2018年10月13日土曜日

スタチン使用の妥当性:2型糖尿病の存在と年齢

スタチンを85歳こえる高齢者に使用することの妥当性ってのを考えるときがある。一次予防では消極的な処方判断している。

糖尿病の存在と、年齢によりスタチンの処方価値を改めて評価した、後顧的研究



Statins for primary prevention of cardiovascular events and mortality in old and very old adults with and without type 2 diabetes: retrospective cohort study
BMJ 2018; 362 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3359 (Published 05 September 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k3359

目的 高齢者・超高齢者で、糖尿病・非糖尿病において、スタチン治療が動脈硬化性心血管疾患(CVD)と死亡率減少と関連するか?


デザイン 後顧的コホート研究

セッティング Database of the Catalan primary care system (SIDIAP), Spain, 2006-15.

被検者 75歳以上、臨床的に動脈硬化性CVD認知されてない46,864名、2型糖尿病存在、スタチン非使用・新規使用で層別化

主要アウトカム測定 動脈硬化性CVD、全死亡率をCox比例ハザードモデルで比較、スタチン治療のpropensity scoreで補正。年齢とスタチン影響の関連性をカテゴリ化アプローチ、年齢(高齢群:75−84歳、超高齢群:85歳以上)、連続解析をadditive Cox比例ハザードモデル評価

結果 コホート:46,864名(平均年齢 77歳、女性 53%、フォローアップ中央値 5.6年間)。

糖尿病なし被検者:スタチン使用ハザード比 
75−84歳 動脈硬化性CVD  0.94 (95% 信頼区間 0.86 to 1.04) 、 全死亡率  0.98 (0.91 to 1.05)
85歳以上 動脈硬化性CVD   0.93 (0.82 to 1.06)、全死亡率  0.97 (0.90 to 1.05)

糖尿病あり被検者:スタチン使用ハザード比 
75−84歳 動脈硬化性CVD  0.76 (0.65 to 0.89)、 全死亡率  0.84 (0.75 to 0.94) 
85歳以上 動脈硬化性CVD   0.82 (0.53 to 1.26) 、 全死亡率  1.05 (0.86 to 1.28)


同様に、年齢による連spline使用続数スケール効果解析で、74歳超で糖尿病なしの場合、動脈硬化性CVDと全死亡率へのスタチンベネフィット欠如を裏付け。

糖尿病有りの場合、動脈硬化性CVD、全死亡率へのスタチンの防止効果示した;ただ、この効果は85歳を超えると減少し、90歳代では消失



結論 2型糖尿病なしの74歳超高齢者では、スタチン治療は動脈硬化性CVD・全死亡率減少に関連せず、これはスタチン使用要求動脈硬化性CVDリスク閾値が高い場合でも同様。
糖尿病存在時は、スタチン使用と動脈硬化性CVD・全死亡率減はと統計学的に有意関連。だが、この効果も85歳を超えると減少し、90歳代では消失。



Thin plate regression splines of hazard ratios of atherosclerotic cardiovascular disease and all cause mortality for statin use, by age, in participants with and without type 2 diabetes mellitus



薄板スプライン(thin plate spline)
http://www.math.keio.ac.jp/~kei/GDS/2nd/spline.html

データの背後に多変量の関数を仮定する場合には使うことができない.そこで,多変量平滑法の一つであるThin plate spline法(Duchon, 1977)




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