2012年1月31日火曜日

にきび

Acne vulgaris: 尋常性座瘡

Hywel C Williams, Robert P Dellavalle , Sarah Garner
The Lancet, Volume 379, Issue 9813, Pages 361 - 372, 28 January 2012


 アンドロゲン誘導による皮脂過剰分泌、ケラチン化異常、炎症、顔面・頚部・胸部・背部に於けるPropionibacterium acnesによる細菌のコロナイゼーションによる、毛嚢脂腺の慢性炎症性疾患

P acnesの早期コロナイゼーションと家族歴が重要な疾患だが、何がトリガーになり、治療に関して経過がどう影響するかは未だに不明。食事などの要素は関与しそうだが、不明。 




ニキビによる顔面の瘢痕は、10代の20%に影響を及ぼす。 ニキビは成人まで続くこともある。自尊心に関わることもある。

ニキビに対して理想的治療はない、しかし、多くの患者で、病変軽減の適したレジメンは存在する。 
コモンな局所薬剤・全身性薬剤に関する有効性比較の良好な質のエビデンスはほぼ無し。 
benzoyl peroxide、 レチノイド、抗生剤を組み合わせで使う局所治療は、軽症から中等度のニキビにとってコントロール改善をもたらす。
経口避妊薬併用治療が女性では役立つこともある。
より重度の炎症性ニキビ患者は、経口抗生剤と局所benzoyl peroxideを抗生剤耐性菌減少のため用いることが多い。
経口イソトレチノイン(isotretinoin)はもっとも有効で、重症で早期に使われる。しかし、催奇形性や他の封鎖用により使用が制限される。
利用しやすさ、副作用、コスト、使用制限が、 photodynamic therapyには存在する。
多くの製品の有効性・安全性比較研究が必要で、自然史、サブタイプ、トリガーの理解が深まる必要性がある。






肺炎球菌毒素防御メカニズム:成長ホルモン放出ホルモンシグナリング経路

肺炎球菌は肺炎の半数近くの原因細菌だが、致死性の毒素を有し、放出する。成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)に類似したアゴニストを加えると第二波を抑制できる。

GHRHシグナル化経路の肺胞障害・血管内皮障害への防御的メカニズム が明らかに


Agonist of growth hormone-releasing hormone reduces pneumolysin-induced pulmonary permeability edema
Rudolf Luca et. al.
Published online before print January 23, 2012, doi: 10.1073/pnas.1121075109
PNAS January 23, 2012 


肺炎球菌感染患者への積極的抗生剤治療は bacterial virulence factor  pneumolysin(PLY)の遊離を生じる。
pneumolysiは組織障害性として組織融解酸素であり、コレステロールと結合し、気腔内の整列する細胞である肺胞細胞表面に存在し、一度膜に接触すると、毒素が細胞表面に孔を開け、毛細血管にも同様のダメージを生じる。則ち、肺胞・毛細血管バリア機能障害、肺胞水クリアランス(ALC)障害をもたらし、水交換やガス交換を障害し、ナトリウム取り込みを阻害する。


ALCはNa+輸送により調整され、典型的には上皮Naチャンネル(ENaC)、II型肺胞上皮細胞の基底上皮側Na+/K+-ATPaseが主な発現部位である。
ヒト肺微小血管内皮細胞(HL-MVEC)において、GHRHと共に、視床下部ポリペプチド成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)のactive receptor splice variant SV1を発現するmRNAを同定した。GHRHアゴニスト JI-34のPLY誘発バリアとALC機能障害への影響を検討。
JI-34 は、単層HL-MVECでPLY-mediated endothelial hyperpermeabilityを鈍化させ、cAMP依存的に、myosin短鎖と血管内皮cadherinのリン酸化減少を生じた。
ヒト内皮H441細胞において、PLYはNa+再吸収を阻害するが、JI-34はcAMP値増加によって既定レベルに回復する。
C57BL6マウスへの気管内PLY投与で、肺胞上皮・血管内皮の透過性亢進、浮腫を生じ、JI-34で鈍化する。
これらの知見により、PLY誘起透過性亢進に対する、GHRHシグナリング経路による防御的役割が明らかとなった。


欧州閉経後学会(EMAS):ビタミンDと閉経後に関わるポジションステートメント

European Menopause and Andropause Society (EMAS) のposition statementとのこと

"andropause"を学会名にしてる・・・・

EMAS position statement: Vitamin D and postmenopausal health

Maturitas Volume 71, Issue 1 , Pages 83-88, January 2012

http://www.maturitas.org/article/S0378-5122%2811%2900365-3/abstract

 閉経後ビタミンD 600 IU/日、71歳以上は800 IU/日を推奨とするというポジション・ステートメント

25-hydroxyvitamin D [25(OH)D]測定によりビタミンDの状況を判断し、至適rangeを 30-90 ng/mL(75-225 mmol/L)とするが、国によって、日照日数・緯度・経度・大気汚染・皮膚の色・着衣習慣などで、この推奨範囲は異なる。


  • ビタミンD不足・欠乏の認識を臨床家は持たなければならない。ヨーロッパでは70%の人々に影響がある(日照時間が多い国でも)。
  • 健康閉経後女性は一日15分、週3-4回の日光浴、あるいは800-1000 IU/日のサプリメント補給を
  • 適切な値となったら、血中25(OH)低濃度女性は4000~10,000 IU/日投与必要。
  • 特異的テーラー化ビタミンDサプリメントは合併肥満女性で必要で、胃腸バイパス手術前後、吸収不良症候群、and/or 肝臓・腎疾患で必要。
  • 適切な量のビタミンDと特異的な骨保存治療はビタミンD不足、骨粗鬆症、and/or骨折既往のある女性では適応。ビタミンD濃度低値と関連するリスクが無い場合は、800-1200 IU/日の投与量にすべき

一般名処方加算らしいが・・・


【中医協】一般名処方で加算を新設へ
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36498.html

厚生労働省は30日の中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)の総会で、後発医薬品の使用促進策の一環として、医師が後発品の ある医薬品を一般名で処方した際、処方せんの交付一回につき算定できる加算を新設することなどを提案し、了承された。処方せんを見た患者からの「これまで と医薬品が変わったのではないか」といった問い合わせへの対応など、一般名処方に伴う医療機関側の負担に配慮するための措置。 

こんなの書いてるけど、たとえば・・・

”武田薬品工業のタケプロンカプセル15、タケプロンOD錠15に「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制」に対する効能・効果が追加承認”されている。

胃潰瘍既往事例に対し、低用量アスピリンと共に、
Rx)ランソプラゾール15mg 1×1回(寝る前)
と処方したとする。


薬局側が
Rx)ランソプラゾールカプセル15mg(後発) 1×1回(寝る前)
 と薬剤を出した場合、添付文書記載外の処方となってしまう。



 先発と後発医薬品で異なる適用病名、用法用量の時、どうするのか?



広範囲経口抗菌製剤クラビット(一般名:レボフロキサシン)なども、後発と用法用量異なるので、混乱のもととなるだろう。

肺炎球菌ゲノム塩基配列解読


肺炎球菌ゲノム塩基配列解読

Pneumococcal genome sequencing



Nature Genetics, January 30, 2012

http://www.natureasia.com/en/highlights/details.php?id=1640

慢性心不全へのウルソデオキシコール酸の効果:末梢血流改善

慢性心不全へのウルソデオキシコール酸

Ursodeoxycholic Acid in Patients With Chronic Heart Failure

A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled, Crossover Trial 

  J Am Coll Cardiol, 2012; 59:585-592, doi:10.1016/j.jacc.2011.10.880
© 2012 by the American College of Cardiology Foundation


慢性心不全での ursodeoxycholic acid (UDCA)の血管内皮・炎症性マーカーへの効果評価

慢性心不全患者で、血管内皮障害がよく見られる。それが運動耐容能制限をもたらす。細菌性LPSが炎症惹起サイトカイン遊離トリガーとなり、血管内皮障害をさらに促進する。UDCAは、胆汁うっ滞型肝障害治療に用いられるが、抗炎症作用・細胞防御的特性をもち、LPS周囲にmixed micelleを形成する。これらの特性が末梢血流改善につながるのではないか?

前向き単施設二重盲検ランダム化プラシーボ対照化交差研究で、17名の臨床的に安定した慢性心不全患者(NYHA class II/III、左室駆出率<45%)
UDCAを500mg×2回 4週間、プラシーボ4週間とランダム化交差投与
プライマリアウトカムは、阻血後ピーク末梢腕血流評価(strain-gauge plethysmography)

結果として、16名研究完遂。UDCAは全患者で耐用性良好。
プラシーボ比較で、UDCAで、peak 阻血後腕血流改善 (+18%, p = 0.038)、阻血後下肢血流改善 (+17%, p = 0.079).

肝機能の改善: γglutamyl transferase、 aspartate transaminase、 soluble tumor necrosis factor α receptor 1  (all p < 0.05)

6分間歩行距離、NYHA分類、TNFαは不変、IL-6は変化無しもしくは増加。 

結論としては、UDCAは慢性心不全患者に耐用性よく、末梢血血流を改善し、肝機能マーカーを改善する。


スタチンのアウトカムへの影響 性差無し

性別のスタチン効果に関するメタ・アナリシス


Meta-Analysis of Statin Effects in Women Versus Men
J Am Coll Cardiol, 2012; 59:572-582, doi:10.1016/j.jacc.2011.09.067

【目的】 男女の心血管イベント減少効果評価

 【背景】 心血管イベント減少に関し、男性ほど女性はスタチンが有効ではないのではないかということが示唆された


【方法】 出版データ研究・研究者への接触によるスタチン性差アウトカムデータを有する18RCT (N = 141,235, 40,275 women, 21,468 cardiovascular events)を検討

女性男性別々に、random effects meta-analysisによる心血管イベント オッズ比(ORs)と95%信頼区間(CIs)検討


【結果】 心血管イベント率は、対照群割り付けより介入群割り付けで、心血管イベント低下 (低用量スタチン 4研究、プラシーボ 11研究、通常ケア 3研究) で、女性・男性 (OR: 0.81, 95% CI: 0.75 to 0.89; p< 0.0001, OR: 0.77, 95% CI: 0.71 to 0.83, p< 0.0001, それぞれ)
スタチンのベネフィットは、対照型、ベースラインリスク、エンドポイント、一次予防・二次予防にかかわらず、両性とも統計学的に有意。
全原因死亡率は男女ともスタチン治療で低下するも性別による関連性に有意差認めず (p for interaction = 0.4457).

【結論】 スタチン治療は、男女とも、心血管イベント、全原因死亡率の有意減少を示す。スタチン治療は、性別関係なく適切な患者で用いるべき



硬膜外無痛分娩時発熱による子供への悪影響

” 硬膜外麻酔法が長時間にわたると、 産婦さんに38℃以上の高熱が出ることがあります”という説明がなされる。


しかし、子供への影響はホントにないのか? 無影響と説明した医療機関は修正が要求されるようになった。




母体が101度(華氏)(38.3度摂氏) を越える熱となった場合、2-6倍のリスク増加で、人工呼吸必要で、Apgar score増加するという報告。

99.5度(華氏)(37.5度摂氏)では生じない現象。


Greenwell EA, et al "Intrapartum temperature elevation, epidural use, and adverse outcome in term infants" Pediatrics 2012; 129: e447–e454.


