2012年7月5日木曜日

ビタミンDは、上限値近い高用量でなければ骨折予防はっきりせず

閉経後女性骨折予防防止のためのカルシウム・ビタミンDサプリメント使用しないよう推奨へ・・・  2012年6月13日


この提言以降、ビタミンD業界の攻勢が盛ん・・・NEJMにおいて、ビタミンDサプリメントの効果についてメタアナリシス


ビタミンDは高用量でなければ効果確実で無く、効果発現のためには、ビタミンD許容上限値に近い量で無ければならないということになる。



11の二重盲検ランダム化対照化トライアル

ビタミンDは800IU/日以上ならベネフィットありそうだが、792 IU/日未満なら効果無し
800IU=20μg

A Pooled Analysis of Vitamin D Dose Requirements for Fracture Prevention
Heike A. Bischoff-Ferrari, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:40-49July 5, 2012

65歳以上で、高用量ビタミンDサプリメント(800IU/日以上)で若干、股関節骨折や他の非椎体骨骨折予防に好影響あり
31022名(平均年齢、76歳、91%女性)
股関節骨折1111、非椎体骨骨折3770



ランダム割り付け登録者は、対照群と比べ、股関節骨折リスク10%減少するも有意差無し   (hazard ratio, 0.90; 95% 信頼区間 [CI], 0.80 ~ 1.01)、非椎体骨骨折では7%減少  (hazard ratio, 0.93; 95% CI, 0.87 ~ 0.99).

実際の服用用量4分位に基づく評価では、 最高摂取量(中央値 800IU/日;range 792-2000)でのみ股関節骨折30%減少 (hazard ratio, 0.70; 95% CI, 0.58 ~ 0.86)、非椎体骨骨折14% 減少  (hazard ratio, 0.86; 95% CI, 0.76 ~ 0.96).

ビタミンD高摂取量のベネフィットは、年齢別、ベースラインビタミンD濃度、カルシウム付加量サブグループ横断的に一致性微妙



参考:
米国女性:ビタミンD投与と用量反応曲線  2012年3月21日



日本でのビタミンD上限量50μg(2000IU)/日とうことで、かなりの高用量サプリメントとなる。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4j.pdf


治療域とすべきビタミンD摂取量はかなり高用量であり、安全域が狭いのではないかと思う。




膀胱癌リスク:アクトス独特?

ピオグリタゾン(アクトスなど)の膀胱癌リスクは、ランダム化トライアルのpooled dataでは、45%、但し、有意差認めない。観察研究では15%ほど増加。ロシグリタゾン(アバンディア)では関連性乏しい。

どうも、アクトス独特の有害性である可能性が浮上した。


1787研究、4つのRCT、5つのコホート、1例の症例対照研究のメタアナリシス


Use of thiazolidinediones and the risk of bladder cancer among people with type 2 diabetes: a meta-analysis
Isabelle N. Colmers
CMAJ July 3, 2012 cmaj.112102



 膀胱癌との関連性

上が、ピオグリタゾン、下が、ロシグリタゾン




アクトス後発品・合剤登場し、市場拡大されていると思う。


BMJ後顧的コホート;ピオグリタゾンと膀胱癌の関連確認 期間・投与量累積と相関 but 日本ではジェネリック・合剤と製品増加!  2012年6月4日



アクトスなどの抗糖尿病薬は糖尿病性黄斑浮腫リスク増加させる 2012年6月12日

後発メーカーMRは有害性情報を提示しているのだろうか?

厚労省**役人に、おかれましては、是非調査を御願いしたい!

有害性情報などへのコストを出し惜しみして、国民の健康被害を軽視するジェネリック産業といわれないためには、後発品メーカーも仕事をしなくちゃ・・・




BMJのニュース項目に、アクトスの膀胱癌リスク確認って書かれてる・・・

Meta-analysis confirms raised risk of bladder cancer from pioglitazone
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4541 (Published 4 July 2012)
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e4541


英国じゃ、おそらく、発米禁止になるんじゃ無かろうか? おフランスが正しかった?

