2018年5月23日水曜日

SUNSET:COPD 長期3剤療法→2剤併用への減量トライアル

COPD患者で好酸球増加のない症例で、triple therapyにて良好な患者では、dural theapy(ウルティブロ・ブリーズヘラー: indacaterol/glycopyrronium)へのスイッチでも急性増悪増加しない



withdrawトライアルとしては元祖

WISDOM研究 : チオトロピウム/サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン → プロピオン酸フルチカゾン除去有無比較
Withdrawal of Inhaled Glucocorticoids and Exacerbations of COPD Helgo Magnussen, , et al., for the WISDOM Investigators
N. Engl. J. Med. 2014; 371:1285-1294
上記はstepwise減量



今回のSUNSETは、頻回急性増悪のないCOPD(中等症・重症)において長期triple theapyをLABA/LAMA治療へ減量し有効性安全性を本格的に検討した初めての報告ということらしい

Long-term Triple Therapy De-escalation to Indacaterol/Glycopyrronium in COPD Patients (SUNSET): a Randomized, Double-Blind, Triple-Dummy Clinical Trial
Kenneth R Chapman , et. al.
American Journal of Respiratory and Critical Care  Published Online: May 20, 2018

“GOLDのDに相当する、入院必要だったもしくは中等度以上急性増悪2回以上症例、好酸球 300/μL超ではICS必要”という概念は温存し
26週間、ランダム化二重盲検、triple-dummy研究で、ダイレクトに
・ウルティブロ・ブリーズヘラー:indacaterol/glycopyrronium (110/50 μg once daily)
・トリプルセラピー継続(チオトロピウム18 μg 1日1回 + salmeterol/fluticasone propionate [50/500 μg] 1日2回)
比較

プライマリエンドポイントは、ベースラインからのFEV!変化量非劣性比較
セカンダリエンドポイントは、中等症・重症急性増悪

ウルティブロ・ブリーズヘラー群 527 vs トリプルセラピー群 526

主要知見

  • ICS 中止にて、トラフFEV1減少  −26mL (95% CI, −53 to 1 mL);非劣性境界 -50mLを超えた信頼区間
  • 中等症・重症COPD年間発生率は治療群で差を認めず(発生率比 1.08; 95% CI, 0.83 to 1.40)
  • ベースラインで末梢血 300/μL以上の患者では肺機能障害大きく、急性増悪リスク増大



ベースライン特性による投与後トラフFEV1からの平均変化量


26週間治療におけるトラフFVCのベースラインからの変化

好酸球数カテゴリーによる初回中等症・重症COPD急性増悪まで期間



呼気NO濃度測定により吸入ステロイド必要性が客観的に検証できる

MedPage Todayの解説記事:https://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/ats/73011


呼気NO濃度測定により吸入ステロイド必要性が客観的に検証できる?

より低FeNO値症例に比べ、50ppb以上の患者ではステロイド治療効果の蓋然性オッズ比で2倍となる


The Role of FeNO in Cough Management: A Randomised Controlled Trial
D. B. Price1, R ,et. al.
http://abstractsonline.com/pp8/#!/4499/presentation/12028

背景: Fractional exhaled nitric oxide (FeNO)は喘息治療反応評価に有用だが、咳嗽症状や喘息診断歴無しの患者で有用なベースライン測定法なのかは不明

目的と対象: 非特異的呼吸器症状患者において、咳嗽という観点からベースラインFeNOと治療効果の関連推定


研究方法: 多施設、ランダム化対照トライアル、UK、シンガポールの患者、extrafine ICS(BDI 200μg bid)、プラシーボ 4週間
FeNO:NIOX VERO (Circassia) 測定
プライマリエンドポイント:ACQスコアの変化量
セカンダリエンドポイント:VAS評価咳嗽の変化量


結果: 咳嗽が主なベースライン症状(n=257)で、85%の患者が訴え
高FeNO値と治療効果の相関、 ベースラインFeNO 10 ppb増加毎、extrafine ICS群( vs プラシーボ比較)のVAS咳嗽治療効果変化量は大きい 3.115(95% 信頼区間[CI], 0.579-5.651)
extrafine ICS群の単変量測定モデルでは、ベースライン FeNO 50 ppb超過症例では50ppb未満のそれに比べ、VAS咳嗽スコアは20以上改善が2倍を超える(非補正オッズ比 2.37 , 95%CI 1.01-5.55)

結論:FeNO測定は咳嗽症状患者にとって、シンプルで、患者に近く、定量的、非侵襲的な診断ツール。今後推奨カットオフ値の確立が必要。



日本国内では、まぁ耳に胝の話ではあるが・・・


喘息と断定してない

患者特性は、年齢中央値 48歳、男性 45%程、咳嗽VAS 41
FeNO平均値 37 ppbと日本のカットオフ値に比べても、もともとやや高値

平均罹病期間など情報が無いのだが、慢性咳嗽を念頭にしたような記述


6−8週間未満の亜急性咳嗽のセッティングとは異なるようだ
臨床症状を細かく区切った検討が必要と思う

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