硬膜外の炎症性反応とサイトカインboostによる、神経系へのダメージの可能性。


過渡的低緊張症 : 11% → 25% (P<0.001)

低緊張症継続15分超 : 1% → 3% (P=0.0005)

生下時蘇生必要性 : 4.4% → 12.2% (P<0.0001)

誕生1分後 Apgar score< 7 :  6.4% → 13.5% (P<;0.0001)

誕生5分後 Apgar score <7 : 0.3% → 2.1% (P=0.0007)

超音波による男性避妊の試み

1970年代以降、Mostafa S. Fahimらにより、超音波によるgerm cellの減少や不妊が報告されている。


これを利用して、侵襲度の低い治療として、避妊治療に用いることはできないかという報告。


Therapeutic ultrasound as a potential male contraceptive: power, frequency and temperature required to deplete rat testes of meiotic cells and epididymides of sperm determined using a commercially available system

James K Tsuruta, Paul A Dayton, Caterina M Gallippi, Michael G O'Rand, Michael A Streicker, Ryan C Gessner, Thomas S Gregory, Erick JR Silva, Katherine G Hamil, Glenda J Moser and David C Sokal

Reproductive Biology and Endocrinology 2012, 10:7 doi:10.1186/1477-7827-10-7 (Published: 30 January 2012 )

3Mhz・超音波で、2.2 Watt/cm2×15分で、精子細胞を減少。
3Mhz・超音波で総精子数を、wet-heat対照に比べ10倍減少させ、運動精子数を1000倍減少。

2日開けて行い、温塩水で行うとさらに有効性増加。

避妊効果はどの程度持つか? 繰り返し行っても安全か?・・・ などはまだ不明。

偏狭な漢方屋さんたちの言い分

多くの漢方医学の専門家たちは、包括的でcomprehensiveな考え方のできる方々であると信じたい。

だが、”漢方医学”・”東洋医学”のみを持ち上げようとして、恣意的な攻撃目標を作り、酷評しようとする文面に出くわすことがある。
 
比較的ステレオタイプなので、ここでまとめていこうと思う。


1)“西洋医学だけが医学というのは傲慢だ。

” 反論するために、都合良く、カテゴリー分け、恣意的定義を行う。 だれも、医学 イコール 西洋医学という決めつけはしてない。 診断、治療に関して、合理的説明及び事象としての客観的証明ができれば医学としてみなされるはずだし、みなされるべき。 そうでないものがつまはじきにされているわけで、それも”医学” とみなすというのは傲慢


2)”(漢方)に副作用が無い” 

小柴胡湯と間質性肺炎 死亡例まで出てるのだが、「随証的に用いていればまず問題ない」と言い切られることがある。

だが、死亡例がでたのはすべて”随証”に合わない事例であるという検討はされてない。 瞑眩(めんげん)、好転反応という概念が、漢方・生薬を用いる医師たちに引用されることがある。

一過性に悪化に見える状況だが、治癒過程の一つだと説明する現象。

結核治療の時の抗結核治療時の”急性悪化(増悪)”というのがある。 これは薬物アレルギーとも考えられているが、一過性に胸部レントゲン所見増悪が見られる所見である。この場合、レントゲン上悪化してあわてて薬を中止してはならないということが知られている。
この際、細菌学的治療経過のみを厳重に見ることや呼吸状態などを詳細にみることが必要となる現象。  漢方の” 瞑眩”に似通ってはいるが、最初から、”好転反応”などと判断することなく、経過を十分見守る必要性がある。漢方の”瞑眩”とは異なり、医師たちが楽観的にみている病態という認識はない。
 
漢方には他薬剤種に負けず劣らず、薬物による過敏性肺臓炎などアレルギー性疾患が多く存在する(http://www.nihs.go.jp/mss/ILD-web/jfm0611002.pdf)。 危険な状況にあるにもかかわらず、アレルギー性疾患の状況を 瞑眩として、放置することのリスクを危惧する。

  瞑眩(好転反応)とは扱いようによっては危険な概念である。

3)西洋医学は全身をみず、臓器だけをみている。

東洋医学は全身を見ているという主張。 この主張の東洋医学では、メンタリティーや臨床的アウトカム、QOL、EOL、社会的コストやベネフィットなどの諸問題はみていないのだ・・・と反論したくなる。

批判のための恣意的カテゴライズ(1)の問題と重なる批判である。

現代医療は、様々な局面、経済的側面、社会的側面など、multiplicityな側面からのアプローチがなされ、多業種・多職種的・学際的取り組みがなされている。 もちろん、相補的な医療の側面としての鍼灸・生薬・漢方などの体系もこれに含まれるはず。

学際的な側面を無視して、”東洋医学こそなんたら”などと主張し、一方で、”(西洋)医学”を、ミクロ的と批判のための批判は、かれらの主張そのものが狭小だと宣言していることになる。


自然治癒力という言葉

よく見聞きする 健康関連詭弁の一つ・・・人間の心身が持っている自然治癒力を高めることで治癒に導く・・・なんたら

 "(natural) healing"なる言葉も、テレビ・ラジオ・週刊誌や啓蒙本などの一部で見聞きする。

”自然治癒力”は確かに存在するし、創傷治癒においては基本的概念にすらなっている。癌においても、自然・獲得免疫を介して病巣への正の効果が期待できるだろう。

だが、”自然治癒力”という言葉には用心が必要だ。

Faith Healing (信仰療法)的用語でもある。

信仰療法としての意味合いを含む意味で、多くの人が目耳するテレビ・ラジオ・出版で、"自然治癒力”を取り扱われてることがある。

このFaith healingという言葉は、宗教的信仰、則ち、祈りや儀式によりもたらされるものと信じ込むという意味である。従順に守ることで、宗教指導者・シンボル、パワーにより疾患やハンディキャップの是正につながると信じることである。


信仰・宗教が悪いと言ってるのではない。

・ 特定の悪意を持った人間が、信仰心を利用して、治癒したい、ハンディキャップを克服したいという思いを悪用してしまったら
・ 妄信的状態となって、治癒に向かうと信じ、適切でないことに、コストや時間を消費してしまうとしたら

多くの人に共通する、社会的な損失をもたらすこととなるだろう。


マスメディアは、”Faith Healing”に関する言葉である”自然治癒力”を安易に使うべきではないと私は思う。

同様に、パワー(スポット)や、”ヒーリング”という言葉も・・・


英国の精神医学者、Louis Roseは、”Faith healing cure”に同調し、様々なhealerや患者たちとコミュニケーションをとっていたが、結論として、"I have been unsuccessful. After nearly twenty years of work I have yet to find one 'miracle cure'; and without that (or, alternatively, massive statistics which others must provide) I cannot be convinced of the efficacy of what is commonly termed faith healing." [Rose L. Faith Healing. Baltimore: Penguin Books, 1971. ] (http://www.quackwatch.com/01QuackeryRelatedTopics/faith.html)



◆ 福音・伝道的Healer(エバンゲリオン的治療者)

・ Nolen W. Healing: A Doctor in Search of a Miracle. New York, 1974, Random House Inc.
 25名の奇跡的治癒の報告、中には肺癌も(実はホジキン病であった)

・ Emery CE. Are they really cured? Providence Sunday Journal Magazine, Jan 15, 1989.
数千人ものヒーリングを行ったというRoman CAtholic祈祷;6ヶ月調査で誰1人援助できたものはいなかった

・ Randi J. The Faith Healers. Amherst, N.Y.: Prometheus Books,1987.
 もっとも包括的な調査がされたhealer、James Randiで、ごまかしといんちきで如何に


金儲けしたか・・・ Randiは、Peter Popoff、Johnny Carson Showなども暴露

 ◆ Intercessory Prayer :代理祈祷
Intercessory prayer is prayer for others. An intercessor is one who takes the place of another or pleads another's case.



2001年 Mayo Clinicの研究者たちは、intercessory prayerの効果が臨床的アウトカムにおいて効果が無いことを示した(Aviles JM and others. Intercessory prayer and cardiovascular disease progression in a coronary care unit population: A randomized controlled trial. Mayo Clinic Proceedings 26:1192-19198, 2001. )。


”Intercessory prayer studies accomplish nothing. ”


信者たちは、負のエビデンスを提示しても信念を変えない



◆いんちきスピリチュアル

日本でもよくある、”あなたには疫病神がついている・・・”ということで、金を無心する詐欺
 1970年代の"Mother McGown," "Mother Luther," "Mother Alma"問題



ほんとにスピリチュアルで人は救われるのか?

8割の人が"spiritual faith”を有しているという米国の話。信心と健康の正の相関を示す多くの報告があるが、しかしながら、研究デザインとして正しいものはない。ひとつの研究は反するものであった(Gorski T. Should religion and spiritual concerns be more influential in health care? No. Priorities 12(1):23-26, 41, 2000.)。




推奨:

信者は、問題があると思わない。多くの非信者は少なくとも最優先とは思わないし、共感を感じることは少ない。しかし、社会を守るため以下のことは行うべき
  • 子供をヒーリングという名の下、医療から遠ざけるなら、法的に守るべき。それらは非合法的のものとすべき
  • Faith healing は、医療費控除とすべきではない
  • “治癒”と称している症齢のフォローアップ報告がなされるべき。
  • 大金を巻き上げ、トリッキーな手法を使う"Healer"は、詐欺・窃盗として起訴されるべき.


肥満気味の医師の肥満指導・食事・運動指導は、いいかげんになる傾向

"Impact of hysician BMI on obesity care and beliefs"
Bleich SN, et al
Obesity 2012; DOI: 10.1038/oby.2011.402.

Epocrates Honors panel,  opt-in group14万5千名での横断調査

正常BMI医師は過体重医師に比べて、減量を患者に指導する傾向にある (30% versus 18%, P=0.010)
同様に、食事指導、運動指導する傾向にある (53% versus 37%, P=0.002、 56% versus 38%, P=0.001)

2012年1月30日月曜日

医療機関、屋内全面禁煙に=対策なしは診療報酬減-厚労省

医療機関、屋内全面禁煙に=対策なしは診療報酬減-厚労省

厚生労働省は30日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)で、子供や生活習慣病、呼吸器疾患などを抱える患者らの受動喫煙対策とし て、医療機関の屋内を原則全面禁煙とする方針を示した。小児科、内科、呼吸器科などがある医療機関を対象に、治療や入院の対価として受け取る診療報酬の施 設基準に「屋内全面禁煙」を追加。対策を講じない場合は入院基本料などの報酬を減額する。
中医協の了承を得て、2012年度診療報酬改定に合わせて実施するが、多くの医療機関が対象となる見通しのため、一定の経過措置を設ける方針だ。(2012/01/30-12:22)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012013000353





これは賛成! 

”医療機関での喫煙”というのは・・・医療機関の存在理由からして、矛盾している。

こういうのって、2日後、2月1日からで良いじゃないのかなぁ!

”小児科、内科、呼吸器科などがある”全医療機関で、禁煙指導の条件そろうことになる。



血圧の腕左右差はそのまま心血管リスク ;血圧両腕測定の徹底を!

両腕での収縮期血圧 10mmHg以上の差、15mmHg以上の差は、血管疾患評価が必要。
15mmHg≧なら、心血管疾患リスクとして有益な評価指標である。



Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis
The Lancet, Early Online Publication, 30 January 2012doi:10.1016/S0140-6736(11)61710-8 



28の研究レビュー 20をメタアナリシスとして検討

5つの侵襲的研究:
鎖骨動脈狭窄(狭窄 50%超)と判明した場合の両腕での差平均は 36.9 mm Hg (95% CI 35.4—38.4)
10mmHgの差は、鎖骨動脈狭窄との相関強 (risk ratio [RR] 8.8, 95% CI 3.6—21.2)

非侵襲的研究:
pooled 所見として、15mmHg以上の差は、末梢血管新患と強い相関 (9コホート; RR 2.5, 95% CI 1.6—3.8; 感度 15%, 9—23; 特異度 96%, 94—98);既存脳血管疾患 (5コホート; RR 1.6, 1.1—2.4; 感度 8%, 2—26;特異度 93%, 86—97);心血管疾患死亡率増加 (4コホート; ハザード比 [HR] 1.7, 95% CI 1.1—2.5) と全原因死亡 (HR 1.6, 1.1—2.3)と強い相関。
10mmHg以上は末梢血管疾患と強い相関 (5研究; RR 2.4, 1.5—3.9; 感度 32%, 23—41; 特異度 91%, 86—94)


BBC(http://www.bbc.co.uk/news/health-16739682)の解説


末梢血管動脈疾患を早期検知することは重要で、禁煙、血圧降下、スタチン治療のベネフィットをもたらすことが出来る。
両腕の血圧測定によりその左右差を検知することで、鎖骨動脈の狭窄を検知できる可能性がある。


ガイドラインで、少なくとも”初診時には,上腕の血圧左右差を確認”することが掲載されている。
 http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php

HPVワクチンと自己免疫性疾患の関連性否定報告

HPVワクチン(日本の俗称、ヒト頚がんワクチン)であるGardasilは、自己免疫疾患のトリガーとなるエビデンスが2年・19万名ものサーベイランスで明らかにならなかった。
Surveillance of autoimmune conditions following routine use of quadrivalent human papillomavirus vaccine

C. Chao, N. P. Klein, C. M. Velicer, L. S. Sy, J. M. Slezak, H. Takhar, B. Ackerson, T. C. Cheetham, J. Hansen, K. Deosaransingh, M. Emery, K.-L. Liaw and S. J. Jacobsen
J InternMed2012;271:193–203.
pdf (http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2796.2011.02467.x/pdf)


Gardasilは、STD予防のワクチンとして、そして子宮頚癌ワクチンとして認可されていたが、自己免疫反応のトリガーへの懸念が生じていた。

メルク社の研究者たちの検討で、ループス、関節リウマチ、グレーブス、多発性硬化症、眼神経炎などとの関連性が高くないことを示した・・・とこと

日本老年医学会:人工的水分・栄養補給の「治療の差し控えや撤退も選択肢」との見解


日本老年医学会(理事長・大内尉義(やすよし)東大教授)は28日、高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給について、「治療の差し控えや撤退も選択肢」との見解を示した。”という報道



日本老年医学会の「立場表明」の改訂版において、”胃ろうなどの経管栄養や人工呼吸器の装着に対する見解が初めて盛り込まれた。高齢者に最善の医療を保障する観点からも、「患者本人の尊厳を損なったり、苦 痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや撤退も選択肢」とし、「患者の意思をより明確にするために、事前指示書などの導入も検討すべ き」”という内容で、これが同学会の理事会で承認されたとのこと



終末期胃ろう「治療差し控えも」…老年医学会


読売新聞 - ‎2012年1月28日‎


日本老年医学会(理事長・大内 尉義 ( やすよし ) 東大教授)は28日、高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給について、「治療の差し控えや撤退も選択肢」との見解を示した。 終末期医療に対する同学会の基本的な考え方を示す「立場表明」の改訂版に ...




