2013年10月31日木曜日

SGLT2阻害剤 ダパグリフロジン:DPP4阻害剤(メトホルミン使用不問)add-on効果

SGLT2阻害薬dapagliflozinは、DPP−4阻害剤 add-on効果、−0.5%程度

Dapagliflozin Is Effective as Add-on Therapy to Sitagliptin With or Without Metformin: A 24-Week, Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Studys
Published online before print October 21, 2013, doi: 10.2337/dc13-0467 Diabetes Care October 21, 2013 


メトホルミン使用有無不問・DPP-4阻害剤使用(sitagliptin (100 mg/day) ± metformin (≥1500 mg/day))・2型糖尿病コントロール不良群でのダパグリフロジンの有効性安全性
24週間、多施設ランダム化二重盲験プラシーボ対照化平行群第三相24週間
432名をダパグリフロジン 10mg/day とプラシーボに割り付け 
ベースライン
・ HbA1c ダパグリフロジン群 HbA1c 8.0% (64.0 mmol/mol)  vs プラシーボ群 7.9% (63.0 mmol/mol)  
・ 空腹時血糖 ダパグリフロジン群 162.2 mg/dl (9.02 mmol/L) vs 対照群 163 mg/dl (9.02 mmol/L) f

24週時点で、HbA1c値は、ダパグリフロジン群では有意に減少  (–0.5% [–4.9 mmol/mol]) versus placebo (0.0% [+0.4 mmol/mol]) 
ダパグリフロジン群は、プラシーボに対して体重減少( -2.1 kg vs -0.3kg)
HbA1c値 8.0%以上群の患者でのHbA1c減少 (–0.8% [8.7 mmol/mol] and 0.0% [0.3 mmol/mol])、そして、空腹時血糖低下  (–24.1 mg/dl [–1.3 mmol/l] and 3.8 mg/dl [0.2 mmol/l])

背景治療層別化でも、同様の結果となる。
24週めの血糖、体重ベネフィットは、48週後も維持。

収縮期血圧8週目のベースラインからの差は治療群間で認められなくなる

48週を超えても、ダパグリフロジン治療中断少なく、プラシーボと比較して血糖ターゲット失敗によるレスキュー治療負荷は少ない。
副作用イベントは群間均衡、中止率少ない。48週後、性器感染徴候・症状がプラシーボより多い(9.8% vs 0.4%)。尿路感染に関しては群間均衡( 6.7% vs 6.2%).


システマティック・レビュー:トリグリセライド  1mmol/L(88.6mg/dL)増加毎 CVD死亡 13%、全原因死亡 12%増加




Effects of blood triglycerides on cardiovascular and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of 61 prospective studies
Jun Liu, et. al.
Lipids in Health and Disease 2013, 12:159  doi:10.1186/1476-511X-12-159
Published: 29 October 2013
中性脂肪と死亡リスクとの関連性はいまだ不明。血中TG値と、心血管疾患(CVDs)死亡率と全原因死亡率との関連性を決定する。4つのデータベース(PubMed, ScienceDirect, EMBASE, and Google Scholar)を言語無関係に調査。
全ての前向きコホート研究で、TG、CVDs、全原因死亡率との関連性を2013年6月以前に検討。

逆変数加重を用いたTGカテゴリー、ユニットTG、Log TGを、random-effects modelを用い、リスク比(RRs)、95%信頼区間(CIs)を抽出し、プール化

61の登録研究同定し、72万6030登録中CVD死亡 17,018、 33万566名登録中全原因死亡 53,419

12、14研究で、それぞれ、TGカテゴリーにより、CVDsと、総死亡率推定効果を報告。

CVD死亡率 pooled RRに関して、90−149 mg/dLカテゴリー比較で、 < 90 mg/dL、ボーダーライン高値 (150-199 mg/dL)カテゴリー、高TGカテゴリー(200 mg/dL以上)では、 0.83 (0.75 to 0.93)、 1.15 (1.03 to 1.29)、1.25 (1.05 to 1.50)

