2019年10月22日火曜日

【失敗】メトプロロールCOPD急性増悪抑制効果確認できず


メトプロロール添付文書から
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[喘息等の症
状を誘発・悪化させるおそれがあるので、気管支拡張剤を
併用するなど慎重に投与すること]
COPDに関しては言及がないことを確認

β遮断剤として、“β1選択性、ISA-、脂溶性”の特性薬剤(昔は、あれほど必要だったのに、今は滅多に使われないフレーズ)

でも、実際の臨床では β遮断剤使うときはメインテートが多いと思う


このメトプロロールもβ1選択性なのだが・・・なぜ使われないか?
勝手な想像だが、心不全に関する臨床適応がアーチスト及びメインテートに限定されているため、顧みられなかったのではないかと・・・


以下の報告は、メトプロロール を、より積極的にCOPD急性増悪抑制効果を確認しようという試み・・・失敗に終わったが・・・



メトプロロール(セロケンなど)によるCOPD急性増悪予防効果確認トライアル


Metoprolol for the Prevention of Acute Exacerbations of COPD
Mark T. Dransfield, et al., for the BLOCK COPD Trial Group
N. Engl. J. Med.
DOI: 10.1056/NEJMoa1908142
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1908142


意義:中等・重症COPD患者におてい観察研究によりβ遮断剤は急性増悪・死亡リスク減少の可能性示唆されるが、ランダム化研究では確認されてない
前向きランダム化トライアル、40−85歳COPD患者β遮断剤(徐放メトプロロール) or プラシーボ
患者全例COPD臨床病歴、中等度気道閉塞、急性増悪リスク増加、前年急性増悪歴あるいは酸素補給処方の証拠
除外:β遮断剤使用患者、薬剤使用適応あり
プライマリエンドポイント:治療期間中初回COPD急性増悪までの期間(336-350日)、メトプロロール補正投与量に従う
結果:532名ランダム化。平均 (±SD) 年齢 65.0±7.8 歳; 平均FEV1 予測値比 41.1±16.3%
プライマリエンドポイント・安全性懸念のためトライアルが無駄と判断し早期中止
初期急性増悪までの期間中央値に群間差無し;メトプロロール群 202日、プラシーボ群 222日(ハザード比 1.05; 95% 信頼区間[CI], 0.84 - 1.32; p=0.66)
Metoprolol was associated with a higher risk of exacerbation leading to hospitalization (hazard ratio, 1.91; 95% CI, 1.29 to 2.83).
メトプロロールと関連する副作用頻度は2群間同等、非呼吸器系重大副事象イベントの総発生率も同等
治療期間中死亡 メトプロロール 11名 vs プラシーボ群 5名

結論:β遮断剤の確実な臨床的適応がはっきりしない中等・重症COPD患者の内、COPD急性増悪までの期間はメトプロロール群とプラシーボ群の群間比較で差は無い
急性増悪による入院はメトプロロール群が多かった
(Funded by the Department of Defense; BLOCK COPD ClinicalTrials.gov number, NCT02587351. opens in new tab.)






【勧善懲悪・dichotomy・水戸黄門】心血管死亡率:高尿酸血症は一方的に悪いやつ?

“尿酸の抗酸化作用”という魔法の言葉に惑わされ、高尿酸血症が果たして心血管疾患のリスク要素なのか・・・分からなくなっている

以下紹介の序文一部
Although many studies have been conducted assessing the relationship between UA and CVD, there is disagreement about this relationship [6]. These controversies are due to the dual effect of UA in the body [7]. The atherogenic effects of UA include induction of oxidative stress in cells, which reduces the bioavailability of nitric oxide associated with the activity of platelets and endothelial cells and the differentiation of smooth muscle cells in the vascular system. On the other hand, UA can also have antioxidant properties that can prevent atherosclerosis and improve endothelial function [8].
尿酸は、2つの異なる作用:動脈硬化原性:酸化ストレス誘導と抗酸化作用という相反する作用があるということと、腎性低尿酸血症(renal hypouricemia: RHUC)やFanconi症候群など結果的に低尿酸血症に関わる病態などもあり、善か悪かと判断しがちに、日本人気質からもんもんとする尿酸の立場



