2018年5月30日水曜日

ヒドロクロロサイアザイドと悪性黒色腫リスク









降圧利尿剤:ヒドロクロロサイアザイドと悪性黒色腫リスク

Association of Hydrochlorothiazide Use and Risk of Malignant Melanoma
JAMA Intern Med. Published online May 29, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.1652


ヒドロクロロサイアザイド:HCTZ 50,000mg以上をhigh-userと分類
症例 413 例(2.1%)と対照 3406 例(1.8%) メラノーマ:補正 OR  1.22 (95% CI, 1.09-1.36)
量反応関連認めず


メラノーマ局在、病期、年齢、性別、非メラノーマ癌病歴の解析も同様

組織学的subtype層別にて、ORs増加は
nodular melanoma (n = 1695 cases [8.8%]; OR, 2.05; 95% CI, 1.54-2.72; P for trend = .01)
lentigo melanoma (n = 500 cases [2.6%]; OR, 1.61; 95% CI, 1.03-2.50; P for trend = .16)
で、表層撒布型メラノーマより多かった (n = 13 781 cases [72%]; OR, 1.11; 95% CI, 0.97-1.27; P for trend = .73)

セカンダリ解析にて、nullに近い相関性

  • bendroflumethiazide (OR, 1.10; 95% CI, 1.02-1.19; P for trend = 0.47)
  • ACE阻害剤(OR, 1.07; 95% CI, 0.99-1.16; P for trend = .53)
  • ARB (OR, 1.18; 95% CI, 1.07-1.29; P for trend = .07)
  • カルシウム拮抗剤 (OR, 1.06; 95% CI, 0.97-1.14; P for trend  = .94)



”ヒドロクロロチアジドの使用は、メラノーマについて観察された特定の関連性は、さらなる研究必要”ということだが

ACE阻害剤もそうだが、HCTZは光線過敏症を引き起こす薬剤として知られている
皮膚科から指摘され薬剤変更した事例多く、日常臨床に影響をあたえる副作用
光毒性、光アレルギー性皮膚炎の記載がある

光線過敏症の頻度で行けば、ケトプロフェン(光アレルギー性皮膚炎代表格)と2大巨頭では?



バレニクリン:心血管リスク増加に注意、精神神経疾患リスクは高齢者で注意

禁煙治療において、need-individualized strategyが重要で、心血管イベントリスク増加予測例、特に、食生活の急変を来たし急激な肥満・高血糖など生じるような場合には十分な配慮が必要




Smoking Cessation Drug Linked to Cardiac Events
CME / ABIM MOC / CE Released: 3/2/2018
https://www.medscape.org/viewarticle/893111

2種以上のデリバリーシステムを用いたニコチン置換療法併用は、1剤置換療法より禁煙率は高く、バレニクリニンはこの併用ニコチン置換療法に比べて非優越的
Cochrane Database Syst Rev. 2013 May 31;(5):CD009329.


バレニクリンはプラシーボに比べ有意とは言えない程度だが神経精神的副作用リスクを高める可能性ありと指摘


自傷行為や双極性エピソードなど神経精神疾患による救急受診・入院はバレニクリン処方2年間内で6%ほど増加するも、これも有意差無し
Cardiovascular and neuropsychiatric events following varenicline use for smoking cessation. Am J Respir Crit Care Med. Published online December 20, 2017.

バレニクリンは禁煙成功オッズ3倍の効果を有し、心血管疾患リスクを有意に低下


ランダム化トライアルの世界ではバレニクリンはブプロピオン、ニコチン置換、非薬物的介入、プラシーボより禁煙成功率高いが、リアルワールでは?


65歳以上の56,851名のオンタリオ住民で、バレニクリン新規処方(2011年9月から2014年2月)
心血管疾患と神経精神疾患を、バレニクリンのフィル後12週間1年後まで観察

バレニクリン治療周辺2年間(導入期間発生除外)

  • 心血管疾患 4185名、イベント数 6317(AMI、不安定狭心症、他虚血性心疾患、虚血性卒中、心臓不整脈、末梢血管疾患
  • 精神神経疾患 4720名、イベント数数 10,041

バレニクリン治療心血管イベントは対照期間に比べ有意に高率  (相対発生頻度 [RI], 1.34; 95% 信頼区間 [CI], 1.25-1.44)
男女別、65歳上下別、心血管イベント既往別のサブグループでも相対リスク増加

一方、バレニクリニン治療は対対照期間に比べ神経精神イベント頻度は高かった (RI, 1.06; 95% CI, 1.00-1.13)ものの、有意差はない
65歳以上高齢では神経精神イベントリスク有意増加で、内訳は主に救急受診や入院必要な不安、気分障害であった




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