2020年2月28日金曜日

減塩と血圧値:量依存と期間との関連

メタアナリシス・システマティックレビューで量依存的関係と、高齢者・非白人で減塩効果明瞭、さらに、減塩期間との関連も示唆



Effect of dose and duration of reduction in dietary sodium on blood pressure levels: systematic review and meta-analysis of randomised trials
BMJ 2020; 368 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m315 (Published 25 February 2020)
Cite this as: BMJ 2020;368:m315
https://www.bmj.com/content/bmj/368/bmj.m315.full.pdf

目的:食事中ナトリウムの減少と血圧の変化との用量反応関係を調べ、介入期間の影響を調査する。

デザイン:PRISMAのガイドラインに従って体系的なレビューとメタ分析

データソース:Ovid MEDLINE(R)、EMBASE、およびCochrane Central Controled Trials(Wiley)および2019年1月21日までの関連記事の参照リスト。

包含基準:成人集団で実施されたナトリウム摂取量の異なるレベルを24時間尿中ナトリウム排泄を使用して行われた摂取量の推定値と比較するランダム化試験。

データの抽出と分析:3人のレビューアのうち2人が、適格性について独立してレコードをスクリーニングしました。 1人のレビューアがすべてのデータを抽出し、他の2人がデータの正確性をレビューしました。レビューアは、ランダム効果のメタ分析、サブグループ分析、およびメタ回帰を実行。

結果:12 197人の参加者による133件の研究が含まれた。
24時間尿中ナトリウムの平均減少( 減少ナトリウム vs 通常ナトリウム)、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)の平均減少量は各々 130 mmol(95% 信頼区間 115 to 145 P<0.001)、 4.26 mm Hgでした(3.62 to 4.89、P <0.001)、および2.07 mm Hg(1.67 to 2.48、P <0.001)

24時間ナトリウム排泄 50 mmol減少毎に、SBP 1.10 mm Hg(0.66 to 1.54; P<0.001)、DBP 0.33 mm Hg( 0.04 to 0.63; p=0.03)

血圧低下は、多様な住民サブセットで観察され、高血圧でも非高血圧でもみられる

24時間尿中ナトリウムの減少が同じでも、高齢者、非白人、ベースラインSBP値高値群はSBP低下程度大

24時間のナトリウム排泄の50ミリモルの減少はそれぞれ、SBPの1.10 mm Hg(0.66から1.54; P <0 .001="" hg="" mm="" p="0.03)の減少に関連していた。<br">
血圧の低下は、高血圧および非高血圧の個人を含む、検討された多様な集団サブセットで観察されました。 24時間尿中ナトリウムを同じように削減した場合、高齢者、非白人、およびベースラインSBPレベルが高い人でSBPが大幅に削減されました。

15日未満の期間の試験では、24時間尿中ナトリウム排泄の各50ミリモルの減少は、1.05 mm Hg(0.40〜1.70; P = 0.002)のSBP低下と関連し、より長い期間の研究で観察された効果の半分未満(2.13 mm Hg; 0.85から3.40; P = 0.002)
一方ではトライアル期間とSBP減少の相関は認めなかった


結論:ナトリウム削減で達成された血圧低下の大きさは、用量反応関係を示し、高齢者集団、非白人集団、および血圧の高い集団でより大きかった。短期間の研究は、血圧に対するナトリウム減少の効果が過小評価される可能性がある








食塩:NaCl 58.44 g/molとして 50m mol=58.44*50/1000=2.922 gで良いのかな?





序文のGoogle翻訳
ヒトのナトリウムの生理的必要量は1日1 g未満です5が、現在、ほとんどの人口ははるかに高いレベルを消費しています。世界保健機関(WHO)が推奨する食事性ナトリウムの最大1日摂取量は、成人の場合 ナトリウム 2 g(食塩 5g)であり、ほとんどの国では、食事療法の一環として、血圧および心血管疾患。血圧と心血管疾患のリスクに対するナトリウム減少の効果は、多くの研究で検討されています。健康集団と科学団体の間では、一般集団の食事性ナトリウム摂取を減らすというコンセンサスがありますが、正常血圧の集団に対するナトリウム制限の利点は小さく、血中脂質レベルを上げる可能性があると主張しているグループも存在します。低ナトリウム摂取レベルでの死亡リスクが高いことは、逆の因果関係やナトリウム摂取の偏った推定などの要因に起因するアーチファクトであることを示唆する人もいます。 ナトリウム摂取量の変化と血圧の関係の性質は、ナトリウム削減に基づく健康介入の可能性を理解するための鍵です。特に血圧が正常な参加者については、明確な用量反応関係を決定できなかったため、データの以前の概要は限定的でした。以前のメタ分析の特定の問題は、尿の分画サンプルから推定されたナトリウム摂取量に関する研究を含めることでした。

