2014年9月30日火曜日

オレキシン受容体阻害剤:ベルソムラ(スボレキサント):日本の用量設定おかしくないか?

MSDから、オレキシン受容体阻害剤:ベルソムラ(スボレキサント)錠 15mg、20mgが不眠症治療薬として発売されるそうだ。



メルクの記載見ると、「The recommended dose of BELSOMRA® (suvorexant) is 10 mg, taken no more than once per night and within 30 minutes of going to bed, with at least 7 hours remaining before the planned time of awakening」ということで、就寝30分前に服用し、7時間以上就寝可能な状況で服用するという条件。



さらに、以下FDAの記載見ると、大丈夫かよと・・・不安を覚える・・・

簡単に言うと、10mgを超えての投与量は、効果に比べてリスクが大きく意味が無いと・・・


http://www.fda.gov/downloads/.../UCM354215.pdf

副作用

・用量少なくても有効性さほど低下せず、できるだけ最小量を!
・昼間の眠気急に来る場合がある;運転中注意
・無自覚夜間活動
・ナルコレプシー関連イベント(睡眠麻痺、催眠的幻覚、軽度カタプレキシー)



治験被験者は健康状態の良い事例で、合併症状況や臨床的状況でのデータ少ない
例えば、
・ 40-59歳の女性のうち23%が抗うつ薬使用、うつと不眠の合併など自殺念慮などへの副作用の懸念
・ 一般住民の1-15%でも睡眠歩行病歴

特に、用量依存的に、昼間眠気増加!



効果:FDAの要求は客観的効果が示され、主観的効果に臨床的意義が認められること

latency to persisntent sleepの減少比率は、10mg投与で day 1から49%、week4で58%


10mg投与量と20mg以上でベースラインからの睡眠時間延長効果乏しかった
(p39)



年齢による用量補正必要なし、 ただ、高齢者では15%増加の可能性という薬剤動態の指標だが、高齢者で感受性増加のエビデンスは無い。




AHA科学的ステートメント :心血管画像検査 ・・・ 放射線被曝を考慮した冠動脈画像診断アプローチ

CTAだらけのこの世の中・・・正しいアプローチと言えるのだろうか? 放射線被曝を心配、憂える記述物、スピーチ極めて少ない。
例えば、国立循環器センターの解説などみても、それぞれの検査のベネフィットだけ強調。
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph64.html#-ct-ct
これって、ただしいインフォームドコンセントと言えるのだろうか?



AHA科学的ステートメント :心血管画像検査


AHA Scientific Statement Approaches to Enhancing Radiation Safety in Cardiovascular Imaging: A Scientific Statement From the American Heart Association
Reza Fazel,et. al. , on behalf of the American Heart Association Council on Quality of Care and Outcomes Research, Council on Clinical Cardiology, and Council on Cardiovascular Radiology and Intervention
Circulation 2014; first published on September 29 2014 as doi:10.1161/CIR.0000000000000048 


心臓画像検査を行う臨床医にとって、的確性とは、詳細な画像検査装置の機能、施行とその解釈上の検査種類毎のdose-optimization技術、操作者やスタッフへのdose-minimization技術についての知識を獲得しなければならない。

意思決定に関して、画像検査がなぜ推奨されるか、又、放射線被曝を含むその検査のベネフィットとリスク についてのクリアな理解を与えるよう求めている。

”minimizing and optimizing exposure and increasing education on the risks of radiation from cardiac imaging”については2009年助言(http://intmed.exblog.jp/10725938/)に存在してたが、新しい助言はより実践的で特異的となった。
 

累積放射線量については途上



以下は、各放射線検査種類毎年齢別性別生涯癌寄与リスク



Figure 1. Estimates of average lifetime attributable risk of cancer for various cardiac imaging procedures by age and sex.






上記日本語訳:

冠動脈疾患評価のための画像診断患者希望

適切か → No :担当医と連絡

yes

放射線を用いない検査が可能ではないか?あるいは同等ではないか? → Yes:非放射線検査
(非心原性疾患リスク、診断正確性、患者の利便性、local expertiseを含む)

No

運動可能? → No : 冠動脈CTAもしくはPET(可能なら)

Yes

SPECT考慮(可能なら、低放射線量、2ヘッド以上、高感度カメラ使用)

Yes

負荷検査可能

Yes

Tc99m負荷試験


AAN Position Paper : 非がん性疼痛へのオピオイド使用は慎重に!

日本でも、非がん性疼痛に対するオピオイド使用が広がっている。乱用ではないかと感じる症例に遭遇することも多い。ちょっとした腰背部痛で、μ受容体パーシャルアゴニストが処方されている日本の現状を憂える。


そんな中、米国神経学会(ANN)のポジションペーパー


Opioids for chronic noncancer pain
A position paper of the American Academy of Neurology
Gary M. Franklin, et. al.
Neurology September 30, 2014 vol. 83 no. 14 1277-1284
http://www.neurology.org/content/83/14/1277.full




米国においては、The Patient Safety Subcommitteeから、オピオイド処方関連合併症・死亡率の公衆衛生疫学に関する科学的及びポリシー課題レビュー要求された。

1990年代後半からの施策変更により、直間接的を含めると10万名を超える死亡が米国内において処方オピオイドから発生している。

36-54歳の高リスク群において、銃器・運転事故からの超過死亡が見られる。


短期鎮痛の重要性エビデンスは存在するが、長期においてmoverdose、dependency、addictionの重大リスクを生じない状態で疼痛緩和維持・機能改善効果をもたらすか?その充分なエビデンスは存在しない。


以下の項目に関するレビュー記事
(1) the key initiating causes of the epidemic 
(2) the evidence for safety and effectiveness of opioids for chronic pain 
(3) federal and state policy responses 
(4) recommendations for neurologists in practice to increase use of best practices/universal precautions most likely to improve effective and safe use of opioids and to reduce the likelihood of severe adverse and overdose events





こういう記載が乱用を誘発するんだよなぁ

「海外の変形性関節症に関するガイドラインの一部はアセトアミノフェンとともにトラマドールを第一選択薬や第二選択薬に挙げています。」
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/110630html/index.html

2014年9月29日月曜日

結核:糖尿病合併時再発率増加は治療期間延長で改善する。ただし、DOTs徹底すれば改善。

結核治療において 「糖尿病、じん肺、HIV等結核の気核に影響を及ぼす疾患を合併する場合・・・患者の病状及び経過を考慮して治療期間を3月間程度延長できる」と記載されている。


文字通りだと、糖尿病コントロール良ければ延長せずに良さそうにおもえるが、糖尿病の有無だけで判断される場合も多いようだ。特に、糖尿病有無しか申請書に記載されてない場合結核審査会側はその対応に迷うこととなるだろう。


以下の報告も、糖尿病の有無だけで検討されている・・・DOTsさえしっかりなされれば6ヶ月でも良さそうと解釈しろということなのだろうか?


