2017年5月29日月曜日

主治医が高齢になるにつれ死亡率上昇

ハーバード大論文 主治医が高齢になるにつれ死亡率上昇
NEWS ポストセブン 5/29(月) 配信


週刊誌のネタになっているので、メモ代わりに、ブログ記載


確かに、ハーバード大学論文ではあるのが・・・

スケジュール労働シフトホスピタリスト医治療によるメディケア保険支払い65歳以上入院患者の30日後死亡率



明確に60歳過ぎると増加



Physician age and outcomes in elderly patients in hospital in the US: observational study
Yusuke Tsugawa, et al.
BMJ 2017; 357 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j1797 (Published 16 May 2017)










序文に 「高齢医師ほどパフォーマンスが悪くなり、臨床的知識減少し、適切な治療スタンダードへのアドヒアランスが悪くなり、診断・篩い分け・予防への計測プロセス・パフォーマンス悪化」と書かれている


まぁぐうの音も出ないが・・・

2017年5月27日土曜日

リアルワールド:COPDリハビリテーション施行率少なく臨床トライアルでの効果が示せてない

システマティック・レビュー、主に、RCTにおいて、呼吸リハビリテーションはCOPD急性増悪(AECOPD)入院減少効果が示されているが、コホートでの結果とは一致してない。



絶望的なほどの呼吸リハビリテーション施行率、10%未満というのが、このイギリスの
UK Clinical Practice Research Datalink (CPRD)のプライマリケアデータからもうかがえる。COPD患者のうち64%がリハビリテーション適応、うち、6,436名,9.3%のみリハビリテーション登録。



Effects of pulmonary rehabilitation on exacerbation number and severity in people with COPD: An historical cohort study using electronic health records
Elizabeth Moore et al.
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.05.006 http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2629210




呼吸リハビリテーション施行率低く、GP受診率減少、AECOPD急性増悪入院減少に至らず



”COPD多職種管理は運動能力、呼吸困難度、日常生活活動性、筋力、自己評価、QOLの改善をもたらし、Cochrane Editorialでもさらなるシステマティック・レビュー必要性ないとコメントされるほど患者アウトカム改善への効果は確立している”

Lacasse, Y; Cates, CJ; McCarthy BWE. This Cochrane Review is closed: deciding what constitutes enough research and where next for pulmonary rehabilitation in COPD. Cochrane Libr. 2015. http://www.cochranelibrary.com/editorial/10.1002/14651858.ED000107. 

2017年5月26日金曜日

心房細動:ダビガトランと比較してリバロキサバンは有意に全死亡率増加?

台湾の住民ベース後顧的新規薬剤処方コホート ;ダビガトラン(n=10,625) vs リバロキサバン(n=4,609)



Comparative Effectiveness and Safety of Dabigatran and Rivaroxaban in Atrial Fibrillation Patients
Chao‐Lun Lai,  et al.
https://doi.org/10.1161/JAHA.116.005362
Journal of the American Heart Association. 2017;6:e005362
Originally published April 24, 2017




Cumulative incidences of clinical outcomes in the propensity score–matched population: (A) all‐cause death, (B) ischemic stroke, (C) acute myocardial infarction, (D) arterial embolism/thrombosis, (E) intracranial hemorrhage, and (F) gastrointestinal hemorrhage needing transfusion.


動脈性塞栓/血栓、消化管出血が多い





2016/10/10 DOAC:NVAF ガチンコ比較 ダビガトラン:プラザキサ、リバーロキサバン:イグザレルト、アピキサバン:エリキュース
http://kaigyoi.blogspot.jp/2016/10/doacnvaf.html
DOAC:NVAF ガチンコ比較 ダビガトラン vs イグザレルト
http://kaigyoi.blogspot.jp/2016/10/doacnvaf-vs.html


ダビガトラン:プラザキサ、リバーロキサバン:イグザレルト、アピキサバン:エリキュースの比較
上の報告と合わせ見れば、イグザレルト終わったかもしれない




経口抗凝固薬「イグザレルト(R)」が前年比24.1%増の約641億円
http://www.qlifepro.com/news/20170405/it-is-291-7-billion-yen-an-increase-of-4-8-from-2016-year-on-year-sales-exalloert-irea-traction.html


2016年販売売り上げ絶好調・・・このままでよいのだろうか?

