2015年9月17日木曜日

未発表データを含む検討Restoring Study 329:青年期うつ パキシル治療は無効で自殺と関連する

“restoring invisible and abandoned trials” (RIAT)は、2013年国際的な研究者グループが 未出版・未発表を含みミスリーディング出版修正のため検討された報告



青年期うつ薬物治療のトライアル、SmithKline Beecham’s Study 329 (published by Keller and colleagues in 2001)の再解析




Restoring Study 329: efficacy and harms of paroxetine and imipramine in treatment of major depression in adolescence
 BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h4320 (Published 16 September 2015) Cite this as: BMJ 2015;351:h4320


パロキセチンとイミプラミンの有効性は統計学的にも、事前設定プライマリ・セカンダリ有効性アウトカムに対して、臨床的にもプラシーボと比べ有意な差を認めない




HAM-D scoreは、パロキセチン 10.7 (最小自乗) (95% 信頼区間 9.1 to 12.3)、 イミプラミン 9.0 (7.4 to 10.5)、 プラシーボ 9.1 (7.5 to 10.7)ポイント  (P=0.20).



Fig 3 Differences in HAM-D % responders in study of efficacy and harms of paroxetine and imipramine in treatment of major depression in adolescence (table 2 shows numerical values). LOCF=last observation carried forward, MI=multiple imputation




パロキセチン群では、臨床的有意な有害性増加あり、自殺思考・行動、他の重度副事象イベント増加あり、イミプラミン群では心血管障害増加あり




Timing of suicidal and self injurious events in Study 329, Keller and colleagues, and RIAT analysis


ストレス反応とアルツハイマー病:CRFストレス反応はアミロイドβ産生を亢進・・・そのメカニズム




The stress response neuropeptide CRF increases amyloid‐β production by regulating γ‐secretase activity
Hyo‐Jin Park, et. al.
The EMBO Journal (2015) 34, 1674-1686

ストレスがアルツハイマー病リスクに関わる生物学的支柱は十分判明していない。CRF、副腎皮質刺激ホルモン放出因子は、クリティカルなストレス反応メディエータであるが、これがアミロイド-β(Aβ)に影響を与えるか検討

細胞内ではCRF処置でAβ産生増加し、CRF受容体1(CRFR1)とγ-secretase internalizationのトリガーとなる


http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.15252/embj.201488795/abstract





Co‐immunoprecipitation研究で、γ`−SecretaseとCRFR1の関連性が確立し、これはβ-arrestin結合motifで介する。


加え、CRFR1とγ-Secretazeは、lipid raft fractionにco-localizeし、CRF処置依存的にγ-secretase蓄積が生じる。CRF処置は又、in vitro でのγ-secretase活性を亢進し、2つめの受容体非依存性活性化メカニズムであることが判明した。


CRFは、内因性ニューロペプタイドで、直接γ-secretase活性を調整する。意外なことに、CRFR1アンタゴニストもまたAβを増加させる。


γ-Secretaseを介したCRFとAβ増加の集積的関連性がデータで明らかになり、アルツハイマー病リスクをストレスで増加させるメカニズムの考察に役立つこととなる


CRFを直接ターゲットとする事で、アルツハイマー型認知症への治療ベネフィットの可能性、一部にはγ-Secrretaseによる複合的作用を介したAβ42増加症例の可能性も示唆




コーヒーは体内時計への影響を与える

夜、コーヒー1杯吞むと、目が覚め続ける理由は単にカフェインの覚醒作用だけではないようだ。エスプレッソ2杯を就寝3時間前に飲むと睡眠ホルモンメラトニンが40分までに産生され、眠れなくなる。


コーヒー飲用は体内時計への影響もあたえる

アデノシン受容体に直接影響与え、細胞内メッセンジャーcAMPを増加させ、カフェインが体内時計への生化学的影響のkey cogであることが示された。


Effects of caffeine on the human circadian clock in vivo and in vitro
Tina M. Burke , et. al.
Science Translational Medicine 16 Sep 2015:Vol. 7, Issue 305, pp. 305ra146



高血圧治療:黒人にはACE阻害剤つかうことなかれ?

本来はコストとエビデンスの質と量から言えば、ACE阻害剤処方が圧倒されるべきなのだが、アジア人種はACE阻害剤による咳嗽比率が高く、44%と約半数ちかくに副作用出現し、臨床の場では使いにくい薬剤となっている一方、逆に肺炎抑制効果を示す報告がある。アジア人種に於けるスペキュレーション必要だが、なんせ薬剤が古いので製薬メーカーにたかってる日本の研究者には期待できない・・・



高血圧初期治療オプションとして黒人ではACE阻害剤使用を避けるべきとされている。
http://www.medscape.com/viewarticle/407776_1




臨床トライアルでは、黒人では白人に比べ、ACE阻害剤ベースのレジメンのベネフィット落ちることが示唆されてはいるが、臨床トライアルでは確認されてないといいながら、コホート43万4656名臨床トライアル後顧的評価。

評価アウトカムは、全原因死亡、卒中、急性心筋梗塞組み合わせを、Black-ACE、Black-NoACE、White-ACE、White-No-ACEに分けて比較



Comparative Effectiveness of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor-Based Treatment on Cardiovascular Outcomes in Hypertensive Blacks Versus Whites
Gbenga Ogedegbe, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2015;66(11):1224-1233. doi:10.1016/j.jacc.2015.07.021


新規ACE阻害剤使用 59,316、黒人 47%
ベースライン特性はInverse probability of treatment weighting (IPTW)法補正で同等。

組み合わせアウトカムにて、人種治療interactionは有意に存在 (p = 0.04); 黒人のACE 阻害剤使用は、心血管アウトカム悪化と相関  (ACE vs. NoACE: 8.69% vs. 7.74%; p = 0.05) 、しかし白人ではそうではない(6.40% vs. 6.74%; p = 0.37).

同様に、黒人ACEグループは、黒人ACEーNOACE群に比べ、AMI高率  (0.46% vs. 0.26%; p = 0.04)、卒中高率 (2.43% vs. 1.93%; p = 0.05)、うっ血性心不全高率 (3.75% vs. 2.25%; p  < 0.0001)

しかし、Black-ACE群はWhite-ACE群より副作用影響発症多くない







上図は相対比較なので、変な妄想をおこさないように・・・





noteへ実験的移行

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