2013年3月19日火曜日

アリストロキア酸:腎障害

アリストロキア酸
アリストロキア酸を含む生薬の現状
 日本の薬局方で認められている生薬にはアリストロキア酸は含まれていません(5)。生薬の場合、名称が同じでも使用部位や植物が国によって異なることが ありますので、海外から健康食品や「いわゆる漢方薬」を個人輸入する場合は注意する必要があります。http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail684.html



The Epidemiology, Diagnosis, and Management of Aristolochic Acid Nephropathy: A Narrative Review
M. Refik Gökmen, et. al.
Ann Intern Med. 19 March 2013;158(6):469-477

【高血圧】クロルタリドン市場撤退は結果的には正解だった?

クロルタリドン(Chlorthalidone)が無くなって久しくなる。ヒドロクロロチアジドに関して、有効性エビデンスきわめて少ないという認識の元、以下の記載した。
日本の循環器科医がアホであるという証明・・・・クロルタリドンの日本での扱い 2011年 03月 29日
今回のクロルタリドンの副作用報告を見ると、結果的には、クロルタリドンの有害性事象は無視できず、市場撤退も仕方なかったのかもしれない。 Chlorthalidone Versus Hydrochlorothiazide for the Treatment of Hypertension in Older Adults: A Population-Based Cohort Study Irfan A. Dhalla, M et. al. Ann Intern Med. 19 March 2013;158(6):447-455
5年間観察Propensity-matched観察コホート プライマリアウトカムは、死亡・心不全入院・卒中・心筋梗塞 安全性アウトカムには低カリウム血症・低ナトリウム血症 総数 29,873名、フォローアップ期間中、プライマリアウトカムは、イベント100人年 クロルタリドン 3.2 ヒドロクロロチアジド 3.4(補正ハザード比, 0.93[95% CI, 0.81 to 1.06]) クロルタリドンは低カリウム血症(補正ハザード比、3.06[CI, 2.04-4.58])、低ナトリウム血症(補正ハザード比, 1.68[CI, 1.24-2.28] 9つのpost hoc解析では、クロルタリドン 12.5、25、50 mgの方が、ヒドロクロロチアジド 12.5、25、50mgより低カリウム入院増加し、統計学的に有意差が6剤比較で見られた。 結果有効性安全性は主要解析でほぼ一致。

慢性腰痛:オステオパシー治療のランダム化対照効果

オステオパシー治療は、Cochrane Back Review Group criterionを超える効果が認められ、安全で、医療費節約的、需要性の良い治療であることが、ランダム化二重盲験sham対照トライアルで認められた。

オステオパシー治療は、慢性腰痛に対し、他の治療補完的効果を認める。

National Institutes of Health–National Center for Complementary and Alternative Medicine and the Osteopathic Heritage Foundationサポート研究



Osteopathic Manual Treatment and Ultrasound Therapy for Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
John C. Licciardone, et. al.
Ann Fam Med March/April 2013 vol. 11 no. 2 122-129 

非特異的腰痛短期改善・ランダム化二重盲験sham対照化2×2区分デザイン
・osteopathic manual treatment:OMT(n=230)
・ultrasound therapy(UST) :(n=225)
×
・UST(n=233)
・sham UST(n=222)

6回の治療セッションを8週間

ITT解析:12週時点での腰痛・軽度・特定以上改善(ベースラインからの30%、50%改善)測定
セカンダリアウトカム、安全性、治療アドヒアランス評価

 OMTとUSTに統計学的相互関係認めず

12週後、OMT受療患者は、shamOMTより、軽度治療反応(奏功 [RR] = 1.38; 95% CI, 1.16-1.64; P <.001) 、特定以上改善多い (RR = 1.41, 95% CI, 1.13-1.76; P = .002)
 この改善の程度は、中等度effect sizeとしての Cochrane Back Review Group criterionに合致。
背部特異的、一般健康状態、腰痛による労務不能、安全性アウトカム、治療アドヒアランスに関して、OMTとsham OMTに差を認めず

OMT群患者は、研究を通して背部痛にへの満足度高い(p < .001)

背部痛への薬物処方OMT受療患者は、12週後shamOMT群より減少(使用率=0.66、95% CI, 0.43-1.00; p=.048)
超音波治療は有効でなかった

オステオパシーは、ドイツ人医師、Samuel Hahnemann (1755-1843)が基本概念を1700年後半にはじめ、「血流良ければ全てよし」という概念で、ホメオパシー:"homeopathy"は、ギリシャ語のhomoios(similar)+pathos(suffering or disease)に由来する。 疑似科学からスタートしたという部分は否めない。骨格・筋肉のmanipulationにより全ての疾患治癒につながるというもので、どれも科学的支持のないものであった。ハーブ・ミネラル・薬物使用の報告が有り、患者の症状に合わせたmateria medicaと書籍では読んでいる。 Stephen Barrettは、 “Still believed that diseases were caused by mechanical interference with nerve and blood supply and were curable by manipulation of ‘deranged, displaced bones, nerves, muscles—removing all obstructions—thereby setting the machinery of life moving.’ ” と、Quackwatch(Homeopathy: The Ultimate Fake Stephen Barrett, M.D.)。 NCCAM(National Center for Complementary and Alternative Medicine)では、"There is little evidence to support homeopathy as an effective treatment for any specific condition."とかかれ、エビデンスほとんど無いという認識で、米国州毎のライセンス対応がばらばらでregulationされてないという認識である。そのNational Center for Complementary and Alternative Medicine and the Osteopathic Heritage Foundationサポート研究で、エビデンスが示されたのは興味深い。 今後、この報告の評価に関して、様々な意見が出てくるだろうが・・・反論としては、シャム・プラシーボの妥当性やブラインド化の妥当性、客観的指標の存在しないことの意義などが予測される。

