2012年5月14日月曜日

心不全:β遮断剤は全死亡率・入院率とある程度の量まで線形に効果あり

HF-ACTION trial はランダム化多施設トライアルで、2331名の収縮期低下(NYHA分類 II-IV、LVEF<0.35)を有する心不全患者対象で、2.5年フォローアップ中央値

β遮断剤はカルベジロールで標準化

Relationship of Beta-Blocker Dose With Outcomes in Ambulatory Heart Failure Patients With Systolic Dysfunction : Results From the HF-ACTION (Heart Failure: A Controlled Trial Investigating Outcomes of Exercise Training) Trial
Mona Fiuzat, et. al.
Journal of the American College of Cardiology,Available online 2 May 2012

95%でβ遮断剤(BB)服用。

BB投与量と全原因死亡、入院と逆相関認め、50mg/日まで線形。
他の因子補正後他の心血管エンドポイントは相関消失。

BB投与量と正相関なのは、3ヶ月後のピークVO2

BB高用量でも徐脈は増加せず


慢性心不全に於ける、カルベジロールとビソプロロール投与・・・いくつか落とし穴がある。


喘息カルベジロール(アーチスト)禁忌ビソプロロール(メインテート)は禁忌でない。  
アーチスト:虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全(アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療前提)
アーチスト後発品の効能効果に心不全がない


メインテート:虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全(アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療前提)
メインテート後発品の効能・効果に心不全あり



開始量比較:アーチスト1回1.25mg、1日2回、メインテート1日1回0.625mg
維持量比較:アーチスト1回2.5~10mgを1日2回、 メインテート1日1回2.5mg~5mg
最大投与量比較:アーチストは維持量記載しかない、メインテート1日1回5mg

心不全へのβ遮断剤は、 保険者が意地悪しがいのある薬剤である。

上記報告のカルベジロール50mg/日までの投与量(ビソプロロールは12.5mg/日)で、線形関係があるとされているが、アーチスト は最大で20mg/日、メイントートは10mg/日までしか日本では投与不可能と判断される。

TTMトライアル:院外心停止患者 ターゲット体温 33℃ vs 36℃ 比較


Target temperature management after out-of-hospital cardiac arrest—a randomized, parallel-group, assessor-blinded clinical trial—rationale and design
American Heart Journal Volume 163, Issue 4 , Pages 541-548, April 2012

【背景】動物実験、以前のランダム化トライアルにて、心停止後低体温の死亡率・人経学的機能改善の重要性は報告されている。国際的ガイドラインでは、引退心停止後蘇生後32℃から34℃、12-24時間目標がアドボケートされている。システマティック・レビューによると介入推奨のエビデンスは結論づけされたものではなく、エビデンスGRADEレベルとしても低い。これまでのトライアルは少数で、バイアスリスクも高く、評価対象も選択的であり、対照群の高体温治療されてないなど。至適ターゲット温度管理戦略のうち何が最適かは未知。

【方法】 TTM trial は研究者主導、国際的、ランダム化、平行群、評価者盲検化臨床とリアルで、最低850名成人登録、心疾患原因と予測される院外心停止意識のない患者

ランダムに、自発循環快復後のターゲット体温を33℃、36℃と して割り付け

両群とも、介入は36時間とし、プライマリアウトカムは、フォローアップ最後の時点の全死亡率

主要セカンダリ圧とカムは、全死亡率と退院時・180日時点での神経学的機能の組み合わせ(脳パフォーマンスカテゴリー 3と4) 、180日時点での認知機能・QOL、安全性・有害性評価



登録完遂率 61%。
http://public.ukcrn.org.uk/search/StudyDetail.aspx?StudyID=9262

COPD:LABA投与患者へのテオフィリン上乗せ効果 パイロットDB-RCT

COPD患者:LABAに、テオフィリン併用上乗せしたときの効果のパイロット研究


Effect of theophylline on exercise capacity in COPD patients treated with combination long-acting bronchodilator therapy: a pilot study
Voduc N, et. al.
Published Date March 2012 Volume 2012:7 Pages 245 - 252
ランダム化プラシーボ対照化二重盲検パイロット研究
データ 治療群 10/12、対照群 11/12

プラシーボに比べ運動時間改善26.1%(95%信頼区間[CI]: -17.3 ~69.5)、MCIDの33%超過 治療群 4/10、 対照群 1/11 (95% CI: 0.77–21.5)で、ガス効果の改善を示唆。

肺機能、呼吸困難度は2群に差を認めず


パイロット研究だから、なにもいえないのだろうが、テオフィリンをLABAに上乗せすることで運動耐容能改善をもたらす可能性示唆。

LABA+テオフィリン追加有無の検討ならよかったのに!

