COVID-19に関連する小児の多系炎症症候群(MIS-C)を持つ11歳の小児が心不全を発症し、1日後に入院後に死亡した症例を報告
SARS-CoV-2 in cardiac tissue of a child with COVID-19-related multisystem inflammatory syndrome
The Lancet Child & Adolescent Health
Published:August 20, 2020DOI:https://doi.org/10.1016/S2352-4642(20)30257-1
https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(20)30257-1/fulltext#%20
病理組織学的検査では、炎症性細胞の浸潤を特徴とする心筋炎、心膜炎、心内膜炎が認められた
子顕微鏡で心臓組織を分析したところ、心筋細胞、毛細血管内皮細胞、心内膜内皮細胞、マクロファージ、好中球、線維芽細胞など、いくつかの細胞タイプの細胞外コンパートメント内に、Coronaviridaeファミリーと同じ大きさと形状の直径70〜100nmの球状のウイルス粒子が確認された
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)関連肺炎は軽度で,肺胞腔内のパッチ状滲出性変化と軽度の肺炎球過形成を認めた
SARS-CoV-2 RNA は、E(エンベロープ)遺伝子に設定されたプライマーとプローブを用いたリアルタイム RT-PCR により、死後の鼻咽頭スワブから、心臓組織および肺組織から検出された
者は心原性ショック、急性左室機能障害、および心筋炎の徴候を呈し、生命を脅かす状態に陥る可能性があることを示唆
COVID-19を有する小児の心機能障害に関与する可能性のある機序としては、重度の全身性炎症状態に伴う心筋梗塞や浮腫、SARS-CoV-2による直接的な心筋損傷、ウイルス性肺炎に伴う二次的な低酸素症などが考えられる
小児のMIS-C発症の素因となるかはまだ不明であるが、本症候群の病態を理解するためには、潜在的な遺伝的決定因子のさらなる調査が重要である
SARS-CoV-2はRT-PCRと電子顕微鏡検査で心臓組織中に検出された。全身性の炎症が認められ,最終的には多臓器不全へと進行したが,臨床所見,心エコー検査,検査所見から,心不全が死亡の主な原因であることが強く示唆された
筋炎はおそらくウイルスによる心細胞への傷害に対する一次反応であったと考えられる。
第一に、心筋細胞の感染は、おそらく細胞傷害に反応して局所的な炎症を引き起こし、ウイルス誘発性傷害と炎症反応の両方が心筋細胞の壊死を引き起こす可能性がある。好中球にウイルス粒子が認められたことは、ウイルス誘発性炎症の考えを支持するものである。また、心内膜の内皮細胞への感染は、SARS-CoV-2の他の臓器や組織への血行性の広がりをもたらす可能性がある。
MIS-Cに罹患した小児の心臓組織にウイルス性粒子が存在することを記録した筆者らの知る限りで初めてのものとのこと
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わざわざ “multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) related to COVID-19”とすべきかどうかも議論が必要だと思う