AAN:スポーツしんとうガイドライン

エビデンスに基づくガイドラインアップデート要約:スポーツしんとう評価管理
"Summary of evidence-based guideline update: Evaluation and management of concussion in sports: Report of the Guideline Development Subcommittee of the American Academy of Neurology"
Giza C, et al
Neurology 2013.
http://www.aan.com/practice/guideline/index.cfm?fuseaction=home.guideline&guideline=582



解説記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/03/130318151409.htm
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAN/37926

・研究評価されているスポーツの中で、しんとうリスクが最も高いのは、フットボールとラグビーで、次にホッケー、サッカー。若年女性・小児女性ではサッカーとバスケットのリスクが高い。
・しんとう1回以上の既往アスリートは、次のしんとう診断リスクが高い。

・しんとう後10日で、次のしんとう診断リスクがもっともリスク大きい。
・フットボールヘルメットの種類により、他のヘルメット種類と比べ、しんとうに対し防御効果的かどうか明確なエビデンスは存在しない。ヘルメットは適切にフィットされ、持続されなければならない。
・しんとう治療のトレーニングを受けたライセンスを有する医療関係者は、症状経過(特に頭痛、fogginess)、しんとう既往、若年アスリートを調査すべき。これらの要素は、心頭語の回復長期化と関連する。
FREE Online Concussion Training for Coaches from CDC (AAN is a participating organization)
FREE Online Concussion Safety Course for High School and Youth Coaches from the University of Michigan (Endorsed by the AAN)
・職業的アスリートにおける慢性神経行動異常にリンクするリスク要素は、しんとう既往、スポーツ長期暴露、ApoE4遺伝子の存在である。
・しんとうは臨床診断である。 "Symptom checklists, the Standardized Assessment of Concussion (SAC), neuropsychological testing (paper-and-pencil and computerized) and the Balance Error Scoring System " が、しんとう診断・管理の有効なツール

 Concussion Quick Check: Use these materials to help you recognize the signs and symptoms of concussion
Download the Concussion Quick Check Reference Sheet
Download the Concussion Quick Check App
App Store
Google Play

・しんとうの徴候・症状
・頭痛と光・音への過敏性
・反応時間、平衡・協同運動の変化
・記憶、判断、言語、睡眠の変化
・意識消失、"blackout"(10%未満)
疑いがあれば退場を! 運動開始後頭痛などの症状歳出減なら、運動をやめ、医師にコンサルトする。



Additional source: Neurology
Source reference:
Alessi A, et al "Protecting the brain in sports: What do we really know?" Neurology 2013.

パーキンソン病治療:Tozadenant(アデノシン2α受容体拮抗剤) off-time減少効果

American Academy of Neurology's annual meetingでの2題
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAN/37935

アデノシン2α受容体拮抗剤 tozadenantは、ジスキネジアを併発せず、off-timeを減少する
Olanow C, et al "A phase 2, placebo-controlled, randomized, double-blind trial of tozadenant (SYN-115) in patients with Parkinson's disease with wearing-off fluctuations on levodopa" AAN 2013; Abstract 005.
 ドパミン作動性刺激薬剤にて投与間隔の間に症状コントロール不全状態となる、off timeは比較的作用時間が未時間薬剤による投与量やその回数により生じるもので、利益的効果もwear offさせることとなる。
(追加注記. Wearing off:LDopa奏功時間短縮、服薬後数時間経過すると効果ゲンジャクする現象、No-on/Delayed on:Lドーパでも効果発現見られない現象、 On-off: Lドーパの服薬時間と関係なく良くなったり(on)悪くなったり(off)する
http://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson.html)


Tozadenant は経口選択的アデノシン2α受容体拮抗剤であり、線条体に濃縮し、ドパミン受容体のリガンド反応性を調整する薬剤。受容体遮断で、内在性ドパミンからのドパミン作動活動性をboostし、metabotropic グルタミン酸作動性受容体の活動性阻害するものと考えられている。pIIで、420名の患者に対し、プラセボと1−4種類の投与量12週間Ldopa追加投与にて、修正ITT解析にて、二つの中間量(120 mg×2:1.1時間、180mg ×2:1.2時間、いずれもp = 0.004)で、プラシーボ比較のベースラインからの平均off timeの減少効果を有意に認めた。60mg、240mg×2では有意差認めず


