2012年4月20日金曜日

再発性アフタ性口内炎へのマルチビタミン効果認めず

再発性アフタ性口内炎:Recurrent aphthous stomatitis (RAS)

単施設ランダム化平行アーム二重盲検プラシーボ対照化研究

Multivitamin therapy for recurrent aphthous stomatitis: A randomized, double-masked, placebo-controlled trial
Rajesh V. Lalla, et. al.
JADA April 2012 143(4): 370-376


毎日のマルチビタミン補給

3ヶ月以内の特発性軽症のRASエピソードある患者を160名の成人対象に
1日1回マルチビタミン
第1群(n=83):必須ビタミン
第2群(n=77):プラシーボ

新規エピソード平均数
ビタミン群:4.19エピソード
プラシーボ群:4.60エピソード(P=0.69)

新規RASエピソード平均期間
マルチビタミン群:8.66日間
プラシーボ群:8.99日間(P=0.60)

2群の口腔内痛、正常な食事への回帰、研究服用レジメンへのコンプライアンスで差が無かった。


筆者らは、ビタミン不足がある場合があるので、重度の場合はスクリーニングしなさいと・・・
特にビタミンB12と葉酸不足の例について注意が必要。

上記は予防的介入だが、筆者らは、予防的処置として確立したものはないと述べている。


治療としては、“トリクロサン (triclosan)”含有うがいは放射性口内炎(J Cancer Res Ther. 2010 Oct-Dec;6(4):466-72)、RAS(J Clin Periodontol. 1996 Aug;23(8):778-81.)で有効。

 鎮痛剤としてはアセトアミノフェン、様々な局所塗布がためされている。
重症例では、外用ステロイド:オラベース混合だが、ヘルペス感染が疑われる例では注意が必要。

Interventions for recurrent aphthous stomatitis (mouth ulcers)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD005411/abstract

慢性外傷性脳症(CTE):商業的格闘家脳長軸研究 ボクサーや職業的格闘家・フットボールプロ選手など

American Academy of Neurology's 64th Annual Meetingの事前情報がそのソース
http://www.wgal.com/news/health/Scientists-making-strides-to-define-crippling-brain-disease/-/9360276/10998498/-/item/0/-/ul93iwz/-/index.html


職業的なフットボール選手や繰り返す頭部外傷にさらされる人たちでは、意思決定・感情に関与する部分に粘性tangleが蓄積する。

Chronic traumatic encephalopathy(CTE)という病態

“Professional Fighters Brain Health Study”と呼ばれる長軸研究結果が発表される。

パーキンソン病やアルツハイマー病のように、発症前から進行が見られる。
109名の頭部外傷が日常的な、ボクサーや様々な武闘芸術家、自己報告・記録からの武闘競技記録調査。
6年未満、6-12年、12年以上で、格闘回数との相関と脳CTE病変との関連を調査し、6年を越えると脳の視床下部・尾状核、海馬の萎縮が見られ、記憶との関連性が見いだされた。
格闘回数が増えるほど、萎縮は著明となる。
12年以上で、パフォーマンス悪化し、進行悪化が明らかになる。症状発症善からCTEに至る脳の病変は存在する。
Dr. Charles Bernic(Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain Health)がリードした研究。



Center for the Study of Traumatic Encephalopathy
http://www.bu.edu/cste/
Chronic Traumatic Encephalopathy (CTE) :慢性外傷性脳症は脳の進行性変性疾患で、脳しんとう、無症状脳しんとう未到達打撃を含む反復性頭部外傷既往のあるアスリート(時にはそれ以外でも)生じる。 CTEは1920年代からボクサーでは既知の病態だったが、反復頭部外傷既往の職業的フットボールプレイヤーや他アスリートにおいて神経病理学的確認CTE症例が最近報告が続いている。この外傷がトリガーとなり、脳へ進行性変性を生じ、tauと呼ばれる異常たんぱくのbuild-upをもたらす。 外傷後数ヶ月、数年、時に数十年後に、引退後かもしれないが、この脳の変化をもたらす。 脳の変性は、記憶障害、混乱、判断障害、衝撃的問題行動、攻撃性、うつ、時に認知症発症と関連する。








