2014年10月10日金曜日

ADVANCE-ONトライアル終了後解析 : 降圧治療はトライアル終了後も効果継続し、糖尿病コントロールによる効果その後も見られず・・・

ACCORD研究とともに、ADVANCE-ON研究は、糖尿病治療のあり方に、多大なる影響を与えたはず・・・


Action in Diabetes and Vascular Disease: Preterax and Diamicron Modified Release Controlled Evaluation (ADVANCE) の区分トライアルで、ペリンドプリル(コバシル)・インダパミド(サイアザイド系利尿剤)において2型糖尿病の死亡率減少効果が示されたが、そのトライアル終了時点から後フォローアップ6年間における影響に関する報告


EASDで報告されたものと同じかな?





Follow-up of Blood-Pressure Lowering and Glucose Control in Type 2 Diabetes
Sophia Zoungas, et. al.
for the ADVANCE-ON Collaborative Group
N Engl J Med 2014; 371:1392-1406October 9, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1407963



糖化ヘモグロビン6.5%未満目標とする強化療法


ベースライン特性は、オリジナルに行われたランダム化11140名と層別化後参加11140名(血圧低下比較 5.9年間中央値、血糖コントロール比較 5.4年間)と同様(中央値5.9年間


血圧・糖化ヘモグロビン値群間で、初回のトライアル後受診までに、明らかな差は、なくなった。


降圧効果:
全原因死と心血管死のリスク減少は、activeな降圧治療群でトライアル中認められたが、トライアル終了後は減衰、だが、トライアル後フォローアップ終了時点でも有意差残る ; ハザード比 0.91 (95% 信頼区間 [CI], 0.84 to 0.99; P=0.03) 、 0.88 (95% CI, 0.77 to 0.99; P=0.04)。


糖尿病コントロール効果:
血糖強化群と標準血糖コントロール群で、全原因死亡リスク・大血管イベントによる死亡リスクの差は、フォローアップ中見られず ; ハザード比 1.00 (95% CI, 0.92 to 1.08)、 1.00 (95% CI, 0.92 to 1.08)




いまとなっては奇異な結果とも思える、KUMAMOTO Study・・・そのフォローアップ報告が欲しい。


肺癌葉切除:胸腔鏡手術と開胸で長期生存率差などアウトカム差認めず

3年生存率、無疾患生存率、癌特異的生存率に差を認めなかった


胸腔鏡手術は術後合併症が少ないことは示されていたが、長期アウトカムに関する検証は今ひとつだったとのことでの検討らしい


Long term survival with thoracoscopic versus open lobectomy: propensity matched comparative analysis using SEER-Medicare database

BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g5575 (Published 02 October 2014)
Cite this as: BMJ 2014;349:g5575





Kaplan-Meier survival plots (time until death with number of participants at risk) for thoracoscopic and thoracotomy lobectomy in unmatched (left side) and matched (right side) samples



Cox proportional hazards models for all cause mortality, disease specific mortality, and disease recurrence in matched and unmatched samples




メーカー・スポンサーのトライアルはどれほど偏ってるのか? スタチンのLDL減少効果での検討

メーカー・スポンサーのトライアルはどれほど偏ってるのか?



LDL減少効果の比較だから、臨床トライアルとしてのインパクトは低いが、差があれば、やはりメーカースポンサーのトライアルは問題があると言えるのかもしれない。


結果的には差が認められなかった。


Industry sponsorship bias in research findings: a network meta-analysis of LDL cholesterol reduction in randomised trials of statins
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g5741 (Published 03 October 2014)
Cite this as: BMJ 2014;349:g5741



LDL低下効果について、メーカー・スポンサートライアルと、メーカー・スポンサーでないトライアルでは、その差が認められない。

メーカースポンサーのトライアルでは、平均減少値は、メーカー・スポンサーでないトライアルに比べ、1.77 mg/dL(95% 信頼区間 -11.12 ~ 7.66)






いずれも自社製品有利に設定したと過程
シナリオ1: 最大用量設定しての比較
シナリオ2: 種々用量にて比較して差を有さないだろうという想定






ニューモバックス接種説明(当院案)

当院にて肺炎球菌ワクチン接種の方へ(案)


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ワクチンに関する情報提供不足していると思いますので、接種を希望される方に対して、以下情報を提供いたします。ご理解の上、接種お願い申し上げます。


現在肺炎球菌ワクチンは2種類有ります。

ニューモバックス ® NP23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン:PPSVワクチン
プレベナー13:キャリアタンパク結合型の肺炎球菌ワクチン:PCVワクチン


コマーシャルで盛んに宣伝しておりますが、ニューモバックスの「肺炎予防」効果は確立に専門家が同意しているとは言えない状況です。ニューモバックス公費負担については国内的での小規模高齢者施設研究がその根拠としているようです。ですが、このワクチンは専門的に言えば“蛋白質を抗原としていないため T 細胞というリンパ球による免疫は活性化せず、IgG 抗体という液性免疫を上昇させる効果しかありません”。肺炎球菌に対する抗体が減少した時点で、ワクチンの効果が消失し、ブースター効果もないため 2 回目を接種しても効果が強くなったり持続期間が長くなったりしません。血中依存のため気道などへの予防効果乏しく、肺炎に関しての予防効果が落ちるわけです。敗血症などの血液内の感染へは有効で脾臓摘出や無脾症の方はできるだけワクチン接種すべきです。また、髄膜炎・敗血症いう重篤な病態の予防は効果確認されてますので無駄ということはありません。
公費負担のチャンスが5年に1回ということもあり、上記事実を確認の上接種することも悪いことではありません。そのあたりをご考慮の上、接種してください。

一方、プレベナー13の方は、国際的に肺炎球菌による肺炎予防効果確認されております。また、効果持続期間が長いという利点があります。
PCV の成人に対する効果は、欧州で行われた2つの多施設無作為研究で、PCV13 PPV23 の免疫能のある成人に対する単回接種による免疫原性が比較され、PCV13 のほうが優れた結果が示されました。ただ、現時点で公費負担の対象でないことと、ニューモバックスに比べてやや高価というのが問題です。


2剤を両方接種しても現時点では問題ありません。
ただ、プレベナー接種からニューモバックス接種は6ヶ月から1年、ニューモバックス接種からプレベナー接種は1年以上開けることが望ましいようです(MMWR Sep. 19. 2014 p825)。このワクチンスケジュールを国・厚労省が検討されるはずです。


****クリニック 院長 ○○○○

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