終末期医療、胃ろう中止も 日本老年医学会


J-CASTニュース -


日本老年医学会は高齢者の終末期医療とケアについて、胃に管で栄養を送る胃ろうなどの人工的な水分・栄養補給や人工呼吸器の装着は慎重に検討し、「治療の差し控えや中止も選択肢として考慮する」との見解をまとめ、2012年1月28日に明らかにした。終末期医療に対する基本 ...



胃ろう中止も選択肢に 終末期医療の原則、学会が改定


朝日新聞 - ‎2012年1月28日‎



高齢者の終末期医療とケアについて、日本老年医学会は28日、胃に管で栄養を送る胃ろうなどの人工栄養や人工呼吸器の装着は慎重に検討し、差し控えや中止も選択肢として考慮するとの「立場表明」をまとめた。最新、高度な医療をすべて注ぎこむことは必ずしも最善の選択 ...


いまだ、日本老年医学会のポジション・ステートメントはウェブ上、アップデートされていない

http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/


胃瘻・人工呼吸に関し、差し控え・中止に、実際にどの程度、踏み込んでいるのか、具体的記述が気にかかる。


この件、昨年、ポジションステートメント改訂の話はメディアにリークされていた。

終末期は“胃ろうせずも選択肢”:老年医学会ガイドラインやっと着手(2011年 12月 05日) 


一歩前進だとは思うが、ポジションステートメント/「立場表明」というのは、やや微妙で、この学会単独というのも気になる。関係学会との共同歩調が必要だったのではないか?

感染性胃腸炎:勤務・登校に関する公的指針提示を! 検査施行に関する矛盾解決を!

ホテルや 給食施設、学校関連事業、医療機関での”ノロウィルス感染”のニュースが今日も報道されている。

食中毒:名張・赤目のホテルで33人 患者からノロウイルス /三重‎ 毎日新聞

ノロウィルス48人から検出…玉名の柔道練習会‎ 読売新聞

ノロウイルス 指宿市で学校給食の配送停止(鹿児島県)日テレNEWS24 

冬季いつも問題になるのが、”感染性胃腸炎”関連病名をつけたときの、学校・勤務先の対応の問題・・・これが実地医家にとっても、頭の痛い問題となる。

外食・給食関係事業所、医療/介護事業所、看護師や理学療法士関連の育成機関では実習の問題など事業所としては神経質になっているのが分かる。

一方で、”症状が消失しても長期間にわたり排出されているウイルスは、新たな感染源となり得る可能性が高い”(IASR:感染後のノロウイルス排出期間および排出コピー数 (Vol.28 p 286-288:2007年10月号))という特性上、医師側も、下痢消失時に、自信を持って感染性リスク消失しましたということは言えないという事情がある (ネット上、下痢止まったら、感染リスク無くなるという誤った情報が氾濫しているようだ)。

では、”健康成人においても1カ月以上ノロウイルス遺伝子が検出された症例”の存在をもって、登校・出勤停止としたら、社会生活上大きな影響をあたえることとなるのは明らか。


関連行政機関は、”感染性胃腸炎”に関する、登校・勤務に関する指針を公表すべき。

ノロウィルス感染に関する検査医療保険上の取り扱いの問題を明確化すべき(中途半端な利用はミスリードや現場の混乱、風評被害を増加するだけ・・・)

各医療機関へは感染対策ガイドライン義務づけしてるのは・・・アホ役人たちは仕事をしない・・・

個人の代謝特性の4割まで説明しうるlocus群

フィンランド、Dr. Samuli Ripatti  らの報告

個人の代謝特性に関わる31のlocus のSNPsで、40%までの遺伝子特性に関わるという報告

Genome-wide association study identifies multiple loci influencing human serum metabolite levels
Johannes Kettunen, Taru Tukiainen, Antti-Pekka Sarin, Alfredo Ortega-Alonso, Emmi Tikkanen, et. al.
Nature Genetics doi:10.1038/ng.1073


 Institute for Molecular Medicine Finland (FIMM)を用いて、117の代謝物を検討
循環中代謝合成物の深部に寄与するもの

リポ蛋白サブクラス、アミノ酸、脂質を含む代謝的マーカーをGWA解析を 行い、6つのフィンランド住民ベースコホート 8330名サンプル、770万の遺伝子マーカーを用い検討

11のlocusがはじめて報告されたもの
2つが血中コレステロールサブクラスで、確立されていた心血管疾患マーカーと関連
5つが、2型糖尿病バイオマーカーとしてのアミノ酸と関連



2012年1月28日土曜日

政治 と 精神医学 :”権力者や政治家について分析するのも精神医学の役割”?

”精神科と政治” ・・・ というテーマを考えるには良い材料なのかもしれない。


◆ “政治 → 精神医学”

精神医学を政治的悪用に関する歴史的概観

Political Abuse of Psychiatry—An Historical Overview
Schizophr Bull (2010) 36 (1): 33-35. doi: 10.1093/schbul/sbp119 First published online: November 5, 2009



世界の精神医学界において議論されてきたことらしい

1970年代、1980年代にソビエト連邦における精神科のシステマティックな政治的乱用、そして精神病院への強制収容が背景にある。
その後、ソ連邦崩壊につながる過程の中、1983年強制収容が無くなり、World Psychiatric Associationにとって、政治的利用がテーマとなった。
精神医学的診断・治療を政治的に利用することは特定の人々・特定の団体の人権を剥奪することである。
ソビエト連邦政府に反対すること自体がメンタルに病んでいるというSoviet regimeが存在した。

 診断者側が能動的に政治的スタンスにより”精神病”診断することは、すなわち、精神医学の乱用なのである。


◆ “精神医学” → ”政治”

医学・医療として、特定対象者を相手にする医療・診療以外に、特定の集団を相手にする公衆衛生学や疫学などがある。

個別診療を基本とする精神医学者・医者は、みな、後者のエキスパートと言えるだろうか?

考えるまでもなく No! 


小児言語発達遅滞:出生前テストステロン暴露による影響は性差あり

子供の言語発達は、出生前のテストステロン暴露の影響され、性差でその影響が違う。


男児はテストステロン高濃度暴露だと、3歳児の言語発達遅滞を2倍超生じ、女子は逆に言語発達遅滞のリスク減少をもたらす


Whitehouse A, et al
"Sex-specific associations between umbilical cord blood testosterone levels and language delay in early childhood"
J Child Psychol Psychiatry 2012; DOI: 10.1111/j.1469-7610.2011.02523.x.

臍帯血のbioavailable(bioavailable testosterone:BioT)濃度解析

1歳、2歳、3歳児店で言語発達 (Communication scale) への影響は女児より男児で有意 (p-values ≤. 01)
また、男児は、3歳時点のFine-Motor (p = .04)、Personal-Social( p <.01)として分類されやすい。

カイ二乗解析にて、言語発達地縁率におけるBio T 四分位の差が、男児(3歳)、女児(1、3歳)で有意さが明らかになったが、Fine-MotorとPersona-Social delayでは明らかでない

社会住民統計的指標・産科的指標を組み込んだ全般推定予測式で、男児のBio T四分位高値は、3歳までの臨床的言語発達障害リスク増加と関連 :オッズ比(OR) of 2.47 (95% CI: 1.12, 5.47)

一方、女児は、Bio T値増加により、言語発達障害リスク減少 (Quartile 2: OR = 0.23, 95% CI: 0.09, 0.59; Quartile 4: 0.46, 95% CI: 0.21, 0.99).


 
脳の機能の性差は生まれる前から・・・

米国FDA認可の模様 GLP-1受容体アゴニスト:バイエッタの徐放型週1回投与

Bydureon (exenatide extended-release)

バイエッタ皮下注の徐放型で週1回タイプ FDA認可の模様
http://www.pipelinereview.com/index.php/2011081244209/Proteins-and-Peptides/BYDUREON-FDA-ACTION-DATE-SET-FOR-JANUARY-28-2012.htmlhttp://www.pipelinereview.com/index.php/2011081244209/Proteins-and-Peptides/BYDUREON-FDA-ACTION-DATE-SET-FOR-JANUARY-28-2012.html



製造工程への問題、心血管系副作用、QT延長などに関する疑念のため認可が遅れていたとのこと

Risk Evaluation and Mitigation Strategy (REMS)を付加事項とし、急性膵炎への注意、甲状腺髄様がんのリスクなど懸念も

(http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Diabetes/30891)

DURATION-5トライアルで、14%もの吐気の副作用、頻度の多い副作用は、下痢、急性上気道炎、注射部位硬結

しかし、体重増加より体重減少が示され、重篤な低血糖副作用なかった。

1日1回タイプのバイエッタより血糖コントロール良好とのこと
(日本では、元々、1日2回なので注意!)


2012年1月27日金曜日

FDA提案のサプリメント安全性データ提出 ;これでも不充分と専門家

Assessing Supplement Safety — The FDA's Controversial Proposal

Pieter A. Cohen, M.D.

 解説:http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/FDAGeneral/30874


FDAは、サプリメント製造会社への製品安全性データ要求提案を行った。

 NEJM投稿の医師Cohenによると、FDAの食事サプリメント産業への製品データ要求は不充分とのこと

1億人を越えるアメリカ人が280億ドルのビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、他の食事性の形態をとる製品に消費を行っている。

しかし、サプリメントへのFDAの規制はあまりに弱く、製品の安全性が担保されてない。

1994年前にサプリメントとして利用された嗜好品は、安全性・有効性に関し、信頼性無く販売出来ていた。しかし、e Dietary Supplement Health and Education Act (DSHEA)により、1994年以降、この種の生産に関わる企業はFDAに、安全の妥当性を示すエビデンスを提出しなければならないこととなった。しかし、現実はこの法律では義務がない。
15年以前の法律でDSHEAは古くなったが、その間に、サプリメントは、4千から55千と増加し、170の新しいサプリメント成分に対し、適正化通知を受け取ったが、疑いなく、安全性性データを受けるべき成分のごく一部である。
FDAは薬剤として規制される成分とする栄養サプリメントの安全性・使用に関する新しい努力事項に着手、ガイダンス草稿として、FDAに報告すべき情報に関し、製造会社は報告するものとし、その中には古い成分のもの、新しい成分のものも含む(植物製品としての合成複製産物も新規とみなす)。
FDAは、ヒストリカル使用で使うより高用量のものに対して、in vitro、 動物、長期耐用性試験をサプリメント要求する。
もしそれが安全性の実質的な改善になるなら、新規成分の安全性評価に熟慮されたフレームワークを形成することとなるだろうと述べているが、実際には、十分ではないと考えている。
製造会社は、サプリメントに関し、臨床的トライアルの代わりに、ヒストリカルデータを使用できる。しかし、FDAは、実験データの無しに新しい製品を安全とは見なさないだろう。
Cohenの新馬以後とは、このガイダンス下でも製造会社はデータとして、有利不利出た-両者を提出する必要なく、不都合なデータを提出しないだろうということ。cherry-pickできる。
業界はこれでも規制案に反対し、その一つの団体は小規模健康食品店から大規模メーカーまでを含むNatural Products Associationで、11月にFDA提案に対し反応。マーケットの萎縮などを主張した。


カフェインとエストロゲンの関係 ;人種的差 ;緑茶は人種横断的にエストロゲン増加へ

・ 白人女性ではカフェイン摂取増加は性ホルモン減少に向かう ・ 緑茶・カフェイン加ソーダは全人種的に性ホルモン増加に向かう ・・・ 解釈が問題になりそうな報告。

カフェインの中等量摂取は、白人ではエストラジオール濃度減弱に向かうが、カフェイン加ソーダと緑茶は全人種的にエストラジオール濃度増加と関連する。 カフェインとカフェイン飲料と、性ホルモンの関係、これらの関係が如何に人種的に関連するかも問題。

”コメディカル”というコメディーがやっと終わるのか・・・

言葉狩りによる奇形和製英語の象徴 ・・・ コ・メディカル

医療系MLで初めて知った。


「コ・メディカル」という用語の原則使用自粛について http://jsco.umin.ac.jp/info/comedi.html
会 告・通 知 等 「コ・メディカル」という用語の原則使用自粛について  
「コ・メディカル」という言葉は,一般的には医師以外の医療専門職(看護師,薬剤師,検査技師等)の方を意味する用語として現在広く使用されていますが,
この用語には,
(1)意味する職種の範囲が不明確である,
(2)Comedy「喜劇」の形容詞(comedical)と解釈される場合があり和製英語としても不適切である,
(3)「医師とそれ以外」といった上下関係を暗示させすべての医療人が対等に参画することが原則のチーム医療の精神に反する等の問題点が兼ねてより指摘されています。  
この点に鑑み,本会においても理事会で本用語使用の是非について慎重に審議を重ねて参りました。また,本会会員の皆様からもパブリックコメントを公募致しました。  
その結果,今後,本会での発表や学会関連の出版物では,この用語の使用を原則として自粛することが本年度の代議員総会で決定されました。  
以上の方針は,平成24年の第50回学術集会から施行されます。つきましては,平成24年の第50回学術集会からは,本会の発表では本用語の使用は原則として自粛するよう会員の皆様にお願い申し上げます。  
「コ・メディカル」という用語は使用せずに,薬剤師,看護師,検査技師,放射線技師等といった医療専門職の名称を積極的に使用することが望まれます。
平成24年1月25日 一般社団法人日本癌治療学会 理事長 西山 正彦
以 上





