2015年6月25日木曜日

MRIで、その後10年の認知症を予測できるか? No! ただ、他のリスク指標と合わせれば多少は役立つ

フランス Three-City Study コホート

MRIで、その後10年の認知症を予測できるか?


例えば、http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_geriatrics_49_425.pdf
アルツハイマー病においては,内側側頭部の選択的萎縮が早期に起こることが知られている.萎縮には軽度の左右差がみられる.この中でも最も早く神経細胞脱落が起こり萎縮のみられる部位である嗅内皮質は海馬傍回の最前部である.ただし,その容積は正常でも 2 m l に満たず萎縮の視覚評価は困難である.また,嗅内皮質の容積測定のランドマークとなる側副溝には変異が多く,用手による領域設定で容積を測定したとしても誤差が大きい.一方,海馬の容積は正常では両側で 6 m l を超え,測定誤差も少ないものの,海馬
の萎縮は嗅内皮質の萎縮に比べ,特異性が乏しいとされる
・・・と、最初っから、MRI、CTなどの画像的変化では認知症予測できそうもない


では、従来の認知症リスクスコアにMRI所見をプラスすると、予測の品質は向上するか?

・・・答えは 一応 Yes





Usefulness of data from magnetic resonance imaging to improve prediction of dementia: population based cohort study
Blossom C M Stephan, lecturer ,  et. al.
BMJ 2015; 350 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h2863 (Published 22 June 2015)

1721名の認知症無し、ベースラインMRI施行齢

フォローアップ10年間で、認知症確認 119名、うち、84名がアルツハイマー病

年齢・性別・教育・認知・身体機能・ライフスタイル(喫煙、アルコール)・健康状態(心血管疾患、糖尿病、収縮期血圧)、アポ・リポ蛋白genotypeを入れ込んだ通常リスクモデル:判別パフォーマンスC統計は  0.77, 95% 信頼区間 0.71 〜 0.82)


通常のリスクモデルと、灰白質を含むMRI所見を組み入れたモデルで、有意差なし (C statistic 0.77, 95% 信頼区間 0.72 〜 0.82; P=0.48 for difference of C statistics),
、脳容量  (0.77, 0.72 to 0.82; P=0.60)、海馬容積 (0.79, 0.74 to 0.84; P=0.07)、これら3つでは有意差ぎりぎり (0.79, 0.75 to 0.84; P=0.05)




海馬容積もしくは、3つMRI指標を、通常のモデルに加えると、 integrated discrimination improvement indexを用いて再評価改善が見られた (P=0.03 and P=0.04) 、decision curve analysisのネット・ベネフィット増加


同様の結果が、アウトカムをアルツハイマー病に限定しても見られる。



日本人って、画像診断で何でも分かると信じ込んでるから・・・MRIで私は安心と思ってる人多いと思う・・・




砂糖、脂肪食は、腸内細菌相を変容させ、Cognitive flexibilityを悪化させ、短期・長期記憶機能障害を起こす


マウスの実験で、脂肪・砂糖を大量摂取させると、行動と腸管細菌叢Microbiota(微生物相)の変化をもたらす可能性示唆。Microbiome、ミクロビオームとはある環境中微生物群の全ゲノムを表現する言葉。


水迷路試験と合わせ検証したもの

Cognitive Flexibilityとは、2つの概念について思考をスイッチするメンタルな能力で、多く概念を同時に処理できる能力・・・となる。そんなものがマウスの水迷路の状況と同じなのかやや疑問を持つが、まぁ実験モデルとはそんなものなので・・・柔軟に考える





Relationships between diet-related changes in the gut microbiome and cognitive flexibility
Neuroscience Volume 300, 6 August 2015, Pages 128–140

西洋的食事は脂肪・砂糖を多く含み、行動と腸管microbiotaへ影響を与える可能性がある。ミクロビオームの変化が脳や行動に影響あたえることを示すエビデンスが蓄積されつつある。この研究は、食事による腸管細菌相の変化で、が不安、記憶、cognitive flexibilityの変化に寄与するかの証明目的


