2012年5月25日金曜日

心血管・全死亡率:肥満単独ではリスク要素とならない! 血圧・血糖・HDL・CRP異常と言った要素が重要

University College London主導研究者 Mark Hamer

 肥満要素単独だけでは、その後のリスクを予測できず、“血圧、血糖、HDL、コレステロール、CRP異常”といったものを代謝的要素と定義し、これらの正常なときは肥満という要素は、その後の余命に影響を与えないという報告。

予防医学上役立てるのなら、体重単体にのみ注目するのでは無く、その他の代謝的要素に目をむけるべき


Metabolically Healthy Obesity and Risk of All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism April 16, 2012 jc.2011-3475
序文: 健康への影響は不明だが、これまでの研究では、adiposity(過脂肪状態)関連心臓代謝的リスク要素のない、肥満発現型を区別してきた。

目的: 代謝的健康な肥満者と心血管疾患・全死亡率との関連性検討

デザイン・セッティング: スコットランド・イングランドの一般地域住居成人たちの死亡記録との前向き関連性の観察的研究

被験者: 22203名の男女  [年齢 54.1 (SD 12.7 歳), 男性 45.2%] ベースラインでCVD病歴無し

介入: 血圧、HDL、糖尿病診断、腹囲、hsCRP≧3 mg/Lに基づき、代謝的健康状態分類 健康(0-1)、不健康(2以上)として、肥満はBMI 30kg/m2以上

主要アウトカム測定: フォロー 平均 7.0±3.0年、原因特異的死亡率検討。
Cox比例ハザードモデルを代謝的健康/肥満カテゴリーと死亡率との関連性を検討

結果: CVD 604名、1868全原因死亡 1868名
健康非肥満登録者と比べ、肥満対比者はCVDリスク増加せず   [ハザード比 (HR) 1.26, 95% 信頼区間 (CI) 0.74–2.13]

しかし、2つ以上の代謝的異常を有する非肥満者(HR 1.59, 95% CI 1.30–1.94)・肥満者 (HR 1.64, 95% CI 1.17–2.30)ではリスク増加。

代謝的不健康肥満被験者は、代謝的健康肥満対比者に比べ、全死亡率リスク増加   (HR 1.72, 95% CI 1.23–2.41)

結論: 代謝的健康肥満者は、7年間のCVDおよび全死亡リスク増加と関連せず
現行の日本で行われているメタボリックシンドローム・肥満対策は果たして、コスト効果的なのだろうか?メタボ検診への疑問というのはかなりの数の有識者が指摘しているが、抜本的に見直そうとする動きは見えてこない。

この国では、国による検診詐欺・メタボ詐欺・・・永遠に続くのだろうか?

ACCOMPLISH解析:非肥満患者は利尿剤を含まないレジメンの方がイベント減少効果的

Weber M, et al "Effect of body mass on cardiovascular outcomes during hypertension treatment: an ACCOMPLISH analysis" ASH 2012; Abstract LB-OR-03.

解説: http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASH/32865

ACCOMPLISH trialの事前設定解析にて、肥満ではない、正常体重から過体重の高血圧症例に対し、利尿剤の存在しないレジメンが良いかもしれない。

正常体重の人では、ACE阻害剤ベナゼプリルとカルシウムチャンネルブロッカーアムロジピンは、ベナゼプリルとヒドロクロロサイアザイドより、有意に心血管イベントを減少 (HR 0.57, P=0.0037)。


非肥満患者のサイアザイドは副事象メカニズムとして、交感神経系・RAS活性増加の可能性がある。

アムロジピンベースの治療の方が、有意に利尿剤ベースの治療に比べ、死亡・卒中・心発作予防的に上回る。





ALLHAT研究結果に基づくガイドラインって・・・一体何だったんだ?

非肥満者では、CCB+ACE阻害剤を主軸に併用療法考えるべきなのだろうか?
高血圧:ARB処方禁止でカナダでは数百ドルの医療費節約・・・日本も是非・・・ 2011年 01月 25日

ドパミン受容体アゴニスト:カベルゴリンによる男性無オルガスム症治療

単一施設の後顧的症例解析なので、エビデンスレベルとして十分とは言えない。


Hsieh TC, et al "Cabergoline for the treatment of male anorgasmia" AUA 2012; Abstract 1495.

解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AUA/32903

ドパミン受容体アゴニストカベルゴリンによる男性無オルガスム症治療


72名中50名でオルガスム改善、50名中26名がカベルゴリン投与中正常オルガスムに改善という結果。多変量解析にて、治療期間・テストステロン補充療法(TRT)がカベルゴリン効果の予測因子となった。
同時TRTは尤度増加 p=0.03 テストステロン剤型との関連認めず。

 無オルガスム症は心理的原因とされるが、前立腺癌放射線切除ごや薬物治療後でも生じる。プロラクチンsparingのないSSRIや古典的精神病薬などはオルガスム機能障害の原因となり得ることは知られていた。

 カベルゴリンは直接プロラクチン分泌細胞刺激作用があるため、後顧的に、2009-2011年の単独男性更年期クリニックでの症例で検討。

 カベルゴリン 週2回投与、プロラクチン、FSH、LH、血中テストステロン評価し、さらにTRT併用例も検討。

治療前、心臓エコーでの弁膜疾患について評価必須とも述べている。

noteへ実験的移行

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