Optimal Duration of Anti-tuberculosis Treatment in Diabetic Patients: Nine or Six months?`
Jann-Yuan Wang, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0918


12688名の糖尿病、43195名の非糖尿病患者において、結核再発率2.2%と1.38%(p < 0.001 )



糖尿病患者のうち、再発率はDOTs導入後3.54%から1.19%へ減少。



糖尿病患者のみの内訳では、再発率は3.54%から1.19%へ減少 (p < 0.001 )



総数 4506(35.5%)を9ヶ月TB治療群で再発率は低下した(HR 0.76 [0.59-0.97]が、DOT下ではベネフィット消失   (HR 0.69 [0.43-1.11]) 

  

他の再発因子は、高齢、男性、悪性疾患、TB診断が昔ほど、2ヶ月後の培養陽性残存、抗結核治療一致率80%以下。 



糖尿病と、結核治療アドヒアランスに関連する共役要素・・・さてなんだ

2014年9月27日土曜日

CT所見ベースのスコアリングによる胸水補助診断

悪性胸水 115名、 良性胸水 228名で胸部CT比較

CT所見ベースのスコアリングによる胸水補助診断


Derivation and validation of a CT scoring system for discriminating malignant from benign pleural effusions
 José M. Porcel, et, al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0013


胸膜病変(結節、mass、肥厚など) 1cm以上(5点)、肝転移、腹部mass(3点)、 肺massあるいは結節 1cm以上 (3点)、pleural loculationもしくは心嚢液、新拡大(2点)


初回評価コホートで、総数スコア7点以上は、感度 88% (95% CI, 73-95%),、 特異度 94% (95% CI, 83-98%)、 陽性尤度 13.8 (95% CI, 4.6-41.5)、 陰性尤度 0.13  (95% CI, 0.05-0.33)、 AUc 0.919  (95% CI, 0.849-0.990)


さらに、二次独立コホートの42名中69%の病理的比較邸悪性胸水あり、予測スコアにより補正



15分前でOKのED治療薬:Stendra

15分前でOKのED治療薬:Stendra (米国・カナダ: Auxilium Pharmaceuticals Inc)。これは、 EUでは、Spendraとして販売され、飲酒なら中等度程度まで可能とされ、投与量のバリエーション多い
 http://www.foxnews.com/health/2014/09/18/faster-acting-erectile-dysfunction-drug-gets-fda-approval/


2014年9月26日金曜日

85歳前向きコホート研究:NT-proBNP高値 & 血圧低値は認知機能低下し、減弱速度急激

高齢者への過剰な血圧管理は認知機能低下をもたらす可能性は以前から示唆されている。

80歳代以上、特に90歳では高血圧は認知症予防的?
http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/07/blog-post_15.html


前向き観察研究で、さらに、心機能低下例での低血圧傾向症例が特に認知機能減少及び減少速度低下と関連することが示唆された。


NT-proBNP, blood pressure, and cognitive decline in the oldest old
The Leiden 85-plus Study

Peter van Vliet, et. al.

Published online before print August 20, 2014, doi: 10.1212/WNL.000000000000082
Neurology 10.1212/WNL.0000000000000820
http://www.neurology.org/content/early/2014/08/20/WNL.0000000000000820.abstract


Leiden 85-plus Studyってのは、85歳からの観察的前向き研究コホート
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3705125/


NT-proBNPと、収縮期血圧との、その後のMMSE減少し、その後の減少率増加に関わる相関性が示された。


NT-proBNP値最大3分位は最小三分位に比べMMSE1.7ポイント低値(p = 0.004)
また、0.24ポイントほど年毎NNSE値減少速度急激 (p=0.021)


長軸的関連性は寄与要素完全補正にて消失(0.14-point-steeper decline, p = 0.187)

「NT-proBNP最大3分位 & 収縮期血圧最小3分位」というカテゴリーは、ベースラインのMMSEスコア3.7ポイント低値(p  < 0.001)、年次減少0.49ポイントほど急激(p < 0.001)



可能性としては脳の潅流障害が認知機能低下と関連するのではないかと・・・



2014年9月25日木曜日

Pedometer++;iOS8用 万歩計 widgetアプリ

iOS8用 万歩計 widgetアプリ
https://itunes.apple.com/us/app/pedometer++/id712286167?mt=8
(M7/M8チップ:iPhone 5s,6のみ)

ロック中も作動?


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メディカル・アプリ

http://www.imedicalapps.com/


Top Apps
http://www.imedicalapps.com/category/top-apps/


救急医療用アプリ Top10
http://www.imedicalapps.com/2014/09/top-10-emergency-medicine-apps/


Android
http://www.imedicalapps.com/2011/01/top-free-android-medical-apps-healthcare-professionals/




心筋梗塞予防を主眼とした、健康ライフスタイルの効果の実証

心筋梗塞予防を主眼とした、健康ライフスタイルの効果


理想的な生活を送ってる人って現実的には対象人口の1%程度で、大概はなんらかのリスクを有する生活を送ってる。
理想的生活では確かにリスク軽減効果がありそうだが、大半をしめる怠け者にとっては仙人のような生活はやはり難しいのだろう・・・


Low-Risk Diet and Lifestyle Habits in the Primary Prevention of Myocardial Infarction in Men
A Population-Based Prospective Cohort Study
Agneta Åkesson, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2014;64(13):1299-1306. doi:10.1016/j.jacc.2014.06.1190



