2013年7月23日火曜日

米国:2005年から2011年 加工食品・料理店食品 減塩方向性不確実

米国内でも、減塩運動にかかわらず、加工食品やレストラン食品中のナトリウム量減少傾向は一定でなく、遅い。他のデータでは、加工食品・レストラン食品中ナトリウムレベル自発的減少ペースが遅くなっていることが示唆され、より強いアクションが望まれる。


Changes in Sodium Levels in Processed and Restaurant Foods, 2005 to 2011
Michael F. Jacobson et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(14):1285-1291. doi:10.1001/jamainternmed.2013.6154
ナトリウムの過剰摂取は高血圧の主因で、心疾患・卒中の重要な要素
消費量が増えれば、高血圧発症個人尤度増加する。多くの権威団体がナトリウム摂取減少を米国内で推奨している。ナトリウム摂取の80%が食品製造業者・レストランにより加えられている。

2005年、2008年、2011年評価製品ナトリウムの平均(SD)レベル:特定の食品のナトリウム含量

2005年から2001年にかけ、402の加工食品ナトリウム含量は、約3.5%減少
しかし、78のファストフードレストラン製品ナトリウム含量は、約2.6%増加

特性の製品は最低30%も減少するも、多くの製品では最低30%増加。
主な知見としては、この6年間にナトリウム含有量に関し、正確な、統計学的に有意な減少が見られなかったこと


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心エコー検診 ベネフィット認めず

無症状者への構造的心疾患同定は早期疾患介入治療につながるかもしれないということで検討したが、直接のベネフィットは認めなかった。


Echocardiographic Screening of the General Population and Long-term Survival
A Randomized Clinical Study
Haakon Lindekleiv,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8412. 
Published online July 22, 2013
ノルウェーの住民ベース研究Tromsø Study
心エコー検診群 n=3272、 対照群 n=3589
治療アプローチとして、データを死亡率・致死的・非致死的心筋梗塞・卒中に関して解析

15年間フォローアップ中、
死亡 検診群 880名(26.9%)、 対照群 989(27.6%)
 (ハザード比, 0.97; 95% CI, 0.89-1.06)
セカンダリアウトカム測定項目(突然死、型不問心疾患死オブ率、致死的・非致死的心筋梗塞、卒中)に関して、群間有意差みとめず 
エコーによる構造・弁疾患検診は、死亡率や心筋梗塞・卒中リスクへベネフィットもたらさない。




心エコー適正使用に関する報告
 Appropriate Use and Clinical Impact of Transthoracic Echocardiography
Susan A. et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8972.
Published online July 22, 2013

緑茶・紅茶の心血管疾患への一次予防直接エビデンス ・・・ 存在しないに等しい

飲用物の健康への効果研究いずれもがエビデンス品質レベルが低く、断定するにはほど遠い。だが、マスメディアや軽口評論家により、断定的な話にすり替わり、市井に流布していく・・・そして、業界がそれを利用し、宣伝に使う・・・そういう悪循環。


以下のCochraneレビューの結果だと、心血管疾患一次予防効果としての緑茶・紅茶の検討研究、特に、長期研究は、かなり稀。故に、心血管疾患予防効果としてのエビデンスは限定的。CVDリスク要素への改善効果を示唆する限定的いエビデンスは存在する。
だが、それぞれの解析に値する検討数が少なすぎるため、取り扱いには注意が必要で、長期フォローアップを有する質の高い研究が必要。

これがホントなら、LDL値の変化、血圧の変化を見れば、心血管疾患アウトカムへ影響与えるほどのインパクトだと思う。COI配慮された第三者機関が高品質なトライアルすれば良いのだが・・・


Green and black tea for the primary prevention of cardiovascular disease
Louise Hartley, et. al.
Editorial Group: Cochrane Heart Group
Published Online: 18 JUN 2013
Assessed as up-to-date: 12 OCT 2012
DOI: 10.1002/14651858.CD009934.pub2

