2019年5月16日木曜日

閉塞型睡眠時無呼吸:薬物療法の可能性

アトモキセチン:先発製品名 ストラテラ(日本ではAD/HD治療薬 神経終末のノルアドレナリントランスポーターに対する選択的阻害作用が関与していることが可能性としては考えられるものの、明確な機序は不明)
オキシブチニン:先発製品名 ポラキス (平滑筋に対する直接的鎮痙作用と節後線維 のコリン作動部位においてアセチルコリン阻害作用を持つ)

前者さすがに使用したことないが、レスポンダーの比率とその反応性をみると期待できる治療法
ただ、素人が手を出しにくい薬剤であるアトモキセチン





ランダム化プラシーボ対照二重盲検交叉トライアル
atomoxetine 40mg + oxbutynin 5mg (ato-oxy) vs プラシーボ


The Combination of Atomoxetine and Oxybutynin Greatly Reduces Obstructive Sleep Apnea Severity. A Randomized, Placebo-controlled, Double-Blind Crossover Trial
Luigi Taranto-Montemurro,  et al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Volume 199, Issue 10, Page 1267-1276, May 15, 2019.

被験者 53 (46-58)歳、BMI 34.8 (30.0-40.2)

ato-oxy にて AHI 63% (34-86%) 減少 (  28.5 (10.9–51.6) events/h → 7.5 (2.4–18.6) events/h (P < 0.001)

個別効果:プラシーボでのOSA患者(AHI > 10 events/h) 20名中15名で、AHI 低下 74% (62-88%)  (P < 0.001) 、低下全例50%以上低下



Genioglossus responsiveness(頤舌筋反応性)はプラシーボの 2.2 (1.1 - 4.7)%/cm H2)から ato-oxyで6.3 (3.0 to 18.3)%/cm H2)へ、約3倍増加 (P < 0.001)

atomoxetineもoxybutyninも別々に投与してもAHI減少せず



頤舌筋の筋電図(EMG GG):筋内2電極挿入+PSGとシールされた口鼻マスクにpneumotachometer装着し正確な気流測定、さらに、呼吸努力測定としてPes(食道内フラキシブル圧tipカテーテル)測定






序文手抜き
最近まで、内因性セロトニンの使用中止は、睡眠中の性舌筋電図筋活動(EMG GG))の喪失の重要なメカニズムと考えられていました。しかしながら、これらのデータは迷走神経支配除去動物実験に基づいており、そしてセロトニン作動性メカニズムは無傷の動物およびヒトにおける性舌筋活動に最小限の影響しか及ぼさないように思われる。

内因性ノルアドレナリン作動性駆動の睡眠に関連した離脱は、特に眼球運動不振(NREM)睡眠中の主な原因であり、活発なムスカリン抑制は、特にREM中に咽頭低緊張を仲介する。

実際、我々のヒトでの研究は、ノルアドレナリン作用薬デシプラミン(三環系抗うつ薬、TCA)の投与が、NREM睡眠中の性舌筋活動および上気道虚脱性を中程度に改善し、患者のサブグループにおけるOSA重症度を低下させることを示した。ノルアドレナリン作動性を有する別のTCA、プロトリプチリンは、以前に観察研究および無作為化対照試験またはOSAの治療で調査された。 結果は一貫しておらず、一部の患者は客観的および主観的改善を経験し、他の患者はOSA重症度に変化を示さなかった。
特に、これらのTCAは、ドーパミン作動性、セロトニン作動性、抗ムスカリン性および抗ヒスタミン作動性作用を含む広い範囲の非特異的な活性範囲を有する。

 抗ムスカリン薬と組み合わせた特定のノルアドレナリン作動性プロファイルを有する薬剤が、性舌筋活動の実質的な増加をもたらし、OSAの重症度を改善するかどうかは依然として不明である。

したがって、OSAの重症度と頤舌筋反応性に対する抗ムスカリン薬(オキシブチニン)と組み合わせて投与された強力な選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(アトモキセチン)の効果を評価するために、無作為化プラセボ対照二重盲検交差試験を実施しました。