2017年5月23日火曜日

米国小児科学会:果物の代わりにジュースは間違い

米国小児科学会の新しい助言、ジュースを控えなさい、果物の香りやリフレッシュさを求めるならジュースじゃなく、果物の切片を食べ、のどが渇くためなら水と共に食しなさい・・・というもの

ビタミンC、ビタミンA、カリウム他栄養に関わる優秀な供給源となりえ、抗酸化作用を有するかもしれないが、食物線維をもつ果物の方が優秀で、血糖・コレステロール・腸管への作用など有益性をもつ。肥満への影響はジュースではなく、やはり果物の方が望ましい。さらに、虫歯への影響は違いがある。
2歳から18歳のこどもはフルーツの代用としてジュースを飲用していることへの危惧。

年齢的にアドバイスされており、6ヶ月未満は有害性のみ。6ヶ月から1歳までは1日4オンス程度に制限。6歳まではなるべく果物を勧め、10代までは1日8オンスまでの制限。



Fruit Juice in Infants, Children, and Adolescents: Current Recommendations
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2017/05/18/peds.2017-0967


米国FDAでは、フルーツジュースは100%のみ、100%未満の商品はその含有率を表示する義務を課している。







以下は、乳製品についてのことなのだが・・・
「Food is not just the sum of its nutrients」(食べ物は栄養素の単なる合計というわけではない)
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-05/fos--fin052217.php

料理関連のテレビ番組:「この食材は○○という栄養素があって、疲労回復に効果有り、こちらの食材は△△という栄養素があって・・・」とぶっちゃべる料理人や評論家、調理師、栄養師、医療関連資格保有者たち・・・

この人たちって、栄養素でしか食べ物をみてないのだろうか?

こういう人たちは、野菜も野菜ジュースも、果物も果物ジュースも同一と思っている?

軽度脂質異常・高血圧75歳以上へのスタチン投与で全原因死亡率増加

ベースラインのLDL値 148 mg/dL程度の中等脂質異常高血圧症65歳以上成人へのスタチン一次予防効果検証


LDL軽度異常での75歳以上成人への一次予防目的スタチン使用は全死亡率悪化の可能性有り・・・慎重とすべき


大規模ランダム化トライアル  Lipid-Lowering Trial (LLT) component of the Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT-LLT)のpost hoc二次解析

Effect of Statin Treatment vs Usual Care on Primary Cardiovascular Prevention Among Older AdultsThe ALLHAT-LLT Randomized Clinical Trial
Benjamin H. Han,  et al. ; for the ALLHAT Collaborative Research Group
JAMA Intern Med. Published online May 22, 2017. doi:10.1001/jamainternmed.2017.1442 

心血管疾患を有さない65歳以上の高齢者

プラバスタチン(40 mg/d) vs 通常ケア (UC)

プライマリアウトカムは全原因死亡率
セカンダリアウトカムは原因特異的死亡率・非致死性心筋梗塞あるいは致死性冠動脈疾患

  • プラバスタチン群 1467 名 (平均 [SD] 歳, 71.3 [5.2] 歳) (女性 48.0% [n = 704] ) 
  • UC群 1400 名 (平均 [SD] 歳,  71.2 [5.2]  歳)(女性 50.8% [n = 711] )

ベースライン平均(SD)LDL値
  • プラバスタチン群 147.7 (19.8) mg/dL 
  • UC群 147.6 (19.4) mg/dL

year 6での平均(SD)LDL値
  • プラバスタチン群 109.1 (35.4) mg/dL
  • UC群 128.8 (27.5) mg/dL

year 6でのプラバスタチン割り付け群のうちスタチン服用無しは 42 / 253 (16.6%) 、UC群での服用無しは71.0%
プラバスタチン群 vs UC群比較全原因死亡率ハザード比 
  • 65歳以上 1.18 (95% CI, 0.97-1.42; P = .09) 
  • 65-74歳 1.08 (95% CI, 0.85-1.37; P = .55
  • 75歳以上 1.34 (95% CI, 0.98-1.84; P = .07) 


(赤:通常ケア、黒:プラバスタチン)
冠動脈イベント率について群間有意差無し
多変量回帰において、有意差無しのままで、治療群間・年齢において有意な関連性認めず


結論: 中等度脂質異常・高血圧高齢者への一次予防プラバスタチン投与についてベネフィット見いだせず、非有意ながら75歳以上ではプラバスタチンによる全原因死亡率増加が観察される





2017年5月22日月曜日

敗血症:抗生剤投与できるだけ迅速に!

抗生剤投与できるだけ迅速に!