 少量の尿サンプルは、真の摂取量が少ない場合はナトリウム摂取量を過大評価しますが、真の摂取量が多い場合は過小評価します
 短期間の研究では、ナトリウム摂取量の変化が血圧に及ぼす平均影響の推定値を混乱させる可能性があります。なぜなら、ナトリウムの大幅な短期間の減少は、異なるタイプの血圧反応を誘発する可能性があるからです。
 複数の時点で行われた測定による15の研究を含む以前の分析では、血圧に対するナトリウム減少の効果が、介入の期間が長くなるにつれて持続するか、減少するか、増加するかを判断できませんでした
 この系統的レビューとメタ分析の目的は、以前のレビューと比較してより制限された包含基準を適用することにより、食事性ナトリウム減少と血圧変化の用量反応関係を調べ、介入期間の影響を調べることでした。

医療職:COVID-19回復中のRT-PCR陽性所見についての報告

いつ感染リスクがなくなると判断するか?一度、2連続RT-PCR陰性となっても、その後、5−18日?までに陽性となる事例が報告されている。
念入りに検査されているようで、少なくとも偽陽性というわけではないようだ。


PCR検査だけだとウィルスの真のビルレンスを反映しているわけではないのでその判断は難しい。RT-PCR陽性となっても感染リスクがあるのか?情報が欲しいところである

対象が、医療職だけに復職までの期間設定も難しい


Positive RT-PCR Test Results in Patients Recovered From COVID-19
Lan Lan,et al.
JAMA. Published online February 27, 2020. doi:10.1001/jama.2020.2783

コロナウィルス疾患(COVID-19)に関する今までの研究は主に確認された感染症患者に於ける疫学的、臨床的、レントゲン学的特徴が主眼であった。回復患者のフォローアップに対しては関心は払われてなかった

方法:
2020年1月1日〜2020年2月15日までの、COVID-19の1名の入院患者と3名の自宅検疫患者(全員医療関係者)で中国の武漢大学の中南病院(Zhongnan Hospital of Wuhan University, Wuhan)で治療を受けた対象者で、職場復帰可能か決定するためにCOVID-19核酸へのRT-PCRで評価した。
退院時或いは検疫終了のための全てのフォロー状況クライテリアに一致
(1) normal temperature lasting longer than 3 days:3日を超えて正常体温継続 
(2) resolved respiratory symptoms:呼吸器症状改善 
(3) substantially improved acute exudative lesions on chest computed tomography (CT) images:胸部CT画像での急性滲出病変の持続的改善 
(4) 2 consecutively negative RT-PCR test results separated by at least 1 day:少なくとも1日は空けての、2回連続RT-PCR陰性
RT-PCR検査は咽頭拭液を以前記載された方法で施行。 Chinese Center for Disease Control and Preventionから推奨されたRT-PCR検査キット(BioGerm)。同じ技術者で検査キットブランドを全てのRT-PCR検査に使用;内部対照と陰性対照をルーチンに検査のbatch毎施行
住民統計情報、検査所見、レントゲン特徴を電子カルテから収集。回復後、患者とその家族に直接接触し、患者にRT-PCRのため咽頭拭液採取の為病院受診するよう質問する。
この研究は、Zhongnan Hospital of Wuhan University施設レビューボードから承認され、インフォームドコンセントの必要性は見送られた

結果:

