2016年5月12日木曜日

SPIROMICS研究: 拡張剤使用後FEV1/FVC≧0.7の現行・既往喫煙のうち有症状(CAT10以上)の病的意義明らかに

 Subpopulations and Intermediate Outcome Measures in COPD Study (SPIROMICS):呼吸器症状既往現行喫煙/既往喫煙者において、気管支拡張剤使用後FEV1/FVC以上にかかわらず、COPDと同様な慢性下気道疾患に一致する症状・所見を示す一群がある;preserved EFならず、preserved pulmonary function現行・既往喫煙者という病態が存在

 「拡張剤後FEV1/FVC<0 .7="" p="">「 たばこ既往・現行使用者において、CATという質問紙を用いた問いかけを行い、CAT<10と≧10で分類し、後者を「BMI、年齢、性別、人種、民族、合併症<うっ血性心不全、GERD、喘息診断既往>、小児期喘息診断」といった寄与要素補正の結果急性増悪リスク増加と関連している



Clinical Significance of Symptoms in Smokers with Preserved Pulmonary Function
Prescott G.
Woodruff, et. al., for the SPIROMICS Research Group*
N Engl J Med 2016; 374:1811-1821May 12, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1505971



気管支拡張剤使用後”FEV1/FVC<0.7”というCOPDの定義
多くの喫煙者たちはこの定義に合致しない


2736名現行・既往喫煙と、非喫煙対照で、CAT(COPDアセスメントテスト)を用い呼吸器症状を計測

呼吸器症状は肺機能温存現行・既往喫煙者で存在
有症状現行・既往喫煙者は無症状現行・既往喫煙者より呼吸器急性増悪発生率平均( ± SD)高率 (0.27 ± 0.67 vs. 0.08 ± 0.31 、 0.03 ± 0.21 イベント数/年間; 両比較 P < 0.001 )




喘息既往有無と関連無く、有症状現行・既往喫煙は、同様比較で、運動制限程度大きく、FEV1・FVC・IC軽度低下、HRCTによる気腫不在気道壁肥厚大

有症状現行・既往喫煙者において、気管支拡張剤使用 42%、吸入ステロイド使用 23%



スパイロメトリ使用頻度極めて少ない医療機関、中には、呼吸器専門と騙っている・語っている医療機関が存在する。喫煙有無関係なく、慢性咳嗽(遷延化を含め)、呼吸困難(発作性、持続性問わず)などあればCOPDと診断したのかさえあやしいのだが、LAMA使用例を目にすることがある。「くそもみそも診療」が私の周囲では多い・・・と世間一般の悪口

ところで、この「preserved pulmonary function現行・既往喫煙者」に対し、薬物治療は有効なのだろうか? discussionに"  Clinical trials are needed to determine whether maintenance therapy with bronchodilators or inhaled glucocorticoids will alleviate symptoms and reduce the rate of respiratory exacerbations in this group."とあり、同様問題提起なされている。

時代で、“BMI理想値”は変動?

全死亡率最小のための決定的BMI値は不明

住民レベル、サブグループレベルに依存し推定ばらつき生じる可能性があり、U字型の最小値付近での形状に関心が集まり、これがBMIの健康基準値と大声で叫ぶアホどもをたくさん産生している。
合併疾患要素、疾患によるBMI変化要素などの影響もある。健康一般住民に純化した報告が必要であり、中途参加被検者やフォローアップ中断例なども影響される報告も多い。


この研究は、全死亡率最小と関連するBMI値を住民レベルで30年間検証した報告
仮説として、全死亡最小値関連BMI値は30年間において一般住民で増加しているかの検証


時代で、“BMI理想値”は変動している? あるいはコホート毎特有の現象?


Change in Body Mass Index Associated With Lowest Mortality in Denmark, 1976-2013
Shoaib Afzal, et. al.
JAMA. 2016;315(18):1989-1996. doi:10.1001/jama.2016.4666.



Copenhagen City Heart Study in 1976-1978 (n = 13 704) and 1991-1994 (n = 9482)
Copenhagen General Population Study in 2003-2013 (n = 97 362)

2014年11月の研究登録までフォローアップされた全例

死亡数

  • 1976-1978 cohort 10 624 (78% cumulative mortality; mortality rate [MR], 30/1000 person-years [95% CI, 20-46])
  • 1991-1994 cohort 5025 (53%; MR, 16/1000 person-years [95% CI, 9-30])
  • 2003-2013 cohort 5580 (6%; MR, 4/1000 person-years [95% CI, 1-10])


がん死亡率を除けば、全死亡率、心血管疾患死亡率、他死亡率は曲線状(U字型)関連

全死亡率最小BMI推定値は、

  • 23.7 (95% CI, 23.4-24.3) in the 1976-1978 cohort
  • 24.6 (95% CI, 24.0-26.3) in the 1991-1994 cohort
  • 27.0 (95% CI, 26.5-27.6) in the 2003-2013 cohort


心血管死亡率最小BMI値推定値は、

  • 23.2 (95% CI, 22.6-23.7)
  • 24.0 (95% CI, 23.4-25.0)
  • 26.4 (95% CI, 24.1-27.4)


他原因死亡率最小BMI値推定値は、

  • 24.1 (95% CI, 23.5-25.9)
  • 26.8 (95% CI, 26.1-27.9)
  • 27.8 (95% CI, 27.1-29.6)





BMI30以上 vs 18.5-24.9 の全死亡率への多変量補正ハザード比は.

  • 1.31 (95% CI, 1.23-1.39; MR, 46/1000 person-years [95% CI, 32-66] vs 28/1000 person-years [95% CI, 18-45]) in the 1976-1978 cohor
  • 1.13 (95% CI, 1.04-1.22; MR, 28/1000 person-years [95% CI, 17-47] vs 15/1000 person-years [95% CI, 7-31]) in the 1991-1994 cohort
  • 0.99 (95% CI, 0.92-1.07; MR, 5/1000 person-years [95% CI, 2-12] vs 4/1000 person-years [95% CI, 1-11]) in the 2003-2013 cohort






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