2012年8月2日木曜日

独立行政法人 国民生活センター:手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-


手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120802_1.html



健康保持や疾病の予防・治療の目的で、マッサージ、指圧、整体、カイロプラクティックなど、施術者の手技による医業類似行為が広く利用されている。

一方、PIO-NETには、整体やマッサージ等、器具を使用しない手技による医業類似行為を受けて危害が発生したという相談が2007年度以降の約5年間で825件寄せられており、件数は増加傾向にある。
相談のの概要
  • 「整体」や「カイロプラクティック」など、法的な資格制度がない施術を受けて危害が発生したと明確に判別できる相談が少なくとも4割以上を占め、法的な資格制度に基づく施術の相談に比べて多いと考えられた。
  • 危害程度の回答があった640件のうち498件(77.8%)は危害発生後に医療機関を受診していた。
  • 危害部位は、腰部・臀部(でんぶ)や首、胸部・背部が多かった。
  • 危害内容は、神経・脊髄の損傷、骨折、擦過傷・挫傷・打撲傷の順で多かった。

主な事例
【事例】 指圧・マッサージ店で全身の指圧マッサージを受けたところ肋軟骨(ろくなんこつ)を骨折した
全身の指圧マッサージを1時間半受けた。終了直前にブキッと音がして息をつけない痛みを感じたが、1~2分で通常に戻ったので激痛があったことを言わず帰宅した。その夜発熱し痛みが出たため整形外科を受診したら肋軟骨骨折で加療に1カ月を要すると診断された。
【事例】 遺伝性狭窄(きょうさく)症である旨を伝えてマッサージを受け、症状が悪化した
遺伝性狭窄症で腰痛に悩んでいた。腰痛不眠症改善という情報誌を見てマッサージを受けた。背骨の曲がったところを強く押され、腰や脚に激しい痛 みと痺(しび)れ、引き攣(つ)れが起こった。脊椎専門の病院で治療を受けたところ、以前の状態に治るまでに3カ月程かかると言われた。


消費者へのアドバイス
  1. 手技による医業類似行為を受ける場合は、事前に情報収集を行い、自身の症状や希望に合った施術を選択した方が良い。また、手技による医業類似行為は身体に影響を及ぼすものであることを理解しておくこと。
  2. 疾病を持つ場合は、手技による医業類似行為を受ける前に医師の診断、アドバイスを受けると良い。
  3. 手技による医業類似行為を受けて重篤な身体症状が発生した場合は速やかに医療機関を受診すること。また、長期間または頻繁に手技による医業類似行為を受けても身体症状が改善されなかったり悪化するような場合も、医療機関を受診すると良い。
  4. 危害等のトラブルが発生した場合は消費生活センターに情報提供すること。各地にある医療安全支援センターや保健所への情報提供も併せて行うと良い。また、解約・返金や補償を求める場合は、弁護士会等による法律相談を受けることもできる
 ・・・・


関係機関への要望
  1. あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師による施術を受けて危害が発生したと思われる相談が寄せられている。健康被害が発生しないよう努めるとともに、危害が起きた場合には医療機関の受診を勧める等の適切な対応を取るよう要望する。
  2. 法的資格制度がない手技による医業類似行為を受けて危害が発生したと思われる相談が多数寄せられている。これらの手技による医業類似行為についても、一定以上の安全性を担保するためのガイドライン等を作成するよう要望する。
  3. 法律に抵触するおそれのある広告については改善を要望する。また、消費者に誤認や過度な期待を与えるおそれのある広告についても改善するとともに、広告に関するガイドライン等の作成を検討するよう要望する。

行政への要望
  1. 施術者が国家資格を有しているか否かにかかわらず、手技による医業類似行為を受けて危害が発生したという相談が多数寄せられている。国家資格者に 対しては、健康被害が発生しないよう指導の徹底を要望する。また、法的な資格制度のない施術については、過去の最高裁判所の判例の主旨に基づき、人の健康 に害を及ぼすおそれがないように指導を行うよう要望する。
  2. 法律に抵触するおそれのある広告については指導を徹底するよう要望する。また、法的資格制度のない施術を行う施術所の広告についても、消費者に誤認や過度な期待を与えるおそれのある広告が散見されたことから、広告、表示について注意喚起を行うよう要望する。
  3. 消費者が、法的資格制度のあるあん摩マッサージ指圧若しくは柔道整復を行う施術所と法的資格制度のない施術を行う施術所を容易に見分けることができるよう、関係機関に注意喚起を行う等の対策を講じるとともに消費者に対する周知・啓発を行うよう要望する。


一瞬、勘違いしたが、要望先の医療機関とは、「公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会、社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会、公益社団法人日本柔道整復師会、公益社団法人東洋療法学校協会、公益社団法人全国柔道整復学校協会、公益財団法人東洋療法研修試験財団、公益財団法人柔道整復研修試験財団、一般社団法人日本カイロプラクターズ協会”であり、日本医学会傘下学会や日本医師会などではない。