心筋梗塞一次予防に対して、健康食生活とライフスタイル実践の組み合わせへのアドヒアランスは大きなインパクトを持つのかもしれない。

1997年の食事・ライフスタイルのアンケート基礎調査
45-79歳のスウェーデン男性の住民ベース前向きコホート
癌、心血管疾患、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症病歴無しの2万721名の男性

5つの健康要素(低リスク要素):
・適正アルコール摂取(10~30g/日)
・非喫煙
・運動活動性(ウォーキング/サイクリング 40分以上/日、週1時間以上の運動)
・内臓肥満(ウェスト径95cm未満)

11年間のフォローアップ中、心筋梗塞1361名

5つの健康要素(低リスク要素)のうち低リスク性食事選択とアルコール適正摂取の場合、低リスクアンケート因子5つのうち0該当例殿比較すると、相対リスク 0.65(95% 信頼区間 [CI]: 0.48 - 0.87)

5つの健康要素全てを有する場合を全て無い場合を比較すると、相対リスクは 0.14 (95% CI: 0.04 to 0.43)

この健康行動因子組み合わせは男性で1%のみしか存在せず、研究住民のベースとして心筋梗塞79%(95% CI : 34% to 93%)予防に相当。
・Recommended Food Score(推奨食事スコア)

2014年9月20日土曜日

レビュー: デング 


 Dengue
The Lancet, Early Online Publication, 14 September 2014
doi:10.1016/S0140-6736(14)60572-9

エボラ熱定義(EU)

Ebola virus disease case definition for reporting in EU
http://www.ecdc.europa.eu/en/healthtopics/ebola_marburg_fevers/EVDcasedefinition/Pages/default.aspx

Clinical criteria

Any person currently presenting or having presented before death:
  • Fever ≥38.6°C
AND any of the following:
  • Severe headache
  • Vomiting, diarrhoea, abdominal pain
  • Unexplained haemorrhagic manifestations in various forms
  • Multi-organ failure
OR a person who died suddenly and inexplicably



Laboratory criteria

Any of the following:
  • Detection of Ebola virus nucleic acid in a clinical specimen and confirmation by sequencing or a second assay on different genomic targets.
  • Isolation of Ebola virus from a clinical specimen.



Epidemiological criteria

In the 21 days before the onset of symptoms:
OR
  • having had contact with a probable or confirmed EVD case.




High-risk exposure criteria

Any of the following:
  • close face-to-face contact (e.g. within one metre) without appropriate personal protective equipment (including eye protection) with a probable or confirmed case who was coughing, vomiting, bleeding, or who had diarrhoea; or had unprotected sexual contact with a case up to three months after recovery;
  • direct contact with any material soiled by bodily fluids from a probable or confirmed case;
  • percutaneous injury (e.g. with needle) or mucosal exposure to bodily fluids, tissues or laboratory specimens of a probable or confirmed case;
  • participation in funeral rites with direct exposure to human remains in or from an affected area without appropriate personal protective equipment;
  • direct contact with bats, rodents, primates, living or dead, in or from affected areas, or bushmeat.



2014年9月18日木曜日

非カロリー性人工甘味料は、腸内細菌叢に異常を来たし、糖代謝悪化をもたらす

メディアでも取り上げられつつあるようだが、飲料品メーカーなどの圧力があるのでどこまで報道されるか?



結局、「ゼロカロリー」などの飲料・食品は文字通りには行かない


Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota
Jotham Suez, et. al.
Nature (2014) doi:10.1038/nature13793



非カロリー性人工甘味料:Non-caloric artificial sweeteners (NAS) が、添加物として世界中に広まっている、やせや肥満かかわらず広く使われている。

NAS節酒は、三千で、有益と思われているが、それを支持する科学的データは少なく、議論段階である。
小腸microbiotaへ組成的機能的変容来たし、耐糖能異常をもたらす可能性が判明した。

NAS介達の糖代謝への悪化影響は、抗生剤治療にて消去され、無菌マウスへ糞便を移植した時に、NAS摂取マウスからのmicrobiota性状が再現され、NAS存在下培養嫌気的微生物でも再現される。

NAS介達性微生物代謝経路が、代謝性疾患宿主感受性と関連し、健康なヒトにおいても、同じNASH誘導dysbiosis(腸内細菌叢の異常)と糖不耐性を生じさせることが示された。

NASによるdysbiosisと代謝異常との関連性が示されたわけで、NAS大量摂取を再評価すべき段階に来ている。

2014年9月17日水曜日

COPD高齢者(66歳以上) LABA/ICS vsLABA比較

COPD高齢者(66歳以上) LABA(長時間作動性β刺激薬)/ICS(吸入ステロイド) vs LABA比較




COPD患者で、喘息要素のある場合、あるいは、長時間作動性抗コリン剤使用されてない場合では、LABA/ICS投与は、LABA単独投与例に比べ死亡・COPD入院組み合わせというアウトカムの改善が見られる。



Combination Long-Acting β-Agonists and Inhaled Corticosteroids Compared With Long-Acting β-Agonists Alone in Older Adults With Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Andrea S. Gershon,et. al.
JAMA. 2014;312(11):1114-1121. doi:10.1001/jama.2014.11432.

2003年から2011年施行、住民ベース長軸コホート(オンタリオ州、カナダ)

プライマリアウトカム:死亡・COPD入院組み合わせ
介入:LABA/ICS vs LABA単独 いずれも 新規処方比較

主要アウトカムを、LABAs/ICS新規使用者 5594名(死亡 3174、COPD入院 2420) vs LABAs単独新規使用 2129名(死亡 1179、 COPD入院 950名)で比較。

LABAs/ICS新規使用は、LABAs単独新規使用に比べ、死亡あるいはCOPD入院というアウトカムにおいてリスク減少 (5年時点での差, −3.7%; 95% CI, −5.7% to −1.7%; ハザード比 [HR], 0.92; 95% CI, 0.88-0.96)


喘息合併診断の場合のCOPDでその差が著明(5年時点での差, −6.5%; 95% CI, −10.3% to −2.7%; HR, 0.84; 95% CI, 0.77-0.91) 
そして、長時間作動性抗コリン吸入薬剤処方されてない場合に比べても差が明らか (5年時点での差, −8.4%; 95% CI, −11.9% to −4.9%; HR, 0.79; 95% CI, 0.73-0.86)







・ COPD第一選択において、LABA単独が落っこちる?
・ LABA/ICS vs LABA/LAMA の 戦い!(WISDOM研究: ステロイド離脱比較研究 ← ソフトなアウトカム比較なため、重視してはいけない!)



