JAMAの論文結論に使われたというインパクトが大きい
Zhao Q, Zhu Y, Xu Z, et al. Effect of ticagrelor plus aspirin, ticagrelor alone, or aspirin alone on saphenous vein graft patency 1 year after coronary artery bypass grafting: a randomized clinical trial. JAMA. 2018;319(16):1677-1686.
ランダム化患者 500名 (平均年齢, 63.6 歳; 女性, 91 [18.2%])、トライアル完遂 461 (92.2%)
CABG後1年の伏在静脈グラフト開存率
ticagrelor + aspirin; 88.7% (432 of 487 vein grafts)ticagrelor alone; 82.8% (404 of 488 vein grafts)aspirin alone. 76.5% (371 of 485 vein grafts)
ticagrelor + aspirin vs aspirin単独は有意差 (12.2% [95% CI, 5.2% to 19.2%]; P < .001)、一方、 ticagrelor alone vs aspirin aloneでは有意差なし (6.3% [95% CI, –1.1% to 13.7%]; P = .10)
Five major bleeding episodes occurred during 1 year of follow-up (3 with ticagrelor + aspirin; 2 with ticagrelor alone).
上述論文著者は、effect sizeを伝えるために治療に必要な数(NNT)を使用し、アスピリン単独ではなく2剤治療で、治療患者8名毎1名のの追加患者が1年後で伏在移植片開存性を達成と説明した。
以上のようにNNTがベネフィットの程度を表現する重要な手段となっている
Number Needed to Treat
Conveying the Likelihood of a Therapeutic Effect
Jeffrey L. Saver, et al.
JAMA. Published online February 7, 2019.
doi:10.1001/jama.2018.21971
(例によって手抜きGoogle翻訳)
NNTとは...
臨床試験が完了すると、所望の転帰を経験している患者の割合または割合が活性群および対照群について報告される。 NNTはこれらの値から導き出され、臨床試験で観察された疾患に対する治療の治療効果の大きさを示しています。 NNTは、治療群の応答百分率と対照群の応答百分率との間の差で100を割ることによって計算される。あるいは、NNTは、群間の絶対リスク減少の逆数をとることによって計算される。 NNTは、1つの追加の良好な結果を達成するために、平均で何人の患者が対照療法ではなく能動療法で管理されなければならないかを示す。
必要とされる数の概念は、治療的研究および診断的研究の両方からの多くの種類の結果に適用され得る。治療法が望ましい転帰を増加させるとき、結果として得られる値は利益を得るのに必要とされる数です(より頻繁にちょうどNNTとして表示されます)。治療によって有害事象が増加した場合、結果として得られる値は害を及ぼすために必要な数です。診断戦略に適用した場合、結果として得られる値は、無症候性の個人における検査のためのスクリーニングに必要な数、および症状のある個人における検査のための診断に必要な数です。なぜ重要か...
NNTは患者や臨床医にとって直感的に理解可能です。それはまた定量的であり、利用可能な治療戦略の中から選択するときの意思決定を容易にする。観測されたNNTの周囲に95%信頼区間(CI)を含めることで、利益の不確実性も効果的に伝達されます。他の確立された治療効果指数はこの目的にはあまり適していない。例えば、統計的に有意なP値は、臨床的有意性よりもむしろ統計的有意性をもたらす。 P値は、治療法の選択に関連して転帰に差があることを示唆していますが、その差がどれほど大きくなるかということではありません。リスク比とオッズ比は、さまざまな治療法による転帰の絶対的な差ではなく相対的な差を表します。それらは、対照比較群における事象率もまた述べられている場合にのみ解釈可能であり、そして多くの意志決定者によって容易に実行できない暗算を必要とする。例えば、望ましい転帰の頻度を1.5倍に増加させる治療(リスク比= 1.5)は、対照群における望ましい転帰の基本率が2%である場合、100人に1人の患者さんに1回だけ役立つでしょう。しかし、対照群の望ましい転帰の基本率が40%であれば(活動群では60%に増加)、100人の患者毎に20人を助けるでしょう。対照的に、NNTは容易に解釈可能な方法で異なる治療法による結果の割合の差の絶対的な大きさを伝えます。
NNTの限界と代替
そのいくつかの利点にもかかわらず、NNT測定基準には重大な限界があり、治療効果の大きさの代替指標で補完的情報を期する手段がある。