総死亡率に関しては、それぞれ、 0.94 (0.85 to 1.03),、1.09 (1.02 to 1.17)、1.20 (1.04 to 1.38),

22、22研究それぞれで、TG 1- mmoL/L増加毎(TGは1 mmol/L= 88.57 mg/dL) 、CVDs、全原因死亡リスクは 13%、12%増加
(p < 0.001)

結論としては、血中TG値増加毎、用量依存的にCVD、全原因死亡率のリスク高い。


血糖コントロール不良は、腎血流内NO活性増加と関連

血糖は血管内皮NO遊離させ、NOは糖尿病モデル腎臓のhyperperfusionと関連する。ヒトでこの知見が適用できるかどうかの検討

2型糖尿病で、腎臓血液流量(renal plasma flow)、糸球体濾過量(GFR)を造影剤注入input clearanceで測定。さらに、腎血流中のfunctional NO活性として、NOS阻害剤 N(G)-monomethyl-L-Arginine(L-NMMA)注入RPF変化量で間接評価。
加えて、尿中NO分泌量(UNOx)と、血中ADAMA比測定

結論から言えば、ヒトにおいても、糖尿病コントロール悪い場合、NO活性増加、腎臓の過灌流と関連する。腎臓のNOシステムは新しい治療ターゲットとなる可能性がある。

Poor Glycemic Control Is Related To Increased Nitric Oxide Activity Within the Renal Circulation of Patients With Type 2 Diabetes
Markus P. Schneider, et. al.
Published online before print October 15, 2013, doi: 10.2337/dc13-0806 Diabetes Care October 15, 2013

HbA1c濃度3分位比較

最大3分位では、RPF増加(低、中間、高3分位   576 ± 17 vs. 585 ± 22 vs. 627 ± 33 mL/min/m2, P = 0.05 by one-way ANOVA)

一方、GFRはHbA1c 3分位横断的に同等。


NOS阻害RPF反応は、HbA1c高いほど促進 (−55 ± 7 vs. −64 ± 8 vs. −86 ± 8 mL/min, P = 0.04 by one-way ANOVA)

l-アルギニン/ADMA比、UNOxもHbA1c増加ほど高値 

COPD患者:ヨガにより呼吸困難・QOL、CRP改善

COPDとヨガ

Mepage解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/CHEST/42512


ヨガは、一つのライフスタイルで・・・瞑想がスピリチュアルな全般的健康をもたらす。そして、肺機能・運動能・運動量改善をもたらすのなら、その呼吸法を意義づけしたくなる。なにせ、強化運動ではないため、万人に適応しようとすればできるわけだし・・・

ただし、安定期といえど、前後比較の検討なので、エビデンスレベルとしてはかなりpoorと言わざる得ない。漢方薬などのトライアルでよくやられるペテン治験の可能性もある・・・この論文だけで真偽決定というわけには行かない。

Source reference: Arora S, et al. "Efficacy of yoga on inflammatory markers, dyspnea, and quality of life in COPD"
Chest. 2013;144(4_MeetingAbstracts):787A. 
doi:10.1378/chest.1703685

目的: COPD は、全身性炎症性疾患。COPDのヨガ治療の役割は不明。安定COPD患者で、構造化ヨガトレーニングが、炎症性マーカー、呼吸困難、QOLへ影響を示すか検討。

方法: 29名のCOPD安定患者。患者はインストラクターによりヨガ運動を興じ、事前デザインフォーマット(asanas(身体姿勢)、pranayama(呼吸テクニック)、kriyas(清浄技術)、瞑想・hsavasan(リラックス技術)を含む)に従う)
週2回1時間を初期4週間、次8週間は2週間おき。残りのセッションは自宅で。
ベースライン評価には歯機能、呼吸困難重症度、oxygen cost diagram、6分間歩行試験、MRC測定、QOL、血中炎症性マーカー(CRP、TNF-α、IL6、 IL-8)
繰り返し全てのパラメータを行い、最終的にはトレーニング12週後。