【参考】

King-Devick 検査:ボクシング・格闘技関連頭部外傷・脳しんとう検査の妥当性 2011年 05月 02日

小児:軽度頭部外傷でも注意力・認知・記憶障害に影響を与える

文明国ではボクシングは追放されなければならない 2005年 08月 23日

ヘッドギアしてもボクシングは頭に悪い 2006年 09月 12日

アマチュア・ボクシングによる慢性外傷性脳損傷の存在:否定的論文なのだが・・・ 2007年 10月 05日

フットボールにもボクシングのような反復頭部外傷による認知機能、軸性障害など・・・遅発性明らかに2010年 09月 24日

K-1甲子園:危険性への配慮が足りなさすぎる  2008-09-03

ASSERTIVE研究:アリスキレンはARBに比べ降圧持続性がある

アリスキレン(ラジレス)はARBに比べ持続下降圧降下を認め、終了後も7日間継続する。

ORIGINAL PAPERS: Therapeutic aspects
Sustained decrease in blood pressure following missed doses of aliskiren or telmisartan: the ASSERTIVE double-blind, randomized study
Journal of Hypertension: May 2012 - Volume 30 - Issue 5 - p 1029–1040
doi: 10.1097/HJH.0b013e328351c263 
http://journals.lww.com/jhypertension/Abstract/2012/05000/Sustained_decrease_in_blood_pressure_following.30.aspx

1日1回アリスキレン150mg(n=414) vs テルミサルタン 40mg(n=408)
2週後、全患者を盲検下で、初期投与の2倍にuptitration


積極治療終了後、平均携帯型血圧記録は両群同様の減少

積極治療終了後7日間、24時間血圧測定SBP最小2乗平均はアリスキレン(2.7mmHg) vs テルミサルタン(6.5mmHg)

治療群差は、アリスキレンがやや有意   (−3.8 mmHg; P < 0.0001)

治験終了後に、24時間平均血圧増加同様に認めた  (−2.1 mmHg; P  < 0.0001)

平均座位SBPとDBPは、有意にテルミサルタンよりアリスキレンで低下し、SBP(2.0mmHg)、DBP(1.1mmHg)で、投与後終了day2でも明らかであった。

知ってた。



追記) ラジレスに関しては、以下の報告に注意を!

米国FDA警告:アリスキレン(ラジレス) ACE阻害剤・ARB併用、特に糖尿病に関しては禁忌と・・・ 2012年4月21日

血液でうつ診断: 大うつ病性障害発症早期での血中transcriptマーカーの可能性


Discovery of blood transcriptomic markers for depression in animal models and pilot validation in subjects with early-onset major depression
Translational Psychiatry (2012) 2, e101; doi:10.1038/tp.2012.26
Published online 17 April 2012



Early-onset major depressive disorder (MDD):早期発症状態の大うつ病性障害 は、思春期・若年成人にとって重要な問題。現行治療は最適で有効とは言えない。

trascriptional marker26候補を分析
うち11のマーカーで、非疾患群からの早期発症状態の)大うつ病性障害分類可能

18のtransriptは、不安症合併有無にかかわらず、分離できるが、一部オーバーラップ要素である。

4つのtranscriptは、慢性ストレス動物モデルからも検出され、若年の治療困難スコアと関連。

Descriptive statistics of blood transcript abundance differences between subjects with no disorder (ND), major depressive disorder (MDD)-only or MDD with comorbid anxiety disorder
表:http://www.nature.com/tp/journal/v2/n4/fig_tab/tp201226t2.html#figure-title

Effect sizes for comparisons between no disorder (ND) vs major depressive disorder (MDD; all), and MDD-only vs MDD with comorbid anxiety disorder
表:http://www.nature.com/tp/journal/v2/n4/fig_tab/tp201226t3.html#figure-title

パイロットデータでは、臨床的に価値ある診断法として、血中transcript要素がある。
heterogeneity診断に寄与する可能性、個別化治療に役立つ可能性。





)大うつ病性障害は、25歳までで生じる重大な精神疾患。家族リスクがあり、遺伝的病因も考えられている。12歳未満は1%未満だが、若年層になると17-25%まで増加する。予後不良で、薬物依存、身体的疾患、感情障害への移行など関連する。成人より薬物治療反応悪く、副作用予期しにくい。治療困難例となる。
発症早期介入あるいは遺伝的素因が分かればより若年からの介入の可能性も・・・