まず、NNTは2つの割合(各治療グループにおける治療成功率)を1つの数字にまとめるため、情報を犠牲にします。例えば、同じNNTでも患者と臨床医によって異なる見方をすることができる治療成功率の増加(例えば、5%→15%でも85%→95%でも同じ)と表示される。
2つ目の限界は、異なるNNTを比較して統合することが困難である可能性があることです。これは、それらの値が異なる分母を持つ分数として表されるためです。これとは対照的に、固有周波数メトリクス(100あたりの利益および100あたりの危害として述べられることが多い)は、一様な(100)分母と慣れ親しんだ(パーセンテージから)分母を使って治療効果の大きさを表すので、比較をより容易にします。
たとえば、同じ治療効果を説明する次の文を検討してください。 1人の心筋梗塞を予防するためのNNTは25人の患者、1人の虚血性脳卒中を予防するための50人の患者が必要、1人の大出血事象を引き起こすNNTは33。治療される100人の患者ごとに4人が心筋梗塞を有し、2人は虚血性脳卒中を有する。さらに3人の大出血イベントが発生する 。NNTによって提供される臨床試験結果と百分の一の利益の異なる枠組みは、(イベントの重要性が異なるにもかかわらず)数値的に同等に扱われることが意思決定に影響を与える可能性があります。
患者は一度だけ特定の治療の決定を下すことが多いので、NNTは患者の視点とより密接に結びつく(「私のベネフィット確率はXに1である」)。 臨床医にとっての視点にもより密接に結びつく (「私が治療する100人の患者のうち、たすかるのはXである」)。
自然頻度と共有されるNNTの限界は、無作為化臨床試験結果がバイナリアウトカム(感染症の発生、発疹、または死亡など)に対してのみNNT値を完全に特異化されていることで 、順序的または連続的アウトカム(例えば痛みや障害の程度の軽減)には特異化されてない。この欠点は、自動化された、あるいはコンテンツの専門家の情報に基づいた導出手法を使用して、通常のまたは継続的な結果に対する推定NNT値を提供する方法の開発によって部分的に緩和されています。多くの患者が小さな個別的利益を経験するとき、またはより少数の患者が大きな個別的利益を経験するときに同じ臨床試験結果が生じることがあるため、個別患者ないのグループベネフィットの分布推定が不適切に仮定されることがある。
別の限界は、NNTがイベントの重要性ではなく数を反映していることです。さまざまな種類のイベントにはそれぞれ独自の個別のNNT値が与えられており、結果として得られる定量的な記述は、重要性の低い結果への過大評価を促す可能性があります。例えば、より軽微な副作用(一過性頭痛など)の有害性が3で名目上低い値だが、重大な有効性(致死性心不全など)が5とNNT高値の場合でも治療は実質的にネット効果ありとされる。他手法として各アウトカムについて健康関連utility値を用い、多方面のアウトカムを単純指標とするアプローチもある。
イベント値がこの単一の一貫した尺度に変換されると、utility尺度のベネフィット一定の到達でNNTを設定。例えば、「1人の命を救うための数」は最近では、血栓摘出術治療による急性虚血性卒中数は同じ数のベネフィットで死亡するであろう患者1名を救い、かつ、正常な神経学的アウトカムとなる数で比較する事がなされる。
さらなる限界は、NNTが治療の経済的費用および利益を伝えず、特定の臨床試験に登録された集団の総体的な特徴を反映して、原型患者に期待される効果の大きさのみを表すことが含まれる。対照的に、各個々の患者は、ベースラインリスクおよび治療反応を修正する特有の特徴を有する。さらに、患者の転帰が経時的に変化する場合、報告されたNNTは特定の時点での利益を反映しており、さまざまな利益を獲得するためにいくつかの異なるNNT値が必要になるかもしれません(例えば、治療コースの初期、中期、または後期)。
この被検者研究にNNTの概念をどのように導入するか?
Zhaoらの研究のRusult部分に、プライマリ有効性エンドポイントは、各群の個別アウトカム比率と95% CIを含み、相対的治療効果強度(相対リスク, 0.48 [95% CI, 0.31-0.74])、絶対的治療効果強度(リスク差, 12.2% [95% CI, 5.2%-19.2%])、統計学的有意性 (P < .001)。著者等はNNT 8と再宣言 (逆数 ほぼ12.2%)。この報告は臨床的に有益な手法の上ベネフィット確率を伝えた形。著者等はNNT周辺の95% CIを提示せず、95% CIがないと判読性は向上するが、推定値周辺の不確実性の程度が曖昧になる。二重抗血小板治療でも観察された有害性のNNTは症出血イベント増加に対しては示されず。しかし、仮説検証のため事前層別化フォーカスされたNNT値で論述するトライアル報告は、主たる有効性・安全性エンドポイントとなるものに限定しての場合、慎重であるべき
NNTは Zhaoらはどのように解釈されるべきか?
Zhaoらの報告で絶対的リスク差は 12.2% (95% CI, 5.2% - 19.2%)で伏在静脈グラフト閉塞1名を避けるためアスピリン単剤に対して必要なdual抗血小板治療数は 8名。しかし、データは最小5程度、最大19程度(それぞれ 逆数 0.192、 0.052)と一致。
この値は個別患者のベネフィットと確率不確かさを示すものと解釈