し、メタアナリシス検討
 TT vs CC homozygote 症例対照CHDオッズ比(OR)と95% CI は、全体 1.02 (0.98–1.07; p = 0.28)、未サプリメント葉酸群で 1.01 (0.95–1.07)。



未出版分


出版86研究(CHD 28617, 対照 41857)では、未出版データベースとOR解離 OR は 1.15 (1.09–1.21 p = 0.001)



出版分

出版研究メタアナリシス内で、14台規模研究 OR  1.12 (1.04–1.21)  (those with variance of log OR<0.05; total 13,119 cases)、小規模研究72(total 15,498 cases).では  1.18 (1.09–1.28)


  主要冠動脈イベント(非致死性心筋梗塞・冠動脈死)への葉酸の効果:ホモシステイン減少治療出版文献大規模トライアル

妊娠中インフルエンザワクチン:流行期母子有熱呼吸器疾患減少、成長に好影響


Neonatal outcomes after influenza immunization during pregnancy: a randomized controlled trial
CMAJ February 21, 2012 First published February 21, 2012, doi: 10.1503/cmaj.110754 


Mother's Gift project研究で、妊娠中の母親に対するインフルエンザ・肺炎球菌不活化ワクチンの効果のためのランダム化研究データで、

インフルエンザ非流行期間において、 2群間の母・子の100人・月あたりの有熱呼吸器疾患頻度に差は認めず(influenza vaccine: 3.9; control: 4.0; p > 0.9)。 在胎期間比較低成長比率と平均生下時体重は両群同様(small for gestational age: influenza vaccine 29.1%, control 34.3%; mean birth weight: influenza vaccine 3083 g, control 3053 g)

インフルエンザ流行期間中において、母・個の100人・月あたりの有熱呼吸器疾患頻度は、ワクチン群で、持続的に減少 (influenza vaccine: 3.7; control: 7.2; p = 0.0003).
この期間において、在胎期間比較低成長比率はインフルエンザワクチン群の方が少ない (25.9% v. 44.8%; p = 0.03)

平均生下時体重は、インフルエンザワクチン接種母の子供で、重い(3178 g v. 2978 g; p = 0.02)





現場に責任を押しつけようとしている、厚労省・製薬会社は、いまでも、添付文書をそのまま放置して、妊産婦・授乳婦へのワクチン接種普及を阻害し続けております。・・・これって、国民の健康利益権利を損失させてるのじゃないの?

妊婦、産婦、授乳婦等への接種

*妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。
官吏は絶対責任とりませんという強い意志を感じる。

Hibワクチン+三種混合ワクチン後死亡事故 誰が責任とる? 2011年 03月 04日

非celiacグルテン過敏症はNocebo効果によるもの?


Nonceliac Gluten Sensitivity: Sense or Sensibility?
Ann Int Med. Feb. 21, 2012 vol. 156 no. 4 309-311


celiac sprue:セリアック病は、”非熱帯スプルー、グルテン性腸症、またはセリアックスプルーとも呼ばれ、小麦や大麦、オーツ(カラス麦)に含まれるタンパク質のグルテン に対する遺伝性の不耐症であり、小腸内膜に特徴的な変化を起こし、吸収不良を起こす。放置しておくと腸癌などの重い合併症につながる。 人種によって頻度が異なり、セリアック病は白人に多く、有色人種(黒人、黄色人種)で少ないとされていたが、成人は複合疾患が多く正確な鑑別診断がなされていないケースが多い。”




この病気ではない非celiacグルテン過敏症という病態、それは、腸や腸以外の症状を有し、グルテン摂取を中断すると症状が消失し、小腸粘膜正常で、血中のantitransglutaminase もantiendomysial antibody testingも正常な疾患。


この概念は現在議論上にあるところであるが、非celiacグルテン過敏症の存在は、celiac病のそれより数倍存在すると仮定されている。 

食物過敏症がありceliac病ではない人たちの中に、グルテンを不要に避ける人たちがいる。
非celiacグルテン過敏症 は、過敏と過剰認識し、Nocebo effectを、グルテン食、小麦食に起こしている場合がある。
Nocebo effect は、薬物服用時に起きるnegativeな影響をもたらすプラシーボ効果で、薬物に対する作用と無関係なはずの副作用を訴えることである。このNocebo effectが関連しているのではないかというWebMDの筆者からのコメント記事