以下、ただより安いものはない・・・open access論文で、million 被験者
(って有り難がっててもしかたがない、nが多いほど臨床から解離するので解釈上注意が必要)

1,134,073被験者の44のarmを含む32研究

pooled analysisによると、血中尿酸値と心血管疾患死亡率リスクは相関有り(HR 1.45, 95% CI, 1.33-1.58, I2  79%)

Serum uric acid and risk of cardiovascular mortality: a systematic review and dose-response meta-analysis of cohort studies of over a million participants
Fatemeh Rahimi-Sakak, Mahsa Maroofi, Jamal Rahmani, Nick Bellissimo & Azita Hekmatdoost
BMC Cardiovascular Disorders volume 19, Article number: 218 (2019)
https://bmccardiovascdisord.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12872-019-1215-z






圧倒的に高尿酸血症悪モノ?

だが、高尿酸降下薬が心血管疾患死亡リスク低下させることを補償するものではない

高血圧と運動:どの血圧レベル群でも死亡率減少効果

高血圧症と運動に関しては疫学研究が多く、定期的運動が有意に血圧レベルを減少指せるという介入研究の知見が最近加わっただけである。しかしながら、定期的運動の降圧効果、特に心血管疾患や総死亡率への影響に関しては知見が乏しいという中、この論文の意義は身体活動が高血圧症患者に限定しても死亡率・心血管疾患アウトカムへこうかがある、量依存的効果の検討の2つ


European Society of Caridology/European Society of Hypertension guideline 2018では 血圧 180/110 mmHg以上では身体活動を推奨しないというものだが、この研究ではstage 2 高血圧では他の高血圧レベルの群と同様、死亡率減少効果があった。

さらに、年齢補正・多変量因子補正後、軽度・中等度/強度身体活動との総死亡率改善の差が縮小し、やはり高血圧管理のための運動量は軽度でも効果はあるようだ。
ただ、寄与要素として打ち消された量依存的効果のあるサブグループの存在の可能性も議論してほしい




Dose-Response Association Between Level of Physical Activity and Mortality in Normal, Elevated, and High Blood Pressure
Gowsini Joseph ,et al.
https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.13786
Hypertension. ;0:HYPERTENSIONAHA.119.13786


高血圧患者において、最大の健康ベネフィットをもたらす運動量評価試みられている。
この研究は日々の身体活動量と、全原因死亡率、心血管アウトカムを各々の血圧レベルで関連性について検討

18974名のランダムサンプル、白人男女、20−98歳、前向き心血管住民研究

レジャータイムの自己申告活動性を Physical Activity Questionnaire (level I: 不活発; II: 軽度activity ; and III: 中等/高度 activity)から導く

血圧:正常  <120 120="" 140="" hg.="" hg="" i="" ii="" mm="" nbsp="" p="" stage="">
平均フォローアップ期間 23.4±11.7年間
血圧全てのレベルで、身体活動量高値ほど、量依存的に総死亡率減少と関連

以下共役要素補正後もパターン維持;性、年齢、喫煙状態、教育、糖尿病、心血管疾患既往、BMI、暦時間

不活発と比べ、ハザード比はstabe I 高血圧:軽活動量 0.78   (0.72–0.84; P<0 .001="" 0.69="" activity="" nbsp="" p="">
すべての血圧レベルで、心血管イベントリスクは有意に身体活動レベル依存的に減少


結論:身体活動と総死亡率の相関性は全ての血圧レベルで量依存的に逆相関
身体活動は心血管イベント減少とその身体活動レベルに不問で相関






年齢補正、多変量補正





noteへ実験的移行

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