2013年10月15日火曜日

【プラシーボ・システマティックレビュー】経口プラシーボより、偽鍼や偽手術でプラシーボ効果大きい

プラシーボ効果っても、説明もさほどせず通常の薬剤の通り投与すれば、効果少ないってのは直感的に分かる。一方、比較的大げさなプラシーボ手技、例えば、鍼灸などツボを外す程度のsham-プラシーボや、手術してないのに手術したように見せかけるsham-手術だと、その効果は明らかに大きい。


特に、疼痛に関しては、心理的・スピリチュアルな要素がその閾値に与える影響は大きく、神秘的な要素のあるもの・難解なものや逆に民族的に固着した介入処置など、そこから得られる効果は大きいはず。


片頭痛プラシーボ治療をモデルにこのプラシーボ治療手技毎にその程度が異なるか検討報告

Differential Effectiveness of Placebo Treatments
A Systematic Review of Migraine Prophylaxis
Karin Meissner, et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 14, 2013. doi:10.1001/jamainternmed.2013.10391

【序文】  ランダム化臨床トライアルの結果解析でプラシーボ対照比較した特異的影響多大なる治療は最も有効性ある治療法と考えられる。プラシーボ対照群のシステマティック指標の改善指標ばらつきはプラシーボ対照トライアルの解釈上重要な意味合いを持つが、このテーマの基礎知識は貧弱。

【目的】 プラシーボ治療の種類により反応・効果が相関するか検討するため、片頭痛予防研究をモデルとして、この解析を行った。

【研究デザイン・セッティング・被験者】 2012年2月情報源明らかなものを調査、著者等にコンタクトし、プラシーボ対照群を用いた実験治療比較においてランダム過誤最低8週後の観察期間を持つランダム臨床トライアルを同定。
治療反応比率に対するプラシーボ種類によるpooled random-effects estimatesを計算
heterogeneity源同定のためメタ回帰解析施行し、ネットワークメタ解析にて、トライアル内・間の直接・間接比較を組み合わせ行った。追加解析は連続アウトカムに対して行った。

【暴露】積極的片頭痛治療とプラシーボ対照条件

【主要アウトカム・測定値】治療レスポンダー(奏功者)比率を、最低50%未満の発作回数効果と定義。片頭痛日数中の50%以上の指示preference利用アウトカム、頭痛日数回数、頭痛スコア、患者医師評価による改善度

【結果】 102のトライアル検討し、うち、23はメタアナリシスとして不十分データで検討せず。
sham 鍼やsham手術では、経口薬物的プラシーボより片頭痛回数減少率多い (レスポンダー比率 0.38 [95% CI, 0.30-0.47])、0.58 [0.37-0.77]) 、さらに、経口薬物プラシーボより片頭痛回数減少と相関  (0.22 [0.17-0.28])し、多変量解析後プラシーボ群での唯一の予測要素伴っている (P = .005 and P = .001)


Network メタ解析で、sham 鍼群では、経口薬物プラシーボより、より奏功患者数が多い  (オッズ比, 1.88 [95% CI, 1.30-2.72])
持続アウトカム対応解析でも同様所見。


【結論と解釈】 Sham acupuncture やsham surgery は、経口プラシーボより、治療奏功率が高い。
片頭痛患者治療臨床医は、非特異的効果によるやり方でも包括的効果が存在することに留意すべきで、治療効果の程度も、治療モダリティー間の差に起因することも留意すべき。


下部消化管:良性腸病変、特に、鋸歯状病変に関する議論

数々のがん検診プログラムのなかで、数少ない優等生グループである、下部消化管検診プログラム。症状出現前の悪性可能性の段階での早期直腸結腸がん・良性ポリープ同定を目的とし、便潜血検査では直腸結腸がん死亡率16%減少、フレキシブルシグモイドスコピーでは28%減少効果が示されている。このシグモイドスコピー・便潜血検診での陽性例に対するフォローアップ検査標準はコロノスコピーで、良性病変切除に関して明確な指針が示される必要がある。

がん性病変切除は議論不要だが、良性病変管理法に関して未知・不明瞭なところ・議論対象の部分がある。

検診プログラムが広がり、新しい技術が開発される中、未知の臨床的意義づけを議論する必要があり、特に、鋸歯状ポリープの部分が議論の主役となっている。





New polyps, old tricks: controversy about removing benign bowel lesions
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5843
(Published 8 October 2013)

・腸がん検診により良性ポリープ切除ケースが増加している。 
・ほぼ腺腫への関心だったが、現在、sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P:鋸歯状病変)にまでその検討対象が広がっている。<参考:http://www.jsccr.jp/topics/atl_10.html> 
・SSA/Pは、腺腫ほど関心をもたれてなかったが、バイオプシーのリスクが高い。 
・現行のコンセンサスガイドラインでは、5mm超の鋸歯ポリープ切除が推奨されている。 
・切除に関わる高リスクは、ベネフィット・ハームバランス上に成り立つ


脳卒中患者:ビタミンB12濃度と脳病変進行状況とは相関せず

脳卒中患者におけるビタミンB12濃度はその後の2年間の深部脳白質病変進展と相関せず


Vitamin B12 and Progression of White Matter Lesions. A 2-Year Follow-Up Study in First-Ever Lacunar Stroke Patients
van Overbeek EC, Staals J, van Oostenbrugge RJ
PLoS ONE 8(10): e78100. doi:10.1371/journal.pone.0078100

ビタミンB12と 脳室周囲白質の関連性は、ビタミンB12血中濃度低値と相関性横断研究結果が示されている。しかしながら、白質病変との関連性は不明で、visual  white matter lesions (WML) 変化スケールを用いて、脳室周囲白質(pWML)と、deep WML(dWML)ベースライン・2年後値とビタミンB12評価


ビタミンB12欠乏状態はpWML進展患者で進展してない患者より多い (41.9% and 19.7%, p = 0.02)
性別・年齢補正後、pWMLはビタミンB12ベースライン値と相関  (OR 1.42 per 50 unit decrease, 95% CI 1.00-1.92)。
しかし、dWML病変進展とは相関せず。

深部病変進展とビタミンB12サプリメント投与のベネフィットは不明


pWMLを誇大広告して、「かくれ脳卒中」と喧伝する学会団体の存在 ・・・ 

noteへ実験的移行

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