明確な定義がなく、落とし穴に陥っている状況であり、様々な原因と関連しているのかもしれず、異なるメカニズムが関与しているのかもしれない。

非celiacグルテン過敏症は病因的にheterogenousな症候群であり、マネージメントオプションは、病態生理次第。

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若年(<55歳)女性:胸痛少なく、死亡率高い


Association of Age and Sex With Myocardial Infarction Symptom Presentation and In-Hospital Mortality
JAMA. 2012;307(8):813-822. doi: 10.1001/jama.2012.199

55歳未満の女性は、高齢者女性、男性に比べ、胸痛を伴わないことが多く、死亡リスクが高い。

臨床症状:有胸痛
女性vs男性補正オッズ比: <45歳 1.30、 45-54歳 1.26、 55-64歳 1.24、 65-74歳 1.13、 75歳以上 1.03

予後::無胸痛女性vs無胸痛男性比較・心筋梗塞後死亡補正オッズ比: <45歳 1.18、 45-54歳 1.13、 55-64歳 1.02、 65-74歳 0.91、 75歳超 0.81



75歳前で、冠動脈動脈硬化発症する女性は、特に、aggressiveな場合、よりリスク要素が多い場合が目立つ。エストロジェンの防御的作用を凌駕する状況なのだろう。
プラークびらんを伴う喫煙者に多く、冠動脈狭窄は比較的少ないが、一方、死亡する程度の女性では、男性と同様な病理を有する傾向にあり、抗コレステロール、それに伴うプラークの破裂、重度冠動脈狭窄を伴う。
Canto はまた、若年女性に死亡率と関与する非定型的兆候、若年女性では胸痛がなくても心筋梗塞を否定することは困難ということを示唆した。

トリアージスタッフは、若年女性で心筋梗塞考慮することは少なく、特に胸痛のない女性においては、考慮することも困難。そのため、治療至適な時に治療を受けられない可能性がある。これが死亡率を高くしている原因とも考えられる。

成人肺炎球菌ワクチンのコスト効果解析 PCV13利用がコスト効果的

侵襲性肺炎球菌感染症は、 敗血症、髄膜炎、肺炎球菌性肺炎からなるわけだが、日本では、侵襲性肺炎球菌感染症=肺炎という誤解(もしくは恣意的誤用)が存在する


米国FDA50歳以上でPrevnar13認可:日本でやられてる肺炎球菌ワクチンはインチキです 2011年 11月 17日
 
Smith らは、侵襲性肺炎球菌感染症予防のための6つのワクチン戦略に関するcost-effectiveness decision modelingを検討。


戦略として、PCV13 と PPSV23 の 比較



















Cost-effectiveness of Adult Vaccination Strategies Using Pneumococcal Conjugate Vaccine Compared With Pneumococcal Polysaccharide Vaccine
JAMA. 2012;307(8):804-812. doi: 10.1001/jama.2012.169 

 PCV13ワクチンの方が、PPSV23ワクチンより良好だが、非細菌性肺炎球菌肺炎や肺炎球菌血清型分布に基づく小児PCV13からの間接的影響の可能性にsensitiveな状況。


シミュレーションは米国50歳の仮説的コホート

主要アウトカム測定は、肺炎球菌疾患症例予防とQALYあたりのコスト増加

PCV13投与を、現行推奨(65歳以上ワクチン、以下の場合は合併症の存在時推奨)のPPSV23の代用として投与した場合、ワクチン非接種と比較した場合コスト $28900/QALYで、現行推奨のPPSV23よりコスト効果的

50歳・65歳時ルーチンPCV13では現行推奨代用PCV13に比べ、$45100/QALY

50歳・65歳時PCV13に、75歳時PPSV23追加で 0.00002 QALYs増加、コストは $496000 /QALY gained

sensitivity analysisや代替シナリオでも変わりがたく、例外は非細菌性肺炎球菌感染に対するPCV13の効果低下、子供のワクチンの間接的影響がモデル化されたときである。これらのケースではPPSV23がより好ましいことになる。


noteへ実験的移行

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