緑茶・紅茶に関するRCTは11で、対象被験者は 総計 821名
緑茶は7つ、紅茶は4つ
アウトカムとして心血管イベントを採用したのは無し
紅茶では、LDL、コレステロール血圧(収縮期、拡張期血圧)で減少効果
血圧(収縮期 : MD -1.85 mmHg, 95% CI -3.21 〜 -0.48、 拡張期 (DBP): MD -1.27 mmHg, 95% CI -3.06 〜 0.53);何れも6ヶ月間
感度分析安定だが、トライアル数がかなり少なく解析に適せず、バイアス・リスク存在


緑茶も統計学的に有意減少効果:総コレステロール、血圧
血圧(収縮期血圧 (SBP): MD -1.85 mmHg, 95% CI -3.21 〜 -0.48、 拡張期血圧 (DBP): MD -1.27 mmHg, 95% CI -3.06 〜 0.53);何れも6ヶ月間
これも、検討数が少なく解析に適せず、さらには感度分析不安定
副作用イベントは5研究で行われ、前立腺がん、インフルエンザ入院、虫垂炎、網膜剥離などだが、ダイレクトな介入寄与可能性は少ない。
LDL(差平均(MD) -0.43 mmol/L, 95% 信頼区間 (CI) -0.56 〜 -0.31)
LDL(差平均 -0.48 mmol/L(-18.6 mg/dL), 95% 信頼区間 (CI) -0.77(29.8) 〜 -0.46(17.8))



習慣性コーヒー摂取と心代謝疾患、心血管健康、全原因死亡率

観察研究がほとんどで、高品質前向き対照などされてない研究が実態のコーヒー摂取と健康アウトカムの関連性研究。そういう限界の中、全体から見れば、中立的からやや健康に良いのかもしれない。




Effects of Habitual Coffee Consumption on Cardiometabolic Disease, Cardiovascular Health, and All-cause Mortality
James H. O’Keefe,  et.al.
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2013.06.035

コーヒーは米国内で、水の次に最も頻用されいる飲用品で、成人ではカフェイン摂取の主な供給源。コーヒーの生物学的影響が存在するが、カフェインの作用も限定的でない。
コーヒーは数百の生物学的活性成分を含む複雑な飲用品で、慢性的コーヒー飲用の健康への影響は幅広い。


心血管という立ち位置からみると、コーヒー摂取は2型糖尿病、高血圧、肥満やうつといった他のCV関連疾患リスク減少に働く可能性がある。しかし、脂質特性に関して含有物次第では悪化的に働く可能性がある。


関わらず、増加するデータ本体により、習慣性コーヒー摂取は、冠動脈性心疾患、うっ血性心不全、不整脈、卒中を含む様々なCV副事象アウトカムに対するリスクに関して中立的からベネフィットを有するという報告となっている。
さらに、大規模疫学研究により、コーヒー定期飲用は死亡率リスク、心血管疾患・全原因死亡を減少することが示唆される。


可能性のあるベネフィットとしては、神経変性疾患への防御作用が含まれ、喘息コントロール、特定の胃腸疾患リスク減少も含まれる。

コーヒー2−3カップ連日飲用は安全であるようで、研究された健康アウトカムのほとんどで中立〜利益的である。


しかし、コーヒーの健康への影響の大部分は観察研究で有り、ランダム化対照研究はかなり少なく、その関連性は原因的に示されてない。さらに、定期コーヒー摂取利益性可能性は、(カフェイン含量の多いことに起因することがほとんどだが、その)内在リスクに対する重み付けがなされるべき。すなわち、不安、不眠、震せん、動悸、骨減少、骨折のリスク増加。

制酸剤であるPPI服用者は、低マグネシウム血症フォローアップ必要 特に心血管イベント関連症例や不整脈例では重要


Effects of proton pump inhibitors and electrolyte disturbances on arrhythmias
El-Charabaty E,  et. al.
Published Date June 2013 Volume 2013:6 Pages 515 - 518
DOI: http://dx.doi.org/10.2147/IJGM.S46932
International Journal of General Medicine

PPI使用と、低マグネシウム血症との関連性について7症例報告がなされた。

不安定狭心症・非ST上昇型MI、ST上昇型心筋梗塞によるCCU入院 421名
PPIと、低マグネシウム血症発症についての相関性検討

PPI服用 184名(43.8%) 、非服用 237名(51.16%)のうち

低マグネシウム値(< 1.8 mg/dL) 95名(22.5%)
不整脈発症 167(39.6%)