2015年の11の観察研究に対するメタアナリシス(Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):1907-15)では、3時間内EDトリアージ内抗生剤投与による死亡率改善効果認めず

・・・という報告があったが、今回、表題の如く、抗生剤投与の迅速性が肝要と


 "Time to treatment and mortality during mandated emergency care for sepsis"
Seymour CW, et al
N Engl J Med 2017; DOI: 10.10156/NEJMoa1703058.
【背景】2013年、敗血症の早期同定・治療のためのプロトコールをニューヨークは要求。しかし、敗血症治療より迅速治療が果たして患者のアウトカムを改善するか不明。

【方法】2014年4月1日から2016年6月30日までNew York State Department of Healthに報告のあった患者のデータを検討。ED到着後6時間以内開始敗血症プロトコルで、12時間内完遂された3-hour bundle全項目 (i.e., 血液培養, 広域抗生剤投与,乳酸測定)を有する患者。
3-hour bundle完遂までの時間とリスク補正死亡率についてマルチレベル分析
抗生剤投与までの時間、静脈内輸液初期ボーラス完遂までの時間も検討

【結果】149病院49,331 名中、3時間内3-hour bundle完遂 , 40,696 (82.5%)
3-hour bundle完遂までの時間中央値 1.30時間(IQR , 0.65 - 2.35時間)
The median time to completion of the 3-hour bundle was 1.30 hours (IQR , 0.65 to 2.35)
抗生剤投与までの時間中央値  0.95 時間 (IQR ,  0.35 to 1.95)
輸液ボーラス完遂までの時間中央値  2.56 時間(IQR , 1.33 to 4.20)


3-hour bundle12時間内完遂のうち、bundle完遂までの時間長いほど、リスク補正院内死亡率高い (オッズ比, 1.04 /時間; 95% 信頼区間 [CI], 1.02 to 1.05; P<0 .001="" 1.03="" 1.04="" 1.06="" 95="" br="" ci="" nbsp="" p="" to="">しかし、静脈内点滴ボーラス完遂までの時間長いほどリスクが高いというわけではない (オッズ比, 1.01 /時間; 95% CI, 0.99 to 1.02; P=0.21)




【結論】敗血症ケアの3-hour bundleの完遂迅速ほど、抗生剤投与迅速ほど、リスク補正院内死亡率は低下するも、輸液静脈初期ボーラス投与完遂迅速であることは死亡率に関連しない





"State sepsis mandates - a new era for regulation of hospital quality"
Hershey TB, et al
N Engl J Med 2017; DOI: 10.1056/NEJMp1611928.






非侵襲的人工換気)(NIV)施行COPD急性増悪後在宅非侵襲的人工換気の有用性

エディトリアル:http://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2627984?amp;utm_source=JAMAPublishAheadofPrint&utm_campaign=21-05-2017

2014年の2つのRCTトライアルでNPPVに関して肯定的結果とネガティブな結果得られた
 Köhnleinらは12ヶ月での死亡率33%減少の他、昼間の高炭酸ガス血症改善、運動耐容能、QOLについても改善効果を示した。PaCO2 >51.9 mmHgの安定期高炭酸ガス血症患者対象。
 一方、Struikらは201名の 人工呼吸無しでPaCO2 >45.1 mm Hgの患者で1年後、死亡、再入院、急性増悪頻度、肺機能、QOLにおいて有意差認めなかった。 
Köhnlein  T, Windisch  W, Köhler  D,  et al.  Non-invasive positive pressure ventilation for the treatment of severe stable chronic obstructive pulmonary disease.  Lancet Respir Med. 2014;2(9):698-705
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25066329 
Struik  FM, Sprooten  RT, Kerstjens  HA,  et al.  Nocturnal non-invasive ventilation in COPD patients with prolonged hypercapnia after ventilatory support for acute respiratory failure.  Thorax. 2014;69(9):826-834.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24781217
以上の如く、治験対象について十分吟味しなければ結果変わる可能性がある


今回の報告は、非侵襲的人工換気の必要性ありそれを施行した対象者に対する、その後の在宅非侵襲的人工換気の効果検討


Effect of Home Noninvasive Ventilation With Oxygen Therapy vs Oxygen Therapy Alone on Hospital Readmission or Death After an Acute COPD Exacerbation
A Randomized Clinical Trial
Patrick B. Murphy, et al.
JAMA. Published online May 21, 2017. doi:10.1001/jama.2017.4451 
【研究意義】  非侵襲的人工換気)(NIV)を要する慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪後のアウトカムは不良で、その後の再入院や死亡予防に役立つ治療法は限られている。

