2012年10月25日木曜日

発作性心房細動第1選択治療において、カテーテル焼灼術と抗不整脈薬は効果において同等

発作性心房細動第1選択治療において、カテーテル焼灼術と抗不整脈薬は効果において同等

2年間において、累積burdenの群間差は見られず
不整脈burden 90パーセンタイル 13%と19% p=0.10





術関連合併症の副作用と、除細動必要・心房細動発生率に差があり、治療選択の要となるはず。

Radiofrequency Ablation as Initial Therapy in Paroxysmal Atrial Fibrillation
Jens Cosedis Nielsen, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1587-1595October 25, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1113566


発作性心房細動・抗不整脈薬物使用歴無しの294名の患者を初回治療戦略として
・radiofrequency catheter ablation (146 名)
・therapy with class IC or class III antiarrhythmic agents (148 名)
割り付け

7日間Holterモニター記録フォローアップ(3、6、12、18、24ヶ月)
プライマリエンドポイントは、累積・受診前心房細動burden
ITT解析

心房細動累積burdenの焼灼術と薬物治療群の有意差認めず
不整脈burden 90th パーセンタイル 13% と 19%; P=0.10
3、6、12、18ヶ月burdenで認めず

24ヶ月時点で、心房細動burdenは、焼灼群で有意に薬物治療群より低い
(90th パーセンタイル, 9% vs. 18%; P=0.007)
焼灼群患者では、心房細動なしとなる場合が多い(85% vs. 71%, P=0.004)
有症状心房細動でも同様 (93% vs. 84%, P=0.01)

焼灼群では1例の死亡が術施行関連卒中で生じ、3例の心臓タンポナーデ群が生じた。

薬物治療群では、54名(36%)で付加的な除細動が行われた





アスピリンの大腸癌抑制効果:mutated-PIK3CAのみ、アスピリンの恩恵




Aspirin Use, Tumor PIK3CA Mutation, and Colorectal-Cancer Survival
Xiaoyun Liao, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1596-1606October 25, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1207756


大腸癌診断後アスピリン定期投与は、臨床的アウトカム改善と相関する。
実験的エビデンスだと、prostaglandin-endoperoxide synthase 2 (PTGS2) ( cyclooxygenase-2として知られる)の抑制が phosphatidylinositol 3-kinase (PI3K) signaling activityをアスピリンによりdown-regulateすることが示唆されている。
mutated PIK3CA (the phosphatidylinositol-4,5-bisphosphonate 3-kinase, catalytic subunit alpha polypeptide gene)特性による担癌患者のアスピリンの生存・予後への影響を、wild-typeのPIK3CA患者と比較検討。

mutated-PIK3CA大腸癌患者において、
・ アスピリン定期使用者は直腸結腸がん特異的生存率良好さと関連 (がん関連死多変量ハザード比, 0.18; 95% 信頼区間 [CI], 0.06 ~ 0.61; P<0 .001=".001" 0.31="0.31" 0.54="0.54" 0.94="0.94" 95="95" br="br" by="by" ci="ci" log-rank="log-rank" p="0.01" test="test" the="the">
一方、wild-type  PIK3CA患者において、アスピリン定期投与は必ずしも結腸直腸癌特異的生存率相関せず(多変量ハザード比, 0.96; 95% CI, 0.69 ~ 1.32; P=0.76 by the log-rank test; P=0.009 for interaction between aspirin and PIK3CA variables)
包括的生存率と相関せず (多変量ハザード比, 0.94; 95% CI, 0.75 ~ 1.17; P=0.96 by the log-rank test; P=0.07 for interaction)

プラシーボ効果に関わるCOMT遺伝子多形型 ・・・ プラシーボ効果の現れやすい一群存在

プラシーボ効果研究において、ドパミンをプラシーボ反応の重要な調査対象とされてきている。

ドパミンtyrosin hydroxylaseとdobamine decarboxylaseによりチロシンから合成され、合成されると、前シナプス小胞で蓄積、その後、シナプス間隙の脱分極により放出される。ドパミンはdopamine reuptake transporter (DAT)でシナプスから消失、monoamine oxidases A and B, or catechol-O-methyltransferase (COMT)で分解される。再取り込みは、脳線条体、前頭前野でのドパミン・クリアランスのメカニズムに主たる役割を果たす。ここはDATがやや少なく、COMTが決定的役割を果たすため、COMTの重要性が注目されてる。


その中で、COMT val1158met多形型は、プラシーボ反応の強力なバイオマーカーである。この多形型により、プラシーボ効果がどうか変わるかが興味の対象となり、予想通りの結果が得られた。

 
Catechol-O-Methyltransferase val158met Polymorphism Predicts Placebo Effect in Irritable Bowel Syndrome
Kathryn T. Hall et. al.
PLoS ONE 7(10): e48135. doi:10.1371/journal.pone.0048135


プラシーボレスポンダーである患者を同定することは、臨床実践上・トライアルデザイン上重要な問題。
Catechol-O-methyltransferase (COMT)は、報酬、疼痛、記憶、学習上のプラシーボ効果と関連するドパミンcatabolism上重要な役割を果たす酵素

COMTの機能的多形型val158metがプラシーボ効果の予測要素となると仮定し、104名の過敏性腸症候群としてランダム化対照化トライアルのサブセットで検討したもの

この研究の3治療アーム
・ no-treatment (“waitlist”):ウェイトリスト
・ placebo treatment alone (“limited”) :プラシーボ治療のみ
・ placebo treatment “augmented” with a supportive patient-health care provider interaction; 医療施設介入をプラスしたプラシーボ治療

プライマリアウトカムは、治療3週後のベースラインからのIBS症状スケール( IBS-Symptom Severity Scale (IBS-SSS) )

回帰モデルにて、COMT val1158metのメチオニン allele数はIBS-SSS変化として評価されたプラシーボ反応と線形に相関。

augmented placebo armにおいて、met/met homozygoteに、最も強力なプラシーボ反応が生じた。

プラシーボ治療限定群では、met/metの効果少ない。そして、waitlist対照では効果認めず


実際の治療上、プラシーボ効果って有益だと思うのだけど、プラシーボ効果って治療オプションとして倫理上の問題に遭遇する。 逃げとして、催眠術とか気功とか・・・ 使えるのかもしれないが・・・


暗示効果に係りやすい人は、ひょっとして、詐欺商売にも引っかかりやすいのかもしれない。


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