以下のごとく、2004年のブログに書いた記録


それより以前にも医療系メーリングリストで同様なことを記載したと記憶している。



それから8年・・・





関連: [言霊信仰的医療系辞書] 医療関係者には最近では耳にたこかもしれないが・・・あらたまらないご時世 2004年 05月 08
【コメディカル】co-medical 一部、医療系メーリングリストで、"comedical"ってgoogle検索すると日本語のサイトばかり検索されておかしいとか、Webstar辞書(検索)などの英英辞書に“comedical"という表記がないとか、話題になった。

comedically:   1 : of or relating to comedy   2 : COMICAL

comedicallyやcomedicはcomedyの形容詞で、“ a medieval narrative that ends happily ”ということも意味合いとしてあり、日本語のコメディカルはそうあればよろしいかなという希望的な意味合いが含まれるとしたら、良い言葉なのかもしれない。
コメディカルという言葉の存在がどうやら風前の灯火なので、保存運動をすべき。幸いにして、救急医学会など各学会が保存運動に積極的で、この言葉は当面安泰と思われる。


“モルジェロンズ病” :精神疾患由来という一応の結論


“Morgellons Disease”  “モルジェロンズ病” (wiki: http://en.wikipedia.org/wiki/Morgellons)


この疾患のいきさつに関し、”皮膚の下に寄生虫が蠢く ― 謎の"モルジェロンズ病"患者が増加 米 ”(http://x51.org/x/06/05/1051.php) に詳細が書かれている。


文献記載としては、Savely VR, Leitao MM, Stricker RB (2006) The mystery of Morgellons disease: infection or delusion? Am J Clin Dermatol 7: 1–5


症状: “モルジェロンズ病”の症状は、その言葉が意味する如く、”(虫が)這いまわる”症状で、皮膚の下を虫が這うような感覚で、治りが遅く、自身でかきむしることが多い。また、ミステリアスな着色繊維、砂粒様、虫、卵、毛玉、繊維などが皮膚から出てくるという報告がなされてる。


“モルジェロンズ病”は正式な医学的診断名ではない。
この言葉は、Mary Leitaoが、2008年 WebMDで語った言葉を引用したもので、彼女の2歳子供の皮膚から、症状出現前に出てきた”繊維玉 balls of fiber"に由来する。

CDCは2008年研究に着手し、研究者たちは独立した新しい疾患と認識することは出来なかった。
患者の詳細な検討後、皮膚生検、血液、尿検査、精神疾患検査でも“モルジェロンズ病”患者に共通の原因を見出すことが出来なかった。

 ”delusional infestation”(寄生虫感染と信じこむ)に類似した精神的疾患であることが示唆された。

これが精神疾患由来ではないかという報告

Pearson ML, Selby JV, Katz KA, Cantrell V, Braden CR, et al. (2012) Clinical, Epidemiologic, Histopathologic and Molecular Features of an Unexplained Dermopathy. PLoS ONE 7(1): e29908.

115 症例. 頻度 人口10万 3.65 (95% CI = 2.98, 4.40)
13のカントリー KPNC catchment area内での集積見られず  (p = .113)
症例患者は52歳中央値 (range: 17–93)、主に女性  (77%) and Caucasian (77%)
多系統症状が多い。70%が疲労、54%が、平均 Physical Component Scores と Mental Component Scoresとしてfair以下(36.63 (SD = 12.9、 35.45 (SD = 12.89)
cognitive deficitが症例で59%、有意身体化症状エビデンスが63% 
毛髪サンプルからの薬物検出 50%、溶媒検出78%
Solar elastosis が組織学的に最も見られる所見  (生検中 51%);皮膚病変は虫刺症や習慣性の掻き毟りに一致。
寄生虫、マイコバクテリアなど検出なし。 被験者からの検出物質の多くはセルロースで、コットン由来が多い。

解説: http://www.webmd.com/skin-problems-and-treatments/news/20120126/cdc-morgellons-disease-may-not-be-real




共通もしくは似通ったと主張する症状・所見だけで、即、新しい”疾患概念”と主張さることの危険性 ・・・ ネットで多くの人達が情報を共有する時代。目新しいというだけで、”新しい病気”としての意義が十分考察されることなく、一方向につっぱしる危険性が常に存在する。



abcnewsの最後に、「“Morgellons病”患者たちは、医師から不信、そして訴えが却下されつづけていると主張、一方で、神経学的問題が身体症状を生じているという説明を拒否している人たちもいる。」と書かれている。


米国:口腔内HPV感染率 男女7%; 年齢、男性、性的行為、現行喫煙がリスク要素

オーラルセックスと口腔咽頭がん・HPVウィルス感染 2007年 05月 11日 ヒトパピローマウィルスによる口腔・咽頭癌が2020年までに子宮頚部がん数を凌駕する 2011年 10月 04日 保守化する米国10代性行為:性行為予測分析 2011年 03月 08日 HPV感染について、口腔扁平上皮がんとの関連など話題になっているが、米国内においてすらその口腔内HPV感染の疫学はあきらかでなかったとのこと
Prevalence of Oral HPV Infection in the United States, 2009-2010 Maura L. Gillison et. al.
JAMA. Published online January 26, 2012. doi: 10.1001/jama.2012.101 
ONLINE FIRST JAMA. Published online January 26, 2012. doi: 10.1001/jama.2012.101 

National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2009-2010の部分的横断研究



14-69歳の男女HPV感染率は、  6.9% (95% CI, 5.7%-8.3%)、 HPV type 16 は 1.0% (95% CI, 0.7%-1.3%)
左:高リスク、右:低リスク
Prevalence of Oral HPV Infection by Individual Genotypes in the US Population Aged 14 to 69 Years


口腔HPV感染は 年齢に対し二峰性で、30-34歳 (7.3%; 95% CI, 4.6%-11.4%)と、60-64歳 (11.4%; 95% CI, 8.5%-15.1%)がピーク。



Association of Age With Oral HPV Prevalence in the US Population Aged 14 to 69 Years


右上:男性、左上:女性、右下:高リスクHPV、左下:低リスク
Modeled HPV Prevalence Across Age in the US Population Aged 14 to 69 Years by Sex and HPV Types

男性は有意に女性より、口腔HPV感染は、感染率が高い   (10.1% [95% CI, 8.3%-12.3%] vs 3.6% [95% CI, 2.6%-5.0%], P < .001; 非補正感染率 [PR], 2.80 [95% CI, 2.02-3.88])

性的接触歴が無い場合はある場合に比べ極度に感染率低い (0.9% [95% CI, 0.4%-1.8%] vs 7.5% [95% CI, 6.1%-9.1%], P< .001; PR, 8.69 [95% CI, 3.91-19.31])

性的パートナーの数と共に増加 (P<; .001 for trend)、1日あたりの喫煙本数と共に増加  (P< .001 for trend)


 年齢、性別、性的パートナー数、現行1日あたりの喫煙数は独立したHPV感染の多変量モデルでの要員





 
高リスクHPVの年齢二峰性分布が気にかかる。 特に性的活動の高い若年層にピークがあること・・・

パンデミックインフルエンザワクチン:基礎疾患を有する人たちへの感染防御有効性

ワクチンの有効性出現まで、2週間以上かかることがわかる。


Effectiveness of vaccine against pandemic influenza A/H1N1 among people with underlying chronic diseases: cohort study, Denmark, 2009-10

慢性疾患患者へのパンデミック・インフルエンザA/H1N1へのアジュバント単価ワクチンの有効性 65歳未満の388069名の過去5年間基礎疾患最低一つのある人たちへの検討

パンデミック・ワクチン1回投与14日後、H1N1確定感染の有効性は49%(95%信頼区間10%~71%)

入院に対する有効性は44%(-19%~73%)



これで興味を引いたのがこの推移・・・説得力ある図となってる。


 Fig 2 Relative hazard rate of laboratory confirmed H1N1 infection after vaccination with pandemic vaccine compared with people who did not receive the pandemic or seasonal influenza vaccines, Denmark

 対照群を、基礎疾患無し群(年齢補正)と比較していることに注意が必要。

ワクチン接種後、感染リスクを増加させるという誤報が流れると困る・・・



時々、(わざと?)勘違いしてよからぬ風評を流す反ワクチン運動家がいるから用心。

オリーブ油など多用国の揚げ物:揚げ物摂取量と冠動脈疾患リスク・死亡率の関連認めず

地中海湾岸国であるスペインでは、揚げ物に、オリーブ油やひまわり油を使用するが、この揚げ物食品摂取と、冠動脈疾患・全原因死亡率に関して関連性を認めない。

 European Prospective Investigation into Cancer and Nutritionのスペイン・コホート

1992-6年の40757名(29-69)、ベースラインで冠動脈疾患なしの2004年までのフォローアップ


Consumption of fried foods and risk of coronary heart disease: Spanish cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e363 (Published 24 January 2012)
Cite this as: BMJ 2012;344:e363

11年フォロアップ中央値、冠動脈疾患606、急性原因での死亡1135

フライド食品第1四分位 比較で、冠動脈疾患多変量ハザード

第2四分位  1.15 (95% 信頼区間 0.91 to 1.45)
第3四分位  1.07 (0.83 to 1.38)
第4四分位  1.08 (0.82 to 1.43; P for trend 0.74)

オリーブ油使用、ひまわり油使用での差を認めない


同様に、 フライド食品と全原因死亡率との相関認めず
第1vs第4四分位多変量ハザード比は 0.93 (95% 信頼区間 0.77 ~ 1.14; P for trend 0.98)




西洋諸国では揚げ物料理が多い。揚げ物は特に再利用することで、参加・水酸化過程により、不飽和脂肪の減少・トランス型脂肪酸の増加をもたらす。
再利用油と高血圧の関連(Am J Clin Nutr2003;78:1092-7)、スペインのEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC)とSUN (Seguimiento University of Navarra) cohortでの肥満(中心性肥満、一般肥満)と揚げ物の関係(Am J Clin Nutr2007;86:198-205 、   Nutr Metab Cardiovasc Dis2011: published online 6 Aug.)、2090名のイタリア人成人横断研究での揚げ物食品とHDL値、ウェスト径の相関報告(BMC Fam Pract2008;9:53)が序文に記載されている。

しかし、いままで揚げ物食品と心血管疾患リスクの直接の評価は少なかった。
INTERHEART研究の揚げ物食品と急性心筋梗塞の関連(Circulation2008;118:1929-37.)など。

この研究はオリーブ油・ひまわり油などの摂取の多い地域での報告。

ただ、ひまわり油は、n-6であるリノール酸過剰のリスクとなると思ってたのだが・・・
論文中に、n-3、n-6の問題は書かれてない気がする・・・

2012年1月26日木曜日

”退院”はともかく、”入院”を曜日で削減するって・・・ 頭おかしいんじゃないのか? 厚労省!

金曜入院と月曜退院が多い病院、診療報酬減 厚労省方針

http://www.asahi.com/politics/update/0126/TKY201201250784.html

  厚生労働省は、入院期間が長くなりがちな「金曜入院」や「月曜退院」などの割合が高い病院について、病院側が受け取る入院基本料を減額する方針を固めた。不必要な医療費を抑制するねらい。診療報酬改定を議論している中央社会保険医療協議会で了承されれば、4月から実施する。  厚労省によると、金曜日に入院した患者の平均入院日数は18.14日で、曜日別で最長。最も短い水曜日の入院患者より3日余り長い。一方、退院の曜日別では、月曜日が17.79日と最も長く、最も短い土曜日退院とは3日近い差があった。  金曜日の入院は全体の14%、月曜日の退院は11%で、曜日別で見ると少なめ。ただ、厚労省は、治療を行わないことが多い土日を挟んで入退院させることが、入院日数を長くして医療費を押し上げる一因になっていると判断。高齢化で医療費が年々増えるなか、効率化のために見直すことにした

”退院”はともかく、”入院”を曜日で削減するって・・・ 頭おかしいんじゃないのか? 厚労省!


患者は我慢して我慢して土日が怖いので、金曜日受診、即、入院  って パターン多いことをしらないのだろうなぁ
・・・ さすが、臨床経験の少ない(乏しい)とはいえ ・・・ アホすぎないか?