【目的】  COPD急性増悪後の持続性高炭酸ガス血症患者の在宅NIV+酸素の再入院・死亡までの期間への効果検証

【デザイン・セッティング・被検者】  ランダム化臨床トライアル
呼吸性acidemia改善後2週から4週でPaCO2 53 mm Hg超の持続性高炭酸ガス血症患者のランダム化臨床とリアル、13の英国センター登録(2010−2015年)
除外クライテリア(BMI > 35)、閉塞型無呼吸症候群、他原因呼吸不全
2021名スクリーン、124を登録

【介入】ランダム化
・在宅酸素単独 (酸素流量中央値, 1.0 L/min [中間4分位 {IQR}, 0.5-2.0 L/min]) :59名
・在宅酸素+在宅 NIV (m酸素流量中央値, 1.0 L/min [IQR, 0.5-1.5 L/min]):57名
在宅人工換気セッティング:IPAP(吸気陽圧) 24  (IQR, 22-26) cm H2O, EPAP(呼気陽圧) 4 (IQR, 4-5) cm H2O, backup rate 14 (IQR, 14-16) 回/分

【主要アウトカム・測定】それまでのCOPD入院回数・長期酸素療法既往・年齢・BMI補正後の12ヶ月以内の再入院・死亡までの期間

【結果】ランダム化患者 116 名 (平均 [SD] 年齢 67 [10] 歳, 女性 53% , 平均 BMI  21.6 [IQR, 18.2-26.1], 平均 [SD] FEV1 0.6 L [0.2 L], 平均室内空気吸入下 [SD] Paco2  59 [7] mm Hg)
12ヶ月間研究完遂 64名 (在宅酸素単独 28、在宅酸素+在宅NIV 36)

再入院・死亡までの期間中央値
在宅酸素+在宅NIV 4.3ヶ月 (IQR, 1.3-13.8 ヶ月)  vs  在宅酸素療法単独 1.4 ヶ月(IQR, 0.5-3.9  ヶ月)  , 補正ハザード比0.49 (95% CI, 0.31-0.77; P = .002)

 再入院・死亡12ヶ月間リスク
在宅酸素+在宅NIV 63.4% vs 在宅酸素療法単独 80.4% , 絶対的リスク減少 17.0% (95% CI, 0.1%-34.0%)


  12ヶ月時点での死亡数、在宅酸素療法+在宅NIV 16名、 在宅酸素療法単独 19名


【結論と知見】  COPD急性増悪後の持続性高炭酸ガス血症患者において、自宅酸素療法に在宅非侵襲的人工換気を加えることは、12ヶ月内における再入院・死亡減少に寄与する

Trial Registration  clinicaltrials.gov Identifier: NCT00990132
https://clinicaltrials.gov/show/NCT00990132

2017年5月21日日曜日

びまん性肺実質疾患のエコー検査


Diffuse Parenchymal Lung Disease on Chest Radiographs and CT
Theodore J. Dubinsky, et al.
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.05.003

胸部病変へのエコー評価は、胸水、胸壁に接する腫瘍などの評価、無気肺・コンソリデーションへの適応と広がってはきたが限定的。

健康肺でのringdow artifact、いわゆる、B-lineの臨床的応用


判別ROC 0.79 (95% CI: 0.71-0.87)





grade 1




B-lines artifact は、背後の肺疾患病理を示唆し、特に、びまん性肺実質疾患(肺水腫、無気肺、早期肺炎など)など。救急外来やICUなどで有益性に期待が持てる。







2017年5月19日金曜日

百日咳関連咳嗽の臨床的特徴


Clinical characteristics of pertussis-associated cough in adults and children: a diagnostic systematic review and meta-analysis
Abigail Moore,  et al.
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.04.186


2000もの論文のうち、53を採用し、臨床特性 41を診断正確性評価


成人患者
臨床所見:「paroxysmal cough 発作性咳嗽 」&「発熱無し」は 感度 高く (93.2%, CI 83.2-97.4 and 81.8%, CI 72.2-88.7 respectively) 、特異性 低い (20.6%, CI 14.7-28.1 、18.8%, CI 8.1-37.9)
一方、臨床所見「post-tussive vomiting:咳嗽後嘔吐」&「whooping : 特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)」は 感度低く (32.5%, CI 24.5-41.6 and 29.8%, CI 8.0-45.2 ) 、特異性高い (77.7%, CI 73.1-81.7 and 79.5%, CI 69.4-86.9 )