もめそうだなぁ・・・ ACOS









子宮頸部HPV検査の代わりに尿中HPV検出

1443名の女性、14研究、16論文のシステミックレビュー&メタアナリシス


35歳未満では最も多い癌は子宮頚癌だが、検診カバー率が低い。そのため、抵抗の少ない肩代わりの方法として、尿中HPV検出を行っては?というアイディア。



Accuracy of urinary human papillomavirus testing for presence of cervical HPV: systematic review and meta-analysis
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g5264
(Published 16 September 2014) Cite this as: BMJ 2014;349:g5264

HPV全般の尿検出:感度  87% (95% confidence interval 78% to 92%) 、特異度 94% (95% confidence interval 82% to 98%)

高リスクHPV限定の尿中検出では、感度 77% (68% to 84%) and specificity of 88% (58% to 97%)


HPV16、HPV18の尿中検出では、感度 73% (56% to 86%) 、特異度  98% (91% to 100%)


メタ回帰にて、first void urineサンプルが、ランダムあるいはmidstreamに比べ感度増加 (P=0.004).

小児入院:薬物副作用のうち、防止可能な状況は4%程度だが、モニタリング・オーダリング時チェック体制重要

Japan Adverse Drug Events (JADE) Study


薬物副作用のうち、薬物副作用防止可能なものは4%でかなり少ないが、重篤なもの、生命に関わるものもあり、モニタリングレベル・オーダリングレベルでのチェックが重要という報告。


Adverse drug events and medication errors in Japanese paediatric inpatients: a retrospective cohort study
BMJ Qual Saf 2014;23:830-837 doi:10.1136/bmjqs-2013-002658


小児入院での薬物副作用(ADE)は1000人日あたり、37.8(95% CI, 34.4 - 41.2)、 投薬過誤は65.1(95% CI, 60.6ー69.5)

内訳として、致死的・生命に関わるもの4%、重篤 23%、有意なもの73%

36(8%)が防止可能で、投薬過誤全例の4%に相当。


全ての投薬過誤中668(81%)が患者に有害事象を与える可能性があった。

防止可能なADEの最も多いエラー状況はモニタリングで78%、95%はオーダリング時点であった。




薬物副作用、即、医療過誤と考えているピーポーが多く、そういう報道も多くなされる。一部例外を大きく切り貼りして報道し、出版利益につなげようとするメディアの悪しき側面に世の中けがされまくってる。
 薬剤副作用の大多数は、防止不能の状況であり、防止不能の薬物副作用を前提にしたインフォームドコンセントが重要ということは大多数が一致した意見だろう。一方で、副作用を過度に心配するあまり、治療機会を失うことも。入院とは離れるが、反ワクチン運動などは典型的例だと思う。






2014年9月16日火曜日

腰下肢痛へのマニピュレーション治療

Back-related leg pain (BRLP):腰部関連下肢痛と訳した方が良いのか、腰下肢痛とした方が良いのか、悩むところ・・・


腰椎の神経・筋骨格筋構造の異常により生じる背部痛を伴う下肢痛
Classification of low back-related leg pain—A proposed patho-mechanism-based approach
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1356689X07001658

以上が、その意味と思われ、腰椎神経・筋骨格筋疾患異常に伴う腰下肢痛


これに対して、spinal manipulation

Spinal Manipulation and Home Exercise With Advice for Subacute and Chronic Back-Related Leg Pain: A Trial With Adaptive Allocation
Gert Bronfort, et. al.
Ann Intern Med. 2014;161(6):381-391. doi:10.7326/M14-0006


背景:腰下肢痛: Back-related leg pain (BRLP)、身体障害をもたらすこともあり、コストもかかる。だが、この病態への管理ガイド研究は必要なのに乏しい。
目的: BRLPにおける、spinal manipulative therapy (SMT) + home exercise and advice (HEA)と、HEA単独の比較:短期長期下肢痛軽減効果比較

デザイン: 2007年から2011年まで、minimizationによる割り付け、 Controlled pragmatic trial (ClinicalTrials.gov: NCT00494065)
セッティング: 2 research centers (Minnesota and Iowa)
患者: 4週以上続くBRLP21歳以上

介入:脊椎マニピュレーション治療:SMT+ 居宅運動と健康助言(HEA) vs HEAのみ12 週間。

測定:
プライマリアウトカム: patient-rated BRLP at 12 and 52 weeks
セカンダリアウトカム: self-reported low back pain, disability, global improvement, satisfaction, medication use, and general health status at 12 and 52 weeks
12週時点でブラインド化客観テスト施行


結果: 登録192名の患者のうち、12週後 192名(99%)、52週後 179(93%)のフォロ-アップデータ利用。
下肢痛に対し、SMT+HEAは、12週時点で、HEA単独に比べ臨床的有意有益性 (difference, 10 percentage points [95% CI, 2 to 19]; P = 0.008)、52週で消失 (difference, 7 percentage points [CI, −2 to 15]; P = 0.146) 
12週時点でほぼ全てのセカンダリアウトカムに対し改善、しかし、52週めで全般改善、自己満足度、医薬品使用でのみ改善。 
重篤な治療関連副事象、死亡事例生ぜず。
Limitation: Patients and providers could not be blinded. 
結論:BRLPに対しのSMT+HEAは、12週時点ではHEA単独より有効。だが、その効果は52週間持続せず、特定のアウトカムのみ持続。
Primary Funding Source: U.S. Department of Health and Human Services.