RCT:肺線維症でのワーファリン治験 死亡率増加し中断

動物・ヒトの研究から肺線維症で凝固系カスケードの重要性知見がある・・・ということで、ワーファリンの治療効果に関する検討。
ランダム化プラシーボ対照化トライアル。


結果は、死亡数多く、治験登録中、中断勧告。


A Placebo-Controlled Randomized Trial of Warfarin in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Imre Noth ,et. al.
Am. J. Respir. Crit. Care Med. July 1, 2012 vol. 186 no. 1 88-95


プライマリアウトカムは、死亡までの期間、入院(非出血性、非待機的入院)、FVC10%以上の絶対的減少の組み合わせ

ワーファリン群でのベネフィット確率が低く、死亡率増加(ワーファリン 14、プラシーボ 3;p=0.005)がみられたため、独立委員会( Data and Safety Monitoring Board )から中止推奨


256名計画の145名   (ワーファリン 72, プラシーボ 73)

 
フォローアップ平均 28週間



 ワーファリン使用に関して、
CHADSなどのリスク評価、層別化せずに使用したリスクと同等なのだろうか?
それとも、肺線維症故のワーファリンのなんらかの副事象機序があるのだろうか?


肺線維症でのワーファリン適応は慎重にする必要があるだろう。

米国軍内調査:MRSAは減少傾向 :黄色ブドウ球菌血液・皮膚軟部組織感染の重要性増加


Epidemiology of Staphylococcus aureus Blood and Skin and Soft Tissue Infections in the US Military Health System, 2005-2010
Michael L. Landrum, MD; Charlotte Neumann, MPH; Courtney Cook, MS; Uzo Chukwuma, MPH; Michael W. Ellis, et. al.
JAMA. 2012;308(1):50-59. doi:10.1001/jama.2012.713


米国国防総省の調査で、900万人のactive、non-active軍人調査


MRSA (Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)は主に病院患者、手術に関わる感染、注射部位や人工肢感染と関連し、抗生剤抵抗性の問題と共に、密接な皮膚接触のある高校や託児所、雑踏環境下で問題となっている。



侵襲性MRSA、community-onset MRSAすなわち、住民環境発症MRSAについての報告で、米国市民のcommunity-onset MRSA感染、皮膚・軟部組織感染(SSTIs)が有意に公衆衛生問題となっている。



community-onset MRSAに対し、院内発症 hospital-onset MRSAは減少しているが、community-onset MRSAに関しては不明であったということで調査。

2005年から2010年、国防総省医療システム内で診療を受けた920万超、男性 52%、non-active duty 84%
  • 黄色ブドウ球菌血液感染 2,643
  • 創部・肛門膿瘍・黄色ブドウ球菌培養 80,281
  • community-onset MRSA感染 2,094 (79 %) 
  • 黄色ブドウ球菌SSTIs 79,801 (99 %)
  • community-onset MRSA 菌血症は65歳以上で最も多い
  • community-onset 菌血症は女性より男性で多い
  • community-onset MRSA黄色ブドウ球菌SSTIsの比率58%は、community-onset MRSA菌血症(39%)や院内発症SSTIs(53%)より有意に比率が高い。
  • 院内発症MRSAによる54%はMRSAによるもの
全体的には、発症率は、2006年の62%から2010年の52%と少ないながら減少。

院内、市中とも、兵役対象では発症減少、しかし、黄色ブドウ球菌菌血症やSSTIsではそのburdenは広がっており、その面を重視した予防・治療戦略が必要。



MRSA医療関連感染頻度の減少がみられるが、今後さらに他の要素検討必要で、より効果的な予防戦略が必要。

参考: http://www.medicalnewstoday.com/articles/247454.php

noteへ実験的移行

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