土日退院に対応するためには、会計のため、事務員を土日勤務させなければならない。則ち、休日・祝日加算を従業員へ支払わなければならない。疲弊化した病院に さらなる負担を強いることになるだろう。

中年公務員のデータ;長時間労働ほど大うつエピソード増加

中年公務員のデータ;長時間労働ほど大うつエピソード増加
Overtime Work as a Predictor of Major Depressive Episode: A 5-Year Follow-Up of the Whitehall II Study
Virtanen M, Stansfeld SA, Fuhrer R, Ferrie JE, Kivimäki M (2012)
PLoS ONE 7(1): e30719. doi:10.1371/journal.pone.0030719


“報道の自由度”  日本のランク低下 主犯たちの記事

“報道の自由度”



http://en.rsf.org/squelettes/img/en/logo-en.png

http://en.rsf.org/press-freedom-index-2011-2012,1043.html

HDL特性改善:ナイアシン徐放・シンバスタチン合剤はアトルバスタチンより

イベントへの影響は不明で、あくまでも検査上の影響だが・・・
SIMCOR® (niacin extended-release / simvastatin) という合剤の効果報告



Niacin extended-release/simvastatin combination therapy produces larger favorable changes in high-density lipoprotein particles than atorvastatin monotherapy
Vascular Health and Risk Management 
Published Date January 2012 Volume 2012:8 Pages 39 - 44 
DOI: http://dx.doi.org/10.2147/VHRM.S22601


ナイアシン徐放+シンバスタチン(NER/S) vs アトルバスタチン単剤

前者により、HDL分子サブクラスの数・サイズ、small HDLの数の減少を示した。

加えて、small・medium/large HDL粒子サイズの分布に変化が見られた。


軽度認知機能障害は男性に起きやすい

MCI(mild cognitive impairment;軽度認知機能障害)は男の方が多い。


The incidence of MCI differs by subtype and is higher in men:
The Mayo Clinic Study of Aging
Neurology WNL.0b013e3182452862; published ahead of print January 25, 2012, 

Mayo Clinic Finds Mild Cognitive Impairment is Common, Affects Men Most http://newsblog.mayoclinic.org/2012/01/25/mayo-clinic-finds-mild-cognitive-impairment-is-common-affects-men-most/


 1500名ほどの高齢者を3年間追跡し、この間、男性は1000名あたり72、女性は57名発症の頻度であるという報告。

 年齢、教育・婚姻状態などによる影響はあるが、性差の影響だけは一貫しているという報告。


心血管生涯リスクの検討(10年程度の検討ではなく・・・) 55歳のリスク状態で2-3割決まる

近年、心血管疾患荷重を減らそうとする臨床的・公衆衛生的努力はグローバル、短期(一般に10年間)リスク推定に基づいている。しかし、短期的な意味では大多数が低リスク。

生涯リスクを計算することが、より包括的アセスメントとしてふさわしいのは当然。

ということで、18のコホート、男女250,000名を越える人員のデータ(Framingham Heart Study、 Multiple Risk Factor Intervention Trial、 Coronary Artery Risk Development in Young Adults study 、 Multi-Ethnic Study of Artherosclerorisisを含む)から、リスク要素の重みに従い層別化し、非血管疾患リスクを完全に補正することをめざして、心血管イベントの生涯リスクを計算。



リスク要素
  • 糖尿病
  • 現行喫煙
  • 平均コレステロール: 180mg/dL未満
  • 平均収縮期血圧: 薬物無しで 120/80 mm Hg 未満
1つ以上で、リスクありとする。


80歳以上の心血管死亡リスクは、55歳でのリスク状況で、男で29.6%、女で20.5%予測できるということになる。

Lifetime Risks of Cardiovascular Disease

Jarett D. Berry, M.D., Alan Dyer, Ph.D., Xuan Cai, M.S., Daniel B. Garside, B.S., Hongyan Ning, M.D., Avis Thomas, M.S., Philip Greenland, M.D., Linda Van Horn, R.D., Ph.D., Russell P. Tracy, Ph.D., and Donald M. Lloyd-Jones, M.D.
N Engl J Med 2012; 366:321-329January 26, 2012


18のコホート研究(257,384名の黒人男女、白人男女)で心血管リスク+
45、 55、 65、 75歳で測定
血圧、コレステロール、喫煙状態、糖尿病を5つのmutually exclusive categoryに分けて検討
残りの心血管余命リスクを、対抗イベントとして心血管死無しを指標として、年齢毎カテゴリ毎推定

リスク要素層別化横断的に、心血管疾患生涯リスクの著明な差を見いだした。
55歳の被験者の内、至適リスク要素特性(総コレステロール  , < 180 mg /dL [4.7 mmol /L]; 血圧 < 120 mm Hg 収縮期と  80 mm Hg d拡張期; 非喫煙状態s; 非糖尿病状態 )は、リスク要素2つ以上の被験者にくらべ 80歳での心血管死亡リスク低値  (男性: 4.7% vs. 29.6%, 6.4% vs.女性  20.5%)

これら至適リスク要素特性 は、致死的冠動脈疾患・非致死的心筋梗塞生涯リスクも低い  (男性 3.6% vs. 37.5%, 女性 < 1% vs. 18.3% ) 、致死的・非致死的卒中 (男性 2.3% vs. 8.3%,  女性 5.3% vs. 10.7%)

リスク要素層別化内でも同様の傾向が、黒人・白人ともにことなるbirth cohort横断的に見られる







黒人・白人男性 リスク要素集合体・死亡リスク競合補正心血管死亡リスク(55歳時)
 





 白人・黒人女性 リスク要素集合体・死亡リスク競合補正心血管死亡リスク(55歳時)

 


解説:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/30854

コエンザイムQ10は血圧コントロール不充分例の補完治療としても不適切

メタボリックシンドローム+血圧コントロール不良 30名 に対し、coenzyme Q10 100mg/日 プラシーボとの12週間交差対照トライアル


プラシーボ比較で、 coenzyme Q10では、24時間持続血圧の収縮期血圧、拡張期血圧、心拍と関連せず(0.60、 P = 0.12、P = 0.10)
しかし、昼間拡張期血圧は、coenzyme Q10で、90mm Hg、85 mm Hg以上閾値に対する治療としては有意に低下 (P = 0.007、P = 0.03)
Coenzyme Q10は、耐用性は良いが、臨床的な安全性パラメーターの変化と関連せず。


A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Crossover Study of Coenzyme Q10 Therapy in Hypertensive Patients With the Metabolic Syndrome
American Journal of Hypertension (2012); 25 2, 261–270. doi:10.1038/ajh.2011.209


coenzyme Q10は、一部状況では、拡張期血圧改善する可能性があるが、メタアナリシスで報告されてたよりその影響は少なく。さらに、メタボリックシンドローム合併降圧剤投与でも不充分文和血圧コントロールの時の補完治療としては不適切である。




Unfortunately we are unable to provide accessible alternative text for this. If you require assistance to access this image, please contact help@nature.com or the author


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昼間の血圧を明らかに下げているのに、降圧治療として不適切・・・という部分に反論が出るかもしれない。
この研究はABPMで検討されている。そのため、昼間の降圧降下程度では、トータルとしては意義が少ないと説明されている。
降圧効果の判定に関してABPMでその有効性が要求され手いる時代なのである。
昼間の通常の診察室血圧が下がった位では・・・その意義付けの地位は低いということなのだろう。

2012年1月25日水曜日

ナーシングホーム居住肺炎:超過死亡は病原菌パターンの影響少ない、むしろ合併症などの影響

ナーシングホーム居住肺炎(NHAP)


NHAP患者の超過死亡は、病原細菌パターンの違いから由来するものではなさそうで、合併症や後遺症から関与する。肺炎は、ターミナルイベントとして考慮すべき、マネージされるべきものと考えられる。

Nursing-home-acquired pneumonia in Germany: an 8-year prospective multicentre study 

Thorax 2012;67:132-138 doi:10.1136/thoraxjnl-2011-200630 

 

NHAPの患者は、CAPより、CRB-65 (confusion, respiratory rate, blood pressure, 65 years and older)評価で、重症肺炎になりやすい。
人工呼吸頻度は同等で、抗生剤併用は少ない。
病因的には臨床的差が無く、肺炎球菌がどちらの群でも最も多く、多剤耐性病原菌は極めて少ない (<5%)
NHAP群では黄色ブドウ球菌が多い (n=12, 2.3% of the total population, 3.1% of those with microbial sampling compared with 0.7% vs 0.8% in the CAP group).

短期・長期死亡率は、65歳以上患者に関し、NHAP群でCAP群より高い  (26.6% vs 7.2% and 43.8% vs 14.6%, respectively)。
しかし、超過死亡と多剤抵抗性病原に関して相関認めず



BTS:特発性肺線維症治療アップデート PANTHER-IPFの影響

PANTHER-IPF(特発性肺線維症:プレドニゾン・アザチオプリン・Nアセチルシステイン組み合わせで予後悪化? 治験中断 2011年 10月 22日)の結果、アップデートされたのはBTSガイドラインだけ
http://www.brit-thoracic.org.uk/guidelines/interstitial-lung-disease-%28dpld%29-guideline.aspx

BTSでは
. However the BTS is able to give some guidance on the use of prednisolone, azathioprine and NAC based on these interim data:

1.The BTS ILD SAG recommends that new patients with definite IPF should NOT be initiated on a regimen containing prednisolone plus azathioprine
2. No concerns have been raised as a result of preliminary analysis of the n-acetylcysteine monotherapy arm of the study. The preliminary announcement by the NHLBI has no immediate implications on the use of NAC in IPF
3. ‘In patients with definite IPF already receiving combination prednisolone/azathioprine/n-acetylcysteine therapy, it is recommended that azathioprine therapy in particular should be withdrawn if there is evidence of disease progression (declining lung function).  In patients established on triple therapy with ‘stable’ disease, the decision to withdraw should be on a cases-by-case basis, but the threshold for withdrawing azathioprine from elderly patients should be low.
4. Patients with fibrotic ILD that is not definite IPF (e.g, NSIP, HP) should continue to be managed according to clinical judgement and  the BTS ILD Guidelines.

 という内容。


ペルフルオロ化合物:ワクチン免疫低下 ・・・ ポップコーンやファストフード包装?

Serum Vaccine Antibody Concentrations in Children Exposed to Perfluorinated Compounds
Philippe Grandjean et. al.
JAMA. 2012;307(4):391-397. doi: 10.1001/jama.2011.2034

Perfluorinated compound (PFC)s :ペルフルオロ化合物


 

これが、ヒトの免疫能力低下、具体的には、5-7歳の定期ワクチン反応減弱が示された


この化学物質ていうのが、レインコート、抗さび、電子レンジのポップコーン包装やファーストフードの包装につかわれているということで話題に・・・


PFOA(ペルフルオロオクタン酸)の用途は添加物(樹脂用)、その他製品用(触媒)など
、ポリテトラフルオロエチレン合成における添加剤、塗料のレベリング剤、水性膜形成泡消化剤、界面活性剤などに用いられるという表記(wiki)。「フッ素系の優れた界面活性剤/撥水剤」としてのPFOS/PFOP・PFOAの使用がかなり行われているとのこと。電気電子製品用途として使用されている可能性の高い物質は、テトラブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ヘプタブロモジフェニルエーテル、(PBDEの一種)、ヘキサブロモビフェニル(PBBの一種)のプラスチックの難燃剤の用途、およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸フルオリド(PFOSF)の撥水撥油剤、界面活性剤であろう(引用)。



論文訳の一部
フランス本土のNational Hospitalの生誕コホート前向き研究

5、7歳時の破傷風・ジフテリア 血清抗体

USの研究報告と同様の結果
血中ペルフルオロ化合物(PFC)のうち高濃度のものは perfluorooctane sulfonic acid (PFOS) と perfluorooctanoic acid (PFOA)

母体妊娠中血清中のPFCsのうち、PFOSが 5歳児の抗体濃度と、最も強い負の相関性を示し、 2倍濃度でジフテリア抗体濃度の差 -39%(95% CI, -55% ~ -17%)と関連する


5歳児の小児PFCs で、抗体レベルは均一に負の相関を示し、特に7歳でめだつが、例外はPFOS暴露と破傷風抗体で統計学的に有意差無し。


structural equation modelで、PFCの濃度2倍で、包括的抗体濃度 −49% (95% CI, −67% to −23%) と相関。

5歳時 PFOSと、PFOA濃度2倍で、7歳時の破傷風、ジフテリア抗体が臨床的防御値未満に陥る可能性オッズはそれぞれ、 2.38 (95% CI, 0.89 to 6.35) と4.20 (95% CI, 1.54 to 11.44) 




マジックマッシュルーム:うつ治療への応用の可能性

Psychedelic mushroom:幻覚作用をもつきのこ、”magic mushroom”が抗うつ作用を有するのではないかという小研究2つ


PNAS
Neural correlates of the psychedelic state as determined by fMRI studies with psilocybin
January 23, 2012, doi: 10.1073/pnas.1119598109 PNAS January 23, 2012
MRI研究で、シロシビン(psilocybin)を血中投与し、脳活動性を測定
脳のいわゆる"hub" regionの活動性低下が示された。


もう一つがBritish Journal of Psychiatry 掲載予定論文

10名の健康ボランティアで、やはりシロシビン
これを個人記憶recall、感情well-beingの効果が2-3週で現れた

"Department of Medicine at Imperial College London"が関係している論文


"Psychedelics"、"mind-expanding"、いづれにせよ、幻覚を生じさせる薬物は、脳の活性化を生じるが、最も密な他領域との結合性をもつ低活動性領域の活動性増加をもたらすという新知見。