腰下肢痛へのmanipulatonは、短期効果については確立しているように思える。ただ、長期になると、不十分なようだ。


Apple社 HealthKit を用いた、臨床トライアル

Apple社HealthKit
https://developer.apple.com/healthkit/



これを用い、被験者のhealth metricsに利用し、Stanford University Hospital and Duke University が、医学的トライアル試みようとしている。


Apple's HealthKit will join medical trials -- report

http://www.cnet.com/news/apples-healthkit-to-be-used-in-diabetes-trials-report-says/



Stanfordは小児糖尿病の血糖追跡に、Dukeは体重・血圧を含むより広汎な測定項目を癌患者・心疾患患者に利用使用としている。



 ウェアラブル・テクノロジー、センサーを用いる方向は、アップル社単独で仕切るつもりはないようだと報道されている。

今までも多くの企業が格闘してきた糖尿病trackingシステム、Googleはコンタクトレンズを用いて血糖測定法を公表したが、マーケット化に関しては述べられてない。


糖尿病に関するStanfordトライアルは、iPod touchによる情報共有で、医師と情報共有のシステム。電話やFax情報プロセスとの対比。Duke大学のも同様。


経皮センサーをもちいたモニタリングの話ではなさそう・・・

2014年9月14日日曜日

非ポリオ・エンテロウィルス:EV-D68

CDC
http://www.cdc.gov/non-polio-enterovirus/about/ev-d68.html

正確なことは不明だが、夏・秋に感染者が多く、秋が深まれば減少するかも。2014年9月12まで米国6州97名がCDC検査確認されたが、真の総数不明。
乳幼児・小児・10代が多く感染し、発症。
軽症症状として発熱、鼻漏、鼻水、咳、体部痛・筋肉痛。ミズーリ州やイリノイ州の患者では呼吸困難。喘鳴。飛沫感染・接触感染が疑われる。
リスクは、喘息患者で、重度呼吸障害。


Severe Respiratory Illness Associated With Enterovirus D68 -- Missouri and Illinois, 2014 Claire M. Midgley, PhD, Mary Anne Jackson, MD, Rangaraj Selvarangan, PhD, George Turabelidze, MD, Emily Obringer, MD, Daniel Johnson, MD, B. Louise Giles, MD, Ajanta Patel, MD, Fredrick Echols, MD, M. Steven Oberste, PhD, W. Allan Nix, John T. Watson, MD, Susan I. Gerber, MDDisclosures Morbidity and Mortality Weekly Report. 2014;63(36):798-799.
http://www.medscape.com/viewarticle/831563

2014年9月12日金曜日

心房細動焼灼術:成功率高い報告、IF、サンプル数、有名筆者に世は引きずられる

心房細動への高周波カテーテル焼灼術研究において、成功率高い報告は引用数と独立した相関があり、おそらくcitation biasと思われる。
文献読者は、実際のデータより有効性高いというイメージをもってしまうリスクがある。


Association Between Success Rate and Citation Count of Studies of Radiofrequency Catheter Ablation for Atrial Fibrillation
Possible Evidence of Citation Bias
Alexander C. Perino, et. al.
CIRCOUTCOMES.114.000912
Published online before print September 9, 2014,
doi: 10.1161/CIRCOUTCOMES.114.000912

1990年から2012年までの心房細動への高周波カテーテル焼灼術の観察研究・臨床トライアルの系統的検索。 
Generalized Poisson regression を研究成功率と総引用カウントでその相関を推定。
補正として、サンプルサイズ、ジャーナルのインパクトファクター、出版からの期間、研究デザイン、1stか最終投稿者名がコンセンサス定義のpre-eminent expertかの因子を用いた。 
登録クライテリア合致174論文(36289名)。

出版からの期間という項目の補正にて、出版報告後5年後時点で、引用数は17.8%増加する(95% 信頼区間, 7.1 - 28.4%; p < 0.001))

インパクトファクター・サンプルサイズ・ランダムトライアルデザイン・pre-eminet expert著者という要素を追加補正した後、引用数増加にて 18.6%, 95% CI; 7.6 - 29.6%増加 P < 0.0001。
 
フルモデルで、出版発表からの期間、インパクトファクター、pre-eminet expert著者は有意な共役性。一方、ランダム化対照トライアルデザインに共役性無し。


どの分野でもそうだが、効果抜群でめだつ発表があればその発表に、そして、メジャーどころの記述者やIF、サンプルサイズなどもあれば、さらに、その報告を盲信することとなる。

なんたらスタディなんて、したり顔で、講演会の演者がしゃべり、上滑りが起きる
(COPDのUPLIFT研究なんて最たるもの・・・死亡率はセカンダリエンドポイントなのにプライマリのごとき扱いをする呼吸器学会の面々)


で、臨床の意思決定にミスリードをもたらし、多大なる被害をもたらす(まるで朝日新聞のように・・・)


クォリティーペーパーだったはずの朝日新聞が種々いんちき記事をかいて、世のプロパガンダ思考の方々

2014年9月11日木曜日

あの武田が販売予定の抗肥満薬は今度こそ本物? FDA認可



FDAが3番目の抗肥満薬剤としてOrexigen Therapeutics社のContrave((ナルトレキソン塩酸塩徐放製剤とブプロピオン塩酸塩徐放製剤の合剤))を認可し、日本の武田製薬がマーケット化することとなるだろうとの報道
http://www.nytimes.com/2014/09/11/business/new-drug-to-treat-obesity-gains-approval-by-fda.html?_r=0



体重過多あるいは肥満症患者に本剤を長期投与した場合の安全性プロファイルに懸念が示されました。具体的には、本剤の承認のためには、体重過多あるいは肥満症患者に投与した場合の心血管系リスクを評価するために十分な規模および投与期間の無作為二重盲検、プラセボ対照比較試験を事前に実施し、心血管系リスクが本剤の有用性を損ねない知見を得ることが必要”とのことで、宿題がだされ、認可先延ばしされてもの



FDA記事:http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm413896.htm

カロリー制限・定期的運動とともに服用させた結果。

プラシーボに比較して4.1%の平均体重減少。

このトライアルでは少なくとも5%体重減少した比率は42% vs 対照 17%





そういえば、武田の、あの、体重変化率がたったの約2%で、かつ、心血管イベントの発症抑制が示されていない、(インチキ?)肥満薬剤、オブリーン錠はどうなったのだろうか?



血液AB型は認知障害になりやすい?