テオフィリン単独 vs テオフィリン+LABA追加の比較
Effect of add-on therapy of tiotropium in COPD treated with theophylline. Kawayama T, et.al.
Kurume COPD Study Group.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2008;3(1):137-47.


低用量テオフィリン抗炎症効果に関して上海のグループからの報告がみられる。
Can β2-adrenoceptor agonists, anticholinergic drugs, and theophylline contribute to the control of pulmonary inflammation and emphysema in COPD?
Fundam Clin Pharmacol. 2012 Feb;26(1):118-34. doi: 10.1111/j.1472-8206.2011.01007.x. Epub 2011 Nov 2.

テオフィリンってのは、東洋好みの薬剤なのだろうか?日本では、効果がはっきりしない割によく使用されている。

HIV自家検査薬FDA承認?

 考慮中とあるので、本決まりではないということだろうか?
http://www.dispatch.com/content/stories/national_world/2012/05/13/fda-might-approve-home-test-for-hiv.html

HIVのOTC検査薬 口腔内ぬぐいサンプルで検査


OraQuick® In-Home HIV Test
http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/BloodVaccinesandOtherBiologics/BloodProductsAdvisoryCommittee/UCM303652.pdf


ただ、FDA推奨の感度95%に満たず、92.9%というのが・・・どうなるか・・・ということらしい
(39ページ)


HIV新規感染減少がみられない日本、先進国の中でも珍しい現象らしいが、発見率向上のため日本でも必要と思う

重症敗血症:あらたな蛋白尿発現は急性腎障害の指標




Neyra J, et al "De novo dipstick proteinuria (DP) as predictor of acute kidney injury (AKI) in critically ill septic patients" NKF 2012.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/NKF/32664




De Novo Proteinuria (DP) as Predictor of Acute Kidney Injury (AKI) in Critically Ill Septic Patients
http://discover-decouvrir.cisti-icist.nrc-cnrc.gc.ca/eng/article/?id=19719400


“de novo”という証明は通常検尿検査してないと分からないはずだが...

 重症敗血症の30%でAKI(急性腎障害:Acute Kidney Injury)となる、大部分はmicroalbuminuriaで、以前の研究でも、microalbuminuriaとAKI重症度・死亡との関連性が報告されていたが、アルブミン尿をAKIの予測因子として検討することは検討されてなかった。

血中クレアチニンを測定する場合は、クレアチニン産生に敗血症の病態生理がかかわるため、診断の遅れをもたらすことが考えられ、ま実質的ダメージ前にAKIをタイムリーに診断するバイオマーカー検討がなされている。

dipstick検査は、   集中治療・救急医療受診時ルーチンに行われている。


72時間以内でsCr 0.3 mg/dLを超す増加は64%

これらの内、新規発症dipstick proteinuriaは54%、AKI発症の55%で、陽性適中率は60%(P=0.002)

 年齢、性別、人種、合併症、血行動態他の要素補正にて、dipstick proteinuriaはAKIの有意な予測要素である(OR 2.3、95%CI、 1.4-3.8、P=0.001)



初心者へのルーチンの検尿は、重度糖尿病や腎障害チェック・泌尿器系疾患合併チェックのため必要と思うのだが、 レセプトチェックを外注すると、検尿まで病名を要求してくる。保険者にも入り込んでる会社だから、きっと、保険者側もそれをチェックするのが当たり前とかんがえてるのかもしれない。些末な事例かもしれないが、診療側事情を軽視し続けている医療保険制度は、結果的に被保険者に負の影響をもたらしている。

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