肝臓の薬がSARS-CoV-2の細胞内への侵入を抑える
ウルソ:UDCAが、体外で維持されているヒトのオルガノイド構造体、動物、ヒトの臓器におけるSARS-CoV-2感染を減少させることが明らかになった。肝臓の疾患でUDCAを使用している人は、使用していない人に比べて、重度のCOVID-19を発症する可能性が低いことが分かっているらしい。
UDCA治療は、免疫系が抑制された人々を保護し、ワクチン耐性変異体に対する保護を提供するのに役立つ可能性がある
FXR inhibition may protect from SARS-CoV-2 infection by reducing ACE2
Teresa Brevini, et al.
Nature (2022) Published: 05 December 2022
https://www.nature.com/articles/s41586-022-05594-0
ACE21のようなウイルス宿主受容体の調節によるSARS-CoV-2感染の予防は、ワクチン接種を補完するCOVID-19の新しい化学予防的アプローチとなりうる2,3。しかし、ACE2の発現を制御するメカニズムは不明であった。ここでは、消化器系や呼吸器系を含む複数のCOVID19感染組織において、ACE2の転写を直接制御する因子としてファルネソイドX受容体(FXR)を同定した。次に、市販の化合物であるz-guggulsterone(ZGG)と特許切れ薬であるウルソデオキシコール酸(UDCA)を用いて、ヒト肺、胆管細胞、腸のオルガノイドおよびマウスとハムスターの対応組織でFXRシグナルを減らし、ACE2のダウンレギュレーションを行った。
UDCAによるACE2のダウンレギュレーションが、in vitro、in vivoおよびin situで灌流したヒト肺と肝臓において、SARS-CoV-2感染に対する感受性を低下させることを証明した。さらにUDCAがヒトの鼻上皮におけるACE2の発現を低下させることを提示する。
最後に、SARS-CoV-2感染後のUDCA治療と良好な臨床転帰との相関をレトロスペクティブな登録データを用いて明らかにし、肝移植患者の独立した検証コホートでこれらの知見を確認。結
論として、ACE2の発現を制御するFXRの新規機能を特定し、この経路のモジュレーションがSARS-CoV-2感染の軽減に有益であるという証拠を提供し、将来の臨床試験への道を開くものである。
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