2014年3月10日月曜日

向精神薬 多剤処方を制限…診療報酬認めず  

妥当な改訂と思う。

向精神薬 多剤処方を制限…診療報酬認めず http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=94241

 新ルールでは、外来診療で服薬管理などをする際、抗不安薬か睡眠薬を3種類以上、または、統合失調症の治療に使われる抗精神病薬か、抗うつ薬を4種類以上、1回で処方した場合、診療報酬を請求できなくし、処方箋料も減額する。
 また、入院患者に、副作用が少ないとされるタイプの抗精神病薬を処方する場合も、2種類までしか加算できないように改める。




精神医療のいびつな薬剤使用。

この状況の主因は医療側にあると思うが、保険診療のゆがみが反映されたものでもある。心理療法を見合う分だけ保険診療報酬で評価せず、薬物療法に猛進させたのは、国側のスタンスが大いに問題だし、今回の改訂はその分の評価なし。今後、この問題がクローズアップされることになるだろう。国・厚労省はその覚悟あるのだろうか?

さて、【他剤処方の例外】、制限回避条件が設定されている。

すなわち、「適切な向精神薬の使用の推進②」の「除外規定」④は、精神科医師への現実的診療への影響と教育的配慮が含まれていると思う(①5年以上の臨床経験②3年以上の適切な保険医療機関精神科診療経験③ICD「精神及び行動の障害」全ての主治医治療経験④該当研修終了を全て満たせば例外。)

まぁそれは無いと思うけど、③において仔細分類まで要求されると、問題になりそうな・・・ (HIV認知症とかの部分)
http://www.dis.h.u-tokyo.ac.jp/byomei/icd10/F00-F99.html
ほとんどの精神科医師が①②③はクリアするだろうから、④が実質的唯一な要件となるのだろう。


ちょっと気になるのは、心療内科医師への配慮がないこと。


ところで、多医療機関受診患者が大きく問題となるだろう。精神科外では、基本的には、向精神薬多剤処方はできないということを周知してもらわねば。





(大元は、「2011 厚生労働科学特別研究事業 向精神薬処方実態に関する国内外の比較研究」は、ヨーロッパ・台湾と同程度の処方率、米国と比較しても併用処方率は米国の6割というものだから、報告から都合の良いところを見つけて提示するいつものやり口。)







・使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている医薬品について(平成26年4月1日適用) 

・レセプト情報・特定健診等情報提供に関するホームページ 

・平成26年度診療報酬改定説明会(平成26年3月5日開催)資料等について 

・処方せんに記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(平成26年4月1日適用) 

スタチン適用推奨拡大問題・AHA/ACCガイドライン 欧州での議論

昨年発表の、AHA/ACCからの新しいガイドライン・セット に対し、「一般にもスタチン使用を推奨するような過剰な適用範囲拡大」への批判があがり、その根拠の曖昧性を開発当事者も認めたため、疑惑拡大した。

AHA/ACCの暴走について:CAlculator-gate  → いまこそ “スタチン”ペテンの追放を! 2013/11/25

ヨーロッパでこのガイドラインをフルに適用すると、現行のESCガイドライン比較すると、高CVリスクから使用者数かさ上げになるだけで無く、一次予防へのコスト倍化となる。




スイス住民モデルで検討

Population and economic impact of the 2013 ACC/AHA guidelines compared with European guidelines to prevent cardiovascular disease
 Julien Vaucher , et. al.
Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu064 
First published online: February 25, 2014 


Ratio, Population at Risk by ACC/AHA vs ESC Guidelines Criteria, and Estimated Daily Cost of Resulting Statin Therapy in the Population of Switzerland
Age (y)
Men
Womena
Total
Daily costb
50–60
30.6
33.2
447
60–70
2.1
5.8
2.5
884
70–75
1.0
1.1
1.1
572
All
2.2
1.9
2.1
2023
a. SCORE equation doesn't predict CV risk for women under 60 years
b. Cost of 




atorvastatin




 expressed in 1000s of Swiss francs






http://www.medscape.com/viewarticle/821391



スタチンに関しては、CHD死亡・非致死的MIなどの比較的重度アウトカムに対する1次予防NNT(5年)は総じて3桁
http://www.nice.org.uk/nicemedia/pdf/TA094guidance.pdf

一方、CHD既往有りなどの二次予防は、10-30程度


社会資源の集約化を考えれば、二次予防に集約すべきだろうと思うが・・・

コホート研究:非小細胞型肺がんの術前PETは 、不要手術を減少させる?