NREM睡眠期自発呼吸中の筋の反応性は、食道内圧のswing変化あたりの頤舌筋筋電図の変化を反映する
薬物治療で反応性増加を示す
パネルBは生データで、食道内圧のswing増大に伴い頤舌筋の活動性が増加し、気流回復を示す


低炭水化物食と心房細動発症リスク

ARIC (Atherosclerosis Risk in Communities) Studyにおける炭水化物食と心房細動発生リスクの関連性

前向きコホート研究群を用いてはいるが、Cox比例ハザード解析に基づく、あくまでも後顧的検討内の話

米国心臓病学会(ACC 2019、3月16〜18日、米ニューオーリンズ)で発表の論文
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2019/029016.php




Low‐Carbohydrate Diets and Risk of Incident Atrial Fibrillation: A Prospective Cohort Study
Shaozhao Zhang , et al.
https://doi.org/10.1161/JAHA.119.011955
Journal of the American Heart Association. 2019;8


低炭水化物食状況下の炭水化物の特異的な食事源(動物 vs 植物ベース)への置き換え影響を検討
フォローアップ中央値 22.4年間、心房細動発生 1803例(13.5%)

全摂取エネルギーに対する炭水化物比率 1%増加あたり、心房細動発生1-SD (9.4%)増加ハザード比は、従来の心房細動リスク要素や他の食事要素補正後  0.82 (95% CI, 0.72–0.94

炭水化物食摂食4分位個別カテゴライズ後も結果は同様 (ハザード比, 0.64; 95% CI, 0.49–0.84; 両極端4分位比較)





炭水化物代替としたタンパク質や脂肪の種類とAF発症のリスクとの間に関連性は見られず





例により 論文序文
心房細動(AF)は、臨床診療において最も一般的な不整脈であり、推定生涯リスクは25%である。
AFは罹患率、死亡率、および経済的コストの大幅な増加に関連しているため、この疾患の予防戦略を提供するためのステップとして、食事要因などの修正可能な危険因子を認識することが重要です。
タンパク質や脂肪の摂取量を増やすために炭水化物の摂取量を制限する低炭水化物食は、短期間の体重減少を誘発する能力があるため、かなりの人気を得ています
それにもかかわらず、炭水化物制限の長期的影響は、特に心血管疾患への影響において、依然として物議をかもしています
最近、5大陸にわたる18カ国からの135 335人の参加者を対象とした2017年の2017 PURE (Prospective Urban‐Rural Epidemiology) 研究で、炭水化物摂取量の増加は総死亡リスクの増加と関連していたが、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、および心不全)や心血管死亡率リスク増加とは関連せず。
大規模コホートに関するもう1つの最近の研究であるARIC (Atherosclerosis Risk in Communities) 研究では、炭水化物摂取量と総死亡率の間にU字型の関連性が報告されました。
 しかし、我々の知る限りでは、炭水化物摂取量と偶発的なAFのリスクとの関係を調べた研究はない。その結果、炭水化物の摂取量とインシデントAFの関連を評価するためにARIC Studyデータセットを分析しました。




なんだか、納得できない記載も・・・

制限すると体内の水分が排出されて短期間で減量できるが、同時に脱水状態にも陥りやすく、これが心房細動を引き起こす可能性があるという。また、糖質制限食は電解質異常をもたらし、心臓の拍動リズムにも影響する可能性があるとしている。
 一方、Zhuang氏らは、糖質制限食を取り入れている人たちでは、炎症の抑制に働くとみられる野菜や果物、穀類の摂取量が少ない傾向にあることを指摘し、「こうした人たちでは、心房細動に関与する炎症レベルが高いのではないか」と推測している。なお、Epstein氏は「糖質制限を行っていた理由も重要だ」
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2019/029016.php

特に解説前段・・・ 後段が正しいとしたら低Carb.のやり方次第ということにも

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