カイロプラクティスなどを“業”としてメディアで紹介する場合は必ず無資格明示義務化すべきと思う。



頸部マニピュレーションはやめるべき Yes vs No議論 ・・・ リスクある手技であることを認識すべき 2012年6月9日

民主党と疑似科学的医学 2010年 10月 04日

まじめな検証的立場をとるカイロプラクターたちは、その実証性のなさを、認めている

自閉症:ペット入手が向社会的行為改善をもたらす

自閉症とペットの関係、治療補助の可能性



治療の方向性として妥当とは思うが、向社会的行為キャパシティーがあったから、ペットを受け入れる傾向があったのではないかという反論にはどう説明するのだろう?寄与因子補正十分とは思えないのだが・・・



Grandgeorge M, et al "Does pet arrival trigger prosocial behaviors in individuals with autism?"
PLoS One 2012; DOI: 10.1371/journal.pone.0041739.

特に向社会的行為(prosocial behavior)、特に発達として重要な側面であるが、これの相互作用の変容は自閉症特性の一つである。多くの治療戦略がcommunication skillを改善、社会性障害減少をもたらすために行われている。動物による補助治療は広く用いられているが、明らかなベネフィット評価はまだ科学的に行われてない。

この研究では、自閉症者になじんだペットの存在、入手と、向社会的行為の変化の関連性評価。260名の自閉症者の内、ペットの存在・非存在で2つのグループに分け

研究1:5歳後ペット入手 vs ペット無し
研究2:ペット vs ペット無し

社会性障害評価を36項目ADI-R algorithmと、子供とペットの関係性についての両親へのアンケートを行った。

研究1:36項目中2項目(“offering to share” (分け与える)と “offering comfort”(癒やしを与える) )で、正の変化を、4-5歳(t0)とペット入手時間(t1)で評価

これら2角の項目は、向社会性を反映するもの

他の3つのグループでの項目には有意な変化認めず

生下時以降ペット入手時での状況に、質的にも、量的にも、自閉症者とペットの相互関係がある。


これらの所見は自閉症児に馴染むペットの存在のインパクトの研究の方向性を示すもの

自閉症者の向社会的行為潜在能力を考えると、関連研究で、子供・ペット関係を形成することのメカニズムを考える必要性がある

米国CDC:狂犬病でも100%死ぬわけではないらしい、10%ほど生き残る可能性

狂犬病は、“発症後の死亡率はほぼ100%で、確立した治療法はない”というのが常識化しているが、市から免れる獲得耐性や免疫反応を示す証拠が見つかった。
米国感染コントロール予防センターからの研究者は、アマゾン流域での吸血コウモリによる狂犬病流行のある地域で、医学的介入なしにウィルス暴露後10%ほどの原住民は生き延びており、11%ほど中和抗体を有しているという発見。

Evidence of Rabies Virus Exposure among Humans in the Peruvian Amazon
Am J Trop Med Hyg 2012 87:206-215; doi:10.4269/ajtmh.2012.11-0689
Amy T. Gilbert, et. al.



狂犬病
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_18/k03_18.html
潜伏期が1-2ヶ月と長く、感冒様症状で始まり、進行性に、神経症状・精神症状が生じるわけで、初期対応した医療機関は“誤診”と騒がれる可能性がある。

発熱・かぜ症状患者にあたっては、渡航歴・旅行歴は、特に、配慮が必要。


“犬だけではなく他の哺乳動物からも感染します”
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name47.html
http://www.forth.go.jp/topics/2011/12281402.html


日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布しています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

狂犬病対応ガイドライン2001
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/pdf/05-01.pdf


そういえば、次のオリンピック、南米だった・・・

“精神的苦痛”の死亡率への影響は、量反応的・・・

 この報告のキーワード、“psychological distress”をどう訳すか迷ったが、一応NCCNのガイドラインで“精神的苦痛”とあるので、それに倣うことにした。

 精神的苦痛は自殺だけで無く、心血管死などでも量反応的関連性を認め、がんの場合も高度の精神的苦痛の場合関連性を認めるという報告。

Association between psychological distress and mortality: individual participant pooled analysis of 10 prospective cohort studies
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4933 (Published 31 July 2012)

【目的】 低レベル、臨床的な状況まで至らない症状、精神的苦痛(psychological distress)と、原因特異的死亡率の関連性を大規模住民ベースにて定量化した報告

【デザイン】 ealth Survey for Englandの10の大規模前向きコホート研究のメタアナリシス
ベースラインの12項目General Health Questionnaire scoreによる精神的苦痛評価、死亡統計からの死亡率

【被験者】 ベースラインで、35歳以上成人、心血管疾患・癌を有さない、英国内の個人住宅住人である一般住民68 222 名

【主要アウトカム測定】 全原因死亡(n=8365), 脳血管疾患を含む心血管疾患死亡(n=3382), 癌による死亡 (n=2552), 他の原因による死亡(n=386)
フォローアップ平均8.2年 (standard deviation 3.5)

