2012年8月8日水曜日

精神疾患は、高死亡リスク

約1万1千名弱のコホート研究で、平均18.3歳という徴兵時の医学検査上の精神科分析による調査とその後の死亡リスク検討

18歳程度の若いときの神経症・適応障害や人格障害の存在が、死亡リスクを2倍程度にする
入院するような重度の精神疾患で無くても、死亡リスクと関連し、しかも、この報告では、自殺とは関連のない死亡リスクであるという報告。


Association of Mental Disorders in Early Adulthood and Later Psychiatric Hospital Admissions and Mortality in a Cohort Study of More Than 1 Million Men
Catharine R. Gale, et. al.
Arch Gen Psychiatry. 2012;69(8):823-831

神経症性疾患から統合失調症まで精神疾患はいづれも、入院必要でないほどであっても、早期死亡増加するとスウェーデンの研究。



徴兵時あるいは入院時の診断は有意に死亡率増加と関連。

徴兵時診断に基づく年齢補正ハザード比は、うつ疾患の 1.81 (95% CI, 1.54-2.10) から双極障害の5.55 (95% CI, 1.79-17.2) まで

入院診断による上記指標は、1951年生まれまで、神経症及び適応障害 5.46 (95% CI, 5.06-5.89) から substance use疾患11.2 (95% CI, 10.4-12.0) で、それ以降誕生の対象者ではさらにリスク増加。

若年社会経済状況、BMI、血圧補正は、この相関に小さな影響しか与えないが、喫煙、アルコール摂取、インテリジェンス、教育レベル、後年の社会経済状況により、この相関性減弱。

この相関に関しては、自殺死亡は、主な要素ではない。


年齢、社会経済状態、血圧、BMI、インテリジェンス、教育到達レベル補正後
統合失調症 HR 2.52 (95% CI 1.13 to 5.72)
他の非情動精神病 HR 1.62 (95% CI 1.45 to 1.81)
双極障害 HR 5.19 (95% CI 1.67 to 16.1)
うつ HR 1.53 (95% CI 1.31 to 1.79)
神経症及び適応障害 HR 1.48 (95% CI 1.40 to 1.57)
人格障害 HR 1.88 (95% CI 1.72 to 2.06)
アルコール関連疾患 HR 2.38 (95% CI 2.07 to 2.74)
他substance abuse HR 2.68 (95% CI 2.41 to 2.97)

具体的死因の記載がもうちょっと欲しい。

スイス多胎研究: COPDにおけるバイオマーカー報告

スイスの多胎研究によるCOPDバイオマーカー検討

CRPやデスモシンがCOPD病期分類に役立つのではないかという考察と共に、各種バイオマーカーと肺機能との相関性について報告。

Blood biomarkers and measures of pulmonary function–A study from the Swedish twin registry
Respiratory Medicine Volume 106, Issue 9 , Pages 1250-1257, September 2012

Swedish Twin Registry 357名で、FEV1、FVC、RV/TLC、DLCOを測定

desmosine、CRP、PAI-1濃度・活性、TIMP-1、クララ細胞蛋白16(CC16)、SPD、MMP-9、HGF、IL-8を測定

年齢、性別、身長、BMI、喫煙補正後、PAI-1活性、desmosineはFEV1と有意に相関。
RV/TLCは有意にCC16、PAI-1濃度、PAI-1活性と相関。
DLCOはdesmosine、TIMP-1、CRPと相関。


COPD患者(すなわち、FEV1/FVC < 0.70)に限定した多変量解析にて、CRPとdesmosineは肺機能と逆相関。

横断的調査だと、いくつかのバイオマーカーが肺機能と相関性を認める。特にCRPとdesmosineはCOPD患者の重症度評価に役立つマーカーとなり得ると著者ら結論。

デスモシン:desmosineは、エラスチンの架橋結合アミノ酸であり、COPD診断バイオマーカーとして期待されている。
CRPはご承知の通り、   acute phase reactantで、細菌や死滅細胞表面に発現phosphocholineへの結合し、C1Qcomplexを経由補体系活性化をしめすもの


これらバイオマーカーと、予後やQOLなどとの関連性報告が欲しい・・・

トリペプチド feG: 急性膵炎肺障害抑制効果

トリペプチド feGの予防的・治療的気管内投与による急性肺障害抑制効果(齧歯類)

feG Prevents and Ameliorates Rodent Acute Pancreatitis-Associated Acute Lung Injury
Alison S. F. Elder et. al.
CHEST.2012 doi:10.1378/chest.11-2868


"synthetic tripeptide feG"
下顎腺 submandibular gland peptide-T (SGP-T; sequence = TDIFEGG)は、アナフィラキシーやエンドトキシン反応重症度を軽減することが知られ、このheptapeptideはD-isometric form(feG)に変換して生物学的tripeptide(FEG)の活性化を示す。このtripeptide FEG (feG) のD-isometric formは、有意な1型(アレルギー)反応抑制をもたらす。
feGのぷらいまりの作用として、白血球活性化抑制をもたらし、接着・走化作用抑制をもたらす。この作用抑制はROS産生と関連する好中球respiratory burst抑制をもたらす(Journal of Inflammation 2006, 3:9

抑制的機序を期待し、急性膵炎動物実験投与により、急性肺障害を抑制したという報告


 創薬として成功するでしょうか?

米国若年者の血中脂質特性改善傾向明確に! 対して 日本は・・・

以前から言われてることだと思う。


日本と比べ、米国若年者の血中脂質特性は以前に比べ改善されている。
 

Trends in Serum Lipids Among US Youths Aged 6 to 19 Years, 1988-2010
Brian K. Kit, et. al.
JAMA. 2012;308(6):591-600.
1988-1994年と2007-2010年での6-19歳において
平均 TC (from 165 mg/dL [95% CI, 164-167] → 160 mg/dL [95% CI, 158-161]; P < .001)
TC増加比率は減少  (11.3% [95% CI, 9.8%-12.7%] → 8.1% [95% CI, 6.7%-9.5%]; P = .002)

平均HDLは有意に増加、しかし低HDL頻度は不変

平均非HDL-Cと非HDL-C増加比率は共に有意に観察期間中減少

低HDL-Cもしくは高非HDL-Cの比率は、2007-2010年で若年者の22% (95% CI, 20.3%-23.6%) 、1988-1994年で 27.2% (95% CI, 24.6%-29.7%) で減少している。

1988-1994年から2007-2010年の間に12-19歳の青年期において、
平均 LDL-C 減少(95 mg/dL [95% CI, 92-98] → 90 mg/dL [95% CI, 88-91]; P = .003)、幾何平均TG減少 82 mg/dL [95% CI, 78-86] → 73 mg/dL [95% CI, 70-76]; P < .001)
この間に、高LDL-Cと高TG比率は有意に減少






そういえば、日本の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度の中に、“高齢者”、“女性”の項目はあるけど、思春期・若年者の項目がない。

日本のこの方面の権威者達に、危機感のない・・・ということを端的に表している。なぜ彼らが若年者の憂うべき事態に関心が無いか?・・・金にならないから(製薬・検診利権恩恵からほど遠い世界だから)。・・・そう言われたくなければ、ガイドラインなど取り決め今後施策提言を急ぐべき!



http://civil-society.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000001_33342E706466


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note