血液型AB型で、第VIII因子様抗原(FVIII)高値の場合、認知障害リスク増加(年齢、人種・地域、性別補正)


もともと「第VIII因子様抗原(フォン・ヴィレブランド因子抗原)は、血液型O 型の場合、生理的に25~35%低値を示すため、血液型を考慮して判定」することが知られている。


AB型とFVIIIとの関連性を検討したところ、VIIIとさほど関連せず


ABO blood type, factor VIII, and incident cognitive impairment in the REGARDS cohort
Kristine S. et. al.

Neurology , Published online before print September 10, 2014, doi: 10.1212/WNL.0000000000000844Neurology 10.1212/WNL.0000000000000844

症例対照報告


年齢、人種・地域、性別補正後、認知機能障害との関連性
ABO群 オッズ比 1.82、 95% 信頼区間 [CI] 1.15 - 2.90
高FVIII(40 IU/dL高値)群:1.24 95% CI , 1.10 - 1.38

AB型の平均FVIIIは 142 IU/dL   (142 IU/dL; 95% CI 119–165) vs O型 (104 IU/dL; 95% CI 101–107)

FMIIIは、AB型群の18%分しか認知障害発生に寄与しておらず、有意差もなかった (95% CI for mediation −30% to 68%)。



2014年9月10日水曜日

ベンゾジアゼピン使用とアルツハイマー病リスク

ベンゾジアゼピン使用は、アルツハイマー病リスク増加と関連し、長期間の暴露によるアルツハイマー病との相関増加は、その直接の関連性を疑う。

ベンゾジアゼピン使用そのものが、認知症リスク増加に関わる状況を示すにしても・・・


Benzodiazepine use and risk of Alzheimer’s disease: case-control study
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g5205 (Published 09 September 2014)
Cite this as: BMJ 2014;349:g5205


症例対照 Quebec health insurance program database (RAMQ):1796名のアルツハイマー病シドなんと、性別・年齢群、フォローアップ期間マッチ化対照比較



ベンゾジアゼピン使用歴は、アルツハイマー病増加リスクと関連
補正オッズ比 1.51、 95% 信頼区間;CI 1.36 ~ 1.69
不安・うつ・不眠補正にて、やや減衰 1.43; 95% CI; 1.28 ~ 1.60

処方×日数投与 91未満程度の累積では相関無い

暴露密度について、処方×日数 91-180ではその関連性1.32 (1.01 ~ 1.74)、 180を超える場合 1.84 ( 1.62 ~ 2.08)で、 短時間作用薬では1.43 (1.27 ~ 1.61 )、 長時間作用薬では 1.70 (1.46 ~ 1.98)




認知症早期症状としての不眠、すなわち、共役性によるものを、ある程度否定した検討・・・という次第。

2014年9月9日火曜日

WISDOM研究:COPD 3種吸入からステロイドを離脱すると・・・ 

重症COPD患者で3剤吸入しているのは稀ならず存在。そこで、ICS/LABA/LAMAの ICSを抜いて、LABA/LAMAにした場合の影響は不明。


結論は、mMRCスコアにおいて差なし、SGRQスコアに差が見られた。この臨床的意義はわからないとのこと。FEV1の群間差は少ないが有意ではあった。


COPDのトラフFEV1 MCID(Am J Respir Crit Care Med. 2014 Feb 1;189(3):250-5)は、100mlなので・・・


LABA/LAMA合剤売りたい会社は、すでに、WISDOM試験の結果を報告した英国リバプール大学呼吸器・リハビリテーション内科教授であるピーター・カルバリ教授は、「スピリーバ®とLABAの併用投与を受けている重症から最重症のCOPD患者に、ICSを上乗せする必要はないかもしれないことが示唆されたことは朗報です」と宣伝利用している。



Withdrawal of Inhaled Glucocorticoids and Exacerbations of COPD
Helgo Magnussen, et. al.
for the WISDOM Investigators

NEJM Sep. 8, 2104DOI: 10.1056/NEJMoa1407154
Comments open through September 15, 2014 


【背景】吸入ステロイド+長時間作用性気管支拡張剤併用治療は、重症COPD頻回急性増悪患者で推奨されているが、2種の長時間作用性気管支拡張剤に吸入ステロイドを負荷することのベネフィットは十分検討されてない。


【方法】
12ヶ月、二重盲検、平行群研究で、COPD急性増悪歴ある2485名に3剤(チオトロピウム 18μg/日)、サルメテロール(50μg/日)、吸入ステロイド:フルチカゾン・プロピオン酸 500μg×2回)×6週間のrun-in period
ランダムに、12週間を超えて3つのステップにて3剤継続か、フルチカゾン中止するかを割り付ける。
プライマリエンドポイントは、初回中等度~重症COPD急性増悪までの期間。スパイロメトリー所見、健康状態、呼吸困難もモニターされる。


【結果】
継続鉱質コルチコイド継続使用に比べて、初回中等症・重症COPD急性増悪対応したステロイド中止群の事前設定非劣性クライテリアを、95%信頼区間上限の1.20として、結果、ハザード比 1.06; 95% CI, 0.94 - 1.19。


18週め、ステロイド離脱完了時、ステロイド群より、ステロイド中止群で、FEV1のトラフでその減少量は、38ml ( p < 0.001)、 同様の群間差(43ml)が52週目にも見られた(p = 0.001)
呼吸困難度の差はなく、ステロイド離脱群で健康状態はたいした差が無い。


【結論】チオトロピウム・サルメテロール併用重症COPD患者において、中等度から重度急性増悪は、吸入ステロイド中止後も、吸入ステロイド継続後と同様。
しかし、糖質コルチコイド中止最終段階でステップ間においてかなり肺機能の減少が見られる。 (Funded by Boehringer Ingelheim Pharma; WISDOM ClinicalTrials.gov number, NCT00975195.)