Preop PET Cuts Lung Cancer Surgery 
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/LungCancer/44674

非小細胞型肺がんの術前PETは 、不要手術を減少させる?
コホート研究のため、? ・・・ をつけておく


Preoperative PET and the Reduction of Unnecessary Surgery Among Newly Diagnosed Lung Cancer Patients in a Community Setting
Steven B. Zeliadt, et. al.
J Nucl Med March 1, 2014 vol. 55 no. 3 379-385 

NSCLC 2977名(1997-2009)、PETにて病期決定・治療方針決定コホート

結果:全体からは、治療中あるいは12ヶ月以内発見の転移エビデンス発見は30.3%で、3名に1人が無駄な手術ということになる。
術前PET使用は、研究期間中増加し、9%から91%となっている。
conventional多変量解析にて、PET使用は必ずしも不要手術減少と関連せず  (オッズ比, 0.87; 95% 信頼区間 (0.66 – 1.16 ;  P =  0.351)
しかし、不要手術減少は、instrumental変数解析 にて、不要手術減少が示された(オッズ比, 0.53, 95% 信頼区間, 0.34 - 0.82 ; p = 0.004)。これは、未発見寄与要素の存在を意味する。


結論: PET は、不要手術避けるためベネフィット有り、ルーチンとなりつつある



参考:道具的変数 (操作変数; instrumental variable) を導入することで,因果関係の推論が可能になります
http://www4.ocn.ne.jp/~murakou/instrumental.pdf

結核:「新テクノロジー≠医療適切化」 Xpert MTB/RIF死亡率改善に繋がらず

High-Tech TB Test Fails to Cut Mortality Published: Mar 7, 2014
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/CROI/44668


ハイテクがかならずしも医療ケア適切化に繋がるかとは限らない
→ どっかの経済界だけの意見しか聞かない政治家・マスコミ連中に聞かせてあげたいわ



Xpert MTB/RIF 検査:結核菌・薬剤耐性分子生物学的即時検査法の有効性2010年 09月 02日

annual Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections.という、レトロウィルス・日和見感染系の学会年次総会で発表された pragmatic randomized trialの、検査室とリアルワールドとの乖離とのことらしい


Grant(London School of Hygiene and Tropical Medicine)らは、この新しい技術を南アフリカでトライアル。優れたテクノロジーだと当然汗腺コントロールに役立つだろうという、プラグマに基づくトライアル

20のlabクラスターで、10クラスターはXpertを即用い、残り10は従来の顕微鏡法を用いる4656名のアウトカム検討、プライマリエンドポイントは、6ヶ月後死亡率へのインパクト

Xpert群で 3.9%、対照顕微鏡群では 5%で、補正相対リスク1.1(95% CI, 0.75 - 1.62)

フォローアップ中結核治療開始数も差を認めず、それぞれ16%ずつ

一方、結核症例発見数は、9.2% vs 対照 7.8%で、(補正発生比 , 1.49, 95% CI , 1.00 - 2.23)


プライマリエンドポイント無視傾向の強い日本では、Xpertはやっぱり意味ある と主張されそう。特に、結核に関しては、結核早期発見が感染伝播予防に役立つと言い張りそう。だが、顕微鏡検査と大差ないとしたら・・・意味ないだろう。

血中検査でアルツハイマー病予測

Plasma phospholipids identify antecedent memory impairment in older adults Mark Mapstone,
Nature Medicine (2014) doi:10.1038/nm.3466Received 27 August 2013 Accepted 09 January 2014 Published online 09 March 2014 


現時点で、アルツハイマー病の現行バイオマーカーは、髄液中タウ・アミロイドβ濃度、MRI、脳アミロイド画像・inflammagingを含め、早期使用は、その侵襲性、必要時間、値段のため、限定的。

血中バイオマーカーは魅力的だが、現行では、preclinical診断に要求される感度・特異度を満たすものは無かった。

この報告では、認知機能正常高齢者において、preclinicalなアルツハイマー病同定のため、10の脂質特性 を検討し、健忘的MCI・アルツハイマー病2-3年timeframe予測に関して90%を超えるaccuracyを備える、phenoconversionを発見。


今後このバイオマーカー候補は、細胞膜のintegrityを反映しているが、臨床症状出現前のアルツハイマー病予測にsensitiveである可能性あり


メディア解説
http://www.the-scientist.com/?articles.view/articleNo/39371/title/Biomarkers-Predict-Future-Cognitive-Impairment/

10の代謝的マーカー候補は、脂質代謝に関わるもので、確かに脂質がアルツハイマー病及びその感受性に重要な役割を果たすことはよく理解できるが、メカニズムはまだ不明。

APOE及びそのε alleは遺伝的リスク要素で有り、converterと非converterに関してAPOE遺伝子型の影響を検証がなされてるが、APOEε4 alleleでは有意性ないのが現状。(・・・の割には、学術論文でさえ、よく引用されてるような気がするが・・・)

適正な細胞膜構造・communicationのため、脂質は重要で、認知障害発症へのcascadeトリガーとなる重要なステップという認識が深まったという意味でも重要

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note