小児患者
Post-tussive vomitingは 感度・特異性も比較的高い (60.0%, CI 40.3-77.0、66.0%, CI 52.5-77.3)





結論:
成人において、whoopingあるいは咳嗽後嘔吐あれば rule in、 発作性咳嗽の存在&発熱有りなら rule out
小児において、咳嗽後嘔吐所見は臨床的検査をするにあたり、あまり役立たない



慢性咳嗽→即、百日咳を疑うべきとする一部の医師たちの主張に違和感を感じ続けている。この論文でも、遷延咳嗽で百日咳を疑うかの検討に当たり、小児のみしか十分なデータが無い。

2017年5月17日水曜日

ステロイド関節内注:疼痛軽減効果認めず、軟骨量かなり減少

2年以上に及ぶ3ヶ月間隔のステロイド関節内注で、臨床的ベネフィットをもたらさず、軟骨消失をもたらす


Effect of Intra-articular Triamcinolone vs Saline on Knee Cartilage Volume and Pain in Patients With Knee Osteoarthritis
A Randomized Clinical Trial
Timothy E. McAlindon, et al.
JAMA. 2017;317(19):1967-1975


3ヶ月毎のトリアムシノロンアセトニド(Triamcinolone acetonide) 40mgの関節内注による軟骨量減少と膝痛への影響

2年間ランダム化プラシーボ対照化二重盲検トライアル(対照:生理食塩)

登録基準
American College of Rheumatology criteria for symptomatic knee osteoarthritis, Kellgren-Lawrence grades 2 or 3
https://radiopaedia.org/articles/kellgren-and-lawrence-system-for-classification-of-osteoarthritis-of-knee


主要アウトカム

  • 年次MRI:軟骨容積定量検査 (MCID規定無し)
  • 3ヶ月毎Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis index (Likert pain subscale range, 0 [no pain] to 20 [extreme pain]; minimal clinically important improvement, 3.94)


結果
ランダム化患者 140名(平均年齢 58 [SD, 8]歳、女性 75名(54%))、完遂例85%

トリアムシノロンアセトニド関節内注で平均index compartment cartilage thickness減少 −0.21 mm vs −0.10 mm (between-group difference, −0.11 mm; 95% CI, −0.20 to −0.03 mm)
疼痛 有意差無し (−1.2 vs −1.9; between-group difference, −0.6; 95% CI, −1.6 to 0.3)



副事象 対照例 3、 介入例 5で、HbA1c軽度増加 (between-group difference, −0.2%; 95% CI, −0.5% to −0.007%)



少量なら問題ないと主張の医師もいますが・・・ 客観的効果は果たして?

2017年5月11日木曜日

NSAIDと院外心停止に関わる警告

イブプロフェンについての重大警告
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a682159.html

イブプロフェンに限らず全般的NSAID(アスピリン以外)の潜在的心発作・卒中を有する高リスク対象者への投与に注意を啓発している。
These events may happen without warning and may cause death. This risk may be higher for people who take NSAIDs for a long time. Do not take an NSAID such as ibuprofen if you have recently had a heart attack, unless directed to do so by your doctor. ;事前徴候無く発生する可能性と致死的可能性。長期間服用ほど高リスク。心発作後間もない場合は医師相談無くNSAID服用すべきでない
直近の報告

Non-steroidal anti-inflammatory drug use is associated with increased risk of out-of-hospital cardiac arrest: a nationwide case–time–control study
Kathrine B. Sondergaard  , et al.
Eur Heart J Cardiovasc Pharmacother (2017) 3 (2): 100-107. 

デンマークの Danish Cardiac Arrest Registy国内研究、2001−2010年の院外心停止( out-of-hospital cardiac arrest (OHCA))全例を含む

0HCA 28,947名、うち OHCA直前30日内NSAID治療 3376

イブプロフェンとジクロフェナクは最も使用頻度高く、51.0%と 21.8%

ジクロフェナクとイブプロフェンは共にOHCAリスク増加と相関
(オッズ比 [OR], 1.50 [95% 信頼区間(CI) 1.23–1.82]) 、1.31 (95% CI 1.14–1.51))


ナプロキセン  [OR, 1.29 (95% CI 0.77–2.16)]、セレコキシブ  [OR, 1.13 (95% CI 0.74–1.70)]、ロフェコキシブ:rofecoxib (OR, 1.28 [95% CI 0.74–1.70)] はOHCAのリスク増加と有意に関連せず;イベント数が少ないためかも





2017年5月2日火曜日

ピオグリタゾン:非アルコール性脂肪肝炎の高度線維化改善効果

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は2020年までには肝移植第一原因疾患と予測され、F3-F4という線維化では、全原因死亡率・肝臓関連死亡率増加と関連するも有効な治療は確立せず。
チアゾリジンジオン系での効果評価についてのエビデンス形成


Thiazolidinediones and Advanced Liver Fibrosis in Nonalcoholic Steatohepatitis
A Meta-analysis
Giovanni Musso, et al.
JAMA Intern Med. 2017;177(5):633-640.