PPI使用とマグネシウム値の相関係数P値は、それぞれ 1.31e-29、 8 e-102


P値は、統計学的にPPI使用とマグネシウム値、心血管イベントの間での有意相関性の存在を示唆し、強い相関係数で0.817であった。

PPI服用患者はマグネシウム欠乏を綿密にフォローすること、特に、急性心血管イベントが有る場合には重要で、不整脈悪化やその後の合併症と関連する可能性がある



朝食抜きは冠動脈性心疾患増加へ働く ・・・ 肥満・高血圧・脂質異常を介して

ダイエット法として朝食抜きを勧めるテレビ放映を見ることがある。

食事のタイミングと概日リズム・健康代謝への影響が齧歯類で報告されている。朝食なしでは肥満・脂質蓄積性に働くこととなる(Fuse et al. Journal of Circadian Rhythms 2012, 10:4)。また、高血圧、特に夜間高血圧・早朝高血圧と塩分排泄・塩分感受性との関連性の問題も話題。

以下の論文は、ヒトの前向き観察研究で、朝食と冠動脈疾患発症との関連性を検討

Prospective Study of Breakfast Eating and Incident Coronary Heart Disease in a Cohort of Male US Health Professionals
Leah E. Cahill,  et. al.
Circulation. 2013; 128: 337-343
doi: 10.1161/​CIRCULATIONAHA.113.001474

背景—成人において、食事を抜くことは体重超過、高血圧、インスリン抵抗性、空腹時脂質濃度増加と関連する。しかし、食事構成にかかわらず特異的な食事習慣が冠動脈疾患(CHD)リスクに影響を与えるかはまだ不明。この研究の目的は、前向きに食事習慣とCHDリスクを検討すること

研究方法と研究結果—朝食を含む、食習慣を1992年に、Health Professionals Follow-up Study の心血管疾患・がんのない、45-82歳アメリカ人26,902名

16年間フォローアップ期間風、1527のincident CHD症例診断
Cox比例ハザードモデルを用い、相対リスクと95%信頼区間を推定し、住民統計・食事・ライフスタイル・他のCHDリスク要素補正。
朝食抜き男性は、朝食を抜かない男性に比べ、CHDリスク27%高い(相対リスク, 1.27: 95% 信頼区間、 1.06-1.53)

夕食遅くない場合に比べ、夕食が遅い場合は、CHDリスク55%高い (相対リスク, 1.55; 95% 信頼区間 1.05-2.29)

これらの相関は、BMI、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病によるもの
食事回数(1日あたりの回数)と、CHDリスクに相関認めず

結論—朝食の存在は、この男性医療従事者コホートにおいて、CHDリスク減少と関連した。

小児家庭内事故事故:テレビ落下・転倒外傷増加 ・・・ 液晶テレビ普及のため

ブラウン管と違って、テレビ倒れやすくなり、小さい子供のけがが多くなったという報告

Television-Related Injuries to Children in the United States, 1990–2011Falling Televisions Injure Thousands of Children, Study Finds
Pediatrics Published online July 22, 2013 (doi: 10.1542/peds.2013-1086)

1990年から2011年の米国内救急部門データ
推定38万885名の18歳未満の子供がEDで治療を受けた。
これは平均すれば、年間17313名の子供に相当
年齢中央値は3歳、5歳未満で64.3%を占める 
1千あたりの外傷年間頻度は
18歳未満で2.43(95%信頼区間[CI]: 2.07-2.80)、レンジは2.15(95% CI: 1.64-2.66) 〜 2.90(95% CI: 2.31-3.49) 
包括外傷発生率は安定しているが、この研究期間中(1990-2011年)に、テレビ落下外傷数・発生数は、それぞれ125.5%、95.3%有意増加。 
ドレッサー・家具・引き出し付き整理ダンス・衣装ダンス(amoire)からのテレビ落下数は有意に344.1%増加。

For Release:  July 22, 2013 - See more at: http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/Falling-Televisions-Injures-Thousands-of-Children-.aspx#sthash.bNssfHVs.dpuf


テレビってのは、番組内容もさることながら、光・音により睡眠障害を引き起こし、物理的にも子供たちに害を与える有害器具。

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note