2ヶ月齢オスC57BL/6マウスをランダム割り付け; 高脂肪 (42% fat, 43% carbohydrate (CHO)、 高ショ糖 (12% fat, 70% CHO (primarily sucrose) 、通常餌 (13% kcal fat, 62% CHO) diet
餌変更前、後2週間で解析

通常餌に比べ、高脂肪、高ショ糖餌群で同様のミクロビオーム変化、例えばClostridialesの増加などが見られた。しかし、Bacteroidalesの比率は高ショ糖餌マウスでは減少比率著明。
Lactobacillales は高ショ糖餌群でのみ有意増加
Erysipelotrichales は高脂肪餌群のみで有意な影響あり

高ショ糖餌群では、通常餌群に比べ、長期メモリー、短期メモリー、Reversalでの空間バイアスの早期発達障害有意に観察された
Reversal probe trial時、高ショ糖、高脂肪群とも以前のplatform positionへのフォーカスが増加。Step-down、exploration 、novel recognitionには食事内容有意な影響認めず

Clostridialesの比率増加と、Bacteroidalesの発現減少は高エネルギー食で見られ、これがReversal Trialでのcognitive flexibilityの質低下と関連する。

これらの結果、西洋スタイルの食事に偏ることに由来するミクロビオームの変容は認知機能変容と関連することを示唆。



解説記事
http://www.huffingtonpost.com/2015/06/24/gut-bacteria-brain-cognit_n_7644484.html



ショ糖、すなわち、砂糖を多くとる食事は、Cognitive flexibilityを悪化させ、短期・長期記憶機能障害を起こす


最後に、アルツハイマー病を”Type 3糖尿病”と、まぁ、紛らわしいラベル貼りがあるが、高血糖状態と認知機能の問題に焦点を当てている。


断食・瞑想は現代に必須!
疑似断食:diet that mimics fasting (FMD)にて若返り、健康寿命促進?

・・・偏った宗教的要素のない、安全が担保されたリソースが社会に必要なのかもしれない。

LIFE研究:収縮期血圧降圧にて左室肥大・高血圧患者の心房細動発症抑制

収縮期血圧を降下させることで、新規心房細動発生リスク減少させられるか?

 Losartan Intervention For Endpoint (LIFE) のデータで検証で、Post-Hoc解析となるため、真にこの答えになるかは疑問だが、方向性と考えるべきかも・・・



心房細動病歴無し・左室肥大ECG所見のある洞性リズムベースラインの8831名をロサルタンもしくはアテノロール治療割り付け


Effect of Lower On-Treatment Systolic Blood Pressure on the Risk of Atrial Fibrillation in Hypertensive Patients
HYPERTENSIONAHA.115.05728
Published online before print June 8, 2015,
doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.115.05728


収縮期血圧130mm水銀柱以下(直近測定値最小5分位)、収縮期血圧 131−141mm水銀柱の患者と、収縮期血圧 142mm水銀柱以上(直近測定値最小5分位)の患者と比較

フォローアップ期間 4.6±1.1年間で、新規発症心房細動は701名(7.9%)

時間変位共役因子を斟酌した多変量Cox解析にて、 in-treatment SBP 142mm水銀柱以上と比較し、水銀柱130mm水銀柱以下の症例では、リスク40%減少 (95% 信頼区間, 18%–55%) 、 in-treatment 収縮期血圧 131−141 mm水銀柱では、リスク24%減少(95% 信頼区間, 7%–38%)

収縮期血圧 130mm水銀柱以下到達症例で、ECG左室肥大高血圧患者では新規発症心房細動リスク低下と関連


この高リスク群で、心房細動なしの高血圧患者の収縮期血圧低下目標のターゲッティングが心房細動新規発症減少させるかのさらなる検討が必要

できるだけ、収縮期血圧 130mm水銀柱未満へ・・・ という方向性が見えるが、今の高血圧ガイドラインを変更するほどのインパクトがあるかどうか・・・Post-Hoc解析じゃ・・・


noteへ実験的移行

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