うつと、心血管疾患関連性の信頼しうる2つの研究
20年間に及ぶうつ症状反復測定研究(Whitehall II cohort)では、量依存的にうつと冠動脈死・非致死性心筋梗塞の関わりがあきらかとなったが、卒中との関連性は認めなかった。
うつと、冠動脈疾患との量依存的関連性
卒中にともなう、うつ症状の先行的関連性が、一部・あるいは全体的に関連するかが問題
Depressive disorder, coronary heart disease, and stroke: dose–response and reverse causation effects in the Whitehall II cohort study
European Journal of Preventive Cardiology February 3, 2014 2047487314520785
Eric J Brunner ,et. al.
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Whitehall II study (n = 10,036, 31,395 人観察, 開始時年齢 44.4歳)
30項目のGHQ-30と、1項目のCES-Dでうつ症状6回反復計測
このコホートは、主要冠動脈イベント(冠動脈血管死/非致死的心筋梗塞)、卒中(卒中死/合併症)を国内死亡統計Hospital Episode Statistics、ECG検診、カルテ、自己アンケート施行。
GHQ-30 caseness(症状ベースでなされた精神診断)は、0-5年間では、卒中予測可能だったが、5-10年間では予測できず (年齢-、 性別-、 民族-補正 HR 1.60, 95% CI 1.1–2.3、 HR 0.94, 95% CI 0.6–1.4)
直近5年観察周期では、累積 GHQ casenessでは、量依存的に、冠動脈疾患イベントと相関 ( 1 - 2 倍: ハザード比 1.12 , 95% CI 0.7 - 1.7 ; 3 - 4 倍 : 2.06 95% CI 1.2 - 3.7)、さらに CES-D casenessは冠動脈疾患予測となる (HR 1.81, 95% CI 1.1–3.1)
Improving Mood-Promoting Access to Collaborative Treatment (IMPACT)
CVD(心血管疾患)発症前に、行われた、collaborativeなうつ治療は、高齢者うつ患者に、重度CVDリスク超過を半減するという結論
臨床的CVD発症前のうつ治療がCVDイベント減少させるかの検証のため、ランダム化対照、8年間フォローアップ研究。
Effect of Collaborative Care for Depression on Risk of Cardiovascular Events: Data From the IMPACT Randomized Controlled Trial
Psychosomatic Medicine January 2014 vol. 76 no. 1 29-37
60歳以上のプライマリケア患者(うつ、気分変調症)235名
12ヶ月間の、抗うつ・心理療法治療 vs 通常治療で比較
CVDイベント総数119(51%)
仮説通り、治療xベースラインCVD相関は有意 (p = .021)
ベースラインCVDの無いIMPACT 患者は、通常ケアに比べ48%リスク減少(28% vs 47% ハザード比 0.52, 95% 信頼区間 0.31 - 0.86)
5年間NNTは、6.1。イベント尤度の差は認めず (86% versus 81%, ハザード比 = 1.19, 95% 信頼区間, 0.70–2.03).