SOUND2続報:無インターフェロン2剤併用療法 ジェノタイプ1a、1b 有効率 68%

米国肝臓病学会(AASLD)で中間発表合った、SOUND-C2の続報に相当?
http://www.natap.org/2011/AASLD/AASLD_25.htm


 47th Annual Meeting of the European Association of the Study of the Liver (EASL)(4月21日)発表分の事前リークのお話?
 http://www.medicalnewstoday.com/articles/244343.php



362名対象のpIIトライアルで、進行肝疾患を含む。
once-a-day protease inhibitor BI 201335

polymerase inhibitor BI 207127
 ヨーロッパ・アジアで多く(82%に及ぶ)、治療困難なHCV genotype 1a CC、1b に対し28週治療で68%でウィルス学的治癒という表現

インターフェロンを含まないため、トレランスに関して期待が持たれている。


pIIIは現在進行中で、 genotype 1に対して行われている。




"Interferon-Free Hepatitis C Trial Achieves 82% Viral Cure"というタイトル、内容と違う。

2型糖尿病:メトホルミン+インスリン vs インスリン単独

心血管疾患などに比べ、 糖尿病において、発症までの期間が長いため、臨床的アウトカムを云々するのは、なかなか困難。

今やっている糖尿病治療が真に臨床的アウトカム改善に役立つのか,果たして、有害性を増加させてるのか、認識すること困難である。


2型糖尿病患者のRCT比較:メトホルミン+インスリン vs インスリン単独 有益性・有害性比較


メタアナリシス(2011年3月までデータベースに基づく)


Comparison of metformin and insulin versus insulin alone for type 2 diabetes: systematic review of randomised clinical trials with meta-analyses and trial sequential analyses
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1771 (Published 19 April 2012)
26ランダム化トライアル 2286名、23トライアル 2117名
すべてのトライアルにはバイアスリスク高い。患者アウトカムデータは少ない。
メトホルミン+インスリン vs インスリン単独で、全死亡率  (relative risk 1.30, 95% 信頼区間 0.57 - 2.99) 、心血管死亡率 (1.70, 0.35 - 8.30)に有意差認めず。

インスリン+メトホルミン群の方がインスリン単独群より、重度低血糖が多いことは、fixed effect modelでは認めたが、random effects modelでは認めない (2.83, 1.17 - 6.86)

random effects modelにおいて、メトホルミン+インスリンでは、HbA1c、体重増加、インスリン使用量はインスリン単独より減少。
トライアル連続分析では、HbA1c減少 0.5%、体重増加減少 1kg、インスリン投与量 5U/ 日の低下が示されている。

この報告も、結果的には、糖尿病としての検査・所見の改善を見てるのに過ぎないわけだが・・・。


糖尿病診療することが多いのだが、糖尿病の分野って、権威依存的傾向の多い分野だなぁと思う。おそらく、これは、イベント発症に関し、他疾患より長い年月を必要とするため、イベント多寡がすぐに出てこないことも一因と思う。

 たとえば、諸外国と違い、日本では、75歳以上のメトホルミン投与困難な状況になっている。

糖尿病関係のおえらいさんたちはほんとにこれで良いと思ってるのだろうか?糖尿病診療のガラパゴス化が起きている。 関係学会の利益相反は、結果的に、国民の健康に多大なる悪影響をもたらしてるのではないかと、疑ってる。

特定の学会の指導者達が、新薬宣伝に懸命になる理由は、創薬や新薬のマーケッティングに主体的に関わり、それから利益を得て いるからだろう。その代わり、古くて良い薬が、市場において正当の評価を得られること無く、そのマーケットを失っていく。 諸外国では、メトホルミンは2 型糖尿病の第一選択薬である。


ところで、“fixed effect model”と“random effects model”・・・EBMへの教育が他雑誌より熱心なBMJ なので、なんらかの意味がある?


pubmed検索してみたが、以下の通り・・・
fixed effect model : 4915
fixed-effect model:900
fixed effects model: 7100

random effect model: 10168
random-effect model:1071
random effects model :16177

参照:http://www.uncg.edu/bae/people/ribar/teaching/ECO721/Notes/PANEL.pdf


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