ジスキネジアにより妨げられた "On time" (症状良好コントロール到達)指数化では、ベースラインとの差は認めない
Tozadenantの中間投与量は、Unified Parkinson's Disease Rating Scale (UPDRS) part IIIスコア値の改善と相関し、全投与量はpart Iスコア改善をもたらした。

副作用(治療直結とは必ずしも言えない)ものとしては、ジスキネジア、吐気、dizziness、便秘、パーキンソン病症状悪化、不眠、転倒



ノルエピネフリン・プロドラッグである、droxidopa(Northera)は、lightheadedness、dizzinessの短期改善、起立性低血圧改善を一過性に示したという報告。
Isaacson S, et al "Droxidopa treatment impact on orthostatic symptoms and standing systolic blood pressure in patients with Parkinson's disease (PD) and symptomatic neurogenic orthostatic hypotension (NOH)" AAN 2013; Abstract 010.
神経原性起立性低血圧への薬剤として開発、ノルエピネフリン欠如によるメカニズムへの作用。

197名(225名登録から)をランダム化、プラシーボ、100−600mg×3回、8週間投与

第1週では、lightheadedness、dizzinessの平均スコア改善(p = 0.008)
ところが第8週では、その差は減弱し、傾向のみ(p  = 0.077)

平均収縮期血圧も同様な傾向で、第1週では+6.8 mmHg(P=0.014)だが、8週では+2.2 mmHg P=0.414
転倒率はdroxidopmaで著明に減少(平均 0.38/w vs 1.73/w)統計学的有意差に至らず

頭痛、dizziness、高血圧、吐気、疲労感が治療と関連

NICU看護師スタッフ不足は院内感染増加と関連

 米国のNICUでのガイドライン比較での看護師スタッフの不足の問題
このスタッフ不足が、極低体重児の院内感染オッズ比と関連するとのこと

Nurse Staffing and NICU Infection Rates
Jeannette A. Rogowski, et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-7.

病院understaffの程度は、ガイドライン比較で、NICU乳児に対しては32%、high-qcuity乳児に対しては92%
平均的staffingガイドライン最低限合致のためには、 乳児あたり 0.11、high-azuity乳児に対しては0.39の追加が必要。

極低体重児感染比率は2008年16.5%、2009年 13.9%

understaffing 標準偏差1増加毎、補正オッズ比は、2008年 1.39(95% CI, 1.19-1.62; P < .001)、2009年 1.39 (95% CI, 1.18-1.63; P < .001)


抗生剤長期乱用は医師のせい

下の論文の趣旨は表題の通りだと思うが、そのままだと、誤解が蔓延すると思う。
あくまでも、老人保健施設のような長期収容施設での話
抗生剤長期使用を7日間超としているが、例えば、軽症・中等症COPD感染増悪に関しては5日間投与で十分という報告はある(Thorax 2008;63:415-422 )が、重症例では抗生剤治療期間の十分なエビデンスはない。そもそも急性増悪2度目以降は、14日超のステロイド・抗生剤使用が推奨されている(ERJ June 1, 2003 vol. 21 no. 41 suppl 46s-53s)

調査対象を軽度・中等症だけの感染症に限定すべきだったと思う。


Prolonged Antibiotic Treatment in Long-term Care
Role of the Prescriber ONLINE FIRST
Nick Daneman, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-10. 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.3029.
Published online March 18, 2013
重要性  多くの細菌感染は、7日以下の抗生剤使用で、標準抗生剤使用期間減少化することで、長期ケアでの抗生剤過剰投与を節約

目的  施設入所・処方箋受領者と処方医師間での長期医療での抗生剤治療期間のばらつきと、このばらつきが処方者の好みによるものであるかどうか

デザイン・セッティング  地域的後顧的解析・オンタリオ市・カナダ、2010年の長期ケア施設

被験者 オンタリオの長期医療施設居住中の、66歳以上抗生剤全身投与治療

主要アウトカム測定  居住者・処方医師横断的な抗生剤投与期間
 7日間超過医師治療期間比率を、短期、平均的、長期処方に分類

結果 630長期医療施設66,901名のうち、50,061(77.8% )で抗生剤治療臨床経過(51 540抗生剤治療臨床経過)
 最も多い選択的治療経過は7日間(21,136[41.0%])、7日超過は23,124(44.9%)

20回以上の治療経過を有する、699名の医師 では、治療経過7日超過比率は43.5%(26.9%-62.9%)(range, 0%-97.1%)

処方者の21%で、7日閾値超過処方箋予測比率が高い

患者特性は、短期、平均、長期処方者で同等

mixed logistic modelにて、治療期間の決定因子は医師であり (P < .001)、 75、25パーセンタイル処方箋オッズ比比較で3.84

結論・新知見  長期医療施設での抗生剤治療経過は長期となりやすい。患者特性より処方箋者により影響を受ける。
さらなるトライアルで、抗生剤過剰投与による合併症、コスト、耐性減少のための、抗生剤stewardship intervention(財務管理介入)評価すべき

noteへ実験的移行

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