結果: ベースライン→12週後
・血中平均値CRP 1.0(0.0-12.0) mg/dl → 0.00(0.0-566.0) pg/ml
・TNF-α 0.00(0.0-566.0) pg/ml → 0.0 (0-557.0) pg/ml
・IL-6 0.0(0.0-170.03) pg/ml → 0 (0.0-174) pg/ml
・IL-8 0(0.0-1488.0) pg/ml → 0.0(0.0-1076.0)pg/ml

同様に
6MWT 390.00(180.0-690.0) → 450.0(270.0-630.0)
Borgスケール0 (0.0-174) pg/ml  2.0(.5-7.0) → 500(.0-4.0)
VAS 55.0(40.0-80.0) mm → 70.0(55.0-95.0)

これら全て有意な改善

QOLスコアは、ベースラインから改善 50.97(8.58-82.80) to 31.44(1.53-78.61)


結論: Yoga 運動は、肺機能、6MWT、Borgスケール、呼吸困難重症度、QOL、CRPレベルの改善をもたらす。
IL-6、IL-8、 TNF-αで有意差認めず

臨床的意義: Yoga is a simple, cost effective and a patient acceptable method to improve dyspnoea and quality of life in COPD. As COPD increases in developing countries this method of simple rehabilitation needs proper evaluation.


【論文撤回】CPAP療法によるメタボリック・減量効果

IMTと腹部脂肪評価に於ける複合的過誤ということらしいが、閉塞型無呼吸症候群患者で、血圧・代謝系異常の改善有意に見られた(CPAP治療にて、 11/85 → 1/86と、メタボリック症候群頻度減少)という交叉対照トライアルの論文撤回。

あまりの極端な効果に驚かれ、特に体重減少効果が、注目されたようだ。

論文撤回:Retraction: CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med 2011;365:2277-86
N Engl J Med 2013; 369:1770October 31, 2013DOI: 10.1056/NEJMc1313105


CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea
Surendra K. Sharma, M.D., Ph.D., Swastik Agrawal, M.D., Deepak Damodaran, M.D., Vishnubhatla Sreenivas, Ph.D., Tamilarasu Kadhiravan, M.D., Ramakrishnan Lakshmy, Ph.D., Priya Jagia, M.D., and Atin Kumar, M.D.
N Engl J Med 2011; 365:2277-2286December 15, 2011DOI: 10.1056/NEJMoa1103944

日本語訳:http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/365/365dec/xf365-24-2277.htm
当方ブログ:http://intmed.exblog.jp/14175783/

閉塞型無呼吸:CPAP (vs sham CPAP ) 血圧・脂質・糖代謝特性改善効果
  

MedPage解説:NEJM Paper on CPAP-Metabolic Syndrome Retracted
Published: Oct 30, 2013
http://www.medpagetoday.com/Pulmonology/SleepDisorders/42598


今考えると、臨床的実感とかけ離れた論文・・・まぁ、疑惑論文とはこういうもんだろう

BOSSトライアル:冠動脈造影:重炭酸塩補液で、死亡リスク減少

冠動脈血管造影中及びその後4時間、食塩の代わりに、重炭酸塩使用補液で、死亡リスク減少する。

BOSSトライアルは、eGFR 44 mL/min/1.73 m2、全てのタイプの血管造影を対象。 重炭酸塩と生理食塩水を、死亡・腎代替治療・進行性腎不全6ヶ月間の複合アウトカムで検討。

6ヶ月を通せば、プライマリ複合エンドポイントは有意差無くなっていたが、トライアル自体はは、全原因死亡率6ヶ月というプライマリエンドポイントに早期到達のため、早期中止 : 3.2% vs 10.8% (p = 0.021) 。

末梢動脈血管造影では差を認めなかった。造影剤による腎障害の差はなく、非腎性メカニズム関与が示唆。


Solomon R, et al "BOSS: a prospective, randomized trial of bicarbonate versus saline for prevention of contrast nephropathy" TCT 2013.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/TCT/42602


トライアルの早期中断という面で解釈上難しくなった部分もあるので、解釈上注意が必要。

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note