プライマリアウトカム: 肝生検上の高度線維化における、F3-F4からF0-F2への線維化ステージ2分割改善評価

セカンダリアウトカム: いずれかの線維化ステージにおける1ポイント以上の改善・NASH消失

チアゾリジン系治療の副作用も評価、体重増加・下肢浮腫、うっ血性心不全、骨折、癌、貧血。


結果:8つのRCT(ピオグリタゾン評価 5つ、ロシグリタゾン 3つ)、生検によるNASH診断患者516名(6−24ヶ月)
チアゾリジン系治療全てにおいて以下相関
線維化改善  (OR, 3.15; 95% CI, 1.25-7.93; P = .01; I2 = 0%)
いずれかのステージの線維化(改善) (OR, 1.66; 95% CI, 1.12-2.47; P = .01; I2 = 0%)
NASH 改善 (OR, 3.22; 95% CI, 2.17-4.79; P < .001; I2 = 0%)


糖尿病無しの患者でのRCT限定解析においても同様の結果
線維化改善  (OR, 2.95; 95% CI, 1.04-10.90; P = .02; I2 = 0%)
いずれかのステージの線維化(改善) (OR, 1.76; 95% CI, 1.02-3.03; P = .02; I2 = 0%)
NASH 改善 (OR, 3.40; 95% CI, 1.95-5.93; P < .001; I2 = 0%)




全効果はピオグリタゾン使用を含めても評価

体重増加・下肢浮腫はチアゾリジン系治療で寄り頻度が多い  (初期体重 +2.70%; 95% CI, 1.96%-4.34%; P = .001)


重篤副事象影響については小サンプルサイズで困難



ピオグリタゾンの効果明らかなようだが・・・






スタチン使用と背部痛の関連性

背部痛:back pain


Association of Statin Use With Risk of Back Disorder Diagnoses
Una E. Makris,; et al
JAMA Intern Med. Published online May 1, 2017. doi:10.1001/jamainternmed.2017.1068


総コホート 60 455 名、男性 28 831 (47.7%) 、女性 31 624 (52.3%) 平均(SD)年齢 46.6 (12.2) 歳
スタチン使用 6728名、 非使用 6728名
スタチン使用メディアン 3.7, IQR 1.9 - 4.9
シンバスタチン 72%、 525,935名


  • PS-マッチ化コホートのスタチン使用者、背部痛尤度高い (OR, 1.27; 95% CI, 1.19-1.36)
  • 追加harm1事象あたりの必要数(NNH) 17.6
  • 長期使用・高用量使用の二次解析でも同様 






スタチンと背部痛の関連性は演繹的仮説だそうだ・・・


Alternate-day fasting (ADF) :隔日飢餓法は通常のダイエットと減量効果差みとめず

Alternate-day fasting  (ADF) :隔日飢餓法とでも訳すのだろうか?
連日のカロリー制限より優れているか?

知見はBMI 34という日本人には極少ない肥満者対象で、単施設研究なので結果に関してconclusiveではない




Effect of Alternate-Day Fasting on Weight Loss, Weight Maintenance, and Cardioprotection Among Metabolically Healthy Obese Adults
A Randomized Clinical Trial
John F. Trepanowski,et al.
JAMA Intern Med. Published online May 1, 2017.



1年フォローアップ
6ヶ月介入後体重: -6.8% (95% CI -9.1% to -4.5%) versus -6.8 (95% CI -9.1% to -4.6%)




セカンダリエンドポイント(血圧、心拍、TG、空腹時血糖、空腹時インスリン、インスリン抵抗性、CRP、ホモシステイン濃度)でも有意差認めず


ただ、6ヶ月後の減量期後HDL平均濃度有意差あり(6.2 mg/dL, 95% CI 0.1- 12.4 mg/dL)
しかし、これも12ヶ月後、有意差消失
LDLに関しては12ヶ月後有意差有り (11.5 mg/dL, 95% CI 1.9-21.1 mg/dL)



飢餓療法もいろいろ方法があるようで、それぞれ検証するしかない

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note