抗IL-5モノクローナル抗体: Mepolizumab:経口ステロイド節約効果、急性増悪減少効果

"Oral glucocorticosteroid-sparing effect of mepolizumab in eosinophilic asthma"
 Bel EH, et al

喘息維持療法にて経口ステロイド必要な患者を対象としたランダム化二重盲検において、IL-5結合・賦活化ヒト化(zmab)・モノクローナル抗体、メポリズマブ(mepolizmab)にて、、ステロイドsparing効果確認
プライマリアウトカムはステロイド使用量減量比率で、ステロイド減量戦略にしたがった減量尤度2.39倍(95% 信頼区間 1.25-4.56、 p=0.008)。ベースラインからの糖質コルチコイド投与量減少比率中央値は50%。



 "Mepolizumab treatment in patients with severe eosinophilic asthma"
Ortega HG, et al

持続的好酸球炎症と関連する繰り返す急性増悪を有する患者群で、高用量ICSで治療困難例
急性増悪率はプラシーボ比較でmepolizumab iv 群:47% (95% 信頼区間 [CI], 29 to 61) 減少mepolizumab sc 群:53% (95% CI, 37 to 65) (P < 0.001 for both comparisons)

ED受診、入院必要な急性増悪はそれぞれ32%、 61%減少。
32週めに、FEV1ベースラインからの増加量はプラシーボに比較して100ml増加。  (P = 0.02)、皮下では 98 ml増加 ( P= 0.03)

mepolizumabのiv、scはそれぞれSGRQスコアのベースラインからの改善:  6.4 、7.0 ポイント (minimal clinically important change, 4 ポイント)ACQ-5スコアのベースラインからの改善:  0.42 、 0.44 ポイント (minimal clinically important change, 0.5 points) (P < 0.001 for all comparisons)
安全性特性はプラシーボと同様



エディトリアル:
"Anti-interleukin-5 monoclonal antibody to treat severe eosinophilic asthma"
Nair P 
Engl J Med 2014; DOI: DOI: 10.1056/NEJMe1408614.





IL-5モノクローナル抗体 メポリズマブ(ボサトリア) 2012/08/22

2014年9月8日月曜日

インフルエンザ: ラピアクタ筋注にてウィルス消失時間・有熱期間短縮、全症状に関しては有意差示せず

インフルエンザ症状48時間内、ペラミビル(日本名:ラピアクタ、Rapiva)注射投与1回で、血中ウィルス量減少させるというプラセボ対照比較研究。


だが、プライマリエンドポイントの症状改善まで期間短縮では有意差至らなかった。


日本で行われたPIIでは、臨床効果が示されていた。


ラピアクタ筋肉内投与:single dose peramivir (intramuscular [IM] administration)


Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy "Single Dose Peramivir For The Treatment Of Acute Seasonal Influenza: Integrated Analysis Of Efficacy And Safety From Two Placebo-controlled Trials" Whitley R, et al. ICAAC 2014;Abstract V-1297.
http://www.abstractsonline.com/Plan/ViewAbstract.aspx?mID=3529&sKey=8f9238f9-e04e-4bfb-befd-542d6ae40678&cKey=5458bb77-3d3d-4285-8216-9a0c4d804db9&mKey=5d6b1802-e453-486b-bcbb-b11d1182d8bb

インフルエンザ症状消失までの期間中央値
peramivir300 mg  : 113.2 hours
プラシーボ : 134.8 hours
喫煙習慣・ウィルスシーズン・ウィルス型補正後  p=0.161
非補正   p=0.047

熱改善までの期間中央値 24.0 hours vs placebo (p=0.004)


投与48時間内のインフルエンザ消失は有意 (p=0.009)で、NAIs感受性減少は稀




 二次情報: http://globenewswire.com/news-release/2014/09/06/664146/10097502/en/BioCryst-Announces-RAPIVAB-TM-Trial-Results-for-the-Treatment-of-Influenza-at-the-ICAAC-2014-Meeting.html




2014年9月5日金曜日

電子タバコ擁護:100万人の喫煙者を電子タバコへスイッチすれば8千名の早期死亡を予防できると主張

British Journal of General Practiceに記載された、電子タバコ擁護的主張


Electronic cigarettes: fact and faction
Robert West, Professor of Health Psychology Department of Epidemiology and Public Health, University College London, London. Jamie Brown, Post-doctoral research fellow
BJGP September 1, 2014 vol. 64 no. 626 442-443 

2014年9月4日木曜日

IBIS-4 trial:クレストール大量療法、プラーク比率は減少したが、形態変化観察微妙

クレストール40mg 13ヶ月間使用の効果

STEMI患者非ターゲット領域のI動脈プラークのIVUSとRF-IVUS評価容積を減少させた
しかし、プラークの形態の変化は乏しい。


Effect of high-intensity statin therapy on atherosclerosis in non-infarct-related coronary arteries (IBIS-4): a serial intravascular ultrasonography study
Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu373 
First published online: September 2, 2014


2009年9月から2011年1月まで、プライマリPCI成功例後の2つの非梗塞関連epicardial coronary arteryのIVUSと、RF-IVUS

13ヶ月間、高度強化ロスバスタチン(40mg/日)
連続冠動脈内画像解析を146のnon-infarct-related epicardial coronary arteries (non-IRA)を有する82名の患者に応用しマッチ化部位解析を行った。

プライマリIVSエンドポイントは、パーセントアテローム容積の変化。

13ヶ月後、LDL-Cは3.29から1.89 mmol/Lと減少、HDLーCは1.10から1.21へ増加( P<0.001)

non-IRAのPAVは-0.9% (95% CI: −1.56 to −0.25, P = 0.007)減少。


non-IRAの一つでも退縮した患者数はしなかった患者数より多い (74% vs 26%)

necrotic core比率は不変 (−0.05%, 95% CI: −1.05 to 0.96%, P = 0.93)、RF-IVUS定義thin cap fibroatheromaでも不変 (124 vs. 116, P = 0.15)





a plaque prone to rupture(60~75%):薄い線維性被膜を持つ,破れやすいプラ
ーク(Thin cap fibroatheroma:TCFA)
http://www.eisai.jp/medical/region/radiology/rt/pdf/041/13.pdf

2014年9月2日火曜日

糖尿病薬SU剤処方高齢者:抗生剤使用は低血糖増加させ、医療コストも増大させる

SU剤処方高齢者の抗生剤投与後の低血糖はかなり多く、合併症や医療コストをかさ上げする。


Hypoglycemia After Antimicrobial Drug Prescription for Older Patients Using Sulfonylureas
Trisha M. Parekh, et. al.
JAMA Intern Med. Published online September 01, 2014.