4名全員、医療専門職としての仕事から新型2019コロナウィルス暴露。2名は男性年齢は30−36歳。患者3名の内、発熱、咳嗽、その両方発症時に出現。1名は無症候性で、感染患者のthin-section CTを行った。全ての患者はRT-PCR陽性で、CT画像ですりガラス状陰影(GGO)とmixed GGO、コンソリデーションを呈した。重症度は軽症〜中等
抗ウィルス薬(オセルタミビル75mg 12時間毎)4名とも使用。3名では臨床症状やCT画像異常改善。四番目の患者のCT画像はGGOのdelicateなpatch所見であった。4名全例2回連続陰性RT-PCR検査結果。症状発症から回復までは12−32日間。
退院後あるいは検疫終了後、患者には5日間の自宅検疫継続をするよう依頼。RT-PCR検査を5−13日で繰り返し、全例陽性であった。全ての患者は次の4−5日の間に3回の繰り返しRT-PCR検査、全例陽性異なる製造会社のキットを用いたRT-PCRを追加施行しても陽性であった。
患者は臨床的検討でも無症候継続で、CTは以前の画像から変化はなかった。呼吸器症状のある人との接触報告はない。家族はだれも感染していない。

考察:
中国で退院または検疫終了の基準を満たしたCOVID-19の4人の患者(臨床症状と放射線学的異常の欠如、およびRT-PCR検査結果2件の陰性)で、5〜13日後にRT-PCR検査結果陽性であった。これらの知見から、回復した患者の少なくとも一部がまだウイルスキャリアである可能性を示唆している。
家族での感染はなかったが、報告された患者はすべて医療専門家であり、検疫中は特別な注意が払われていた。退院または検疫の中止および継続的な患者管理の現在の基準を再評価する必要がある。過去の研究で示唆されたように、偽陰性のRT-PCR試験結果が発生した可能性があるが、 2連続陰性RT-PCR試験結果に加え、臨床的特徴および胸部CT所見からの証拠により、4人の患者が退院または検疫中止の資格があると判断された。
この研究は、軽度または中程度の感染症の少数の患者に限定されていた。さらなる研究は、医療専門家ではなく、退院または検疫の中止後により重度の感染症にかかった患者を追跡する必要がある。より大きなコホートに関する縦断的研究は、疾患の予後を理解するのに役立つだろう






P2X3受容体アンタゴニストGefapixant 不応性咳嗽などへのP2bトライアル

やはり、副事象:味覚障害とのバランスが問題のようだ


Gefapixant, a P2X3 receptor antagonist, for the treatment of refractory or unexplained chronic cough: a randomised, double-blind, controlled, parallel-group, phase 2b trial
Prof Jaclyn A Smith,  et al.
The Lancet Respiratory Medicine
Published:February 25, 2020
DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30471-0
https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(19)30471-0/fulltext


12週間プラシーボ2b、ランダム化二重盲検プラシーボ対照化研究
治療不応性慢性咳嗽あるいは原因不明咳嗽対照(1年以上継続、レントゲン所見異常認めず VAS 100mm 40mm以上)

2015年12月21日〜2016年6月26日まで、プラシーボ割り付け n=63、 Gefapixant, a P2X3 receptor antagonist 7.5mg n=64、20mg n=63, 50mg n=63で1日2回投与


患者平均年齢 60.2(SD 9.9)歳、女性 193(76%)
12週時点での患者幾何平均覚醒時咳嗽回数 /時間(幾何学的SD) :プラシーボ 13.2(3.1)、 7.5mg 14.5(3.7)、20mg 12.0(4.2)、 50mg 11.3(2.8)

プラシーボとの推定パーセンテージ比率 7.5mg -22.0% (95%信頼区間:CI, -41.8 to 4.6; p=0.097)、 20mg -22.2% (-42.0 to 4.3; p=0.093)、 50mg -37.0% (-53.3 to -14.9; p=0.0027)




Dysgeusia:味覚障害が多く、プラシーボ 5%、7.5mg 10%、 20mg 33%、 50mg 48%



かつて、P2X3受容体アンタゴニストに関しては触れている



慢性咳嗽治療: P2X3受容体アンタゴニスト:AF-213 ・・・ 効果はあるようだが、味覚障害ほぼ全員?
https://kaigyoi.blogspot.com/2014/12/p2x3af-213.html

インターフェロンγと慢性咳嗽
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/10/blog-post.html
経障害性疼痛からの示唆として、P2X3も慢性咳嗽の病態に関与する可能性。迷走感覚神経のAMPA受容体antagonistでAMPAのような非NMDA受容体活性化されるとともに、直接作用として Ca2+直接流入が生じることで、  グルタミン酸がinotropic NMDA、非NMDA受容体で咳嗽発生を誘発する可能性あり


noteへ実験的移行

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