2013年10月8日火曜日

食の匂いにより段階的encodingを示す脳内ペプチド ・・・ 食欲と匂いの関連研究

例えば、焼けたパンの匂いがすると、気持ちはベーカリーに向く。一方、生魚が嫌いな人は魚なのにおいを毛嫌いするかもしれない。こういった反応は、脳の何処で働く_
さらには、止まらない食欲による肥満・食行動異常の問題に関する解決につながるかもしれない。

ショウジョウバエで、リンゴ、マンゴー、バナナといったものを与えニューロンの反応をみた研究で、dNPFというニューロペプチドをon-offすると、食事の匂いと個別的反応に影響を与えた

Graded Encoding of Food Odor Value in the Drosophila Brain
Jennifer Beshel and Yi Zhong
The Journal of Neuroscience, 2 October 2013, 33(40): 15693-15704; doi: 10.1523/​JNEUROSCI.2605-13.2013

匂いは魅力をもつものだが、脳内のどこで、いかにして、その意味合いを持つかは不明。
ショウジョウバエの脳で、食物香りの価値を含む飢餓感受性ニューロンの役割を解析。 
in vivo two-photon calcium imagingで、Drosophila neuropeptide F (dNPF)、neuropeptide Y homolog発現ニューロンの食事の匂いによる活性化を示した。結果、食欲と相関を示した。 
食物の匂いに反応して、飢餓は、ニューロン性・行動反応を生じるのみだが、給餌状況で生じるdNPF活性を生じる。 
dNPF発現ニューロンサブセットの不活性化、dNPF受容体silencingにて、食の匂いによる魅力を低下させる。しかし、遺伝的にdNPF活性促進すると、食・匂いに引きつけられるだけでなく、嫌悪的匂いへも引きつけられる。 
匂いの量を変化させると、段階的なニューロン・行動カーブがマッチして生じる。これは、匂い毎の好みによる機能的違いと思われる。 
動機付けスケール化された。ユニークに判別する細胞から由来するニューロン上の"Value signarl”が明確になった。

心臓胸痛診療:簡素化プロトコール

救急外来外来などでの胸痛疾患患者の対応に関して、見逃しを恐れるあまり、社会資源の過剰利用となる場合がある。短時間・簡素化した診断プロトコールで、極力見逃しを少なくしようという試み。


A 2-Hour Diagnostic Protocol for Possible Cardiac Chest Pain in the Emergency DepartmentA Randomized Clinical Trial
Martin Than, et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 07, 2013. doi:10.1001/jamainternmed.2013.11362
実験的経路としての診断プロトコール:Thrombolysis in Myocardial Infarction スコア 0点、心電図、トロポニン検査0−、2−時間
vs
標準診療プロトコール:来院時トロポニン検査、観察、6−12時間後2回目のトロポニン検査

主要アウトカム測定は、6時間内の退院で、重大心血管イベントが30日内に生じないこと

6時間内退院:実験群 52/270 vs 対照群 30/272(オッズ比 1.92, 95% CI 1.18-3.13; p = 0.008、 19.3% vs 11.0%)

実験群で6時間内退院達成と、対照群での退院まで20時間必要比率は同じ

実験群で、低リスクと分類されたが、心臓検査のための入院必要であったのは、35名(12.9%)、ただ、入院評価での急性冠症候群と診断されたのは無し。


合理性があれば非難されない米国の医療は健全な部分も多い。刑事訴追までされるリスクのある日本の方がはるかに医療関係者にとってはリスキー。そして、患者からのクレームをおそれ医療費が増大している側面を医療関係者外のものは認識されてない。単に過剰診療とステレオタイプな批判を繰り返すだけで・・・


甲状腺機能低下症治療:閾値低下による治療症例増加傾向と、過剰治療症例の存在

甲状腺機能低下症の治療境界域の問題で、レボチロキシン(チラージン)の治療閾値を低くすると、その処方増加するだろうが、薬剤に伴う有害性増加し、ベネフィットは頭打ちとなる。

日本のガイドラインでは、TSHの正常化と、心疾患・そのリスク状態の配慮が記載されてる。


実際のレボチロキシンナトリウム開始のサイロトロピン値と、サイロトロピン抑制とその後の治療リスクに関する検討


Falling Threshold for Treatment of Borderline Elevated Thyrotropin Levels—Balancing Benefits and RisksEvidence From a Large Community-Based Study
Peter N. Taylor,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 07, 2013. doi:10.1001/jamainternmed.2013.11312

United Kingdom Clinical Practice Research Datalinkのエータを用い後顧的コホート研究、レボチロキシン処方 52,298名 (2001年1月1日から2009年10月30日)
主要アウトカム測定は、指標薬処方時サイロトロピン中央値と、サイロトロピン 10 mIU/L以下のレボチロキシン介しオッズ、レボチロキシン治療後のサイロトロピン低値あるいは抑制年齢層別化オッズ比

2001−2009年、レボチロキシン治療開始後サイロトロピン値中央値は、8.7 → 7.9と低下 

サイロトロピン値 10.0 mIU/L以下でのレボチロキシン処方オッズ比は、2009年では、2001年比較で、 1.30 (95% CI, 1.19-1.42; P < .001)

心臓リスク要素ありの高齢者・一般では、サイロトロピン値 10.0 mIU/L以下での処方オッズ高い。

レボチロキシン開始5年時点で、サイロトロピン< 0.1 mIU/Lとなっているのは、5.8%。 
ベースラインでのうつや倦怠感ありの場合、サイロトロピン値抑制オッズ比増加、心臓リスク患者では、サイロトロピン値抑制オッズ増加は認めない

急性心筋梗塞後上部消化管内視鏡検査の安全性

Endoscopy After Acute Myocardial Infarction: An Evaluation of Safety
Southern Medical Journal:
October 2013 - Volume 106 - Issue 10 - p 545-549


急性心筋梗塞状況での上部消化管出血に対する、食道胃十二指腸内視鏡(EGD)の安全性後顧的検討 
急性心筋梗塞30日内のEGD、87名で、重大な合併症見られず
マイナーな合併症:27/87(31%)
内訳:軽度低血圧、軽度徐脈、胸痛悪化

STEMI患者では、NSTEMI患者より、内視鏡が有意に迅速になされ  (P = 0.01) 、心臓カテーテルがEGDに先立ち行われることが多い  (P < 0.01)

STEMI vs NSTEMI間に、EGD時点でのピーク・トロポニンI、APACHE IIスコアに有意差認めず、マイナーな合併症にも有意差認めず (P = 0.21 、P = 0.55、 P = 0.08)

EGD前の心臓カテーテルは結果に影響を与えない。

APACHE IIスコア 16以上ではマイナーな合併症多い  (P = 0.02)



心窩部痛が実は心筋梗塞だったって話は逸話的に聞くことがあるが・・・

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