Texas Medicare 後顧的コホートにて66歳以上、glipizide、glyburide処方例
このうち最も処方された、16種の抗生剤一つでも処方フィルされた例

抗生剤暴露14日内低血糖ED受診を主要アウトカムとする

患者特性、抗生剤処方適応コントロール多変量解析にて
・clarithromycin (odds ratio [OR], 3.96 [95% CI, 2.42-6.49])
・levofloxacin (OR, 2.60 [95% CI, 2.18-3.10])
・sulfamethoxazole-trimethoprim (OR, 2.56 [95% CI, 2.12-3.10])
・metronidazole (OR, 2.11 [95% CI, 1.28-3.47])
・ciprofloxacin (OR, 1.62 [95% CI, 1.33-1.97])
以上が、非相互作用抗生剤とくらべ低血糖率高い。

NNHでは、 clarithromycin 71からciprofloxacin 334まで

高齢、女性、黒人/ヒスパニック民族、合併症多い場合、低血糖既往がリスク要素


2009年、SU剤処方患者の28.3%でこれら5つの抗生剤の一つが処方され、低血糖の13.2%がこれらSU剤処方と関連。


5薬剤服用による、低血糖による治療追加コストは、$30.54。


デング熱:不顕性感染比率

時間ができたので、気になってた、表題部分のテーマをメモ


日本では不明の記載が一般的


デングウイルスに感染しても症状の出現しない例(不顕性感染)も多いようですが、その頻度については不明です。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/kakuron03.html


デングウイルスに感染した場合、かなりのパーセントのヒトが不顕性感染に終わると考えられている。しかし, 実際,感染者のどのぐらいの率が不顕性感染として終わるかということはよくわかっていない。
http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/dengue.htm


だが、米国のCDCでは約半数と記載

Asymptomatic Infection: As many as one half of all dengue infected individuals are asymptomatic, that is, they have no clinical signs or symptoms of disease. 
http://www.cdc.gov/dengue/clinicallab/clinical.html






特異的検査をしないかぎり、undifferentiated feverとして処理される。特異的身体所見やルーチン検査での特異所見がないから。



これが正しいとするなら、今回の事案でも 、不顕性感染後、各地の蚊にばらまかれてる可能性もある。特異的症状・検査所見ないため、医療の現場に混乱が生じるかもしれない。



ターニケット試験陽性などの出血性(DHF)でないかぎり 、さほど死亡率は高くないのが、安心材料か?

無糖尿病・無CVD対象 RCT: 低炭水化物 vs  低脂肪食 ・・・ 動脈硬化指標でも優位性

1年間というスパンでは、低炭水化物ダイエットの優位性が、単に減量効果だけでなく、動脈硬化指標にも明らかになった。

"Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial"
Bazzano L, et al
Ann Intern Med 2014; DOI:10.7326/M14-0180
http://annals.org/article.aspx?articleid=1900694

【被験者】臨床的心血管疾患・糖尿病無し148名男女

【介入】低炭水化物(40g/日未満) 、低脂肪(総エネルギー30%未満(飽和脂肪酸7%未満)

両群ともトライアル中規則正しい間隔で食事カウンセリング

【測定】体重、心血管リスク、食事構成データ収集(0、3、6、12週)


【結果】
低脂肪群:60名(82%完遂)
低炭水化物群:59名(79%完遂)


12ヶ月時点で、 
低炭水化物食群では、低脂肪食群に比べ 
体重減少著明 (変化量平均, −3.5 kg [95% CI, −5.6 to −1.4 kg]; P = 0.002) 
脂肪量減少(変化量平均, −1.5% [CI, −2.6% to −0.4%]; P = 0.011) 
総コレステロール/HDL比 (変化量平均, −0.44 [CI, −0.71 to −0.16]; P = 0.002) 
中性脂肪 (変化量平均, −0.16 mmol/L [−14.1 mg/dL] [CI, −0.31 to −0.01 mmol/L {−27.4 to −0.8 mg/dL}]; P = 0.038)  
以上減少


HDL (変化量平均, 0.18 mmol/L [7.0 mg/dL] [CI, 0.08 to 0.28 mmol/L {3.0 to 11.0 mg/dL}]; P < 0.001) 増加

2014年9月1日月曜日

心不全: カルベジロール vs メトプロロール

レジストリー横断研究 ・・・ 今、はやり言葉で、real-world clinical practice


かならずしも、カルベジロールでなくても良いかも vs 
左室駆出率40%以下の心不全で、カルベジロール vs メトプロロールの比較
デンマークのコホート Danish national HF registry 


Association of Treatment With Carvedilol vs Metoprolol Succinate and Mortality in Patients With Heart Failure
Björn Pasternak, et. al.
JAMA Intern Med. Published online August 31, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.3258


カルベジロール(n=6026) vs メトプロロール (n=5638)
プライマリアウトカム:全原因死亡率
セカンダリアウトカム:心血管死亡率

平均 (SD)年齢  69.3 (9.1) 歳、男性  71%、index HF診断 51%
フォローアップ中央値(IQR):2.4 ( 1.0 - 3.0 )年間

死亡:カルベジロール 875、 メトプロロール 754名
累積死亡率はそれぞれ、18.3%、18.8%


死亡 補正ハザード比は  0.99 (95% CI, 0.88 to 1.11)、絶対リスク差: –0.07 (95% CI, –0.84 to 0.77)/ 100 人年

サブグループ(性、年齢、LVEFレベル、NYHA分類、IHD病歴有無)でも一致した結果。

推奨ターゲット達成比率は、カルベジロールで高い (50 mg; 3124 [52%]) vs メトプロロール (200 mg; 689 [12%]); 補正ハザード比 0.97 (95% CI, 0.72-1.30)



1:1 propensity score matching プライマリ所見確認 robustness analysis  (hazard ratio, 0.97 [95% CI, 0.84-1.13])
死亡率補正ハザード比は、 1.05 (95% CI, 0.88-1.26)


セロケン、ロプレソール(メトプロロール)の添付文書の記載では、相変わらず、禁忌事項に“うっ血性心不全の患者[心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。”と記載確認。

日本では、心不全使用のβ遮断剤、カルベジロールもしくはビソプロロールしか使用できない、リアル・ワールド

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note