 幾何学的パターンを幻覚としてみる、時間・空間の感覚変容、異常な身体感覚などが、脳のposterior cingulate cortex(後帯状皮質)や medial prefrontal cortex (mPFC:内側前頭前皮質)といった部位への酸素・血液供給量の減少と関連。
そして、PFCが意識・自己同一性に重要な役割をはたすことも見いだしたと筆者ら。

そして、MPCのうつ患者へ 特別な役割を見いだし、この種の幻覚作用が抗うつ的な効果として役立つのではないかと


Nuttらは、また、シロシビンが視床下部の血流を減少させ、一方で、偏頭痛患者の血流を増やすことを示したため、この方面への治療も考慮される。

 シロシビンは1950年代psychotherapyとして広く用いられてきたが、その使用の生物学的合理性に関して適切に研究されてきていなかった。
シロシビンは、個別の記憶・感情へのアクセス可能薬剤としての有用性、感情的well-being、不安状態のうつへの治療など利用が考慮されると筆者らの主張。

ソース:http://yourlife.usatoday.com/health/story/2012-01-24/Study-Magic-mushrooms-may-help-treat-depression/52775096/1



卵巣癌: BRCA1 ・BRCA2変異の有無による生存率差

侵襲性上皮性卵巣癌の患者の約10%は、 BRCA1 もしくは BRCA2 geneのgermline mutationを有する。


侵襲性卵巣癌3879名の生存率評価26研究のpooled data の解析

 Bolton らは、BRCA1 or BRCA2 mutationなしの症齢に比べ、mutationありでは、病期・病理・診断年齢時補正5年生存率の改善を認めた。


Association Between BRCA1 and BRCA2 Mutations and Survival in Women With Invasive Epithelial Ovarian Cancer
Kelly L. Bolton et. al.
JAMA. 2012;307(4):382-389. doi: 10.1001/jama.2012.20 

小児:ぜん息 無症状逆流性食道炎へのPPI投与 ・・・ ぜん息症状・肺機能改善せず、副作用増加

無症状胃食道逆流(GER)はぜん息の子供に多く、無治療GERはぜん息コントロール不良の原因とも考えられている。

19の American Lung Association Asthma Clinical Research Center サイトの研究で、306名のぜん息コントロール不良・GER症状無し患児をPPIであるlasoprazoleかプラシーボかを24週間投与

プラシーボ比較で、lasoprazoleはぜん息症状や肺機能改善と関連せず。
ただ、副事象イベントの増加と関連した




Lansoprazole for Children With Poorly Controlled Asthma 

A Randomized Controlled Trial

Writing Committee for the American Lung Association Asthma Clinical Research Center

 JAMA. 2012;307(4):373-380. doi: 10.1001/jama.2011.2035 
 

2012年1月24日火曜日

朝日新聞虚報から...癌ペプチドワクチン海外拠点へ...




国家戦略欠如「無力さ」痛感 医療イノベーション推進室長辞任の中村祐輔教授  
2012.1.15 22:23 
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120115/trd12011522260014-n1.htm



この記事みて・・・  そういえば、震災以降、うやむやというか・・・話題にならなくなった、「がんワクチン」朝日新聞虚報騒ぎってどうなったんだろうと・・・・・・


ちょっと復習・・・
15日の朝日新聞の一面を飾った記事によれば、...、、医科研付属病院2008年、被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されたのに...東大医科研が全体を把握できる状況にありながら他の施設に伝えていなかったのは、倫理に反すると朝日は主張している。朝日の論調的には、医科研の中村祐輔教授が自分が開発したワクチンでの有害事象を意図的に隠していたことを非難しているように読める。
...、東京大学医科学研究所が記者会見を行い、朝日の報道に反論...記事での被験者は、進行性すい臓がんであり、臨床試験にエントリーしたものの残念ながらすい臓がんにおいては少なからず起こりうる消化管出血が認められたため、被験者から外れたもので、その後、患者は無事に回復している。出血によって入院期間が約1週間延長したために、「重篤な有害事象」として報告されたが、「重大な副作用」とは全く異なるものである。さらにこの試験は、多施設共同研究でなく、医科学研究所附属病院が単独で行っていたものであり、そもそも朝日新聞がワクチンを開発したとしている中村教授は、ワクチンの開発者でもないし、臨床試験の責任者でもないということである。


各方面からこの虚偽報道批判された・・・


「事実を歪曲した朝日新聞がんペプチドワクチン療法報道」

平成22年10月29日
日本医学会
会長 髙久史麿
http://jams.med.or.jp/news/014.html


 斜め上の回答を、”抗議声明への記事”として掲載していた。


朝日「虚報」が歪曲したがんワクチンの「政策的意味」

http://medical-confidential.com/confidential/2010/12/post-173.html

記事中の人物・会社
・ 編集委員の出河雅彦氏
・ 東京大学医科学研究所教授 (当時)
・ 中村祐輔氏 
・ メディネット社
・ オンコ社 
・ 久住英二氏
・ 本庶佑氏

 最重点化課題「ライフ・イノベーションの推進」の新規募集の事実上の「×」


・・・

この記事を読むと、中村氏が日本での創薬開発に、いやけがさした理由が分かる気がする・・・


グリコマクロペプチド・G600乳脂肪抽出スキムミルク:痛風発作軽減効果

スキムミルクの急激な尿酸低下作用 2009年 10月 21日
これは、 MPC 85 skim milk (an ultra-filtrated skim milk containing very low concentrations of orotic acid, purines and lactose)の話




glycomacropeptide (GMP) と、 G600 milk fat extract (G600) は、急性痛風に効果があるという報告があったそうな。それで、RCT。

3ヶ月のランダム化二重盲検対照化トライアル
・ 対照:lactose powder control
・ 対照:SMP
・ SMP/GMP/G600群: SMP enriched with GMP and G600 )

プライマリエンドポイントは、痛風発作の頻度(痛発作日誌)3ヶ月

SMP/GMP/G600群では著明な痛風減少 pgroup=0.031,

3ヶ月のSMP/GMP/G600治療は、疼痛だけで無く尿酸fraction excretion増加し、関節細胞数も著明に改善。

 Dalbeth N, et al
"Effects of skim milk powder enriched with glycomacropeptide and G600 milk fat extract on frequency of gout flares: a proof-of-concept randomized controlled trial"
Ann Rheum Dis doi:10.1136/annrheumdis-2011-200156 



PTCA後の運動指導:より積極的な動機づけ指導で効果増加

ONLINE FIRST
Randomized Controlled Trial of Positive Affect Induction to Promote Physical Activity After Percutaneous Coronary Intervention
Janey C. Peterson, EdD, MS, RN; Mary E. Charlson, MD; Zachary Hoffman, BS; Martin T. Wells, PhD; Shing-Chiu Wong, MD; James P. Hollenberg, MD; Jared B. Jobe, PhD; Kathryn A. Boschert, MS; Alice M. Isen, PhD; John P. Allegrante, PhD


Arch Intern Med. Published online January 23, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.1311




 PTCA後1年内に、20%超の患者が新規イベントを生じる。一方、運動は25%死亡率軽減効果がある。
しかし、運動不足が多い。故に運動促進のための強力な行動的介入が必要。
週336kcal以上、12ヶ月時点で到達するよう動機づけを行う。
Paffenbarger Physical Activity and Exercise Index評価


242名のをPCI直後介入に登録。

患者教育(PE)対照群 (n = 118) 
(1) received an educational workbook
(2) received a pedometer
(3) set a behavioral contract for a physical activity goal




positive affect/self-affirmation (PA) 介入群  (n = 124) 
3 つの上記PE対照群要素に加え
(1) a PA workbook chapter 
(2) bimonthly induction of PA by telephone
(3) small mailed gifts.


脱落は4.5%、死亡は2.1%
介入群の多くは12ヶ月時点で336 kcal/wk以上で、対照群比較で(54.9% vs 37.4%, P = .007)

 介入群は、12ヶ月以上で、336-kcal/wk以上到達比率は、人口動態的・心理的測定値補正後 1.7倍

多変量解析にて、介入群は 12ヶ月時点で習慣での倍ほどの運動量 (602 vs 328, P = .03)




禁煙指導時頸動脈動脈硬化評価しても禁煙率改善せず

ONLINE FIRST
Impact of Carotid Plaque Screening on Smoking Cessation and Other Cardiovascular Risk Factors
A Randomized Controlled Trial
Nicolas Rodondi, MD, MAS; Tinh-Hai Collet, MD; David Nanchen, MD; Isabella Locatelli, PhD; Michèle Depairon, MD; Drahomir Aujesky, MD, MSc; Pascal Bovet, MD, MPH; Jacques Cornuz, MD, MPH

Arch Intern Med. Published online January 23, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.1326



末梢性動脈硬化評価スクリーニングが広がってるが、臨床的インパクトを検討するトライアルは少ない。頸動脈プラークスクリーニングが喫煙者に対し健康行動・心血管リスクを改善するか?

536名の40-70歳の喫煙者へ、頸動脈プラーク超音波スクリーニング施行群(US群)と、未施行群(対照群)
それに、個別カウンセリングとニコチン補充療法を全対象に行う。

少なくともプラークが1つみつかった喫煙者には、7分の構成化された説明がなされた。

アウトカムは、生化学的評価禁煙状況(12ヶ月後)をプライマリとし、他、心血管リスク要素レベル、Framinghamリスクスコアも評価。

ベースラインでは、平均年齢 51.1歳、 女性 45.0%、 32年の喫煙経験で 平均 20シガレット/日

US群は、頸動脈プラーク 57.9%

12ヶ月後、禁煙率は高いが、US群と対照群に差は認めない(24.9% vs 22.1%; P = .45)

US群では、禁煙率は、プラークの有無で、差認めず。


Figure 2


心血管リスク要素コントロール (ie, blood pressure and low-density lipoprotein cholesterol and hemoglobin A1c levels in diabetic patients)や Framingham risk score平均的絶対リスクは両群で差無し。

Framingham risk score 平均絶対リスク増加 US群  +0.6  vs  対照群 +0.3 (P = .56)



かかりつけ医”医療受診比率増加が米国でめだつ


”かかりつけ医”医療受診比率増加が米国でめだつ・・・という報告。
Trends in Physician Referrals in the United States, 1999-2009
Michael L. Barnett, MD; Zirui Song, BA; Bruce E. Landon, MD, MBA


Arch Intern Med. 2012;172(2):163-170. doi:10.1001/archinternmed.2011.722


かかりつけ医へ定期受診を他の医師へ受診を参照にして比率計算すると、1999年から2009年で、4.8%から9.3%へ増加(P<.000)と、94%の増加。絶対数は159%増加し、410万人から1050万人と増加している。


全サブグループ共通でこの傾向は存在するが、 所有権出資医師(P = .02) 、マネージドケアからの収入が大部分である医師 (P = .007).ではそれが伸びてない。


特に伸びているのが、心血管系、胃腸、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科の患者からの医師受診数増加がめだつ。



 
日本では、慢性疾患やコモンな疾患への外来対応を軽視が最近顕著だ。

その急先鋒は米国型市場主義をいまだに崇拝している連中。急性期医療・超専門的医療に今身を置いている医師の一部のなかに、医療全体を俯瞰できない人たちもいる。

はでな救急医療ドラマとは対極にある地味で目立たないが、医療の基礎である慢性期医療・コモンディジーズを軽視することって医療そのものを地盤沈下させる元となる。

ヨード造影剤:甲状腺機能亢進、一過性甲状腺機能低下と関連する可能性

ヨード造影剤は、甲状腺機能亢進症、一過性甲状腺機能低下をもたらす可能性がある。
EAssociation Between Iodinated Contrast Media Exposure and Incident Hyperthyroidism and Hypothyroidism
Connie M. Rhee, MD; Ishir Bhan, MD, MPH; Erik K. Alexander, MD; Steven M. Brunelli, MD, MSCE


Arch Intern Med. 2012;172(2):153-159. doi:10.1001/archinternmed.2011.677

nested case-control study

総数で甲状腺機能亢進 178、甲状腺機能低下213、それに655、799の正常甲状腺をマッチ化

ヨード造影剤暴露は甲状腺機能亢進と関連   (odds ratio [OR], 1.98; 95% CI, 1.08-3.60)、しかし、甲状腺機能低下とは統計学的相関は見られない (OR, 1.58; 95% CI, 0.95-2.62)

事前特異化セカンダリ分析において、ヨード造影剤一過性甲状腺機能亢進症と相関  (follow-up thyrotropin level ≤0.1 mIU/L; OR, 2.50; 95% CI, 1.06-5.93) し、一過性甲状腺機能低下と相関(follow-up thyrotropin level >10 mIU/L; OR, 3.05; 95% CI, 1.07-8.72)



一応、ヨード造影剤の添付文書には、禁忌に「重篤な甲状腺疾患のある患者」とある。慎重投与の中に「甲状腺疾患のある患者」と書かれている。

造影剤をつかうため、インフォームド・コンセントの文書をかわすことになるが、そのフォーマットの中に、「ヨード系造影剤のための甲状腺機能への影響」を説明する部分の追記が必要となるだろう。

早期食道癌:非切除治療評価

京都大学からのMultidisciplinary Gastrointestinal Cancers Symposiumでの報告

(情報ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/MGICS/30804



日本の後顧的92名の研究で、stage 0-1Aの食道癌への非手術的治療として代替治療としての評価。

radiation therapy/chemoradiotherapy (RT/CRT) or endoscopic resection で、2年生存率 97.1%

手術が標準治療だが、radiation therapy/chemoradiotherapy (RT/CRT) or endoscopic resectionは非侵襲的であり、臓器保護的である優越性がある。


無再発2年生存率と包括生存率
  • Surgery: 77.8% 、 100%
  • RT/CRT: 68.6%、 97.2%
  • Endoscopic resection: 89.8% 、 95.7% 

Ito H, et al "Nonsurgical treatments for stage 0-IA squamous esophageal cancer"
J Clin Oncol 2012; 30(4): Abstract 113.


