2017年2月28日火曜日

低出力超音波パルス(LIPUS)による骨折治療法・・・効果に疑念

低出力超音波パルス(LIPUS)による骨折治療法をあまねく検討しているか分からないが・・・かなり否定的な報告

LIPUSでは高品質エビデンス上新規骨折患者において、臨床的アウトカムを改善せず、レントゲン上の治癒に関する効果も無い


”骨癒合期間を40%近く短縮:二重盲検試験により、骨癒合日数の有意な短縮効果が認められています”という宣伝を見受けるが・・・RCTシステマティックレビューレベルでは疑問視


Low intensity pulsed ultrasound for bone healing: systematic review of randomized controlled trials
BMJ 2017; 356 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j656 (Published 22 February 2017)
Cite this as: BMJ 2017;356:j656


26のRCT、サンプルサイズ30(range 8-501)
脛骨・鎖骨検討のバイアス・リスクの少ない4つのトライアルがもっともエビデンスとして価値があると判断。


対照群と比較して、LIPUSは

  • 職場復帰までの期間短縮せず  (パーセント表示の差: 2.7% later with LIPUS, 95% 信頼区間 7.7% earlier to 14.3% later; moderate certainty) 
  • その後の手術数減少せず (risk ratio 0.80, 95% 信頼区間 0.55 to 1.16; moderate certainty)
  • 疼痛、過重負荷までの日数、レントゲン的治癒に関して、その効果は検討によるばらつき大きい


3つのアウトカム全てで、バイアスリスクの低いトライアルではLIPUSのベネフィット示せず、バイアスリスクが高いトライアルでベネフィット示唆( interaction P < 0.001)

バイアス低リスクトライアルでのみ対象としたとき、LIPUSでは

  • 過重負荷までの日数減少せず (4.8% later, 4.0% earlier to 14.4% later; high certainty)
  • 4−6週間の疼痛減少せず (mean difference on 0-100 visual analogue scale: 0.93 lower, 2.51 lower to 0.64 higher; high certainty)
  • レントゲン治癒までの日数減少させずg (1.7% earlier, 11.2% earlier to 8.8% later; moderate certainty)






日本では、財務省あたりが、高品質エビデンスで効果の無い治療を認可している厚労省に対して文句を言えるかどうか(省庁間力関係)、関係団体から政治家への働きかけによる防御アクション(関係団体圧力、政治的作用)などからかんがえて、まぁ当面ほったらかしでしょうけどね・・・

COPD: GOLDグループBの特性

GOLD2017
http://goldcopd.org/wp-content/uploads/2016/12/wms-GOLD-2017-Pocket-Guide.pdf



FEV1予測比と独立したグループ分けとなっているわけだが、以下の論文は以前のグループ分けだと思う(論文受領時期から推定して・・・)



Group Bは急性増悪リスクは少ないが呼吸困難高度のグループ
無理矢理群別しているので、当然、異質性が高く、現行喫煙関連肺機能減衰顕著なサブグループの存在もあり
これらグループB内の悪化要素群を前もっと選別し治療戦略としてどのような工夫をするかが課題となろう



Characteristics and longitudinal progression of chronic obstructive pulmonary disease in GOLD B patients
Philip J. Lawrence, et. al.
BMC Pulmonary MedicineBMC series – open, inclusive and trusted201717:42
http://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12890-017-0384-8


307名の重症COPDベースライン評価、12ヶ月後再評価
107名、28.9%がグループB
GOLD A群と同様のFEV1(予測値比 66%)
しかし、GOLD B群は、GOLD A軍と比較して、現行喫煙多く(p=0.031)、慢性気管支炎合併多く(p=0.0003)、心血管疾患併発多い(p=0.019)

12ヶ月後、GOLD B群の25.3%がGOLD D群へ移行
これらの患者である不安定群は、B群安定群より、健康状態や症状悪化 (SGRQ-C Total, 50.0 v 41.1, p = 0.019 and CAT, 21.0 v 14.0, p = 0.006) 、FEV1低下 (60% v 69% p = 0.014) 。




最後の一文、悪化したから、B群→D群なんだろう・・・とつっこみたい

いわゆる“ツボ”に電気刺激を与えることで、COPD患者の呼吸困難改善効果あるのか?

いわゆる“ツボ”に電気刺激を与えることで、COPD患者の呼吸困難改善効果あるのか?

結論から言えば、有意差はあるものの、MCIDから考えれば微妙


Research Article
Acu-TENS Reduces Breathlessness during Exercise in People with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine
Volume 2017 (2017), Article ID 3649257, 7 pages
https://doi.org/10.1155/2017/3649257


背景:労作性呼吸困難はCOPD患者の身体活動レベルを限定することとなる。ランダム化二重盲検交差試験で、acupointにおいて経皮的電気的神経刺激法であるAcu-TENSのCOPD患者の運動中息切れへの効果を評価。 
研究方法:21名の被検者、1週毎2介入後受診時評価、平均%予測FEV1 %
各々の介入日において、2回の耐久性シャトルウォーク試験(ESWT)、すわなち、Walk1とWalk2を施行。
Walk1は介入無し、Walk2はAcu-TENS vs Sham-TENSを施行(ランダム順)、45分間とWalk2中。ESWT時間とWalk1とWalk2の各々の介入日のisotime時の呼吸困難スコアを比較。ESWT時間とisotime呼吸困難の群間差も比較。

結果:Walk1とWalk2のisotimeにおいて、Acu-TENSは呼吸困難減少( -0.8 ポイント (95%, CI [信頼区間] -0.2 〜 -1.4)、しかしSham-TENSでは有意減少認めず[0.1 point (95% CI −0.4 to 0.6)]

Sham-TENSに比べ、 Acu-TENSは呼吸困難有意減少  −0.9 point (95% CI −0.2 to −1.6) 、ESWT中、群間差有意性認めず


結論:Acu-TENSでCOPD患者のウォーキング中呼吸困難改善するも、歩行距離伸ばさず



そもそも 呼吸困難度 -0.8ポイントって、MCID超してるのだろうか?
" 0–10-category-ratio Borg scale "を用いての検討と記載されている
mBorgに関しても1程度がMCIDと思われ、臨床的な意味が無い・・・と言う結論でもおかしくない




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