【結果】 あらゆる重症度全般的に精神的苦痛と死亡率との間に量反応関係が見られる(年齢・性別補正ハザード General Health Questionnaire スコア 1-3 v scoreスコア 0: 1.20, 95% 信頼区間 1.13 ~ 1.27; スコア 4-6: 1.43, 1.31 ~ 1.56; スコア 7-12: 1.94, 1.66 ~ 2.26; P<0 .001=".001" br="br" for="for" trend="trend">
この相関は身体合併症+行動的要素、社会経済的要素補正後も維持。

心血管死と外的要素による死亡で同様の相関がみられる。

がん死のみが精神的苦痛でのみ相関性を認める


【結論】 精神的苦痛は、量依存的に、死亡率増加に関し、重度の主要要素となる。死亡率はdistressの低い状況でも増加する。




外的要素をコントロールすることともに、内的な要素への取り組みも大事だと思う。

マインドフルネス・グループ介入:関節リウマチ ・・  精神的苦痛・疲労軽減 2011年 12月 20日

マインドフルネスベースストレス軽減トレーニング:老人の孤独さ改善し、炎症惹起軽減効果も? 2012年7月25日


瞑想訓練、運動は急性上気道感染予防効果あり 2012年7月12日


これなどが、ヒントになると思うのだが・・・ 
“新型うつ”が話題になってるが、各職場、ラジオ体操と共に、瞑想の時間を設けたらどうだろう・・・

ただ、こういった介入には偏狭なドグマが入り込む危険性があるのは留意が必要だが・・・

CABG時グラフト内視鏡的採取と開胸採取法比較 ・・・ 有意差無し



CABG時、グラフト採取時の内視鏡使用に関して、その安全性とdurabilityに疑問を呈する報告が事前にあったとのこと。もともと少数研究で死亡率増加という報告が有り、米国FDAに、分析を求める意見があり、この研究は、 Society of Thoracic Surgeons Adult Cardiac Surgery Database (ACSD),のデータに基づくもの



Association Between Endoscopic vs Open Vein-Graft Harvesting and Mortality, Wound Complications, and Cardiovascular Events in Patients Undergoing CABG Surgery

JAMA. 2012;308(5):475-484. doi:10.1001/jama.2012.8363





長期死亡率では、有意差無し  (13.2 % [12,429 イベント] vs. 13.4 % [13,096 イベント])
死亡・心筋梗塞・血管再建再施行複合イベントでも同様 19.5 % [18,419 イベント] vs. 19.7 % [19,232 イベント])

内視鏡的血管グラフト採取は有意に創傷合併症を減少させた  (risk adjusted HR, 0.83; 95 % CI, 0.77-0.89).





グラフト採取部位の創傷治癒のみに有意差があるというのでは、まだ、議論が続きそうだが、疑念に対し、データ分析とその結果を報告する経緯には、米国当局と米国医学会の健全性を示す報告という印象をもつ。

対して、日本は・・・ 検診・医療・介護・健康食品行政など様々な分野で、不可解さ、疑念を放置し、反論にはただただデータ公開無く強弁し続ける現状がある

冠動脈性心疾患患者のうつ: 運動と薬物治療が有効

ファイザー社は関与を否定している報告とのこと、筆者らは、心疾患患者の40%にうつ症状が有り、うつ自体が心臓への悪影響をもたらすとのこと、そして、心不全患者でのうつスクリーニングを推奨するようAHAにはたらきかけるとのこと。


薬物より、運動の重要性があらためて、明らかになったようにおもえるのだが・・・



101名のうつ徴候をもつ心臓疾患患者は週90分以上運動し、かつ、抗うつ薬(ゾロフト)を服用すると有意に、うつ症状及び心血管系バイオマーカーを改善する。



Exercise and Pharmacological Treatment of Depressive Symptoms in Patients With Coronary Heart DiseaseResults From the UPBEAT (Understanding the Prognostic Benefits of Exercise and Antidepressant Therapy) Study
J Am Coll Cardiol. 2012;():. doi:10.1016/j.jacc.2012.04.040


【方法】
 101名の冠動脈性心疾患とうつを有する外来患者を対照に、精神科インタビューと Hamilton Rating Scale for Depressionを測定、 

ランダム化
・ 好気的運動(週3回)
・ sertraline (50–200 mg/day)
・ placebo.

さらに、心血管系バイオマーカー(心拍変動、血管内皮機能、baroreflex sensitivity 、炎症、血小板機能)評価

【結果】
16週後、全群とも Hamilton Rating Scale for Depression score改善。
 好気的運動(平均 -7.5;95%信頼区間:-9.8~-5.0)及びsertralne(平均 -6.1;95%信頼区間:-8.4~-3.9)では、プラシーボ対照群に比べうつ大きく改善 (平均 −4.5; 95% 信頼区間: −7.6 ~ −1.5; p = 0.034)

運動及びsertralineはほぼ同等のうつ症状改善(p=0.607)

運動と薬物はともに、プラシーボより心拍変動減少をもたらし(p=0.052)、運動は薬物より心拍変動を減らす e (p = 0.093)



好気的運動能力とトレッドミル時間


 HAM-D Score




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