日本では、(上部消化管)検診が普及しており、早期食道癌発見率が高いという日本の特殊性を指摘されている。

いづれにせよ、前向き研究が必要と指摘


腸管憩室:食物線維をとると増える? ・・・ 従来の考えと逆の知見

憩室症予防に、たっぷり食物繊維を摂ろう”などと、確かに私なども指導してきた。

それは、腸内の食物残渣や圧増加が腸壁の脆弱な部分を破綻点にして広がるという仮説に基づいてきたものだが、右側腸管やS状結腸の憩室を説明出来ないし、もともと、腸管の径は大きく圧としても長時間作用するはずもない。・・・仮説に関する疑問点は多かった。


”食事性線維物が多いと3つ以上の憩室症が多い”と、逆であるかもしれない、観察研究結果。


2千超のコロノスコピー検査の結果、無症状憩室症に関して予防効果が見られないとの結論。

2104名の研究被験者で、878が憩室症、1226名を対照群として比較。
憩室例の28%が3つ以上の憩室、40%が1から2個の憩室。32%詳細不明。
憩室を有する場合 より高齢、体重増加・肥満が多く、たばこ使用、NSAID使用が多い。

補正解析にて憩室頻度は、線形に食物線維増加と関連。

最小四分位を指標にすると、憩室症は第2、第3、第4四分位毎、1.03、1.14、1.30 (P=0.004)

3つ以上の憩室はむしろ食事性線維高摂取に多かった(OR 1.81 vs 最小四分位)

週7回未満のbowel movementに比べ、7回の場合 1.34、8-14回の場合 1.59、15回以上の場合 1.70(P<0.001)

ほかに、脂肪食、赤肉、運動などを含めた他の要素に関しても有意な相関を認めなかった。
Peery AF, et al "A high-fiber diet does not protect against asymptomatic diverticulosis" Gastroenterology 2012; DOI: 10.1053/j.gastro.2011.10.035.


2012年1月23日月曜日

ヒト・実験肺気腫:抗原提示細胞活性化 ・・・Th17介在


肺気腫における肺組織の破壊は、抗原提示細胞(APC)の介在、 TH17の介在による、メカニズムで喫煙が活性化することで生じる。


Shan M, et al. "Cigarette Smoke Induction of Osteopontin (SPP1) Mediates TH17 Inflammation in Human and Experimental Emphysema"
Sci Transl Med 2012;4. 



マウスをchamberで喫煙暴露4ヶ月させて疑似的喫煙を生じさせた結果、樹状細胞・好中球が対照群比較より有意に増加。有意に肺容量増加 (417 ± 8 mm3 air-exposed mice versus 500 ± 9 mm3 smoke-exposed)、density減少 (-428 ± 9 HU versus -478 ± 7 HU, P< 0.05)

 肺特異的  interleukin 17-A (IL-17A) トランスジェニックマウス(Cc-10-IL17a)とnull マウス (IL-17a-/-)を比較、transgenic マウスでは、肺炎症細胞数増加し、では、野生種に比べ、肺の炎症細胞減少。
トランスジェニックマウスは喫煙誘起性肺気腫が増加し、null マウスでは減少。


肺気腫形成過程のひとつ

マウス6-8週齢 1日4回喫煙 週5日暴露 4ヶ月間

Spp1は最も発現性が高く、osteopontinをcodeする遺伝子で、 TH1 and TH17 responseにリンクする。osteopontinの役割を検討したとき、喫煙暴露マウスではIL-17Aは3倍、IFN-分泌は10倍であり、 osteopontin-deficient mice (Spp1-/-)は増加影響なかった。

肺気腫と 喫煙関連疾患にとって、重要な発見。

 肺のγシグマ細胞に関し肺ダメージを抑える可能性も示唆。

medpagetoday : http://www.medpagetoday.com/Pulmonology/SmokingCOPD/30783





医師報酬により心臓検査オーダー影響を受ける

この論文、気になってたけど、そのままスルーしてた論文。

Association between physician billing and cardiac stress testing patterns following coronary revascularization.
JAMA. 2011 Nov 9;306(18):1993-2000.

医師報酬により、ストレス心エコー・核医学検査オーダーの程度が異なってくるという話。

冠動脈再建術後のストレス検査は、Journal Watchによると、"Appropriate Use Criteria for Cardiac Radionuclide Imaging"(ACCF/ASNC/ACR/AHA/ASE/SCCT/SCMR/SNM 2009 Appropriate Use Criteria for Cardiac Radionuclide Imaging)では、以下のごとく、無症状・血管再建術が成功下で行われている状況では、通常、“不適切検査”となる。


 Figure 6 




経済的インセンティブが医師に臨床実践へ与える影響のいかんについて厳格な検査が進行中である。
冠動脈再建術後の医師報酬とストレス試験の関連を、連邦保険からのデータで検討。

17847名の成人(平均年齢55、21%女性) の心臓関連外来患者で、86%関連症状なしの可能脈再建術後90日超過患者、2004年11月1日から2007年6月30日まで

循環器医師(医師への報酬約半分)のうち、技術・専門報酬70%、14%、どのサービスでなくても16%の場合を比較。

全体的に、指定外来30日以内、ストレス試験施行 12%(核医学ストレステスト 10%、 エコーストレス 2%)。
多変量解析にて、医師報酬状況はストレス試験の尤度に相関。

どのタイプの報酬もなかった医師に比べ、技術・専門報酬は特にreferが多かった (odds ratio, 2.2; 95% confidence interval, 1.6–2.9)。逆に、専門報酬飲みの場合は軽度の尤度(統計学的有意差無し)

 AUC(ACC)はルーチンのストレス試験を推奨してないが、この研究では、一任的検査施行として、8名の患者の内1名で行われてしまっている。症状により施行示唆された場合ももちろんあるが、内場合もあった。さらに、解釈に対して報酬を行うことがオーダーに影響を与えていることが考えられる。
多くの説明因子が考えられるが、経済的インセンティブがケアの質に影響を与えていることは確か。





RCT: "Cybercycle" Exergaming :高齢者認知機能改善目的のゲーム

2050年までに認知症は1億人に到達する。認知症減少のための介入が考案中。運動は認知機能に対しベネフィットを有するが、少数の老人しか運動をしない。バーチャル・リアリティー促進的運動、”exergame”をこれの使おうとする試み


exergame研究は良好な結果をもたらした。


Exergaming and Older Adult Cognition: A Cluster Randomized Clinical Trial
Am J Prev Med. 2012;2:109-119.

仮説:
1.virtual reality tours (“cybercycle”)を用いることで、運動機能・臨床状態を、従来の運動より改善?
2.運動努力は改善をもたらすか
3.brain-derived neurotrophic growth factor (BDNF)が増加するか?


Multi-site cluster randomized clinical trial (RCT)
3ヶ月の cybercycling vs 従来の運動 で、認知機能評価


Intent-to-treat analyses

年齢・教育補正クラスターランダム化で、、複合運動実践機能に関し有意なgroup x time interaction判明  (p=0.002)
cybercyclingは、伝統的運動よりmedium effectを有する(d=0.50)
Cybercyclistは、23%MCIの臨床的発症を減少。
運動努力とフィットネスは比較可能で、他のメカニズムが考えられる。
cybercyclist内での、BDNFとの有意なgroup x time interaction(p=0.05)は神経可塑性促進を示唆する。

Primary Cognitive Outcomes: Mean Difference From Baseline
運動遂行機能 Cybercycle (n= 38) 対照 (n= 41) P 値
Color trails difference -15.94 9.743 0.007
Stroop C -6.59 0.56 0.05
Digits backwards 0.36 -0.83 0.03






喫煙と肺がんに関するエビデンスと議論 ”実験的結果の欠如” ”疫学的証拠軽視主義” ・・・などが存在

たばこの発がん性を示すに十分な”実験的結果”がないことは・・・
 愛煙家だろうが、嫌煙家だろうが、治療者だろうが、JT社員だろうが、関連研究者だろうが、一般市民だろうが、知っておくことは必要。

一方で、司法判断で、疫学的なエビデンスを完全否定し、”実験的結果”のみを採用するというのは間違い。


喫煙は、"疾患・死亡の原因のなかで予防できるもっとも大きな危険因子(2006年 09月 21日)”で、直接喫煙の危険性だけでなく、受動・間接喫煙による健康による害についても確実に存在するもの(職場の環境喫煙の肺癌リスク 2007年 02月 01日)と学術的な論文にされている。

にもかかわらず、なぜ、「たばこ病訴訟」司法判断において、その有害性に関する原告側主張が、棄却されたのだろうか

横浜たばこ病裁判に於ける「“原因”は病理によってのみ確定されるのであり、“疫学”によっては確定されないのである」” という証言 が象徴的。


横浜市立大学名誉教授の蟹沢成好氏は、経歴からJTとのつながりを指摘され、一部には人格批判まで行ってるWebサイトもある(嫌煙原理主義って、こういう行動をとるから一切の共感をもてない)。

で、氏の記載物である「喫煙の生体影響と発癌」を冷静に見てみると、
「...疫学研究成績は、国際がん研究機関(IARC、Lyon)専門家会議において「たばこ煙はひとに対して発癌性あり」との結論を生むところとなり、今日の世界的禁煙キャンペーンの原動力となったのであるが、一方で喫煙による発癌については依然として実験的証明に欠けることも問題点として残されている。したがって喫煙と癌の問題はなお多角的な検索、究明が必要」と書かれている。


・・・と、至極もっともなことが記載されている。 

米国内生豚肉:MRSA検出率7%

日本で問題になった、ウシ肉のMRSA感染だが、日本の行政はいかなる総括をしたのだろう?対策と問題点くらい国民に提示すべきだと思うのだが・・・


米国での小売店先の豚肉の7%がMRSAが付着していたという話。


MRSA in Conventional and Alternative Retail Pork Products O'Brien AM, Hanson BM, Farina SA, Wu JY, Simmering JE, et al. (2012) PLoS ONE 7(1): e30092. doi:10.1371/journal.pone.0030092


  以前より米国の小売でのMRSA同定の頻度増加している。

アイオワ、ミネソタ、ニュージャージーの36ストアの生豚肉サンプル395のうち、26、則ち7%がMRSAのコンタミネーションがあった。

筆者らの意見として、豚肉として、抗生剤未使用と、通常製品に、MRSA検出率の差が無かったことは驚くべきことであったと書かれている。
(ソース:http://news-releases.uiowa.edu/2012/january/012012MRSA_pork.html




Prevalence of MRSA and MSSA in each type of meat cut.
Total number of samples of each type of meat cut are noted.
doi:10.1371/journal.pone.0030092.g001
pork chop(切り身),  ground pork(挽肉), pork ribs(バーベキューソースをつけてグリルするような肉), pork sausage(ソーセージ), pork roast(丸焼き), pork cutlet(ポークかつ)などにMRSAが検出されている。




関連: ウシがMRSAの貯蔵庫として働く可能性 2011年 06月 03日

2012年1月21日土曜日

日常臨床・検診・保健指導におけるHbA1cは全部国際標準化で・・・ 後手後手



糖尿病の診断基準値、国際標準に変更へ
http://www.asahi.com/national/update/0120/TKY201201200469.html
日本糖尿病学会などは20日、糖尿病の診断に広く用いられているヘモグロビンA1c(HbA1c)と呼ばれる値の読み替えを発表した。表記を国際標準に合わせる。4月以降の一般診療で実施する。  HbA1cは、過去1~2カ月の平均的な血糖値を反映する測定値。日本ではJDS値と呼ばれる数値が「精度が高い」として使われてきたが、海外ではNGSP値と呼ばれる値が一般的で、「日本だけ異なる表記のままだと、研究や治療に重大な不利益となる」として変更する。  NGSP値はJDS値より約0.4ポイント高い。「糖尿病が強く疑われる」数値はこれまでの6.1%以上から6.5%以上となる。  ただし、特定健診(メタボ健診)はシステムの変更など影響が大きいため、2012年度まではJDS値のみを使い、13年度以降については今後、協議する。
・・・新聞記事


で、糖尿病学会の説明は・・・

日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針
http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/modules/news10/article.php?storyid=45#45http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/modules/news10/article.php?storyid=45#45

2012年4月1日より日常臨床等においてもNGSP値「HbA1c(NGSP)」の使用を開始いたしたいと考えております。これらの経緯ならびに詳細 を下記の基本方針及び運用指針として掲載致しました。なお、学会誌「糖尿病Vol.54 No.12」の巻頭にも同様のものを掲載しております。
重要なお知らせ:日常臨床及び特定健診・保健指導の於けるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針(平成24年1月5日 日本糖尿病学会 糖尿病関連検査の標準化に関する検討委員会) pdf



DSM-5:自閉症の多くが診断クライテリアから外れる可能性


2013年5月に出版予定で、17年ぶりの大改訂であるDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders V(DSM V)

この出版へ向けての専門委員会再評価が始まった。
その中で、自閉症のクライテリアの狭小化に対し、多くの興味がもたれている。(NYTimes )。


110名に一人が現在自閉症の診断だが、この提案提議により、かなりの数、減少することが明らかになったとのこと。自閉症やAsperger syndromeのような関連疾患の現行クライテリアの曖昧性と、それに伴う診断率の著増(100名に一人)が問題化されている。

自閉症の新しい定義に対し、重要なサービスが受けられなくなるのではないかという家族の懸念がある。

専門家たちは、「診断の変化もゴールは診断を明確化することであるが、家族からサービスを奪うことではない」と説明している。

新しいパラメータはスペクトラム内のカテゴリー定義のインスタンスのいくつかを除去すること。たとえば、Asperger syndrome。 広い意味での診断症例とすることで、より個別的にしなければならず、特定の種類で特定のアプローチを優先するというものではない。



別の報道では、Asperger Syndromeの75%、Pervasive Developmental Disorders(広汎性発達障害)の85%が新しい定義下で除隊される推定されるとのこと
(http://www2.wnct.com/news/2012/jan/20/new-proposed-autism-definition-could-include-fewer-ar-1838193/)。



DSM-5: A 09 Autism Spectrum Disorder
http://www.dsm5.org/ProposedRevisions/Pages/proposedrevision.aspx?rid=94

 



関連: 
DSM-5フィールドトライアルの遅れ 2010年 10月 06日

慢性不眠症 :薬物治療に関するエビデンスも不十分 ;CBTとの併用が最適だろうが・・・

”不眠”を訴える患者は多い。そして、私自身も、結果的に不眠をよく経験する。
25%の人が自分の睡眠に満足せず、昼間の生活に10-15%が影響を及ぼす不眠と答えており、不眠症の診断クライテリアに合致するのは6-10%と紹介文献に書かれている。

短期的な不眠に関して薬物治療は効果あるし喜ばれるのだろうが、慢性不眠の可能性、あるいは慢性不眠への移行の可能性がある。
慢性不眠を念頭に置いて、不眠の診療は行うべき。

ただ、その慢性不眠の定義すら・・・はっきりしてないという指摘もあるのだが・・・

慢性不眠の総説的まとめ・・・
Chronic insomnia
Charles M Morin et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 20 January 2012 doi:10.1016/S0140-6736(11)60750-2 


不眠症は臨床においてかなり頻度の高い訴えであり、単独あるいは、他の医学的・精神的病態の合併症として存在する。それ自身で治療が必要な場合もある。
様々な治療オプションのなかで、benzodiazepine-receptor agonists (BzRAs) と cognitive-behavioural therapy (CBT) が経験的エビデンスとして最良なものとして支持されている。

BzRAs は、利用されやすく、短期的治療には有効だが、長期的有効性のエビデンスは乏しく、多くの睡眠薬は副作用の可能性がある。

CBTは慢性不眠の有効性として代替的である。ただ、薬物治療より時間がかかる。CBTの実践は、睡眠を改善し、その効果も持続し、治療は患者に受容されやすい。
CBTは多くの臨床的状況で利用されがたいが、アクセス、サービス供給は革新的技術、電話コンサルテーション、グループ治療、自助アプローチなどで安易化されてきてる。

CBTと薬物治療併用でアウトカム最適化される可能性がある。ただ、これらのアプローチをintegrateするベストな方法を臨床実践をガイドするエビデンスは乏しい。


薬物治療選択ガイドライン
(Clinical guideline for the evaluation and management of chronic insomnia in adults.;J Clin Sleep Med. 2008 Oct 15;4(5):487-504.)
  • 短期・中間持続型ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA) or ramelteon
  • 代替:BzRA or ramelteon 第一選択役の反応で選択(作用持続時間不十分ならより半減期の長いものを選択など)
  • 鎮静作用を有する低用量抗うつ薬 sedating low-dose antidepressant うつ症状のある人、治療失敗など
  • BzRAと抗うつ薬の併用 併用療法によりそれぞれの薬剤の投与量を抑え毒性低下

  • tiagabin、pregabalin、quetiapin、olanzapineなどの有効性エビデンス不十分
  • アルコール、chloral hydrate、非バルビタール系非ベンゾジアゼピン系薬剤、たとえばmeprobamateなどは毒性、乱用・依存のため推奨されない。
  • 抗ヒスタミンは有効性データ不十分なのと副作用のため使用すべきでない
  • OTC薬としてのvalerianやmelatoninも一般には安全性欠如・有効性データ欠如のため推奨されない



2012年1月20日金曜日

薬価も韓流にしろ! ・・・ 先発も、後発も同様にバーンと薬価引き下げすべき!

エコノミスト(2012年 1/24)に掲載されてた記事

 ”韓国:薬価引き下げに向け 製薬業界リベート摘発”という記事なのだが、中身は、韓国での薬業団体の反発と、製薬会社と医師・薬剤師の間のリベートの根絶宣言がももたらすという話。一般世論この薬価引き下げが正当だ認識しており、製薬会社に不利になっているという記事。 

この記事の中でこの部分が気になった。
事の起こりは、2011年8月に保健福祉部(省)が発表した薬価制度改正案。オリジナル(先発)薬の特許期限が切れた後の薬価に関して、期限切れ前の価格に対してオリジナル薬80%、ジェネリック薬(後発)薬68%に設定されている現行の薬価基準を、12年4月から一律53.55%に下げるというものだ。これにより1兆7000億ウォン(約1200億円)の薬価引き下げが実現する見込みで、健康保険公団(7割)と患者(3割)の負担が軽くなる
韓国では、先発薬も後発薬も一律に下げるという、薬価下げ至上主義を行ってる。

日本では、先発製薬会社が後発薬をだすということを厚労省は拒否し、後発専門メーカーに利する政策を続けている。

日本は、後発医薬品を対先発比率70%(米国平均では対先発薬価費10%)という異常な状況を固持し続けようとしている。

日本の状況として、興味深いのは、中医協は、ジェネリック専門メーカーの利益者代表ではないかと思うくらい、ジェネリック専門メーカーや大規模チェーン調剤薬局の利益に反する改革は行おうとしない。

韓国をみならって、特許切れ医薬品に関して、ジェネリック・先発ともに、どんと薬価引き下げすべき。

ATP・IV 委員会への呼びかけ: LDL値を治療目標にするのはやめよう・・・個別化リスク似基づく治療へ

NIHのATPに関するopen letterだが、LDLコレステロールを目標とするのをやめようとの呼びかけ
Three reasons to abandon low-density lipoprotein targets: an open letter to the Adult Treatment Panel IV of the National Institutes of Health.
Hayward RA, Krumholz HM.
Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2012; DOI:10.1161/circoutcomes.111.964676.

より、テーラー化された全体の心血管リスクを斟酌したものにかえようというもの



現行の”treating to lipid targets (treat to target)から、 個別ネットベネフィットに基づく治療、則ち、”administering fixed doses of statins based on a person's estimated net benefit (tailored treatment)”への変更の呼びかけ



LDLをターゲットとした治療には科学的根拠がない

LDLターゲットに基づく治療ベネフィットが直接示された論文なんてない。たとえば、スタチンなどの治験は固定用量で、特異的な治療対照群を相手に行った治験である。clofibrateやtorcetrapibなどのではリスク減少が示されず、他の薬剤、ezetimibe(ゼチーア)なんて検討中に過ぎない。
すべての薬剤が脂質レベル減少が患者リスク減少を示すとは示されてない。ターゲットは臨床トライアルエビデンスにもとづくというドグマがある。

だが、”LDLコレステロールを目標とする”戦略にはエビデンスがない!

スタチン類の “pleiotropic” effect

 第一世代であるシンバスタチンは劇的に心血管イベント・死亡率を減少させた。アトルバスタチンのような潜在力の高いスタチンは非致死的イベントを減少する作用が15-20%付加的にあった。
トライアルエビデンスではスタチン使用に関するもので、ターゲットによる治療ではなかった。
ベネフィットの働くスタチンのメカニズムは議論があるところであるが、"cholesterol hypothesis"に関して異論の反証の必要性はないほどである。
LDLそのものがheterogeneityがあり、相互作用も存在し、患者アウトカム改善につながるのか信じられない。



LDLターゲット治療の安全性は判明していない

新規薬剤をスタチンに加える方法が使われることが多いが、より高価になるだけでなく、併用に関するベネフィットは示されてない。薬物相互作用を含め5-7年を越えた長期安全性は明確になってない。10年間を越えるベネフィットは評価されてないが、心血管リスクを有する個人は生涯の治療が当然と考えられている。その上に、若年者にまで対象が広げられている。近年、血圧、血糖でも推奨ゴールをstrictにするほど死亡率増加することが明確になってきた。そのまま応用は出来ないが、少なくとも、LDLターゲットをさらに厳しくすることを推奨を正当化するには十分なエビデンスは存在しない。


テーラー化治療は、より単純で、安全で、効果的で、よりエビデンスに基づいている

ATP III LDLターゲットは、RCTエビデンスから離れたモデルの外挿でできている。コレステロール管理において短期治療中のコレステロールの長期変化を信号(s)として個体内変動(n)を雑音としてs/n評価。7Tの短期変動背景に対し、コレステロール値増加シグナルとして検知は困難Ann Intern Med. 2008;148:656661。 治療ガイドラインに従えば、過小治療もしくは過剰治療になっている。
単純なテーラー化治療アプローチとは、5-10年心血管リスクによるもので、年次QALYあたり10万程度をsaveするもので、treat-to-target approachアプローチよりスタチン高用量該当者を少なくすることが出来る。
個別ネットベネフィットに基づく治療、則ち、”administering fixed doses of statins based on a person's estimated net benefit (tailored treatment)”は、現行の”treating to lipid targets (treat to target)より、エビデンスに基づくものと言える。LDL値はすぐさまスタチン治療によるベネフィットを表しているものではなかったから当たり前。




記憶の固定化:PTSDなどの関連するかも ・・・ vs 睡眠はなんでもすばらしいという研究結果

 一晩寝たら、つらいことなんて忘れてしまう! ・・・ ってほんとか?

寝る前に怖いものをみたら記憶の固着が生じる。情緒的・感情的に表現することは減少するが、記憶として残る。


せめて、寝る前にはやはりpositiveなものに触れるようにしましょう・・・


農薬と認知機能への悪影響

フランスLaboratoire Santé Travail EnvironementのIsabelle Baldi氏ら

20年以上ブドウ栽培に従事する40~50歳代の人を対象とした前向き研究 長期間の農薬への曝露により認知機能低下のリスクが2倍以上に高まる
http://mtpro.medical-tribune.co.jp /mtpronews/1012/1012014.html


この研究の論文


Neurobehavioral performance among agricultural workers and pesticide applicators: a meta-analytic study
Occup Environ Med oemed-2011-100204Published Online First: 19 January 2012

殺虫剤慢性低レベルの農業従事者暴露が、認知機能、精神運動機能減少の程度と関連することが示されている。
この研究は、 
(1) identify and quantify neurobehavioral deficits among agricultural workers and pesticide applicators
(2) analyse the potential confounders or moderators of these neurobehavioral deficits

17研究(21のコホートグループ)をメタ・アナリシスに含む

これらの研究は16の神経心理試験(23の注意機能の神経行動機能に関するパフォーマンス測定)
暴露登録者で、注意機能に関する神経行動、視覚運動統合、言語抽象化、知覚構成に関するすべての検査・測定値で、有意な減少が見られた。
記憶に関する3つの検査のうち一つ、持続注意機能に関する検査の5つのうち2つ、運動性言語の8つの内4つが有意な減少を示した。
コホート横断的に、effect size分布のうち9つがheterogenetiy有意にあり
コホートの変数、たとえば、農業労働者 vs 散布機、暴露期間、年齢、男性登録者比率などがこのheterogeneityを説明するにはほぼ不充分。
しかし、Block Desighという一つの検討では、暴露期間はこのパフォーマンス減少と有意に正の相関が見られた。
さらに、この検査でのパフォーマンス減少は高齢者で小さい。

この方面の研究には、研究数の増加、より一致した方法論が要求される。


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note